短編集vol.1 ライナーノーツ
らんぴです!
九州コミティア8に来ていただいた方々、ありがとうございました!
レポ的なのを別館ブログにあげています↓
九州コミティア8 振り返り会|テイビのノベルゲーム制作日記(別館)
さて、こちらでは、今回のイベントで初めて出した短編集について、毎作恒例のライナーノーツ(解説)です!ネタバレなし!
tales&Vivid短編集vol.1「指先で辿った星空は」
リアルイベントにおいてゲームはハードルが高いのでは、ということで初の本!
思いついてから入稿締め切りまで1カ月程度だったため、既存のノベルゲームを小説化する形で制作しました。
少し手を加えればいいかなーと軽い気持ちで作り始めましたが、ゲームと違って音楽やビジュアルがない分、伝わらないところや雰囲気がバグるところが多々あったため、だいぶ書き換えました……。
「指先で辿った星空は」という題名をつけましたが、特に意味はないです。タイトルだけ見て、何の話が入っているかわかるようにしたいなーと思ってつけました。
今回一番のネックだったのは、元々無料で公開していた話を有料で頒布するという点です。
無料で配ってしまうのも一瞬考えたんですが、当然印刷代がかかるのでそういうわけにもいかず……(もちろんゲームを作るのにもお金はかかっている)
作品自体には、お金をいただけるだけの価値があると思って常に作っていますが、イベントで短編集を購入した方が「なんだ、ゲームなら無料で楽しめるじゃん」なんて損した気分にならないようにしなければいけません。
そこで、うちの看板作品「サクラの白書-biblio-」(通称サクビブ)のスピンオフとして、ゲーム化する予定のないオリジナルの短編を書き下ろしました。その他の既存作品でも、小説に合わせた表現の変更以外にも、オリジナルのシーンを追加したりして、結果100Pというまあまあのページ数になりました。あれえ……?もっとペラいのを想定してたけど、背表紙作れる厚さになっちゃったよ……?
ゲームのことを踏まえてもなんとかお金を出せるだけの本になったかなあと思います。
それでも500円は高いな、という気持ちはありますが、コストダウンのため表紙を白黒にしたり、これでも同じページ数の相場よりは安めですので、ご容赦ください……!
赤字覚悟。
初めての同人誌だったので、届くまでドキドキでしたよっと。文章メインだとクリスタ等の同人誌テンプレートが使えないので……。Wordと格闘した。
①指先で世界を見る
2020年公開の、誹謗中傷をテーマにしたお話。ノベルゲームのフェスで佳作賞をいただいてるお話で、作者的にはシナリオに自信のある作品です。
元々このゲームは立ち絵もなく、完全に読み物としてのサウンドノベルとして書いていたので、ゲームとほぼ同じ文章で作っています。
ただ小説版限定で、最後のシーンで数行、ゲームではボツになった2人の会話を残しています。ゲームでは実際に声で流したかったんだけど、しゃべってくれる人がいなかった。
逆にエンディング後のスマホ画面のほか、ライナーノーツで説明したエンディング曲・背景等のギミックはゲーム限定になっています。
②閑話休題
↑画像はゲームのスチル
書き下ろし。サクビブのスピンオフで、4Pという超短編です。
もうすぐ誕生日を迎える倉木が、親友・愛穂ちゃんのサプライズ計画をうっかり知っちゃったお話。
タイトルにはこれまた特に意味はない。閑話休題ってよく誤用で使われるらしいですが、どっちの意味でもいいじゃん?って感じでタイトルにしています。深く考えないで?
かねてから作者自身がずっと思っていた、性格が正反対の倉木と愛穂がなぜ親友たりうるのか、を4Pに渡って倉木、ケン、レーラが議論しています。ちなみに愛穂ちゃん本人は一瞬しか出てこないです。
本来サクビブの書き下ろし「追憶の花」を、この短編集の最後に収録するにあたって、サクビブがシリーズものであることから「このシナリオだと、初めてサクビブに触れる読者にはキャラクターのことが理解できないまま入っちゃうなー」と思い、登場人物のキャラや関係性を紹介する目的でささっと書きました。何せ入稿まで時間がなかったからね!
「追憶の花」のために書いたのに、まさか「追憶の花」の方がボツになるとは。
③ニコラン ショートノベルバージョン
2017年公開、天文好きにおすすめの哲学天文ファンタジー。
ゲームからいろいろ変えすぎて、「ショートノベルバージョン」になりました。
ニコランは「指先」と正反対で、ビジュアルや音楽、演出ありきでシナリオを書いていたので、そのまま小説にすると誰がしゃべってんのかわからなかったり、雰囲気で誤魔化していた表現していた空気感が全く伝わらなかったりと、もう作品として成り立たなかった!
そういった理由で、ゲーム版に登場していたあざらしのティアには姿を消してもらいました。
文章だけだと、どうしてもファンタジックな感じが出てこなくて、あざらしが出てくると浮いちゃうかなって……ごめんね……。
そして小説版オリジナルのシーンとして、新たにプロローグを数ページ追加しています!
現実世界で修学旅行中の男子学生2人(2人のうち1人は、サクビブの祐也)がくっちゃべるという、一見本編に関係なさそうなシーン。
実はニコランを演劇台本にしたいなー、という思いがずーっとありまして、そのために構想していたシーンを入れてみました。本編に関係なさそうですが、ちゃんと意味のあるシーンなので、これがあるだけでも価値がある短編集(作者談)。
で、その関係といいますか、元々のゲーム版のプロローグが、ニコランから完全に切り離されて、なんとこの本の一番最初、「指先」の前に移動してます。
元々のプロローグは夢で見た内容という設定なので、本編から切り離して別の作品を間に挟むことで、「あんな夢見た気がするな」という主人公アランの朧げな感覚を感じてもらえるかな、と思いました。小説版ではもはやどの作品にも属さないシーンになっちゃってます。いやあ、好き勝手やってんな!
そのほかにも双子座の少年周りで雰囲気や会話が変わっていたりと、ゲームとは3割くらい違う感じになっています。
ゲーム公開から6年ほど経ち、将来的に完全版を制作する予定のニコランなので、この6年の間で「こう変えたいな」と考えていたことを若干反映させてみました。
ゲームをプレイした方にも、十分楽しんでいただけるかと!
(④)サクビブのスピンオフ「追憶の花」※ボツ
↑画像はゲームのスチル
最初Ci-enで予告していたシナリオ。
みなきと転校生のレーラがひょんなことからレーラの故郷(?)に行って、レーラの過去に触れるお話でした。
入稿まで期間がない中で、元々書き溜めていたシナリオで一番完成度が高いものを、と選んだお話だったのですが……
レーラのだいぶ深層に触れること、みなきとレーラの関係がまあまあ深まっていること、レーラが本編とは違う一面を見せることを考えると、
「これサクビブ知らない人に初っ端ぶつけるのはまずいんじゃ?」
「『閑話休題』入れたところで補完できないのでは?」
「っていうか初見さんには熱量高すぎでは?」
というわけでボツ!話自体はそのうち表に出します。
さて、この時点で、入稿締め切りまで1週間。代わりのシナリオ、どうする……。
④サクビブのスピンオフ「僕らの手のなか」
↑画像はゲームのスチル
というわけで2日で書き上げたのがこちら!
時間がないまま悩みまくった結果、ボツシナリオのために書いた「閑話休題」を膨らませて書くと言う逆転現象。
「閑話休題」が誕生日前の話だったので、その後実際に誕生日パーティーが開かれてのお話になります。
この本の中で、他の作品がまあ暗かったりハッピーエンドじゃなかったりだったので、こっちは明るくしたいなーとパーティーシーンを書きつつ、後半はサクビブらしく真面目で重い内容になりました。
具体的には、誕生日をきっかけにみなきと倉木の主人公ツインズの関係性を掘り下げているので、ある意味2人の紹介的な内容になっているかと思います。
といってもこれまで公開した本編よりも結構掘り下げているので、サクビブを知っている方でも胃にどっかりくる内容です。重いよ、こいつら。
ただ初見を想定したシナリオでありながら、メインキャラ9人が勢揃いなので、「キャラ覚えられないよ!」という素人にありがちな構成になっているのが欠点……。まあうち4人は『閑話休題』で先に出てるし、祐也も『ニコラン』で出てるし!
ぶっちゃけ作者的には覚えないまま読み進めてくれて全然オッケーなので、読んでる方も「覚えるつもりないし!」のスタンスで読んでいただけたら……最低限みなきと倉木さえ把握してくれれば大丈夫!!
個人的には一番最後のシーンが好きで、あそこでメインキャラを全員出したかったというのが大きいです。青春は全員でしたかった。
ニコランも収録している短編集ということで、ニコランオマージュなセリフもあったりします。
まとめ
というわけで、以上短編集vol.1「指先で辿った星空は」のライナーノーツでした!
やっと本を出せたので、これで文学フリマも出れる!(別にゲームでも出れるけど、気が引けてた)
ちなみに今後もvol.2、3とゲームの関連作を出して行くつもりです。
再録もありますが、それも含めて自信を持って作りましたので、楽しんでいただけたら幸いです〜
イベントも終わったので、ゲーム『コーヒーって、甘いですか?』を完成させます!!