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さとうたくや / n-s-lab 2024/04/26 23:13

ToneXOneに思いを馳せて

https://twitter.com/n_s_lab_tokyo/status/1782968980199846294?s=46&t=y1RYlhuby7C12UpuN2UEQw

GW前に話題を掻っ攫って行った
ToneXOneという機材。

思い出すのはmooerから出ていたプリアンプシリーズですね。
あれも中身デジタルなのでサイズ感、コンセプト的にはかなり近いです。

……メインの機能に絞って考えればね!


ToneXについて深掘りしていく

そもそものToneXの話を多少はしないとなと思うんですが、
いわゆるKemperとかが有名なプロファイリングアンプなんですが、IKmultimediaという元々DTM系のソフトを作っていた会社が作っていることもあり、
ソフトウェアをベースとしたToneXというエコシステムを作り、そのハードウェア部分担当としてのToneXPedalやToneXOneというプロダクトになります。

かつてのアンプシミュは多くが
ギタリスト向けのエフェクターから端を発しており、Line6やfractalといった有名どころや、T.C.electlonicとかmooer、headrush/elevenrackも、ハードウェアありきの設計思想となっています。

もちろん、それはとても合理的で
デジタルの処理能力が高くない時代であったこともあるでしょうし、専用設計のCPUとハードウェアとしてのアナログIF含めたトータルでのサウンド設計をする方が遥かに、低コストでクオリティの高いサウンドを出すことができたんだと思います。

ちなみに、余談ですが
内部の歪みをデジタルでカスタマイズできるsundrive?とかいう尖ったプロダクトがありましたね。
高い割に音がショボく、全然売れなかった記憶です(僕は欲しかった)

そうしたハードウェアありきのトータルサウンドから、時代は少しずつ変わってきました。
FractalやLine6のHelixなんかは
ハードウェア購入者に対して、あとからアップデートで新しいエフェクトやアンプを追加していくような運用を始めました。

ハードウェアは再生機器であり、大事なのは音色を作るアルゴリズムであるという感覚ですね。

これは、プロセッサの計算力が上がったので
出来ることが広がった結果とも言えるでしょう。

そこでもう一つのブレイクスルーが
アンププロファイリング
でした。

もう音色をつくるアルゴリズムすらメーカーが設計せず、
ユーザーが自分で音色を開発できるシステムを打ち出してきたのです。

もちろん、DeepLearningという分野の発展も理由の一つですが
そんなDLを実用域にまで持っていけるだけの計算能力が持ち運べる筐体に確保できる、売れる値段で作れるといった技術の進歩も大きな要因です。
(DeepLearning自体はむかしから提唱されていた手法なので)


こうして、アンプシミュ界隈は
ハードウェアよりもソフトウェアの重要度がどんどん増していったわけですが
ここまで来ると
「ハードウェアの重要度低いならもうなんでもいいじゃん」と一種の割り切りができるくらいになってきました。

そこで、
ソフトウェアの開発会社であるIKMultimediaが、どんなオーディオインターフェースでもアンププロファイリングが出来るシステムとして「ToneX」を打ち出してきました。

前置きが長くなりましたが
言いたかったことは
本来ハードウェアありきの設計をするエフェクター界隈において、ToneXはちょっと異質な存在なんだよってことです。

ToneXはハードウェアを選ばない(推奨環境はあるけど)都合上、ある程度どんな環境でもオーディオinoutとToneXを起動できるスペックがあれば動くシステムとなっています。

なので、デメリットとしては
プロファイリングした環境と再生環境が一致しない場合、結局はアンプの出音が完全再現できてないってことになります。

ただ、結局音を出すスピーカーが物理的に違えば音は変わりますし、間に挟む機材や使うギターでも音は変わります

じゃあ、細かいことは気にしなくていいじゃん!ということで、開発されていると思われるToneXは、ソフトウェアファーストの設計思想なので、
ハードウェア設計の自由度が多分他のアンプシミュよりはるかに高いです。

IT詳しい人は
WindowsとMacの違いみたいな感覚って言えば通じるかもですね。

特に、モデリング自体はかなり計算力必要なんですが
再生自体はモデリングに比べればかなりロースペックでもどうにかなるので
たぶん一昔前のデジタルエフェクターのスペックでも全然動かせるレベルなんだと思います。
(このあたりはIKの企業努力ですが)

ToneXPedalからのToneXOne

そして、ソフトウエア会社であるIKmultimediaから、ハードウェアのToneXpedalが出てきたわけです。

もちろん、IK自体もDTM機器、スピーカーやインターフェースなどで少しずつハードウェア界隈に進出してきた上でのToneXpedalです。

ちょっとまえにAmplitubePedalというたてつけの、各エフェクトタイプに分かれたラインナップであんまりウケなかったエフェクターはあったけれど。
ToneXpedalもその筐体設計の流用っぽい、、、

とにかく、
IKというブランドについては
ソフトウェアに重点を置きつつ、近頃どんどんハードウェア界隈に殴り込みをかけてきているDTM寄りのブランド
と思えば良いと思います(偏見あり

ハードウェアとしてToneXpedalがでたとき、
モデリング以外にソフトウェアと比べてToneXPedalで排除された主な機能として、VIRでのマイク位置変更があると思います。
あれは複数のIRデータを組み合わせて計算する結構面倒な処理なので、Pedalの時点で抜かれてました。

とはいえ、メインの歪み部分はほぼそのまま使用できますし、なんならコンプとリバーブ、ノイズゲートまでついてきます。

後発のKemperPlayerなんかは、エフェクトもいくつか同時利用できるようにして差別化していましたが、
今回ToneXOneが出てきて「ギタリストが本当に欲しかったモノ」感がありましたね。

そもそもアンププロファイリングを使うようなギタリストは、それなりに音にこだわりのあるギタリストなので
他のお気に入りのエフェクターとかがある場合も多く、センドリターンでコンパクトエフェクターを使っている人も多かったはずです。

機材にこだわる人ほど、なんでもできる1台じゃなくて、
めっちゃ良い音がする小さな歪みペダルが欲しいんだってことです。

そこで、ToneXOneが出てきたので
もう情報が出てきた瞬間「あ、これは売れるわ」と僕は思いました。

そもそもToneXpedalの消費電力がめちゃくちゃ少ない(専用サプライが不要)ので、ToneXOneの出現は予想できたかもしれないですね。


一方で
機材トラブルのリスクヘッジの重要性の高い、職業ギタリストにとっては、なるべく1台で完結させることの重要度が高く、
quadcortexとかはすごく需要にマッチしてますよね。
(kemperも本体がフロアタイプのやつあるけど)

そういう意味でも、ToneXハードウェアシリーズは
プロユースというよりかは、ハイアマチュアやバンドマンをターゲットにしたプロダクトなんだと思います

なので、今回はプロモーション頑張ってる印象。
価格的にもかなり売れ線な商品ですしね。

ToneXOneについて

まずそのサイズ感でアンププロファイリング機材ということで
現時点では他の追随を許さないユニーク機材だと思います。

強いて言うなら、Line6のPodexpressはコンセプトが近い気がします。

そんなToneXoneですが、このサイズ感にする上でToneXpedalと比べて何を切り捨てたのか確認してみましたが、

パッとみてわかる範囲だと
・登録プリセット数
・エクスプレッションペダル
・MIDI
・プリセット編集機能

……これだけ!?

もちろんハードウェア上の都合で操作しづらいとかフットスイッチの絶対数が足りないとかはありますが
マジでToneXpedalがそのまま小さくなったようなイメージで驚きます。

なにより、
このサイズ感でオーディオインターフェース機能も捨てなかったことに、IKmultimediaのスタンスを感じますね。
完全なギター向け機材ではなく、あくまでDTMの関連機材という位置付けなんでしょうか。

ToneXの再生部分の処理は一体どれだけ軽いんだ……という気持ちになりますね。

ちなみにkemperのplayerは専用ACアダプタで2A要求するくらいに電力を食います、、、、
電力を食う≒計算をたくさんする です。

ToneXOneで想定される使い方

もちろんtoneX同様にプリアンプorアンプシミュとして使う用途でも全然イケるんですけど
この価格とサイズ感を考えると

①モデリング歪みペダルとして使う
②複数台用意してスイッチャーで切り替えて使う

みたいな使い方が現実味を帯びてきますね。

ToneXは公式でも歪みペダルのプロファイリングデータを作っていて、ユーザー作成の歪みペダルのデータも数多くあります。

手が出ないケンタとかの超高級機をtoneXoneで代用したり、定番の歪みペダルに対しても本来はないはずのクリーンミックスを混ぜてみたりなど、歪みペダルとしての用途でもかなり有用だと思います。

あとは、ToneXpedalをボードに複数台置くのは、金銭的にも物理的にも結構苦しいものがありますが
ToneXOneのサイズ・価格帯となると、ハイアマチュアでも複数台持ちでの運用が視野に入ると思います。
(下手なブティック系歪みペダルより安いくらいだ)


サイズ感と価格設定的に、
ToneXPedalよりもより多くのギタリストに"刺さる"機材になっていると思います。

コレは売れる。
ToneX,ToneXpedalとサウンドクオリティを市場評価させた上での、大衆むけの量産プロダクトとしての真打、という感じがします。
IKmultimedia恐るべし……

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さとうたくや / n-s-lab 2024/04/11 23:46

最近の機材シミュレータはすごいよね

https://twitter.com/n_s_lab_tokyo/status/1778057052956598617?s=61&t=0gSQesG53S5ZY_z7Hga_Gg

買ってしまった わけです。

Fender
Made in Japan Traditional Oriiginal 50s Precision Bass

いわゆるOPBと呼ばれる、原初のプレベです。

ベーシストじゃ無いのに、ちょっといいベース買っちゃってすみません。
ベースももう少し練習します。

ちなみに、
僕が買った音楽関連機材の単体最高価格を更新しました……

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さとうたくや / n-s-lab 2024/03/31 00:31

なんでも料理に例えるマン

一応毎月最低2投稿を目安にしているので
ちょっとギリギリですが雑記です。


たとえ話の話

なにかわかりづらい概念を人に説明するときに、納得感を得るために
たとえ話ってよく使うと思うんですよ。

良く言われるのは手続き型プログラミング。

手続き型プログラミングというのは、
その名の通り、コンピューターが行う手続きを記述していくプログラミングなんですが
「手続きを記述していく?いったいどういうこと?」ってなりますよね。

そこで良く出てくるたとえが「料理のレシピ」なわけです。

例えばオムレツのレシピは

①卵を割る
②卵を溶く
③牛乳や砂糖を加える
④フライパンを熱する
⑤溶いた卵をフライパンに流し込む
⑥少し混ぜながら形を整える
⑦さらに盛り付ける

みたいな感じだと思います。

これは言い換えると、
僕がオムレツを作る際の手続きを記載したもの、と言えるんですね。

プログラミングっぽく書くと

tokitamago = waru(tamago)
tokitamago = tokitamago + milk + sugar
heat(pan)
into(tokitamago,pan)
pan.cooking
omret = pan.endcook + dish

みたいな。

何かを成し遂げるうえで必要な操作を順番に記述したものが"手続き"であり
「手続き型プログラミングは料理のレシピのようなものだ」
というたとえ話での説明ができるわけです。

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さとうたくや / n-s-lab 2024/03/26 22:01

進捗@20240326

進捗報告です。

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さとうたくや / n-s-lab 2024/02/26 20:43

[公開記事]ギターの弦のテンション感とスケールについて

ギターのテンションとテンション感

https://guitarsele.com/article/feature/guitar-scale-tension/

ギターのテンション感についての記事を見つけました。

この「テンション感」というのが難しくて。

物理の話になりますが弦の振動数は
材質(線密度)・長さ・張力の3つで決まります。
https://manabitimes.jp/physics/2342

同じ弦のゲージを使っている限り材質は同じなので、
長さと張力で音程が決まるのですが、
チューニングして音程をそろえるので

弦の全長が短くなるほど、張力は下がることになります。

これが、ショートスケールは張力(弦のテンション)が低いといわれる理由の大前提ですね。


ところで、あえてテンションとテンションと用語を使い分けていますが、
記事に合った通り、ギタリストが実際に感じやすいのは
チョーキングしたときの抵抗がどのくらいあるか、という感覚なので
それをテンションと総称しています。

最初に紹介した記事だと
テンション感を測るために、それぞれ指板から2cm弦を持ち上げた際の引っ張る力をテンション感がわりに測定していきます。

乱暴に結果をまとめると
スケールというより、ギターの構造や弦のゲージの影響が大きく
そのテンション感はギターそれぞれ違う
みたいな結果になっていると思います。

「へぇ~じゃあスケールでテンション感はあんまり変わらないんだね」

って思った人は騙されやすいかもしれないので、気を付けてください

今回はそんなこの元記事について、もうちょっと細かく考察していく記事となります。

テンション感の正体と音程

今回の計測は定義として「2cm弦を持ち上げたとき」の引っ張る力をテンション感として設定しています。

でも、実際演奏するときに「よーし2cm持ち上げるぞ!!」なんて思わないですよね。

実際に演奏する場合は「1音上を目指してチョーキングしよう」となります。
この2cm持ち上げた際にどれくらい音程が変わるかわからないので、
この測定方法で実際の演奏時のテンション感を考えるのは危うい気がします。

とはいえ、音程を計測しながら測るのは面倒なので
どうにか理論武装できないかということで
まずは、張力と音程の変化の関係を再確認します。

さっきの固有振動数の式を再確認すると
f=1/(2l)√T/ρ

lが弦長、Tが張力、ρが密度です
密度は固定値なので今回は考慮しないので, √T/ρをxとおくと
y = x/(2l)
ということで係数2lの1次式になります。
※実際には√Tに比例するので張力からは指数関数的な変化になる

この時の傾きの大きさは、弦長に反比例するので
弦長が短ければ短いほど傾きが大きい=張力による音程の変化が大きい
すなわち
弦長が短いほど、同じ音程変化を起こすための張力の変化量が少なくて済む
ということになります。

ショートスケールのほうが少ない張力変化で同じ音程変化を付けることができるようです。

……この時点で、ショートスケールのほうがテンション感が低いというのは
事実な気がしてきますね。

実験結果の再評価

さて、それでは
測定結果の2cm持ち上げた際の弦の変化をもう少し細かく考えてみます。

図にするとこうなります。
2cm持ち上げたということは、その分弦が伸びている状態となっているはずです。

実際にどのくらい長さが伸びているのかを計算すると
3平方の定理より、伸びた弦の長さはほかの辺の長さから求められますね。

xをスケール長の半分(12フレットまでの距離)とすると
y= (x^2+2^2)^(1/2) - x

計算すると
648mmスケールで、0.0308569mm
610mmスケールで、0.0327781mm
となります。

ショートスケールのほうが弦の全長が短いので、伸ばすときの高さが2cm固定であれば
斜辺の変化量が大きくなります。

変化量が大きいということは、弦がより多く伸びているということなので
ばねの公式を考えると、弦と平行方向の張力はより大きくなっているはずです。


つまり、
実験の「2cm持ち上げた状態」は、
ショートスケールはロングスケール以上に張力の変化が大きい状態
ということになります。

ショートスケールのほうが張力変化に対する音程変化が大きいはずなので
同じ幅だけチョークアップした場合、結構音程がシャープしている気がします。


結論

紹介したサイトの実験の問題点は
・そもそも張力だけでテンション感が決まるのではなく、音程に対するテンション変化量がテンション感の正体の可能性がある

・指板垂直方向の力は張力TとsinΘの三角関数で求めた値になる
 →スケールが違うと2cm持ち上げたときのΘも変わるので厳密な比較にならない

この2点だったと思います。

理論的に考えて、ショートスケールのほうがテンションが低いのは事実です。
ただ、テンション感となると他のパーツの摩擦力などもかかわってくるので、
ヘッド角とかブリッジの方式とかで変わってくるというのもまた事実です。

カタログスペックなどのデータを鵜呑みにせず、自分の手で確かめてみるのが一番よさそうです。

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