翼~ファンタジー短編小説

 ダークな恋愛短編ファンタジー。
 眠っていた最中に、夢の中に降りてきた作品。
 作品から出して出してとせっつかれて、形にしました。

 人の心には、ダークな部分があります。
 こういう作品を、たまには読むのもいいですよ。

 読むことでダークな部分を昇華していくと、バランスがとれてきます。

 私はもともとHSPでアダルトチルドレンで育ったわりに、精神がかなり安定しています。

 訓練してきたのもありますが、作品を作ったり発信して昇華していることも大きいです。

 読むことでセラピーになるのが、物語セラピー。

 誰でも読めるこちらで2章まで。
 フォロワーさんが読めるのが4章まで。
 最後の5章まで読めるのは、「無意識からの言葉」3月プランご入会の方になります。

 月の途中からご入会でもずっと読めるので、損することはありません。
 この3月プランでは、他にもお楽しみがたくさんあります。

「無意識からの言葉」3月プランご入会の方は、そちらで最初からお楽しみください。



            


 人には、それぞれ強みがある。

 自分にとって必要な本が本屋の棚で光って見えるとか、暗算が瞬時にできるとか、絵がすばらしくうまいとか、おいしいスイカが触っただけでわかるとか。

 そしておれは、人の翼が見えた。
 翼は、全員にあるわけじゃない。
 100人に1人くらいの割合で、背中に翼が生えている。

 女もいるし男もいる。
 子どももいるし、若い子、中年、老人にもいる。

 子どものほうが生き生きとした翼で、年を経るごとに曲がったり折れたり、縮んだりする。
 老人になると、ほとんどちぎれていることが多い。

 人間として生きているけれど、きっと妖精のようなもので、人間社会では生きづらいのだろうとおれは思っている。

 本人たちは、翼が生えているなんて思ってもいない。
 まして妖精だなんてみじんも思っていない。
 普通の人間だと思っている。

 まあ、普通の人間かもしれないが。
 翼がある以外は。

 ちなみにおれには、翼は生えていない。
 100人中99人の人間だ。


            


 彼女が教室に入ってきたとたん、おれははっと息をのんだ。

 空色と瑠璃色を混ぜて、光のかけらをまとったような翼。
 これまでたくさんの翼を見てきたけれど、これほど美しい翼を見たのは32歳の生涯で初めてだった。

 おれは、ため息をついた。
 彼女が、これまでひどく痛めつけられてきたことがわかるからだ。

 美しい翼は、背中でくしゃっとひしゃげていた。

 おれは、若手書道家として名が売れてきていた。
 今流行の、バケツに墨を入れ、大きな筆を持ち、立って書きつけるパフォーマンス系の書道家だ。

 教室も盛況で、100人くらいの生徒がいる。
 そこへ、彼女が入ってきたのだ。

 24歳。
 OL。

 名前は、瑠璃。
 ぴったりの名前だ。
 親は翼が見えなくても、何か感じたのかもしれない。

 瑠璃はその翼と同じく、容姿も美しかった。
 おれの書道教室はおれのファンが多く、女性がほとんどだ。
 
 容姿が美しい女性の場合、女性の多い集団に入ると、2通りの扱われ方がある。
 一つは、ボス的な位置、もしくはナンバー2としての位置。
 もう一つは、やっかみでいじめられるパターンだ。

 この教室の場合は、独身のおれをねらっている女性がほとんどで、
 若く美しい新参者の瑠璃は後者になった。

 外向型でずうずうしければ新参者でも上りつめるが、瑠璃は内向型で繊細だった。
 瑠璃は、いつも泣きそうな顔をしながらあいそ笑いをしていた。

 ああだめだだめだ、そんなことをすればなおさら踏みにじられる。
 ほら、ずうずうしい女たちが瑠璃を追いだそうとやっきになっているじゃないか。
 
 おれは、みんなにわからないようにメールで彼女をお茶に誘った。


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