妄想駆動開発
こんにちは。今日は私が
妄 想 駆 動 開 発
と呼んでいる開発手法についてご紹介します。
妄想駆動開発とは
妄想……それは、もっとも楽しく…………もっとも夢と希望に満ちあふれた存在です。
みなさん、こういう経験はありませんか? 開発を始める前がいちばん楽しい…………こんな要素があったらいいな、できたらいいな……と…………………………あれこれ思いめぐらす時期は楽しかった…………………………と。
しかし、開発を始めてからは…………押し寄せてくる現実は……………………地獄…………というのは言い過ぎですが、まるで修行僧のように、禁欲と苦行の日々だ……………………と。
そう。妄想は楽しい。楽しいのです。
妄想しているときが、もっともモチベーションが高い時期です。実際に手を動かしてから…………これは、さながら修行です。
実際、AAAタイトルの大長編ゲームなんてプレイしようものなら、余裕でスケジュールが後ろ倒しになって完成しません。ですから、リアルに禁欲生活になります。もはや修行僧です。
次回作の妄想をしつつ今作の開発をする
さて。妄想が楽しい。開発はつらい。それがわかったところで、本題の妄想駆動開発の話に移りましょう。
ずばり、次回作の妄想です。今作の長くつらい開発期間を、次回作の妄想で乗り切るのです。これは、開発するうえでかなり高純度の燃料です。
今作では時間的にも技術的にも、絶対に実装出来ないことがわかっている要素。本当はやりたいけど、どうしてもできないこと。そういうものは、きっとあると思います。
そういうものを、単に諦める、妥協するというのは、開発のモチベーションを大きく削ぐ原因になります。
そうは言っても、諦めたり妥協しないと完成しなかったりします。逆にしすぎて、なし崩し的に様々な要素を落としすぎてしまいクオリティが著しく低くなってしまったりすることもあります。このさじ加減は非常に難しいのです。
ですから、これは次回作、これは今作と切り分けて、次回作のネタを温めると同時に「今作ではできないけど次回作なら……!」というふうにモチベーションの燃料とするのです。
次回作に秘められた夢と希望は、無限大です。次回作には何人にも触れられぬ輝かしい未来があります。
ある意味、
ゲームを完成させると次回作が開発できる
というご褒美のようなものです。
ゲームを完成させたご褒美がゲームの開発が始められるとは…………マゾゲーもいいところですが。ゲーム開発は最大のマゾゲーなので、さもありなんという感じですよね!!
注意点:次回作には絶対に着手しないこと
ただ、この妄想駆動開発……………………唯一にして最大の弱点があります。それは…………
すぐに着手してしまうと今作が完成しない
ということです。
通常、妄想や考えることだけしていて着手しない、手を動かさないというのは、あまりよいことではありません。ただ、すでに手を動かしているとき…………新たに思いついたことにすぐに着手してしまうと、すでにやっていることがおざなりになってしまうという、大きな弱点があります。
人間、手を動かす速度は基本的にそこまで速くはなれません。効率化はできるかもしれませんが、物理的に限界があります。
一方で、思考の速度というのはどんどん速くなります。知識が増えればキャッシュヒット率が高くなるわけですから。着想というのはほとんど毎日発生します。
始める前がもっとも楽しい法則により、着手ということには抗いがたい魅惑があります。
継続していることがつらければつらいほど、新たなものに着手したい誘惑は強い。それに抗うこと…………これも、ある意味では禁欲なわけですが、妄想駆動開発においては殊更重要です。
すでに次回作の妄想をしている
次回作でなにをやりたいとか……そういうのは、アウトプットしても詮無い話ではあるので、あまりしません。ただ、すでにし始めている自分がいます。
というよりも、本当は今作でやりたい。でも、やり始めたら完成しないな…………なので、次回作にまわそう。そういうのがたまってくると、もはや「次回作の企画」になってきます。
この「次回作にまわそう」という考え方。個人的に、ゲーム開発に限らず作品制作においてトップクラスに重要な考え方だと思っています。
そのアイデアにすぐに着手してしまうと、やっぱり全部の作品が中途半端になってしまいます。まずは今作に真剣に取り組む。それがやっぱり肝心です。