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2021年 08月の記事 (6)

アールグレイ 2021/08/23 01:34

東方カノジョごっこ〜物部布都〜【CV.富田美憂】

アールグレイ・配信シリーズ1st Season 第3弾、物部布都(CV.富田美憂)が登場!

物部布都(もののべの ふと)
幻想郷に蘇った豊聡耳神子に仕える少女。環境に順応するために奮闘中。
ちょっぴりお茶目? で、先走ってしまうこともある。

これは、そんな物部布都が「あなた」とカノジョになってくれる物語。
一緒に出かけた先で過ごしながら、お互いに距離を詰めていく布都と「あなた」
徐々に心の距離が近付いていく細部のやりとりまでバイノーラルで収録。

『おぬしは近くで、我を支えていてくれ』

カノジョごっこと理由を付けて、家で、外で交流する「あなた」と布都。
その行く末を、是非本編で確かめてください!!

※KU100(ダミーヘッドバイノーラルステレオマイク)使用

作品ページはこちら

【EG東方】汗かき狼少女とヒミツの一夜【ASMR】告知動画
https://youtu.be/6Eoqr6Kt9Y8

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アールグレイ 2021/08/22 01:15

「紅美鈴の超DOKIDOKI告白ボイス」収録秘話を大公開!!


アールグレイ公式の支援サイトにご加入いただき、ありがとうございます。
音声作品の脚本を担当している湊川紗耶(みなとがわさや)です!

この記事では、6月に発売となった『紅美鈴の超DOKIDOKI告白ボイス』の製作の中であった出来事などを、お伝えさせていただければと思います。

今までのアールグレイから心機一転、昔の味わいと今のアールグレイを兼ね合わせたプロローグタイトル『超DOKIDOKI告白ボイス』
その製作から、収録の風景に関してを私の言葉でお伝えしようと思います。

●収録時のこと
☆ファイルーズあいさんについて
紅美鈴を演じてくださったのは、ファイルーズあいさんでした!
演技の上手さはもちろんのこと、私個人的には某ラップバトル作品のボイスドラマで怪演をされていた印象が強かったです。

なので、主演も、その周りを固めるキャラクターも安心してお願い出来る声優さんでした。
(収録前後で有名タイトルを数々演じられると知って驚きました)

そんなファイルーズあいさんにお願いするならと、当サークルが本当に、何年も何年も前から温めていたのが紅美鈴。

聴く人によっては信じてもらえないかもしれませんが、当て書き(ファイルーズあいさんを意識した脚本にすること)は一切ありません。

紅美鈴を突き詰めて突き詰めて、その結果、お願いさせていただくことになりました。
ですが、本当に受けていただけるとは思わなかったので、とても嬉しかったです……。お忙しい中、ありがとうございました!

そして実際に、紅美鈴をどんな風に当てられるのかと、ドキドキしながら聴いておりました。
そこにいたのは『紅美鈴』その人。
お茶目さも、カラッとした美鈴らしさも、余すことなく出していただけて、ただただ感動しました……すごい……。

☆ファイルーズあいさんのお人柄
収録前後で、我々の元にいらっしゃったことが印象強く残っています。
「何か、脚本について聞かれるのかしら……」
粗相でもあったものかと、ちょっぴり不安になりながら待っていると、


『他にはどんな子が出るんですかっ?』
「!?」


私は存じ上げなかったのですが、とても『東方project』を愛してらっしゃるそうで。コメントでも、スペルカード発動シーンが楽しかったと仰っています。(未見の方はアールグレイTwitterをチェック!)


大好きな東方キャラクターについてのお話をはじめ、アールグレイの新作にすごく興味を持ってくださいました。
正直、私個人としてはその時点で『紅美鈴のドキドキご奉仕ディスク』とか作れないかしら……と、内心もっと一緒に作品を作ってみたい気持ちになりながら。
この辺りは、皆さんのお声次第なところもあるので、要望や感想など、是非レビューでお教えいただければと思います。

☆演じられていた時の印象
紅美鈴は、なかなか原作での露出が少ないキャラクターかと思います。他のキャラクターにも言えることとは思いますが、現体制のアールグレイは「一度きりの恋愛を全力で表現する」ことに全力をかかげています。

その点、ファイルーズあいさんの紅美鈴は、段階がしっかりとした愛らしさを表現していただきました。お茶目な箇所、恋の始まりを匂わせる箇所、何より、告白の箇所。


中でもお気に入りのセリフは、こちらです。
「「え? 咲夜さん、午前中は、お休みでもいいって言ってました?」
「それなら、いいか」


最後のトラックで、咲夜さんに色々見られてしまった美鈴です。
(※まだお聞きでない方はぜひ聴いていただきたいです!)

女の子としての愛らしさと本人らしさが絶妙に混ざり合った「それなら、いいか」は必聴です。告白をし、心から結ばれた前提で聴くと、味わい深いものになっています。

☆収録を終えて
収録後も『東方project』への熱い愛をかたむけてくださったファイルーズあいさん。
昔からアールグレイを応援してくださる方にも、新規の方にも喜んでいただける作品をご提供出来たと、収録時に確信しました。

今後もアールグレイは、東方projectをはじめ、オリジナルの音声作品を展開していく予定です。そのためにも、皆さんの拡散力をお借り出来ればと思います。
TwitterやDL Siteなどでの感想、レビューなど励みになります!

引き続き、アールグレイの作品をよろしくお願いいたします……!!


ファイルーズあいさんの演じる紅美鈴は、必聴です!
未試聴の方は、ぜひ配信サイトにてご購入ください!

紅美鈴の超DOKIDOKI告白ボイス【CV.ファイルーズあい】

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アールグレイ 2021/08/20 23:18

「サキュバス三姉妹 長女.夜見愛海(よるみまなみ)の場合」前日譚&差分イラスト②を大公開!!


アールグレイ公式の支援サイトをご覧いただき、ありがとうございます。
音声作品の脚本を担当している湊川紗耶(みなとがわさや)です!
『超純情! サキュバス三姉妹!!』長女の夜見愛海(よるみまなみ)のお話と収録風景をお伝えさせていただいた第5回に続き、今回は本編の前日譚のお話をご紹介したいと思います。

夜見愛海は長女のしっかり者。
まずは彼女が人間の時、どのように過ごしていたのかをご覧ください!

【夜見愛海(よるみまなみ)の前日譚】


「みんなお疲れさま。それじゃあ、またね」


大学の研究室で、夜見愛海は他の研究生たちを見送った。
若い男女が、それぞれ懇親会も兼ねて飲み会に行くと聞いてしまっては、生真面目な彼女が参加することはない。

何度も誘われ、惜しまれる声をなんとか振り切るように、笑顔で謝りながら。
仲間たちの姿が見えなくなると、小さなノートパソコンを取り出した。


「来週の研究発表のために、レポートをまとめておかないとよね」


口に出して、確認するのがクセになっていた。両親が出張で出ているため、妹2人の親代わりは愛海のようなもの。
この後の買い物や家事は次女の撫子に任せているものの、忘れ物がないように、すべきことを口にしている。


「たしか、資料はまとめておいてあったような……パソコンだったかしら」


覚えたてのたどたどしい手つきで、キーボードを打ち込んでいく。
大学に入って買うことになった、ノートパソコン。

今までスマホくらいあれば十分だと思っていた彼女にとって、タイピングは未だに慣れない。
背筋はまっすぐ伸びているのに、その手つきはあまりにもおぼつかないものだった。


「ええっと、資料資料、っと……あっ」


何度目かのマウススクロールで、電子書籍のアプリが目に入った。
愛海はすっかり忘れていたが、今日は彼女のいつも読んでいるレディースコミックの発売日。

それも半年ぶりの新刊だった。
資料を探す手は止まり、すっかり電子書籍のアイコンに目がいってしまう。


「い、いけないわ。事前発表だってあるのだから……」


しかし、彼女は半年前の衝撃を覚えていた。
読んでいた漫画の中では、ヒロインとイケメンが裸になっていたことを。

そして、キスをしながらベッドに倒れこみ、そこで終わっていたということを。
彼女はその衝撃的な引っ張り方に、半年間も悶々としてしまっていたのだった。


「大人の恋って、なんであんなに魅力的なのかしら……」


こくっ、と。透き通るような白い喉を鳴らす。
研究室には、愛海1人。
教授も早引きし、来客の予定もなし。
静寂だけが彼女を包み込んでいる。

この場所には、彼女1人しかいなかった。
意を決し、愛海は席を立ち上がる。そして、ゆっくりと研究室にカギをかけた。


「……これはあくまで息抜きですから?」


カチカチッ……カチカチッ……。
誰に対する言い訳なのか、顔はすましながらも、アプリアイコンを何度もクリックする。


「気になってしまったら、確かめる必要があるわけですから。ええ、必要ですとも」


カチカチッ……カチカチッ……。
本を読んでいる少年のアイコンが、読み込みで真っ白になっても、言い訳をしながらクリックを続けてしまう。
そして、しばらくクリックし続けていると。


「わっ」


画面いっぱいに、男女の愛しあう姿が表示される。
電子書籍のビュアーが開き、漫画の続きが大きく表示された。半年ぶりに待った、彼女の見たい景色がそこにある。
愛海はついつい、口元を手で覆い隠しながら画面を覗き込んだ。


「だ、男性の体って、こんなに筋肉ムキムキなのね……」


愛海はパソコン知識と同様に、男性経験が皆無だった。
姉妹で唯一女子校で育ち、男性とのお付き合いなんてもちろんない。

その結果、必要な知識をほとんど勉強や娯楽のものから仕入れているせいで、長女ながらダントツの頭でっかちになってしまった。
しかし、本人はそれにまったく気付いていない。


「は、はわー……こんなことになるなんて……」


結局、レポートなどひとつも進めずに、食い入るように漫画を読み進める。
さっきまでまっすぐだった背筋が、右に左に曲がり出す。
無意識に悶絶し、体をひねるように動かしていた愛海は、そこでようやく我に返った。


「だ、誰にも見られてないわよね?」
 

男性経験がないことを悟られることは、愛海にとって何より恥ずかしいことだった。
姉妹には、姉としてお手本とならなければならない。

その重圧と恥ずかしさで、隠しておきたい事実だ。
カギを開け、周りを確認してからホッと胸をなで下ろす。


「よかったぁ……見られたら、どうしようかと思ったわ」


いつか、作品の中に出てくるような恋をしてみたい。
そう思いながらも、やがておとずれる夜見家の宿命のことを考え、息をつく。
彼女はまだ、愛する2人の妹に、何も説明出来ないままでいた。


「男の子、か……」


夜見家の宿命を受け入れ、そばにいてくれる男の子。
そんな都合のいい相手こそまさに、物語の中にしかいないだろう。

そう考えながらも、愛海は考えずにいられなかった。
誰にも言えないこの悩みを打ち明けるに足る人物が、もし世の中にいるのなら。


「初めて、誰かのことを好きになっちゃうかも……」


口にして、その事実に気付いた瞬間に彼女は照れるように笑みをこぼした。
愛海がその男の子に恋する決定的な瞬間は、宿命を背負ってからおとずれることとなる。


如何でしたでしょうか?
こちらをお読みいただいて本編を聞いてもらえれば、更に楽しんでもらえるかと思います。

今後もアールグレイは、東方projectをはじめ、オリジナルの音声作品を展開していく予定です。そのためにも、皆さんの拡散力をお借り出来ればと思います。
Twitterなどでの感想、購入サイトでのレビューなど励みになります!

引き続き、アールグレイの作品をよろしくお願いいたします!!

▼作品ページはこちら!
超純情! サキュバス三姉妹!! 長女.夜見愛海(よるみまなみ)の場合【CV.冬馬由美】

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アールグレイ 2021/08/19 21:32

「サキュバス三姉妹 長女.夜見愛海(よるみまなみ)の場合」収録秘話&差分イラスト①を大公開!!


アールグレイ公式の支援サイトにご加入いただき、ありがとうございます。
音声作品の脚本を担当している湊川紗耶(みなとがわさや)です!

この記事では、5月に発売となった『超純情! サキュバス三姉妹!!』の製作の中であった出来事などを、お伝えさせていただければと思います。

夜見愛海(よるみまなみ)は長女のしっかり者。
まずは彼女が人間の時、どのように過ごしていたのかをご覧ください!


①収録時のこと
☆冬馬由美さんについて
夜見愛海を演じていただくことになったのは、冬馬由美さんでした!
代表的な役柄とされましては、クールで凜とした母のような大人の印象。長命なキャラクターもよくご担当されている、魅力的な声優さんです。

スタジオに入られてからも何度も台本の確認をされていて、作品にまっすぐ向き合っていただいていることに、嬉しくなったのを覚えています。
収録前や収録後にお話を個人的にさせていただくことはまずありません。
(声優さんから話しかけていただいた時は別ですが)
ですが、キャラクターに関する認識のすり合わせを行う必要があります。


☆冬馬由美さんのお人柄
大体お話のきっかけになるのは、キャラクターに関するお話や脚本確認などです。
冬馬さんは、脚本の1文字1文字を丁寧に読み込んでくださり、ご自身の解釈と演じ方についてしっかりとすりあわせをさせていただきました!

「冬馬由美さんに何か粗相があってはいけない!」

緊張しっぱなしの私でしたが、そんなこともなく。終始穏やかに、お淑やかな愛海ちゃんのような優しい冬馬さんに救われました……!
(実際に愛海ちゃんとお話しているようで、ドキドキしてしまいつつ)


☆演じられていた時の印象
まず驚いたのは、冬馬さんが演じられることで、作品の幅が広がったことです。
皆さんには完成したものが届いていますが、冬馬さんの声と演技力のレベルが高いため、想定していたよりも深いドラマ感が作られました。

お姉さんだけど、男性に対してはあまり積極的になれない。
そんな一面が、冬馬さんが演じてくださるおかげで、より見えてきました。

しかし、それだけでは終わりません。

トラック4『背伸びをして眠る夜(Voice)』
このトラックで、妙なことが起こりました。
脚本と、実際に演じていただいている愛海ちゃんが徐々に変化してきていたのです。
本来、脚本通りに演じていただくものだと考えていたのですが、冬馬さんの構築されていた愛海ちゃんが徐々に強くなっていき、よりイキイキとしはじめたのです。


「今だけ、今だけは……そばにいさせて」
「今夜だけは、あなたのそばで眠りたいの」


この言葉に、文面では表しきれないほどの言葉以上の想いと背伸びが聴き取れます。すごい!!(※まだお聞きでない方はぜひ聴いていただきたいです!)

私は冬馬さんの収録を通じて、卓越した技術を持つ声優さんが引き出してくださるキャラクターの魅力に、強い感動を覚えました。


②収録を終えて
アールグレイは、基本的に収録後に声優さんのすごさを改めて噛みしめる時間があったりします。(●●さんはやっぱりお上手だったなぁ、など)
しかし、冬馬さんの回は別格でした。みんな本当に「すごい……」しか口にしません。
私も東方project『ご奉仕シリーズ』を担当させていただいてから、様々な声優さんとご一緒させていただきましたが、冬馬さんの回はとても学びが多く、以降の作品製作に影響も大きかったです。

収録を終え、笑顔でご挨拶に来ていただいた冬馬さん。
なんだか愛海ちゃんが現実に出てきたような錯覚をしつつも、素晴らしい収録となりました。

冬馬さんの演じる夜見愛海は、必聴です!
未試聴の方は、ぜひ配信サイトにてご購入ください!

超純情! サキュバス三姉妹!! 長女.夜見愛海(よるみまなみ)の場合【CV.冬馬由美】

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アールグレイ 2021/08/18 19:44

「サキュバス三姉妹 次女.夜見撫子(よるみなでしこ)の場合」前日譚&差分イラスト②を大公開!!


アールグレイ公式の支援サイトをご覧いただき、ありがとうございます。
音声作品の脚本を担当している湊川紗耶(みなとがわさや)です!
『超純情! サキュバス三姉妹!!』次女の夜見撫子(よるみなでしこ)のお話と収録風景をお伝えさせていただいた第3回に続き、今回は本編の前日譚のお話をご紹介したいと思います。

夜見撫子は次女で、等身大の女の子。
まずは彼女が人間の時、どのように過ごしていたのかをご覧ください!

【夜見撫子(よるみなでしこ)の前日譚】


放課後、校舎裏に必死な声が響き渡った。


「ごめんなさい! 私、付き合えませんっ」


夜見撫子は、思いきり勢いをつけて頭を下げる。
そこにいるのは、男女が1組。夕暮れに包まれるゴミ捨て場。教室で出たゴミを捨てるために、校内から出てきたその2人を除いて、他には誰もいなかった。

撫子の声を皮切りにして、訪れる静寂。遠くから、部活動の喧噪がうっすらと聞こえてくる。

そんな中、いつまで待っても、彼女の必死な声に応えるものはなかった。
なんせ、直角で、キレイに下げられた頭を見て、男子生徒は逃げるように去ってしまったのだから。


「はぁぁ……またやっちゃった」


男性の背中を目で追いかけながら、どうしようかと思考を巡らせる。
彼とはこれから1週間、撫子と掃除当番をすることが決まっていた。しかし、これでは到底、一緒にはいられないだろう。


「これから毎日顔を合わせないといけないのに、告白されるなんて……」


一緒に頑張ろうね、なんて話をしながら、2人でゴミを捨てに行っていた。
時は、5分ほど前にさかのぼる。

偶然、同行する男子のボタンがほつれているのを見かけた撫子は、ソーイングセットを取り出す。彼女の常識として、困っている人は助けたくなってしまうわけで。


『ほら、上着脱いで。大丈夫だよ、ちょっとだけ繕うだけだから』


少し強引ながらも、彼の手を止めて制服を脱ぐよう要求した。
はにかんだ男子に、優しく笑いかけながらボタンを縫い直す。鮮やかな手際によって、縫い付け自体は数分とかからず終わっていた。


『んっ。またほつれたら縫ってあげるし、いつでも言ってね?』


彼女の爽やかな笑顔を前に、彼もまた魅了されてしまったのか。
両者ともに予定外の告白が行われてしまい、現在に至る。


「今月で何度目だったかな、告白されるの」


そんな言葉がつい口をついてしまうことすら、撫子にとってはありえないことだった。 最低だ。自分都合で相手を振ってしまうなんて。そんな風に思い詰めてしまう気持ちを、首を振って消し飛ばす。


「私、ただの地味な女の子のはずなのに……」


学食で相席した時、国語でノートを貸してあげた時、帰り道で一緒になった時。
そして、ゴミ捨ての時。今月だけで、すでに4度目だった。
撫子には理解できないタイミングで、彼女は様々な男子から告白されている。


「なんで私なんだろう……」


特に好意を伝えてもいないのに、他人から好きと言い寄られる日々。
納得も理解も出来ないままで、撫子はちょっぴり困っていた。

男子たちの中では、夜見撫子の本命になるのは誰かという勝負が行われているのだが、そのことをもちろん、本人は知らない。
何より、男子と2人きりということが、想像も出来ないまま生きてきたのだった。


「誰かと付き合うとか、そんなの考えられない」


異性と付き合うなんて絵空事のように考えていた。
撫子にとって、異性の代表は自分の父親だったし、恋愛なんて漫画やドラマのワンシーンくらいの感覚だった。

しかし、ここ数日の告白の中で、徐々に恋愛という土俵に立たされそうな空気を察している。


「男の人って、何考えてるのかよくわからないし。家族とは違うし……」


クラスのゴミ袋を2つ分(逃げていった彼の分も含め)処分すると、撫子は近くにあったベンチに腰かけた。


「でも、あの人だったら……」


ふと、男子と聞いて、ある顔が思い浮かんだ。幼なじみで、遊びも登校も一緒のあの人。
彼は撫子にとって、男性というよりも家族寄りの立場であった。

例えば、と。思考を巡らせてみる。
いつもの彼が、自分にゴミ捨て場で告白してくるとしたら。


「……………………あー」


声が漏れる。顔が徐々に熱くなってきたのか、パタパタと服を扇ぐ撫子。
姉の影響で読み始めた少女漫画を思い出し、自分を重ねてしまったようだった。


「き、キスは、早すぎだよね……?」
「って、違う違う! キスとかは違うからぁ!」


両手でぷにっと顔を挟み、目を覚まそうと頑張る撫子。
しかし、彼のカッコいい顔を思い浮かべるたびに、体中が燃え上がるように熱くなった。
恋を知らない彼女にとって、彼はまだ、憧れに留まっていた。


「でも……男の子の手とか、どう違うんだろう。触ってみたい、かも」


触らせて、なんて言えない。どうにか理由をつけて、触ってみたいかも。
そんな風に考えているだけでも、手を握るようにワシワシと動かしてしまう。


「……わー! すっごくヘンタイさんっぽいよ私っ」


彼はいつも私と一緒にいてくれて、遊んでくれて、そういうのが心地よくて。
そんな言い訳をたくさん思い浮かべながら、彼女は急いで教室へと戻っていく。
撫子が彼に恋していることに気付くのは、夜見家の宿命を背負ってからだった。


如何でしたでしょうか?
こちらをお読みいただいて本編を聞いてもらえれば、更に楽しんでもらえるかと思います。

今後もアールグレイは、東方projectをはじめ、オリジナルの音声作品を展開していく予定です。そのためにも、皆さんの拡散力をお借り出来ればと思います。
Twitterなどでの感想、購入サイトでのレビューなど励みになります!

引き続き、アールグレイの作品をよろしくお願いいたします!!

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超純情! サキュバス三姉妹!! 次女.夜見撫子(よるみなでしこ)の場合【CV.中原麻衣】

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