K-Shin07 2023/12/17 16:26

プロシージャル生成による効果音作成ツール『GameSynth』検証

はじめに

前から気になっていたプロシージャルサウンド合成による
効果音作成が可能な『GameSynth』を試しに使ってみました。

開発中のゲーム用効果音を作ってみて、
どんな感じだったのかを軽くまとめてみます。

そもそもプロシージャル生成とは

データを作る際に手作業で順々に作っていくのではなく、
処理を連続的に組み合わせてデータを生成していくものになります。

例えば次のような工程でデータを作成しているとします。

  • 処理A → 処理B → 処理C → データ完成

この場合、常に上記工程を辿ってデータが自動的に生成されます。

手作業でデータを作成している場合は『A』で行った作業工程だけを調整して
新しくデータを確認したい場合は、
『A』の調整後に『B』→『C』ともう一度加工する必要があると思います。

プロシージャル生成では全ての工程が『処理』になっているため
『A』を調整したら自動的に『B』→『C』も処理されて常に最新のデータが生成されます。

これにより、調整や工程の抜き差しが簡単に行えます。

自分は3Dモデルの作成で『Houdini』を主に使っているのですが
それもプロシージャル生成によるツールなため、
初めて使ったときは各途中工程の3Dモデル状態がいつでも確認、調整できて感動しました。

以下の動画はHoudiniによるプロシージャル生成で自作した歯車です。
完成したあと各工程のパラメータを調整して歯車の歯数を変えたり、
外見を変えたりしています。

効果音作成ツール『GameSynth』を使ってみた

サウンドモデルの選択

GameSynthでは基本的に下記モード(サウンドモデル)のどれかを選択して
効果音を作成するようです。

  • Whooshモデル(風切り音)
    • 剣を振るなどの風に関する音を作りやすい
  • Impactモデル(打撃や摩擦音)
    • 物がぶつかる音や引きずる音などを作りやすい
  • Retroモデル(8ビットゲーム効果音)
    • レトロゲーム音やUIの操作音などを作りやすい
  • Modularモデル(プロシージャルサウンドモデルを組み立てる)
    • プロシージャル生成手法で音を作り上げていくモデル
    • これを使えば基本的に何でも作れる
    • 他のモデルで作った音をベースに加工していくことも可能
    • ベースとなる音源(炎、風など)はたくさんあるので音を用意しなくてそれを加工していくだけでOK
    • 今回の記事で主に使用するモデル
  • Particlesモデル(断続的に発生する音)
    • キラキラ音や瓦礫が崩れる音など特定の音が何度も発生するような音が作りやすい
    • 作成した効果音を音源として利用する
  • VoiceFXモデル(ボイス加工系)
    • 持っているボイスに対して各種エフェクトをかける機能
  • Footstepsモデル(足音)
    • いろんなパターンの足音を簡単に作成できるモデル
  • Weatherモデル(天候に関する音)
    • 雨や暴風、雷、雹などの天候に関する環境音を簡単に作成できるモデル

基本的にModularモデルを今回使用しますが
他のモデルは簡単に扱いやすいものが多いので
下記で軽くいくつか紹介してみます。

Whooshモデル(風切り音)

以下の動画ような感じで風に関する音を作れます。
マウスで線を描いて軌跡に沿って音をならせます。
描いた線をランダムにほかの形状に変えることもできます。
※ペンタブを使用すると筆圧なども考慮されるようです

Impactモデル(打撃や摩擦音)

以下のように打撃や摩擦に関する音を作れます。

Retroモデル(8ビットゲーム効果音)

以下のようにレトロ風の効果音が作れます。

Modularモデル(プロシージャル生成)

以下のように各種ノードを組み合わせて音を作っていきます。
慣れるまでは時間がかかりますが、
扱えるノードが増えれば増えるほど自由に音を作っていけるようになります。

Particlesモデル(断続的に発生する音)

以下のように任意の効果音をベースとして
音をパーティクル的に発生させて作ります。
※ベースの効果音を複数にすることもできます

VoiceFXモデル(ボイス加工系)

以下のように任意のボイスに対してエフェクトを付与できます。

Footstepsモデル(足音)

以下のように足音をシミュレートすることができます。


Weatherモデル(天候に関する音)

以下のように雨や雷などの環境音をシミュレートすることができます。
※雨の強さや雨が当たる地面の材質を変更するなど各種パラメータを変更可能です。


実際にゲームの効果音を作ってみた

今回は主にModularモデルを使用してプロシージャルに効果音を作成してみます。

最近作ってたエフェクトの効果音を試しに作ってみました。
まずは完成品の動画です。


前半のエフェクトと後半のエフェクトで別々の効果音を作っています。
最初の効果音はこのようなノード構成になりました。

上記ノードを見るとなんだか複雑そうに感じると思いますが
実際に作業しているときは1つ目のノードから順々に作っていくので
思ってたよりは複雑に感じないです。
※上記では用意していないですがコメント文も配置できます

上記画像はいきなり他人のプログラムの完成したソースコードを
見せられているようなものなので
自分で組めばどこで何をしているかは把握できますね。


音を再生する際に動画も同時再生する機能があるのですが
こちらを利用すると実際のエフェクトを見ながら確認ができるので
音の調整がとてもしやすかったです。


ノードの種類がかなり多いので自分もまだほとんど理解できていません。
それでも10種類ぐらい使えるだけで
充分いろいろ作れるので意外となんとかなりそうです。

ツール内の『help > Manuals > モジュール周期表』を見ればどれがどのような機能を持っているか確認できる(動画もある)のでまずはここを見ていくのがよさそうですね。

プリセットもたくさんあるのでまずはそれを確認してみるのもおすすめです。


また、各ノードのパラメータを時間経過で変化させることが可能な
『Automation Curve』という機能があります。
このあたりの機能はなるべく早めに扱えるようになるとよさそうです。
(途中からピッチを急激に上げて音が高くなるような表現や音量のフェードコントロールなどが自由にできるようになります)



ちなみに後半のエフェクトの効果音はこのようなノード構成になりました。


まとめ

Modularモデル以外のサウンドモデルは割と雑に使っても
それなりに簡単に効果音が作れると思います。

Modularモデルは自在に音が作れますが
慣れるまでは時間がかかりそうですね。

ちなみに上記で作ったエフェクト効果音の作業時間は
だいたい1時間ちょいぐらいです。
機能を理解しつつ作っていたので、
理解が進めばもっと早く、もっとイメージ通りに作れるようになりそうですね。

一度作ったノードは使いまわすことも可能なので
作れば作るほど音の表現を自在に作れるようになりそうです。

今作っているゲームの効果音は
GameSynthを使って作ってみようと思います。

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他の作ってみた効果音やそのノード構成をいくつか公開しておきます。
(大したものではないです)

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