ゲームシステムの話(長いので覚悟を)
今日もシナリオ関連の進行で見せられるものがない、ということで今日は進捗ではなくゲームシステムにまつわる裏話的な話をします。
めっちゃ長いので覚悟がある方だけどうぞ。
「……ほんまにええんやな? 言うたしな?」
まず当たり前ですが、同人や小規模開発はコピーゲームや既存ジャンルでやるのが固い選択です。これはゲームシステムの開発やバランス調整を0から行うとなると大きなコストがかかる一方で、コピーゲームなら「答え(先行作品)」を見て調整するだけで済み、大きく労力を削減できるためです。デザインや音楽で差異を出せば、それらの魅力で本家と差別化できる、と。実際そうして売れてるゲームも多い。
しかし、まぁ「自分の作りたいゲームを作るんだ!」ってなるよね。私はなりました。仕事じゃないんだし、収支より大切なものがある。(持続可能な収益をあげたいという欲求はめちゃくちゃあるけど、それはそれとして、ね)
そんなわけで今回の作品(イレイズ)は闇鍋のように色々なゲームをごった煮にしたようなシステムですが、わざわざゲームシステムに拘っただけあって、一応色々とバランスを考えながら組んでいます。
例えば…
★「クトゥルフ神話TRPG」の魅力である選択やダイスの結果による死亡や発狂は、アドベンチャーゲーム形式との相性がよくない。(セーブ&ロードでルートを埋めるゲームになり、リスクが介在しない別ゲーになってしまう)
→パ〇プロやウ〇娘のような周回シナリオとして構成する。
※実は、カードゲームのデッキ構築を周回制にするというアイデアは偉大な先駆者である「Slay the spire」の踏襲でもあります。パッと見では周回シナリオのシステムは他ジャンルのゲームシステムを引っ張ってきただけの物に見えますが、このシステムは変則的なデッキ構築型ローグライトとしての役割とアドベンチャーパートのゲーム性拡張という二つの異なる役割を一手に担っています。
★カードの「色」とブロックの「色」(カラーパイ)
→落ち物パズルゲームにつきものの「ブロックの色」。小さい頃から『もっと色を活かしたルールがあっていいのに』と思っていたのですが、その路線で起きた変化は、せいぜいスマホゲーでキャラクターの色とブロックの色が対応したシステムがあった程度。違う、違うんだ。もっと色のイメージを活かしたい。赤なら攻撃だし、青なら防御気味だし……。
……待て、その「色のイメージ」はどこから来ている? そう、mtg(マジック・ザ・ギャザリング)のカラーパイからだ。
ということで、ブロックを消してカードのコストを貯めるシステムに繋がります。カードには色ごとに傾向を持たせ、得意なことと苦手なことを作ります。デッキを万能にするために様々な色のカードを入れたいけれど、色を増やすにもデメリットがあるジレンマをプレイヤーに持たせたい。
(色を増やすデメリットを落ち物パズルでどう表現するか、ここでかなり悩むことになるんですが、それはまた別の機会に)
カードゲームでは一般的に高コストカードは『テンポ』にデメリットを持ちますが、イレイズでは『不確実性』のデメリットを持ちます。これは既存のカードゲームに類型がないため上手くバランスが取れるか不安のある設計なのですが、スマホという媒体の操作性に合わせてブロックが尽きないパズドラ型の落ち物システムにしている関係上、テンポのデメリットを持たせられずやむなくこうしたという背景があります。不確実性がテンポの代替となりうるかどうか(あるいは新たな役割を持てるかどうか)、テストプレイで十分に検証することが必要になりそうですね……。
そういえば、カードにコストを貯めるのって、やってることは「とことんなぞぷよ」みたいなものですね。(目標となる連鎖数等が提示されて、それをクリアするところが)
こういう細かなところで既存ゲームに類型を見いだせると、先人が残してくれた足がかりを一つ掴めたようなもので、安心してシステムを詰められます。
語った……。これ語ってる時間でシナリオもっと進めれば良かったのでは? (正気に戻る)