七画 形 2024/03/08 23:59

ゲーム理論メモまとめ書き(虚灯のセレスティア)



DLsiteにて「虚灯のセレスティア」を販売中です。

ジャンル    :3Dマップ探索RPG
価格      :1,210円
プレイ想定時間 :5~8時間程度

この記事の概要

この記事はRPG Developer Bakinによって制作されたゲーム「虚灯のセレスティア」に秘められたゲーム理論についての解説です。

主に

・マップまわりの理論
・戦闘まわりの理論
・データベースまわりの理論

の3つの題材に分けて解説します。
今後のゲーム制作の参考にどうぞ。

マップまわりの理論

歩数制限について
この作品の大きな特徴は探索エリアでの移動において、「灯火」たる歩数残量の消費にあります。プレイヤーは残された歩数のリソースを考えながら目的地までのルートを構築する必要があり、「灯火」を補充できるキャンプや雑魚敵戦を経由しなければなりません。
また、アイテム使用によるショートカットも可能であり、アイテムをどこで調達し使うかも重要な戦略になります。

マップの見せ方について
マップの移動において、

①「手前から奥へ進むマップ」
②「奥から手前へ進むマップ」
が存在します。

①の手前から奥へのマップは先の景色を見ることができるのでルート構築を考えながら歩を進めることができますが、②の奥から手前へ進むマップは先の景色が見えないので暗中模索の繰り返しの中で慎重に進まなければなりません。

そうした制限と変化の中でプレイヤーの探求心を簡単に満たせない仕様になっており、それが狭いマップにおける広く感じさせる要素になっています。

戦闘システムまわりの理論

歩数残量による「飢え」
この作品の大きなテーマのひとつとして「飢え」があります。
私は自作品及び他者作品のプレイ及び実況を観察していて強く問題と感じていた課題のひとつが「敵とエンカウントした時にまず逃げるのが(時間やリソースのコストを鑑みて)最善」と判断されがちなことです。だったら最初からモンスターの配置しなければいいのでは……?とすら感じることもあります。

原因のひとつとしてはドラクエ1やウィザードリィのような古典的RPGにおいて、探索と戦闘は関係性が深い「リソース管理」の一部であり、プレイヤーに残りのHPや魔法の使用回数、アイテムなどの残数と相談しながら進むか戻るかの選択を迫るものでありました。しかし、そうした絶妙なゲームバランスを維持するのは難しく、そうした伝統を感じない作品が多いように感じています。

そんな発想から今作においては「リソース管理」を意識した作品を作るきっかけになったのですが、まず自分の趣味嗜好や都合における前提条件として

①自分のタイミングで戦えるシンボルエンカウントにしたい。
②戦闘後体力とかアイテムで回復するの面倒くさい
③アイテムの整理機能の導入が面倒なのでアイテムの種類は少なくしたい

というのがあり、「HPなどの戦闘まわりのリソースは戦闘内のみで完結」しつつ、「プレイヤーから能動的に敵に突っ込んでいくように仕向ける必要」がありました。
なので「歩数残量」という無くなるとペナルティが発生する戦闘外リソースを設定し、敵を倒した時の報酬を「歩数」として与えることでインフレやすいアイテムや金銭以外の「飢え」と「満たし」を表現しました。

「シールド値」と「特攻」の戦略性の刺激と駆け引き
戦闘においてはフロムゲーの「SEKIRO」や「ダークソウル」をかなり意識しており、互いの一撃が重く、敵の行動アイコンからの「読み」の戦略と駆け引きを重視しています。
敵のシールド(鎧)たる「精神値」を削り切ることで敵の防御力を無効化し、通常では効かない強力な「特攻スキル」の一撃を一時的に通すことができるようになります。
「精神値」はすぐ回復されてしまうのと、攻撃行動中は「防御」コマンドを捨てる必要があることから、敵のシールドを剝がしても敵の一撃が怖くて攻めに転じることが出来なかったり思わぬ反撃を受けたりと「どこのターンでシールドを剝がすか」の駆け引きや「一人目のキャラでシールドを剝がし、二人目のキャラで特攻を繰り出す」などの連携がかなり重要な戦略になってきます。この駆け引きと大きなダメージが入った時の快感はゲームにおける「楽しい」と「やりがい」を引き出す要素であると考えていると同時に、ボスの戦闘でおきがちな「互いに固すぎて長時間ペチペチ殴り合う問題」を解決する要素として導入しました。その為、全体的に戦闘にかかる時間やターンは他のRPG作品より少なめになっています。

ストーリー進度で変わる環境
私は購入したゲームを遊んでいて、序盤をすぎたあたりのステータスや物資が充実してきたところで飽きてしまうことがかなり多いです。その原因は「戦闘の流れや仕組みが分かってしまって勝つためのコマンドパターンを覚えてしまった」というのがあるのだと考えました。
戦闘でワンパターンになったり、物量で解決出来てしまうポチポチ作業ゲー化してしまうと飽きてしまうのです(※でも雑魚敵のワンターン殲滅キルは楽しいと思います!)

なので、ストーリーの進度によって同行するキャラを変えたり、敵の行動指向を変化させることでプレイヤーは戦闘環境の変化に適応しながら戦略を練り直す需要を生み出すことにしました。また武器種による「先制スキル」によって戦闘開始の状況も変えられるのもこの意図で設定したものになります。


データベースベースまわりの理論

敵の階層と役割
難易度設定において、敵の階層化とその役割はかなりはっきりさせています。プチプチ感覚でプレイヤーに快感を与える雑魚層、少し嚙み応えを感じる初級層、効率よく倒す為には手順や工夫が必要な中級層、戦闘力やプレイヤースキルが必要な総合演習の上級層、イベントややりこみ要素用のBOSSといった感じです。


アイテムの制限と循環
ゲームにおける中だるみを防ぐ要素として、まず物量で殴れないようにする為に回復アイテムなどの戦闘まわりのアイテムはかなり制限しています。これはフロムゲーを強く意識したものになりますが、貴重な即回復リソースを何処に割くのかというリソース管理の駆け引きが戦闘を奥深くすると考えたからです。

また、アイテムは宝箱を空ける「鍵開け針」や焼却アイテム素材を掘り出せる「壊れかけのピッケル」などアイテムガチャ挑戦権的なものが多いです。実際物資的には量も種類も少なめですが、変換系アイテムを多めにすることでアイテムドロップの充実感を水増ししているというセコい設計です。


まとめ

今作「虚灯のセレスティア」は自分なりのゲーム理論を試した意欲作となります。
無料でできる体験版もありますので是非お手にとってみてください。
レビューがまだついてないのでレビュー募集中です……!



DLsiteにて「虚灯のセレスティア」を販売中です。

ジャンル    :3Dマップ探索RPG
価格      :1,210円
プレイ想定時間 :5~8時間程度

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