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アトリエこもれび 2024/03/24 20:35

せみはれ開発のドタバタ劇

色々見返してたら、せみはれの開発開始がだいたい去年の今くらいだったようです。
というわけで、今日はせみはれの開発の裏でどんなどったんばったん大騒ぎがあったのかを書いておこうと。
ついでなのでエンジン選定の話なんかも真面目にしておきます。
本当は公開2ヶ月くらいで上げたいと思ってたのですがまあ色々あって今になってしまった。

【かめの目線のガバ時系列の話】

ご存じの方も多いでしょうが、本作はSuika2大賞2023に合わせて開発しました。
コンテスト参加を決めたのは結構早かったです。発表直後くらいだったと思う。

それでも時間は多くないので、企画をゼロから立てるのではなく、既に私がプロットを書き上げている4本から選抜することに。
私は日頃から発想の練習と称してゲームのプロットやあらすじを書いています。
ネタ帳のストックも兼ねている。
出力することでまとまるものもあるので。


手書き。だいたいこういうアイデア案から作品は始まる。
日付で分かるが5年くらい前に書かれたネタ。
この時点でも主人公のメンタルが死んでるのは確定していた(笑)

話し合いの結果、短編なので攻略キャラが少ないことや季節感、7日間構成でまとまっていることなどから蝉時雨の外れでの原形「蝉ゲー(仮)」が選ばれることに。

この段階ではまだキャラの名前は決まっておらず、主人公と蝉夫と呼ばれていました。


雪白とのやり取りにも書いてある。
序盤の命名シーンの選択肢に「蝉夫」があるのはその名残。

これに決まって雪白に伝えたのは
「攻略対象こと蝉夫なんだけど物語中で変色させたいんだ」
でした。
当然「???」ってリアクションされました。だよね。

https://twitter.com/kameno_ryo/status/1671195647616385025

蝉の羽化後しばらくしてから色が変わる生態のためでもありますが、
一番の理由は「人間の姿をしたものが一晩で色が変わるという人智を超えたことがあれば主人公(とプレイヤー)は蝉夫が普通の人間でないことを信じざるを得ない」からです。
この物語、別に蝉がどうして人になったかを語るつもりはありません。
そこに割く時間は作品規模としても無いし、説明したからといって深くなる物語でもない。それを解き明かすタイプのファンタジーにするつもりもなかった。
本作においてそれは本筋じゃないから。
なるもんはなる、語るだけ野暮。
ただ、多少強引でも「コイツは自分を蝉と信じ込んでる狂人ではなく、本当に人外である」説得力だけは持たせたかった。
ならば人間ではあり得ないことを起こせ……変色させてしまおう!
受け入れてくれた雪白さんに感謝しようね。
なお、言うまでもなくこのために立ち絵枚数が爆増した。地味にバスタオル差分あるし。


企画が決まったならシナリオを書かなければ。
しかし2023年は記録的な酷暑。
PCの部屋に冷暖房がない私はほとほと困り果て、また同じ環境の雪白もデザイン作業が進まない。
部屋で30分過ごすと脳が茹だるんだよ!死んじゃう!

6月頃、新作発表も合わせてTwitterスペースで喋ってみたがまぁ朦朧とする。
さらにこの辺で雪白のPCスペックが絵を描くにはかなりギリギリであることが発覚して差分とか大丈夫なのかと震え始める。しかもWin8だった。
衣装差分無かったとはいえ、よく前作制作出来たな!
マネジメント担当の胃がおかしくなるフラグはこの辺から立ってたのかもしれない。

そして夏、かめのが再就職に成功した。
成功したはいいが時間配分は狂った。
だって出来ると思ってなかったから……!
(過去に何度も失敗しているのでまだ半年くらい無理やと思ってた)

そしてゲ制デーのツイートしたり、暑さで遅々としながらも作業を進めていた8月、事件は起こる。
なんか耳がおかしかった。ずっと高山にいるような耳の詰まり。
転職によって人生一番の高層階で過ごすようになったばかりだったので、てっきりエレベーターとかのせいかと思ってたが、耳抜きを3分に1度やらないと音がまともに聞こえてこない。
さすがに一応耳鼻科に行くかと行ってみたら、
「低音部難聴ですね」
「軽度のメニエール病の所見です」

かめの、メニエール病になる。
耳詰まりの感覚って難聴の症状なんだって。
誰か教えてくれよそれ。義務教育で教えろ。
みんなは早く医者に行こうな。
有名な症状であるめまいはあまり出てないのだが、耳閉感だけでもかなり生活の邪魔だし仕事の邪魔だし作業の邪魔。
蝸牛型メニエールってめまい無いタイプのも普通にあるらしいんでマジで病院は行こうな(2回目)

私のゲ制は暑さ、メニエール、仕事が思いの外バリバリになって残業と三重苦と戦う羽目になった。
想像以上に長くなってしまったシナリオもとうとう8月中に終わらず。


9月
とりあえず9月上旬にシナリオを終えるもメニエール悪化、めまいは依然無いが吐き気で何食っても胸がムカついてボロボロになって食欲が落ち1ヶ月で4kg痩せました。
あと薬が不味い。めっちゃ不味い。
イソバイドって検索かけるとサジェストにまずいって出てくるんだぜ。
毎食後の薬が不味いと思うと食欲が落ちるんだ……

雪白も立ち絵を完成させスチルに入るも、立ち絵出力の暇をなくしていつの間にか私が全部出すことに。
※衣装差分も多く出力が雪白PCでは不安があったのも一因
かめの、各種演出のスクリプト組みながら差分出力をする。
残業から戻って睡眠前1時間作業する。土日は全部作業。
死ぬ。この時はホントに過労死が見えた。
まぁ演出をつける人間が表情指定した方が出力を必要なものだけに絞れるという利点はあります。
私は二度とやりません。
服装差分こんなに増やしたの誰だ。
夏の一週間に着た切り雀はおかしいと言った奴は誰だ。俺や。
多すぎる。差分が多すぎる。容量もえげつねぇ。
ただ、今作において特にナナの服装がちゃんと変わるのは「彼のための服が用意され、彼が人間になって生きている」演出のために外せなかったので意地でもやる。
被服文化は人間だけのものなので……人間生活の象徴なので……
そして服装指定をミスる不具合が頻発しデバッグの手間がえらいことになった


9/29、コンテスト締切前日。そしてかめの28歳最初の朝。

かめのはとうとう朝から吐いていた。
食ったもの戻してるので体力も湧かない。震えが止まらん。
仕事は休んだ。
しかし仕事を休んだのをこれ幸いにスクリプトと戦った。イカれてやがる。この狂人め。

不具合検出は雪白にほぼ一任。私は改修に回る。
かめの、一瞬だけゲームではないもののプログラムのテスター業務にいたことがあるので、そのときのバグ報告のテンプレート作成の知識が地味に生かされる。
しかし雪白にはもうちょっと丁寧に心得というかやり方の説明をしたかった。
今回の一番の心残りです。次回以降にも使える知識だしね。
とはいえほぼ完璧というか、何も言わなくても丁寧なテストしてくれたのでありがたかった。
雪白よ、君テスターの才能あるよ。
でも最終日の朝に昼まで起きてこなかったのは心臓止まりかけたから許さん。電話かけちゃっただろ
※雪白は夜型

そして、まぁ……あの……Suika2開発様を最終日までバッチバチにこき使ってお問い合わせしまくってしまいましたよね……
これ不具合ですかーーー!?!?これってどうやるんですかーーーーーーー!!!!!
アーーーーーッ
お前の修羅場に人を巻き込むな


マスターアップしたときは達成感と虚脱感で倒れました。
そして制作中の迷言ツイートを作りました。

https://twitter.com/kameno_ryo/status/1708442889158836378

壊れてんなー。


そしてサボりにサボってた広報作業をポチポチしたりSuika2のアプデに合わせて機能追加してみたりすること1ヶ月。

コンテスト結果発表。


なんと短編賞
嬉しいね!

シナリオ担当的にはシナリオ賞狙ったが!?!?くそぅ!!(CV.チエミ)


【エンジン選定について】

大前提として、かめのはITとかシステム系は門外漢です。
そして論理とかめちゃくちゃ苦手です。英語もそんなにちゃんと読めてはいない。
だからあんまり……ちゃんとしたことが書けていない。間違ったこと書いてるかも。
高度なことは出来ないです。
本当に幸いしてるのは、性格上、説明書を読みこんでそれを再現することは苦でないということ。
これのおかげでソフトウェアを動かすことはそれなりに出来ます。中身あんまり分からないブラックボックスとしてな。


サークル一作目にして前作『恋のかけらはすぐそばに』(以下かけそば)は吉里吉里2で制作しました。
吉里吉里2はかけそばリリース時点で更新もサポートもとっくに終わっていましたが、それでも使ったのには理由があります。

吉里吉里はタグでスクリプト打ち込み式ですが、専用エディタKKDEがありタグの入力補完をしてくれます。
コイツが非常に優秀で手放しがたい。専用というのは強いです。
特化型のツールは出来ること限ってる分安定しますし、わざわざそれが作られるということは吉里吉里がそれだけ広く使われたツールである証でもあります。

広く使われているものはそれだけ知見も多く存在する。
ググれば様々な解説やプラグインがあるということ(もっとも古すぎてジオシティーズなどの終末とあわせて消えてるものもあったが……)。
また、広い人気ゆえ、そして時代もあって解説書籍が出回っていました。
中古で観測できた範囲は全部持ってます。
これがサンプルデータディスクとかついてて豪華なのだ。コマンド一覧もあるし、PCの横に置いて首っ引きしつつ学べるのがいい。私が古いタイプの人間だからかもしれない。デュアルディスプレイ環境も無いしな……

ぶっちゃけ更新終わってようがサポート切れてようがWindowsの後方互換が強いのもあり動くので、乗り換えはしないつもりでいました。
一度身に付けた知識も財産だし。捨てるのは惜しいところもあった。
ゲーム作りにもう少し慣れてから考えてもいいや。と。
ティラノは動作がもっさりなイメージが強くてピンと来ないし、
Ren'pyは日本語訳はされてるとはいえ海外エンジンでサポートの不安。それなりに日本語ユーザーいるっぽいけど、という感じ。

とはいえ何があるかは分からんのと、個人的な趣味で情報収集はしていました。
Suika2についてはそこそこ前から興味を持っていて去年秋辺りから情報チラ見たまにサンプルいじったりしてたんですが、本格的に乗り換えるのはまだ先かなと思っていました。

\そこへやってきたゲーム大賞のお知らせ/
チョロいので乗りました。波に。
あと雪白のPC買い替えのために。
こんなに綺麗に教科書通り開発さんの思う壺なヤツおる?

というのは半分くらい冗談として、この頃公式Discord(これもしれっと参加していた)に有志がVSCodeスニペットをアップ。
これ、私としては大革命。
VSCode上でコマンドの入力補完が出来る……つまりKKDEで便利と思ってた機能の一つがやって来る!
いやまじでコマンドポチポチやコピペだけで作るの手間なんやぞ!
VSCode自体初めてだったのでまずは落とすところから。
うわーーこれが噂のVSCode!エンジニアみたいだな!!!
※Ren'pyはVSCodeに拡張機能があるのでたぶん似たこと出来るはず。たぶん。

他にもKKDEの有用性ってその場でビルドして作ったものを実画面で見ることが出来ることもあったんですけど、Suika2はそもそも同梱のPro(開発用起動ソフトのようなもの)で起動すれば同じことが出来ます。
さらにスクリプトの行数指定してゲームを任意の位置から走らせることも出来ます。これKKDEでやるなら開始位置をずらすためのタグを仕込むかデバッグ用にメニューを作るくらいしかなかったので上回ってますね。
長編作るにも困りません。
これでデバッグにも見通しが立ちました。

……てなわけで、吉里吉里の有用性として私が気に入っていたものが吉里吉里以外にも現れた。
これなら十分私の技量でも制作を回せると考えてコンテストの参加を決める。


【結末、挨拶、今後】

結果は見ての通り。なんとかなりました。なったのか?
雪白さんはじめ、Suika2制作のktabataさん、Discordの皆様などとにかく方々にお手数かけまくりました。
改めてお礼とお詫び申し上げます。本当に。
特にSuika2制作には足向けて寝られない。
今後の発展には微力でも添えたい、ので、各種知見の共有や公式Wiki編集など出来たらなと思っています。まずはWiki文法を勉強だな!!!

アトリエこもれび 2023/11/03 18:17

せみはれ音楽のあれそれ

こんにちは。
蝉時雨の外れで、シナリオ以外に音響担当もしてるいるかめのです。
今回も前作に引き続き、選曲に音量調整、ループ処理など音に関する諸々をやりました。


作品公開より1ヶ月。
「せみはれ音楽のあれそれ」と題して、選曲に関する裏話など書いています。



なお、ネタバレ全開なので1周クリアしてから、可能ならエンディング3つ全て見てから読むことをお勧めします。



(かめの画)








選曲にあたって

私は何か作るときは毎回一つ何かしら「今までと違うこと」をすることを心がけています。
今回は(新しいゲームエンジンを使ったことは別として)ピアノ音楽から離れたい気持ちがありました。
私の個人的感情ですが、こと恋愛を描く上でピアノがマジでベタ過ぎるような気がして……、可能な限り特にピアノソロを避けています。
それに、現代日本の都市部ってアコースティックピアノの音って感じしないじゃん……。この辺は個人的感想ですが。
まあ結局そこそこ入ってしまった。やはり音楽の万能選手からはそうそう逃げられない。

アンビエントとストリングスで縛る予定でしたが流石に全曲それは無理があったね。
縛るあまりに空気を壊すのは本末転倒ですし。
(あと現代都市部がアコースティックピアノ似合わないと思ってるだけなので自然の場面は遠慮なく選んでます)

日常曲など流れる割合が多いものを極力ギターなどから出しているのはその名残です。


曲単体ページがあるものにはそこへのリンク、そうでないものは配布サイトへのリンクを貼っています。
全部ダウンロードしてきて音楽プレーヤーに突っ込めば疑似的なサントラが作れます。




曲リスト&コメント

タイトル画面:夏の終わりに
https://dova-s.jp/bgm/play19427.html

タイトル含めて決めた曲です。一番最初の曲でもありますし、クリアしてタイトルに帰ってきて聞く曲でもあります。
主旋律がハッキリしてる感じがOPっぽいかなと。


日常昼:Still In Love
https://otologic.jp/

一日の始まりなどよく流れていた曲。よく使うことは最初から決まってたのもありギター曲。
別に恋も愛も始まる前から「今も愛している」曲になっていますが……。ナナの終盤の台詞のように、何気ない日常ほど最も愛すべきものなのかもしれません。


日常夜:静かな夜に凪ぐ
https://dova-s.jp/bgm/play17949.html

夜用の日常曲。静か目、でも暗くないもの。
昼の曲がギターだったので対というかセットというか、これもギター入ってます。


間抜けな曲:コレジャナイ
https://www.hurtrecord.com/bgm/123/korejanai.html

ツッコミのテーマ。またの名を会って2日目告白のテーマ。
イケメンとの出会い!キャー!で舞い上がったりfall in loveするほど主人公は若くありません(笑)。
そもそも男関係で嫌な目に遭ったばかりだからね……。
元々大好きなフリゲに使われていたコレコレが執筆中イメージでした。フリー音源故に別に使っても構わんのですが、被るのを嫌がる私の性格的に選ばないと気が済まなかった。

???「このゲームのための専用の曲を選ばないとダメ」

明確なイメージがあったせいかテンポと曲調両方が良い感じの曲がなかなか見つからず、難航した記憶があります。


ナナ変色:大混乱!?
https://dova-s.jp/bgm/play16867.html

一瞬しか使わない曲だからって好き勝手しました。前回もやったなこれ。
見つけた瞬間膝叩いて笑って採用。これほどドンピシャがあると思わんかった。
蝉ゲー(仮)プロットを雪白に提案したとき「この作品、攻略対象が変色するんですけど……」って言ったら雪白が「???」ってなってた。それはそう。
執筆中イメージはこの曲でした。これも好きなフリゲに使われていたものです。


散歩:Sound Mind
https://www.hurtrecord.com/bgm/58/sound-mind.html

マーチみたいな、ズンチャカ歩ける曲。
作中はここまでタイトルとトンチキ曲以外は日常の落ち着いた曲か憂鬱な無音ばかりなので、ようやっと3日目にしてエンジンかけるための音でもあります。
HURT RECORDさんは毎月テーマを掲示してそれに合わせて投稿する対応の音楽サイトなのですが、この曲は「健康」テーマから見つけました。
健康でいてほしいってナナも言ってましたね。


食事:Waltzing Ajan
https://musmus.main.jp/

イントロがちょっとだけ3分クッキング感ない?ないかなぁ。
初日のラーメンと5日目朝の料理のシーンで流れています。
元々、食事のシーンは日常の象徴としてもっと多く入れるつもりでいたのですが、思いの外買い食いや外食のシーンが増えたので出番が減ってしまいました。
(あと飯のシーンは真面目にやりだすとグラフィック担当に負荷がかかる)
一度はガッツリ飯テロするタイプの作品、書きたいよね……。

そして私がちらほら個人Twitterで言ってた「本作にもしれっとガンダムネタが入っているけど見えない場所だから分からんと思うよ」はこの曲のことです。作曲者のコメント( https://musmus.main.jp/blog/new-2021-06/ )参照。

ガンダムの上にフリーBGM界隈にも詳しくないといけない。分かるわけねえだろ。
しかもよりによって初代ネタである。平成ガンダムならともかく乙女ゲー界隈ではそうそう履修者いない。
マチルダさんの概念めちゃくちゃ好きです。初恋は散らせるものという信条的にも
ちなみに元ネタのWaltzing Matildaはオーストラリアで広く愛されている曲でスポーツ大会で国歌的に流されることもあるようです。Waltzing=さまよう、Matilda=旅人が担ぐ寝具、の意味なので三拍子とも音楽のワルツとも関係ない。


ショッピングモール:ショッピングモールにて
Music-Note.jp

いかにも。
一瞬で場所が分かるBGMです。
BGMって場所・場面を伝えるものと感情を伝えるものとありますがこれは完全な前者。


カフェ:午後のウクレレ
https://dova-s.jp/bgm/play14507.html

パンケーキを食べるのはハワイアンカフェなのは執筆当初から決まっていました。
コーヒーの麻袋とかサーフボード飾ってるタイプのあれ。
店内BGMのイメージなのでウクレレ。わかりやす。


ゲーセン:キラッキラ
https://dova-s.jp/bgm/play14540.html

あまりバキバキの地下ゲーセンではなく、ショッピングモールのゲーセン。
これが意外と無い。
SEだけだとマジでマジのゲーセンしかなくて……ポップな親しみやすいアミューズメント、大変だった。
余談ですがゲーセンは背景もなかなか良いの無くて大変でした。
実はあの背景は海外のもので、プレイ料金とかめちゃくちゃ外国語表記。ぼかしたりして誤魔化して頑張ってる。服屋の背景も海外です。背景含めた画像探し裏話もやれば記事になりそうなくらいエピソードがあります。


お祭り:夏祭りの露店通り
https://dova-s.jp/bgm/play4899.html

あんまり鈍重なお祭り曲だと本格的になりすぎるので、あくまでも市街地の祭りでBGM的に流されてそうなものを。
軽快な笛からスタートするのが、作中の「遠くから音で気づく」感じがあって良いと思ってます。


虹:Benedicite
https://www.hurtrecord.com/bgm/62/benedicite.html

HURT RECORDさんの「幸運」テーマより。
虹は幸運の象徴。
Benediciteは「祝福の祈り」の意味のラテン語です。聖歌にもあったりします。

本作において虹は数字の7……すなわちナナの名前の元にもなる重要なファクターですが、海での会話にもあった通り、蝉である彼にとって7の数字は結構忌まわしいものでもあります。この時点の主人公は知りませんが。
そこに「祝福」が流れるのを素直に良いことと受け取るか嫌味とするか、その辺は読み手に委ねます。


雨:窓越しの雨
https://dova-s.jp/bgm/play17490.html

雨のBGM。作中では雨のSEも入れていますが、この曲自体に雨音が入っています。
悔しいがやはりピアノは雨と相性がいい。


焼肉:楽しい食事
https://dova-s.jp/bgm/play17141.html

食べ放題のテーマだイエーーーーー!(サンシャイン〇崎)
かの有名なヨーデルに当然影響されて選んでいる。当然アレは使えないので探してきたわけですが……よくあったなこんな音源……。

前作の35億もそうですが、版権元ネタってかイメージがある曲はよく見つかるなあと思います。
よく作ってる人がいたなあとも言う。感謝。


主人公の過去:夜と静寂(The night and quiet)
https://dova-s.jp/bgm/play18630.html

悲壮感が漂い過ぎない曲にしました。

主人公は最後こそ泣いてましたが、全体的に彼女はわりと淡々と話しています。
「アイツ」を憎み切れていないからです。自分の至らなさを責めていて、その感情とアイツへの怒りがぶつかって打ち消して凪いでいます。もっとも割合で言ったら0:100で向こうが悪いです。まだちゃんと怒れる段階にいないだけです。
あと半年くらいしたら飲み会でクダ巻くようになります多分。


アレ:夏の氷華(Summer ice flower)
https://dova-s.jp/bgm/play19076.html

ちょっとシャリっとしてるというか、夜に暗い話をして、そこからの恋のシーンなので優しくもまだ直前の冷たさを引きずってるような、そういう曲です。
大事なシーンなので候補を多めに挙げて選んでいましたが、他の多くがピアノだった……それだけで選んだわけではないですが。

これとかタイトルとか、ゲーム中重要な曲は夏がテーマの曲から引っ張ってきてたり。全部じゃないけど。


クライミング:ドラマティック・シティ
https://dova-s.jp/bgm/play18268.html

「エクササイズ」をキーワードにして検索していた曲。
ともすれば朝のニュース番組な曲ばかり出てくるので結構大変だった選曲。
思ったより流れるシーンが短くてさ……。見つけるの苦労した曲ほどだいたいそう。
名脇役と呼んで。


不安:砂の記憶
https://dova-s.jp/bgm/play19079.html

クライミングの帰り、ナナの様子を疑う場面の曲。
悲しさではなく、疑い、ただし怒りなどではない心配から来る疑い(しかししつこいが悲しみではない)……これもかなり迷った果ての選曲。
だって悲しみが混ざるとすぐピアノ曲になるので……


悲しみ:晩夏の蝉
https://musmus.main.jp/

ナナが自分の寿命について打ち明けるシーン。
夏が終われば蝉はどうなるか……タイトルもぴったりです。

露骨に悲しい曲はこれとEND3くらいでしょうか。言うてEND3も暖かい音を選んではいるつもり。
作品自体は主人公の傷だったりナナの短い命だったりそこそこ重いものを扱ってはいますが、作品の空気そのものはシナリオも音楽も暗くなり過ぎないようにしています。


ドライブ:気分爽快
https://www.hurtrecord.com/bgm/85/kibunsoukai.html

HURT RECORD「ドライブ」テーマより。
話の展開的にはそんなに元気なシーンでもないんですが。
それでも極力明るく楽しくやろうという空元気のテーマでもあります。


山登り:森・陽・水
https://dova-s.jp/bgm/play18815.html

都市部の曲でないのもあって躊躇いなくピアノ曲だったり。


宿:風
https://musmus.main.jp/

穏やかな一息つける曲。
日常曲の転用をするか考えましたが、せっかく宿なんか来てるし非日常感欲しくて別の曲を用意しました。
だから使うタイミング少ないんだって。編集の手間が増えます。その分あちこち冒険してる感出せてたらいいな。


花火:夜風の花火
https://dova-s.jp/bgm/play17564.html

タイトル先行。
これもアンビエントですね。ピアノ主体ではありますが。
あんまり音楽詳しくないですがLo-Fiってノイズとかわざと取り入れるんだそうな。
ひずみが花火のランダム性というかパチパチ感に繋がれば幸い。


海:初夏の風を感じて…
https://dova-s.jp/bgm/play18917.html

これも自然の曲なのであまり気にせずピアノ。
作中はむしろ晩夏に近いですが。


別れの曲(END2):さよなら水平線
https://dova-s.jp/bgm/play2278.html

これも結構タイトル選曲です。海とさよならして、そして主人公とナナのお別れ。
いかにもな悲しみ曲がアコースティックピアノだったので、こちらは切なさもありつつ音色が明るいエレピ。
別れは決して後ろ向きなものばかりではないという気持ちになってもらえれば。


END3:Under the sky
https://pocket-se.info/archives/1966/

「彼」がいなくなった後、空を見上げるイメージです。
死んだ人は星になると台詞がありましたが、それならこの空の下にいる限りはきっと共にあるのです。
死んだ蝉は土に還りますが、その大地もまた空の下なので、多分。


END2:Working Woman
https://dova-s.jp/bgm/play794.html

軽快で現代的な電子楽器な音楽。
曲名含め、一人で前向きに歩き出した主人公の曲。
本作ではこの曲だけコーラス程度ですがボーカルが入っています。エンディングだし毛色変えてやろうと思って。


END1:pastel green
https://dova-s.jp/bgm/play11684.html

「嘘でしょ……?」みたいな主人公の心情に合わせて、だんだんと目の前の奇跡を受け入れ喜びが広がる……小さく入って大きく広がるように展開する曲を選びました。
ベストエンドという重要な場面にストリングス主体の曲を選んでいる辺りに私の本作へ課した縛りプレイの跡が垣間見えますね。


その他雑談

実はスタッフロールにも独立した曲を用意する予定でいたのですが、END3の後が1・2と同じ曲だと非常に浮いてしまうのと、各エンディングの曲が流れる時間が短くなりすぎてしまうので盛り上がりに欠け、それぞれのエンディングテーマをそのまま流す処理になりました。

それから、虹のシーンorエンディングでボーカル曲を流すか悩んでいましたが、前者は文字を読ませるゲームで歌詞があると邪魔になる、後者は尺を決めないと歌詞が最後まで流れてくれない、などの理由で没っています。

商業ゲームなんかだとクレジット長いし2分3分くらい余裕でいけるけどね。うちはメンバー2人やぞ。

候補に挙げていた曲はこちらhttps://dova-s.jp/bgm/play10503.html
裏テーマ的にお聴きいただければ。

もし時間があったら(この曲でなくても)OPでも作れば良かったのかも。コンテスト〆切的に無理だけど。
後付けしてもいいけど、動画流すとなるとWinとMacでファイル形式変える必要があったり、まあまあ厄介なのです。

あと今回の音響話として一番引きずり回したいネタなんですけど、
制作中にかめのが軽度の低音難聴になり、音響調整はAudacityで波形見て半分くらい目視でやってます。
テストプレイした雪白からクレーム無かったし大丈夫だろう。
もしなんかあったらお声かけくださると助かります。


以上、せみはれ音楽のあれこれでした。
フリーゲーム制作というのは予算もなくスタッフもなんでも出来るとは限らないので、あれこれ無料素材をお借りすることは多いです。
(うちは作曲スタッフいないからね)
オーダー通りに用意されたものはないにしても、出来るだけ作品に合わせたものを。
これを広いネット世界から探すのは苦労もあり楽しくもあります。

かめのの思想として、ゲームは演劇などと同じ総合芸術だと思っています。
キャラデザインは衣装やメイクに通じ、立ち絵が入ったり消えたり台詞ウェイトの演技指示があり、暗転や夕方に画面が赤くなったりの画面効果という照明演出があり、シナリオがあり、音楽もある。
ぶっちゃけ読み物ゲーは文字だけあれば成立するのですが(そしてあえて無音の作品もありましょうが)、
ゲームをよりゲームとして成立させてそこにある空気をお届けするにあたりこだわりたいポイントであります。
スクショでは伝わらない、聴覚から訴えたいものがある。
今回はコンテスト〆切という期限があった制作でしたが、それでもBGM・SEにはそこそこ時間費やしています。
日常曲流しとこ思ってたシーンに「やっぱりこの場面違う曲が良いなあ」になってズルズル増えては手間が増えて発狂したのも遠い思い出()
非常にこまめに音楽が切り替わっている印象になったかもしれない。

何より私は素材オタクでもあるので、こういうの書いてくれるサークルさん多いと助かるんだなあ!!!
サントラのライナーノート大好きだし。
本文中でも触れましたが背景裏話とかフォントのこだわりとか、そういうの話したい気持ちもあります。

アトリエこもれび 2023/10/09 11:28

アトリエこもれびCi-en開設しました

みなさまこんにちは。
急激な寒さに衣替えのタイミングを逸したアトリエこもれび広報担当かめのりょうです。


さてこの度、見ていただいているようにCi-enを始めました。
理由はいくつかあり、

・昨今のTwitter騒動を見ていて広報が一ヶ所に集中しているのに危機感を抱いたから
(一応ブログhttps://atelier-komorebi.blogspot.com/もあるのですが)

・ユーザーがフォローして見られる媒体に登録しておきたい
(bloggerだとGoogleアカウント紐づけなので人によっちゃやりにくいよな……と)

などまあ色々。いやだいたいTwitterへの不信では。


更新がコンスタントではないと思われることもあり、当面有料記事の予定はなく、フォローしておくと限定情報が見られるかもな~、くらいのノリで運営します。

蝉時雨の外れでが公開1週間ですので、そろそろorもう少ししたらちょこちょこお話したいこともあるな~、と。

また、記事は少ないですが従来のブログも気に入っておりますし、リスク分散の役割はありますのでそちらも残しておきます。
使い分けするのかCi-enに移行するのかは決めていないし。

とりあえずそんな感じです。
よろしくお願いいたします。

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