ポンコツKNIGHT 2023/09/02 02:06

渦女屋本舗様の「LostFriends3」プレイ感想

LostFriends3 特設サイト様

渦女屋本舗様の「LostFriends3」をプレイさせていただき、滾ったので感想をしたためようと思います。

Lost Friendsシリーズについて

渦女屋様のサイトでは、「フレンドをロストするシリーズ」として3作フリーゲームを制作されており、今回私がプレイしたのは3です。
なぜ3なのかというと、主人公のマーティン先生の見た目に惹かれたからです。わかりやすい。
執着系、ブロマンス寄りというジャンルが書かれております。
ブロマンス・・初めて聞いたので調べたら、男の子同士の近しい関係を指すらしい。broはbrotherね、なるほど。
そして特筆すべきは、大団円がない、というところ。
そうなんだ・・そして次項へ。

プレイするまでの感情

昔はホラー以外は比較的ミーハーに映画や小説に手を出して楽しんでいた私。
ここ数年は、悲しかったり青少年が痛々しい目に遭うのが見ていて辛くなってしまい、ハッピーかラブコメか動物かシナプしゅかディズニー、ジブリしかまともに観れなくなってしまいました。(大好きなジョン・ウィック見てても、序盤の犬のシーンで泣く)(動物もだめじゃん)
なので、大団円がないゲーム、プレイするか迷・・・・ったわけではなく、それを上回るほどにマーティンさんが良いお顔をお持ちだったので、プレイ開始しました。
(この振りは何・・)

プレイ後に思ったこと

最高だった。
ただただ最高だった。
プレイ前、結末に自分の気持ちが沈んだりしないか若干気にしていたものの、クリアしてみたら完全に好みの展開でした。
ぱっと最初に思い浮かんだのは、Winter's Boneという映画。
昔映画館で見たのですが、アメリカ北部の貧しい村で暮らす女の子が、家族を守るため裏社会に足を踏み入れていくみたいな話。
己の倫理観よりも村の「掟」が正義。
善悪とは?自分が信じている善は、ここでは何の意味もないと分かったらどうなるのか、そんな怖さがあって目が離せなかったです。
ロスフレ3も、同じように自分の正しいと思う、そうすべきと思う気持ちとは裏腹に、キャラクターたちが運命を選択し辛い結末を迎えるたび、目が離せなくなっていきました。


ロスフレ3おすすめポイント(ネタバレなし)

ロスフレ3は、選択肢ありのADVノベルです。
ABCの大きなルートに分かれていて、Cを読み終わるとB、Bを読み終わるとAが開放され、
最初から遊ぶと開放されたルートも選べるようになります。
作者様曰く、真相がだんだん見えていく順番がこうなっているけれど、
どのルートも正史たりえるとのことなので、全部読んだ後自分の好きなルートを正史と捉えましょう。優しい。
私はCのTrueとAのTrueが好きです。
読んで私とぜひ語ってくださいお願いします。

お話は読みやすく、演出も相まってどんどんストーリーに引き込まれていくので、夢中になりコンプまであっという間でした。
ものすごい美麗スチルがガンガン出てきて、ほっこりシーンやゾッとするシーンもスチルで堪能することができ、最高です。
私はマーティンのガチ恋女なので、彼のスチルは何度も舐めるように見ています。

特筆すべきは立ち絵!
細かい動きの演出も素敵なのですが、なによりそれぞれのキャラの表情が本当に好きです。
マーティンは全表情好きなのでコレクションしています。(個人的にスクショを保有)
マーティンの気持ちが切り替わったタイミングで立ち絵ががらりと変わるのですが、本当に表情の変化がすさまじくてゾクゾクしました。
顔がいいのに背筋が凍る~~~!!

ABCのTrueエンドにそれぞれエンディングムービーがついていて、それもまた素晴らしいです。音楽が本当に合っていて、物語が終わった後の映画館で放心している気分になります。(没頭しすぎて)

すごいと思ったのは、C→B→Aと読み進めるわけなのですが、物語の冒頭に戻るわけではなく、Cのある地点からBが始まっていくようなイメージなんです。
Cの冒頭で語られていた色々がBやAで明らかになるようなところもあるので、ADVを遊んでいるつもりが、散りばめられた伏線を拾いながら収束していくカタルシスも味わえて、すごく不思議な気分。なにこれどんな技術??
なので途中で辞めずに一気に読み終えるのがベストです。
そして全部の真相が分かってから(解放されるキャラ語りも読んでから)もう一度Cのはじめからやるとさらにエモなので、何回でも美味しいです。

ぜひ体験していただきたいです。

私もまだ2周目ながら全然理解できてないところいっぱい。
楽しい。

★ここからネタバレいっぱい★

ネタバレばかりなので、プレイしてから帰ってきてください!












キャラ語り マーティン


・顔がいい
・キャラデザ、色合い好きすぎる
・横向いている時の自嘲気味な瞳が大好き
・Aルートで前向いた立ち絵、吹っ切れた感じでさらに好き
・繕わずに笑ったり悩んだり怒ったりするマーティン可愛い好き
・大ウソの笑顔でハインツと協力契約交わしているところマーティンだなぁ
・Bルートで疎外感感じて拗ねたり、クロエの信頼が自分よりヒューゴに向いてると解釈して怒ったりして、なんかヤキモチか?とニヤニヤ思ったけど展開シビアすぎてお口を閉じました。
マーティンにとっては、疎外感を感じずにいることの方が、生きる道を確保することよりも重要なのかな
・Bルートのバトル本当に好き、闘うマーティン先生えええ!!服の布掴んでるところがフェチです好きです。
・自分を偽って装って立派であろうとするところ、本当に自分はそういう人間だって思い込んでいて偽物の感情だって疑っていない感じがしていたけど、やっぱりC、Bあたりでは気づいていないんだろうな。Aでは気づいちゃったんだろうな
・Aルートでヒューゴと会話している時、クロエのこと頑張り屋で寂しがり屋でって言っているの、確かにそうなんだけどマーティンが本当に彼をいい子と思って友情感じているのか疑ってしまう自分がいるw
・マーティン、最後まで生きること手放さなかったな、何がそうさせるんだろと思ったけど、キラキラな世界を信じてて目指してるからなのかな
・CルートTrue、一番前向きで収まりのいいエンドだと思ってたけど、A見た後だと、これマーティン不幸を撒いて回ってる上に聖職者活動辞めてるから厄災では?この先の幸せちゃんとあるの?とじりじり不安になった。真実を知らない方が幸せ…
・Aルート入ってからのマーティンが妖艶すぎて、これ魅了されてしまうやろ…と頭抱えた。あのスチルは全てを狂わせる・・・・

キャラ語り クロエ

・Cルートで自暴自棄演じてマーティンに腕引っ張られるところ本当好き。この時の感情を思うと泣ける
・CルートTRUEが彼的には一番思い通りのエンディングなのかなと思うけど、あそこから生きてリムブスに戻れたか疑問だしやっぱり辛い。最初は達成感で満足したかもしれないけど、置いていかれた絶望感がじわじわ侵食してきそうで辛い。
・クロエがひどい目に遭う展開は心臓にくる。おばちゃん辛いよお
・Bルートでの扱いが酷いけど、全てを知ってしまって辛くなるAルートさらにきつい
・Cルートでは表に出さなかったけど、A、Bで要所で挟んでくるマーティンとの旅路の思い出を大切にしているところが健気で好き。そこから落としてくる展開本当温度差で風邪ひく。
・クロエはどのルートでもマーティンのこと想っている(執着というのかな?)ところが萌えるし滾る。最後の「世界が狭いのでしょう」というところ納得。優しくしてもらったことないからすぐ警戒解く所、危なっか可愛いね。ヒューゴはそういうとこも好きなんだろうね
・AのBADで死に戻りしようとするクロエ痛々しすぎて見ていられない、本当に純粋だよこの子は。辛すぎて壊れちゃったクロエ可哀想可愛い。
・Cの時点で、クロエはマーティンに夢見てるとこあって危なっかしいなと思ってたらAで二人が衝突してしまって、やっぱりあーあ・・となったけど、クロエがマーティンに友情を感じていたのはどの時点でも根底にあるんだろうと思うと泣けてくる。マーティン逆に友情だしたことあるのCだけでは・・。ここの温度差も辛み。
・自分が大切にしている名前のことを、初めてマーティンが褒めて認めてくれたことが、クロエにとって大切な言葉で思い出なんだろうね・・例えそれがマーティンの装いで発した言葉だとしても、それがどれだけ本心かは関係なくて、その時その言葉をくれたことがクロエには意味があったんだよね。うう・・クロエ〜〜〜!!(絶叫

キャラ語り ヒューゴ

・キャラデザ好き。
・外に出るルートでなんか馬が合いそうな子と一緒にいられてよかった。
 ・・・え?妖精食べるって・・ひ、比喩よね?魔女さん?
・このルートのフードかぶったヒューゴさんカコイイ
・ただただ、地上で幸せになってほしい。環境厳しいけど。
・一番感情がまともだった。
・自分が子供に向けられなかった愛情をクロエに向けるところ健気可愛い
・ずっと奥さん愛してるとこ推せる。作者様のpixivの幸せな二人の絵〜〜〜〜!ありがとうございます。そしてヒューゴさんたら指輪してるのね!もうほんと愛妻家だわ・・推せる・・
・双子からやらしい目で見られてるの、嫌な予感的中してて笑ってしまう
・ヒューゴとマーティンの一見白々しい感情のないコントみたいなやつ、このゲームの清涼剤として楽しんでいた
・ヒューゴとクロエの会話は出向中または離婚して1ヶ月に1回しか会えない系のお父さんと素直じゃない息子って感じでひたすら癒しだった

つらつらとロスフレ3のことを考える

ABCを一気にプレイして、ヤクやって飛んだみたいな状態で書き連ねた感想です。
整理する気が起きない その時の勢いがあってこれはこれでいいかなと思うので、このまま書かせていただきます。全部ネタバレです。

■報われたいクロエのこと
「俺だって報われたいよう」
この言葉がずっとぐるぐるしています。作者様、どうしたってこんな言葉をクロエに言わせるって思いつくのか。ぐっさり私の情緒に刺さってしまったよ・・。

(クロエが世間知らずだっただけで、もっと常識的で優しい人に会えばマーティンに依存せずに済んだけど)クロエにとってあの時点では救いというか一緒にいたい存在はマーティンしかいなかったけど、
マーティンは自分の「善き行い」の指針のもと行動しただけで、クロエじゃないといけないわけではなかったのだと思う。
その温度差がつらい。
クロエは頭では分かったつもりでいるようで、まだまだ精神は幼いから、どこか親に求めるような無償の愛の存在を信じていて、それをマーティンに期待し続けていたのかな。
偽物の友情だと否定し続けてれば、本当にそうだった時に自分が傷つかないから突っぱねてたけど、本当はその否定を超えて本当に愛してほしかったとずっと思って、その望みを託してついてきていたのかな。
自分の母親がそうしてくれたように、このままの自分を愛してほしかったのかな。

でもマーティンはそもそも親からそういった類の感情を受けていないから、クロエがほしい感情をそもそも知らないんだよな。
父親「みたいな人」だし、最後クロエと重なってしまってとても胸糞だし・・。
徹底的にお互い求めているものがすれ違っていて交わらない二人だったのかと思うと切ない。
最初マーティン→クロエだと思ってたけど、実際マーティン←←←クロエだったのが切ない。「報われたいよう」はどうしたって報われないのがつらい。

Aルートではマーティンとクロエのそれぞれに対して持っている友情の質が違うとお互い気付いてしまったのかと思う。
クロエは絶望して、マーティンは納得した。(というか後悔の正体を突き止めて解消したというか)

■マーティンの「最後までそれ・・・」
ATrueの最後のマーティンの言葉、クる~~~~。
最後までマーティンはマーティンでした。はああああああ~~~(重い溜息
この後クロエは化け物になってしまうのかな。あああああ~~~~~(溜息
最後の言葉の意味をぐるぐる考えている。
いつもの常套句は、いわゆるマーティンとクロエの友人同士としての軽口というか通常運転の言葉として使われているんだけれど。
あと聖職者の装いをしたマーティンの言葉という位置づけなのだけど。
最後のあのタイミング、装いをする意味はとっくになくなっているのだから、違うかなと。
必死のクロエの訴えに心を痛めて、その後悔をマーティンに植え付けさせようとするクロエに対して、
こうかがないようだ・・」
ってなったという意味なのかな~~~辛えええええ~~~~~

ヒューゴは、マーティンが、クロエが求めてる感情を返さないことを早めに察していて、クロエを守るためにマーティン嫌ってたのかな。
ヒューゴは少なくとも(まともな)愛を知っているという点においてマーティンよりずっと人間らしいし、クロエより無謀な愛の求め方しないんだな。
ヒューゴが言っていた、「自己犠牲精神あるいい子じゃないじゃん」的なセリフ(ニュアンス微妙に違ったらすみません)、クロエのことを指しているという点がずっと刺さってて、Aルートでその意味が繋がって辛くなった。
やっぱりクロエにはヒューゴが必要だったと思う・・・もう遅いけど・・もう少し一緒に過ごしていたらクロエの視野も広くなったかもしれないな。

■マーティンの正体と欠けているもの
あー、双子が言っていた、「欠けている」の意味が少しだけ分かった、気がする。
人間なら当たり前、というか、いくら荒んだ環境で生きてきても、人間なら(妖精でさえ)理解できる愛情や友情の概念が理解できてないのも一つあるのかなって。
人々に優しくしてたのも、そういう指針だからであって。
ただ、キャラクター説明のところにあった一文「基本的に行動は善性、それにより広く浅く人々に慕われていた」が唯一の救い・・。
たまたま拾われたのが宗教集団で、善性のしつけを受けたからそうなっただけだけども、確かにそれはマーティンを善人たらしめてる、それだけが救いかなぁ。
いくらマーティンの本質が善性とは違うとしても、見せかけの善性だとしても、人々やクロエを救ったことは事実だし、
見えない本質(双子ちゃんは見えてた)より直接受け取る言葉や行動が全てだから、世の中そうだから、それは全部否定されるものじゃないよね。歪とはいえマーティンの努力だって本物だし。
どうしよう、延々と考察(という名の垂れ流し)ができてしまう・・・沼だ~~~

■落ちなければと願ってしまう二人の未来
リムブスにさえ落ちなければ、二人の旅は続いていって、たとえ友情の質が違ったままであっても、二人とも「楽しい」という感情自体はきっと本物のまま、友人のままでいられたのに、とたらればで現実逃避してしまう。
そう、マーティンは完全に感情のない機械みたいな男ではなくて、偽りの善性であっても、弱きを助け憐れむ心だって、クロエと過ごして楽しいと感じる心だって本物なんだよね。
リムブスにさえ落ちなければ・・・でもマーティンのサガなんだろうね・・あああ。

まとめ ロスフレ3はいいぞ

ロスフレ3、すごく面白かったです!!
しんどい展開苦手かな〜と思ったらむしろ激ってしまいました。
生き汚さ、二人の感情のぶつかり合い、そのドラマが本当に面白かった。
ロスフレシリーズの中で一番しんどい?展開と書かれているのを見たので、
じゃあ大丈夫だな、と前作も遊んでみようと思います。楽しみ!
そしてやはりマーティンは私の性癖にぶっ刺さる大変素晴らしいキャラクターなので、これからも愛でていきます。
長髪穏やか善性聖職者だけど生き汚くて歪な精神の持ち主ってもう・・
最高です。そしてビジュがいい。
色気が殺しに来てる。

ありがとうございました!!


…蛇足ですが、ウィンターズ・ボーンを思い出した共通点。
マーティンがハインツやクロエの亡骸を扱っているシーンが、ウィンターズ・ボーンで出てくる、女の子が父親の遺体を見つけて引き揚げるシーンに重なり、思い出しました。
倫理的にはそうすべきではないけど、生きていくために仕方ないところとか。

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