おねむりんだお~しゃちんくんがんもる~



外は、まだ暗い。

時計は、朝に近づいていた。

「……ふぅ」

しゃちんくんは、最後のひとつを終わらせて、そのまま、ぺたんと座り込んだ。

よいちょよいちょ。ずっとやっていた。

考えて、なおして、また考えて。
体は、くたくた。

頭も、少しふわふわしている。

「……やりきったお」

小さく、つぶやく。

だれに聞かせるでもなく、ただ、自分の中に落とすみたいに。

部屋は、しんとしている。

「……まるちゃん……」

ふと、名前が出る。

いない。いま、この部屋にはいない。

本当なら、ころん、と来て、
「しゃちん」って声がして、ちょこんと隣にいるのに。

今日は、いない。少しだけ、静かすぎる。少しだけ、広い。

「……ねむいお」

しゃちんくんは、ふらっと立ち上がって、おふとんのほうへ歩く。

よいちょ。

ごろん。

体が、沈む。

「あったかいお……」

目を閉じる。

でも、すぐには眠れない。

体は疲れてるのに、心が、まだ動いている。

「……ちゃんと、できたかな」

「……だいじょうぶかな」

そんなことを、ぼんやり考える。

そのとき。やわらかい感触。

ぽん。

頭に、なにかが触れる。

「……?」

よーーし。

よしよしよし。

やさしい、なで方。

少しだけ、へたっぽくて、でも、ちゃんとやさしい。

「……しゃちん」

小さな声。

「がんばったね」

まるっこい、おてて。

ぽぽっとした温度。

「……まるちゃん……?」

目を開けようとするけど、うまく開かない。

よーーしよしよし。

なでなで。

「……えらいお……ちゃんと、やってたお」

しゃちんくんの呼吸が、ゆっくりになる。

さっきまでの、ざわざわが、
すーっとほどけていく。

「……ありがと……だお……」

声にならない声。

よーーしよしよし。

ぽぽーーー……

そのまま、やさしい温度に包まれて、

しゃちんくんは、すっと眠りに落ちていった。

朝の光が、少しずつ差し込む。

部屋は、いつものように静か。

となりには、だれもいない。

でもなでられた感触だけは、ちゃんと、残っていた。

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