雨音/AR 2024/03/20 19:53

セリについて

※過去のブログ記事です。

語るまでもないなと思ったからやめた!と言っていたんですがセリの半生を語りたくなった

セリは医学の天才である以外は普通の、本当に普通の人生送ってきた人なんですよ。
重い過去とかなーんにもない。無表情なのは省エネだから。物事にあまり動じないのは肝が座っているから。
そんな普通の天才(?)の話をさせてくださいします。

セリは明るくおおらかな母と、無口無表情(遺伝かな……)だけど優しい医者の父の元に生まれました。
たくさんたくさん愛されて、7歳になる頃には弟も生まれて幸せに過ごしていました。
そんな中で、最初に違和感を持ったのは幼稚園の頃。
お友達はみんな「好きな男の子」の話をするのに、自分には好きな男の子ができません。
一番仲良しな女の子のことが大好きで、その子が好きな男の子の話をしたり、男の子と遊んでいるのを見る度に嫌な気持ちになりました。
この時点では、自分が女の子にしか恋できないと言うことはわかっていませんでした。

小学校に上がり、違和感を抱えながら高学年になると、なんとなく自分の性質に気付きます。
自分は女の子が好きなんだと。周りの子はみんな異性を好きになるけど、自分は違うのだと。
そしてそれを明かしてしまうと、きっと仲間外れにされると。
セリは父親譲りで非常に頭が良く、そんなことはないのに頭が良いから調子に乗ってるなんて陰口を叩かれることもありました。
それについては一部の女子だけだったので気にせず放置していましたが、女の子が好きだと言うことは言えませんでした。
これを言ってしまったらきっと、同級生全員に異質なものと見なされる。そんな空気を感じ取っていたからです。
学校と言う狭い世界の中で生きていくために、秘密にすると言う選択をしました。家族にも言うことができずにいました。

中学に上がると、本当に好きだと思える女の子に出会いました。
一緒にいると嬉しくて、その子のことを考えると胸がドキドキして眠れない、そんな普通の、甘酸っぱい恋心を、卒業までずっと隠し持っていました。
その子とは高校から別々になります。卒業式の日に勇気を出して告白すると、「ありがとう、でもセリは友達だから」と言われ、振られました。
セリは失恋に傷付きながらも、本当のことを言っても友達でいてくれると言うことに嬉しさも感じていました。
ですが、それから数日後、その子に連絡を取ろうとしても、取れませんでした。
メールアドレスを変え、着信拒否をされていたのです。
好きな女の子に存在を拒否されたような気持ちになったセリは、高校からは自分を変えようと思いました。
みんなと同じように、男の子を好きになろう。大多数の人間と同じになろうと。

セリは外見もよく、話してみると気さくだったので、男の子にとても好かれました。
男の子と付き合ってみたら自分も好きになれるかもしれないと思い、告白は全て受けました。
もう高校生です。デートを繰り返し、キスをし、性交も受け入れました。
ですが変われないどころか、嫌悪感でいっぱいになるばかりでした。
行為のあとは皮膚が赤くなるまで体を洗い、時には嘔吐しました。
自分を偽るストレスに耐えられず、またそれを誰にも相談できずにいて、苛立ちをピアスの穴を開けることで発散しました。
ある日、好きな女の子が男の子と付き合ったことを知り、学校の中で安全ピンでピアス穴を開けていると、保健室の先生にそれを見られてしまいます。
何か悩みがあると察した先生は「そんな風に自分の体を傷付ける前に、先生に話してみない?」と優しく言いました。
心がぐちゃぐちゃになり、誰かに助けてもらいたくて仕方なかったセリは、そこで初めて女の子しか好きになれないことを人に話しました。
これで先生にも自分の性質を否定されても、もうどうでもいいとすら思っていました。それほどまでに心がボロボロになっていました。
先生は、優しくセリの話を聞き、言いました。

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