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【氷棘】進捗02:戦闘システムや自作メニューやその他色々(+雑記)

Ci-enの投稿では久しぶりの進捗報告になりますが、制作中のRPG「氷棘のマリオネッタ」の進捗いろいろです。


戦闘システム

https://twitter.com/sorahune4/status/1273231088131780609

以前のもの(2017年1月に作ったもの)からシステムを大幅に変更しました。
・魔導人形のみの3人編成 → リーダー(主人公)+魔導人形の4人編成に変更
・魔導人形に「モード」を追加(毎ターンランダムで「アグレッシブ」または「スティル」状態になる)
・共鳴システムの追加

・・・など

大きな変更点は4人編成になり、主人公も直接戦闘に参加するようになったことです。
他の追加点も主人公の戦闘PT参加に伴う調整が主なものになっています。

共鳴システムは、上記動画でカットイン→スキル発動している箇所です。
リーダーは魔導人形の各「モード」に対応した補助スキルを持ち、【使用したスキル属性】と【ターゲットの魔導人形のモード】が一致した場合、共鳴Lvが上昇。共鳴Lvが一定値に達すると、共鳴ボーナス(強力な全体攻撃やバフなど)が発生する・・・といったシステムです。
(この辺りはゲーム内ではもう少し分かりやすく伝えられるようチュートリアルを整備したいです・・・)
上記動画ではターン終了時に共鳴Lvが上昇していますが、現在はスキル使用時に共鳴Lvが上昇するように変更しています。


こちらの記事でも紹介しましたが「氷棘のマリオネッタ」では魔導人形と呼ばれるアクターを製造し、戦闘PCとして編成することができます。設定上、主人公たちは戦う力を持たないため戦闘パーティには参加せず、アシストスキルという特殊行動のみでしか戦闘に介入することができませんでした。

ですが、いくら設定だとしてもメインシナリオ上では中心となる主人公が戦闘パーティにいないのは寂しい……! RPGの戦闘も物語の一部であり、戦闘でキャラに愛着が湧くことも往々にしてあるので、そこからキャラクターを省くのは勿体ないなと思い、今回のような大幅改修と相成りました。

共鳴システム実装のために久々にスクリプトをあれやこれやひっ転がしたり時間はかかりましたが、戦闘システムとシナリオ設定を上手く絡められていい感じかなと。めんどくさくない&出来る限り面白くするために、まだまだ調整はする必要はありそうですが!


自作メニュー

https://twitter.com/sorahune4/status/1284068117300142080

ついに手を出してしまいました自作メニュー。まだ完成度4割くらいです。
メニューを開いた時の、左側のメニュー項目の動きが特にお気に入り。

これまではプラグインを使用してデフォメニューから変更していましたが、今作は戦闘システムの絡みで編成もやや特殊ゆえ、既存プラグインでは難しい(だからといって一からプラグイン作る技術はない)ため、あれこれ悩んだ末にコモンイベントを使用した自作メニューとなりました。
軽率に手を出しましたが考慮事項多くてめちゃめちゃ大変です。でも超楽しいです。

今回の自作メニュー構築において、のんちゃさんの記事を参考にしました。ツクールMVはマウス(タッチ)操作もできる関係上、キー操作との両立をどうすればいいのか分からなかったので、大変参考になりました。
あとピクチャの表示座標に変数使って相対的に配置するテクニックはどのツールでも使えると思います。もう微調整のたびに座標をちまちま暗算しなくていいんだ……!!

その他

https://twitter.com/sorahune4/status/1281895575453970432

追加シナリオで使用するマップです。
プリセットのものから若干いじってますが、パーティクルプラグインの雪がしばらく眺めていられるほど綺麗です。あと動画じゃ分かりづらいのですが、水面に波紋が広がる表現もいい感じです。
ステマじゃないですが、パーティクルプラグインは演出にこだわるMV使いさんは購入して損はないと思います!

https://twitter.com/sorahune4/status/1277911481556717572

イベントシーンで使用する雪の街です。
できるかぎり俯瞰っぽく見えないように頑張りました。


★雑記
ツクールシリーズ最新作にツクールMZが発表されましたね!
手に入れてすぐ新作を作る予定はないのですが、新しいツールとかおもちゃとか好きなので予約済みです。MVTの素材集が同時発売するのも嬉しい。
ツールの標準機能でできることが増えて、MVよりも痒い所に手が届きそうになって良きです。個人的にはオートセーブでオートセーブ用のスロットがあるのがすごく良いと思います(MVでオートセーブっぽいことやろうとすると、たぶん既存スロットしか使えないので)

……が、現在制作中の「氷棘のマリオネッタ」の公開後その次にMZで作るかは未定です。もはや制作に手放せないプラグインがいくつかあるので、その時に出揃っているMZプラグイン素材次第かなあと。ティラノで制作途中のノベルもありますし……。
兎にも角にも、まずは今作っているものを完成させるのが第一ですね。

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第六回PLiCyコンテストでシナリオ部門金賞をいただいた話+近況いろいろ

お久しぶりです。長らく更新しておらずすみません!
お知らせや近況報告です。


こちらでの報告がすっかり遅くなりましたが、先日拙作「キャロルと待ち人の聖樹」が第六回PLiCyコンテストにてシナリオ部門で金賞をいただきました!

部門金賞なんてそんな名前の賞を賜る日が来るとは本当に思っていなかったので、受賞メール見た時は本当にびっくりしました。
ツイッターやっていると周りはすごい人ばかりだし、「キャロ樹」以上に時間も気力もかけた他作品で参加したコンテストではどれも所謂佳作止まりだったのもあり、自分にはもうそういった賞には縁がないんだろうなあと思っていたので。(自分にとっての神作が必ずしも自分以外(審査員)に刺さるわけではないのはちゃんと理解していたとしても……)

シナリオ部門なのは登録ジャンル(ADV)から部門が決められたとのことですが、審査員コメントではシナリオ・システムどちらについても触れていただいていて、とても嬉しいです。
本作は計20回の行動をプレイヤーが飽きることなく進行できるよう、とにかく様々なイベントや小さなワクワクを散りばめるよう意識したので、そういった点が楽しく遊んでもらえることに繋がったのなら、クリスマスに遅刻しても妥協せず作ってよかったなあと……!

審査員の皆様、プレイしてくださった皆様、改めてありがとうございました!
未プレイの方はよければ遊んでやってください!

◆キャロルと待ち人の聖樹のプレイはこちら
ふりーむ(Windows/Mac/ブラウザ)
https://freem.ne.jp/win/game/19584
PLiCy(ブラウザ)
https://plicy.net/GamePlay/72636
RPGアツマール(ブラウザ)
https://game.nicovideo.jp/atsumaru/games/gm12962


近況いろいろ

★自分のこと
2月から勤務環境が大きく変わり、GW明けに後輩が音信不通になったり、その絡みで宣言解除関係なしに急遽在宅ワーク没収されたり、未だに少しゴタゴタが続いていますが今は元気です。また平日の作業がきつくなりましたが……。
4~5月は島クリにドハマりしたり、いっぱい絵を描いたり、それまであまり出来てなかった自炊をちゃんとしたり。露木さんと物理プレゼント交換したり(めちゃめちゃ可愛いので全人類見るように!)

今は創作意欲が戻ってきているので、2020年後半はまた色々物作りできたらなと!
5月コミティアは中止になってしまい次回も予定通り開催されるかは不明ですが、11月か来年2月のコミティアに参加できないかな~とふわっと考え中です。


★ゲーム制作関連
ティラノスクリプトで新作ノベルを制作中です。
下の動画はチャプターセレクト画面です。
https://twitter.com/sorahune4/status/1257624646741946368

地上で暮らせなくなった者たちが住まう「奈落の国」を舞台に、3つの短編を読むことができる短編集っぽい作品になる予定です。
ティラノフェス2020に参加できればいいなと思いつつ、執筆がゆっくりだったり、並行で細々と「氷棘のマリオネッタ」の制作再開をしていたり、エントリー締切である8月末までに完成するか現状怪しいので、もし間に合えばという感じで……。

今年は「氷棘のマリオネッタ」か「奈落の国のディアメント(仮)」のどちらかひとつでも公開できればいいなあ……(もし突然他の短編作り始めたらごめんなさい……)


★アイテムイラスト素材集
年末の記事にも書きましたが、以前から有料販売のなにか(素材orゲーム)を出したいなと思っていたので、アイテムイラスト素材集の準備をしています。




「魔法屋っぽいアイテム素材集」というテーマで魔法道具+素材アイテムのイラスト素材です。3枚目は案出しのものなので実際は増えたり減ったりすると思います。
素材集は有料で出しますが、上記の1~2枚目のイラストなど一部はフリー公開にする予定です。

販売開始時期の具体的な目標も設けておらず、「他の作業をやる気力はないけど何か進捗が欲しいわ~」という時にちまちま進めている状態なので、販売時期は未定ですが、もしこういうのが欲しい!というのがあればお気軽にコメントください!

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ティラノゲームフェス2019で佳作をいただきました(+近況など)

結果発表から時間が経ってしまいましたが、ティラノゲームフェス2019で「ガラクタの森のエデンにて」が佳作を受賞しました! ありがとうございます!

受賞ロゴかわいい! DLファイル名が「banner_for_you.png」なのもエモい。


★作品ページ・プレイはこちら:ガラクタの森のエデンにて

あの作品のChapter.1かChapter.2までのものか、どの時点のものが審査されたのかはわかりませんが(流石にフェス期間ギリギリ公開だった完成版ではなさそう)、作ったものがこうしてひとつの形で評価をいただけたのはとても光栄です。

ティラノフェスが目指すものや在り方や素敵ポインツについては主催者さんや他の参加者さんたちが丁寧に書いてくださっているので、今さら私が大きく取り上げて語ることは控えますが、あとがきにも書いたようにティラノフェスがなければ「ガラクタの森のエデンにて」の制作は始まらず、作品がこの世に出ることもありませんでした。
「ガラクタの森のエデンにて」は完結こそ大遅刻でしたが、シナリオ面でやりたいことをやりきっている作品であり、今後も大切な自作品のひとつとして自分の中で残り続けると思っています。
主催者さんがTwitterで「フェスはあくまでも作品とプレイヤーが出会うきっかけとなる場所であってほしい」とおっしゃっていましたが、そのプレイヤーとは作者自身も含まれるのかなと。
フェスによって多くの方に遊んでいただき感想や絵をいただいたり、とてもありがたいことに投げ銭をいただいたり、一創作者として本当にたくさんの素敵な機会をいただいたと思います。改めましてプレイしてくださった皆さま、ティラノゲームフェス運営の皆さま、ありがとうございました。


一方、反省点はやはりあんなに長くフェス期間が設けられていたにも関わらず、自分の作品完成が遅れに遅れて、他の参加者さんの作品のプレイやレビューやファンアートなど、遊ぶ側として十分に満喫できなかったことでしょうか。さながら文化祭が始まっても展示品をずるずる作り続けて、閉幕直前に完成したものの、既にお客さんは減り、自分も文化祭を楽しむ時間がほとんど残ってないみたいな……。
せっかくのお祭りの楽しさを自分で減らしてしまったのは大反省しています……。これも以前書きましたが、心理的負担も大きいことから今後はよほどの事情がない限り完成品以外のものは公開しない、コンテストにも出さない方針です。
しかしながら文化祭とは違い、お祭りが終わっても作品は残り続けるので、フェス閉幕後も気になった作品は少しずつプレイしています。


そしてそしてティラノゲームフェス2019閉幕と同時に、次回のティラノゲームフェス2020の開催についても発表されています。主催者さんほぼ一年中コンテスト関連のことをしているのでは……!?
現時点で参加は未定ですが、なにか短い作品で出られたらいいなあと考え中です。「ガラクタの森」はティラノスクリプトはじめたてで基本的な機能しか使えなかったので、次は少しでも凝れたことできたらいいな~とふわっと思ってます。
今年こそはプレイヤー側としても楽しみたい!


★雑記:近況など
2月に入り仕事の環境面がどかっと変化し、創作関連いまいちうまく進んでいません。時間が全く取れていないわけではないのですが、文章もゲームシステムも思うようにアウトプットできずジタバタしているような状態……。辛うじて布団の上でごろごろしながら絵を描けているくらいなので、やはりiPadは神……。
もうしばらくは創作お休みして遊ぶ専になるぞ!と割り切りたいのですが、ずっと遊んでたら遊んでたで何も進捗がないことに謎の焦りを感じてしまうので、自分のことながらなんて面倒くさいこと……!
3月は少し落ち着いてくるはずなので、徐々にゲ制も進めていけたらなあと思います。
作品の感想や励ましのメッセージは24時間365日受付中!


あと5月のコミティア132のサークル参加申し込みをしました。

某ウイルスの影響で5月のコミケ開催も怪しいのではと噂されているので、コミティアもどうなるか現時点では不明ですが、もし受かったら新しいイラスト本と自作ゲームの副読本を引っ提げて参加予定です。
副読本は「ガラクタの森のエデンにて」の設定集+解説+おまけ短編小説の構成で作る予定です。以前から自作ゲーム関連の本を出したいと思っていたので、シナリオ完結版公開後からこっそりちまちま進めていました。ほぼ自分用になると思いますが、ねっちり作り込みたいと思います。

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【雑談】3作目を公開しての雑感(ネタバレなし)

「ガラクタの森のエデンにて」シナリオ完結版を公開しての所感です。こちらはネタバレなしのゆるめの記事です。

★★ネタバレありのあとがきはこちら:「ガラクタの森のエデンにて」あとがき


自己評価

◎シナリオ・キャラ
とてもよい。自分好みの極み。自画自賛。
今までもシナリオは満足するまで好きなだけこねていましたが、今回は特に完成してからの満足感が高いです。
システム上の縛りがなく、イベントの長さをあまり気にする必要がなかったのも大きいかもしれません。

強いていうならば、魔族や魔物といった存在がやや説明不足か。魔法技師という職や魔法具があることもちらっと出ている(湯沸し器の話)のですが、文化レベルも読み手によって認識に差がありそうです。
でも、いつも説明しすぎなのかなあと悩ましいので、案外丁度いいのかもしれません。わからん……。


◎BGM
お借りしたものなので素晴らしいのは当たり前なんですが、どれも本当に良い曲です……。
アコギ曲とピアノ曲が多め。BGMを褒めていただけることが多く、私もとても嬉しい。

フォロワーさんのゲームで、一言コメントがついたサウンドテストがあって素敵だなーと思ったので、ちょっと実装検討中。気が向いた時にでも。


○絵全般
イベント絵などは昔より空気感出せるようになっていい感じじゃないでしょうか(自画自賛)
探索マップも慣れないなりに頑張りました。村も最初は探索マップにしたかったのですが、主に時間の都合で描けませんでした……。
立ち絵のお気に入りはエファ(現在)とホールン。表情差分を含めると旅人も気に入ってます。

余談ですが今回のグラフィック作業はUI全般と色塗り仕上げ以外はすべてiPad(クリスタ)でやりました。複数のファイルから切り貼りする作業はまだPC(SAI)の方がやりやすいのですが、描くだけならそろそろiPadだけで完結できそうです。


△イベントスチルの量
これはプレイヤーさんから言われたとかでもなく、私自身もあまり制作中は感じなかったのですが、完成直前になり「プレイ時間の割にイベント絵が少なすぎるのでは!?」と思いました。
既存作よりは多めに描いているのですが、それでも自分が知っているノベルゲームに比べると十の位が1か2足りない気がします。どうして皆そんなにたくさん絵を描けるんです??


△演出
もう少し立ち絵に動きつけたり、フィルターとか、なんかいい感じに演出できたのではないかなあと。認識さえふんわりしてる(具体的にどうしたらいいかわかっていたら作品に反映していますし)
前述のイベント絵の量も関係ありそうです。GIFアニメはいい感じになったので、もっと視覚的に面白くする方法を他の人の作品から学びたい。


実質分作での公開となった反省

余程のことがない限り、今回のようにアプデで章を追加していく公開方法はもうしないと思います。理由は心理的負担が大きかったり、公開済みの部分を修正するのが難しかったり。

過去記事でも書きましたが、完成前にChapter.1から公開したのはティラノゲームフェスへのエントリーのため8月末までにノベコレさんに登録する必要があったためです。
未完成のものを出すのには抵抗があったのですが、次回もティラノフェスが開催される保証もないので、ひとまずCh1を公開しました。
「まあアプデ期間もあるし、すぐに完成版を出せばいいじゃろ~」と鼻ほじしていました。まさか年明けても作業してるとか思わないじゃないですか……。
結局スケジュール管理が駄目ないつものやつじゃんとか言わないで……。


今後について

やりたいことが多すぎるので何からやろうか悩み中です。遊んだり、絵の練習もしたいですが、既にもうゲ制もやりたい……。
あとがきにも書きましたが、「ガラクタの森のエデンにて」関連でやりたいこともいくつかあります。

2月から生活環境が変わってしまうのもあり、しばらくゆっくりめの創作活動となりますが、今後ともゆるくお付き合いください。


おまけの過去絵。ワンドロで描いたエファです。

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「ガラクタの森のエデンにて」あとがき

このページは自作ゲーム「ガラクタの森のエデンにて」のあとがきです。
Extraを含めた作品全体のネタバレを含んでいますので、クリア後の閲覧を強く推奨いたします。


★★制作終わった所感などの雑記はこちら:【雑談】3作目を公開しての雑感(ネタバレなし)


もはやいつものことですが長文です。あと、語る作者のドヤ顔が浮かぶのが嫌って方は十分気を付けてください!







制作のきっかけなど

ティラノゲームフェスに参加したい!ティラノスクリプトでさくっと短編を作ろう!と思ったのが「ガラクタの森のエデンにて」制作のきっかけです。
もはやお家芸かってくらい、気付けばシナリオも制作期間もボリュームアップしていました。

少年と青年が主役の物語にしよう、というのは最初から決めていました。理由は茶川あくたが少年と青年という組み合わせが好きだからです。
既存作でもそれとなく少年&青年という要素を混ぜ込んでいましたが、一度くらいは全力で少年青年ゲーを作りたいと思っていたため、今作の主人公たちとなりました。


作品全体の話

本作の主人公は、冒険物語の主役(勇者)となるような人物ではなく、勇者の親友、勇者の息子といった位置にいる人物たちです。エファとアリヴィオ以外の登場人物も、勇者(アダン)という存在に大なり小なり影響を受けている人たちです。
脇役にされがちな立ち位置の彼らが、主役である人物から何を感じ、どのように生きようとしたか、そんなお話になりました。


作品で伝えたいメッセージはずばりこれ!というのは特にないのですが、「何事も良いことばかりでもないけれど、悪いことばかりでもないよね」というのは随所でふんわり意識していたと思います。

ある物事に対してひとつ嫌なことがあったからといって、全部なかったことにすれば幸せだったのか。だからといって「あの人も悪いところばかりじゃないんだよね」と一縷の幸せを信じて我慢するのがいいことなのか。両方あると思います。
そういったどちらにも割り切れない難しさに悩んだり、それによって時に周囲を巻き込んでこじれたり、簡単には逃げられない現実に溜息ついたり。世知辛い。

エファもアリヴィオも作中で多くの後悔をしていますが、ではその選択をしなければよかったのか?というものはたくさんあります。

エファがアダンへの献身をやめたり旅を諦めるよう引き止めていたならば、アダンはもっと早く精神崩壊していました。そもそもアダンと旅に出るべきではなかったのかといえば、あの旅が無ければ野営地でアリヴィオと出会うこともありませんでした。
アリヴィオも父と兄と旅を続けていたならばどこかで戦死していたかもしれませんし、エファから記憶を奪うことを選ばなければエファは間違いなく衰弱死していました。
当然、エファもアリヴィオも、選ばなかったら選ばなかったらでもっと良い結果になった可能性もあります。

それでも多くの選択を重ねた結果が、本作のEND1のエファとアリヴィオになります。色々なものを失っても、ほんの少し残ったものでささやかな幸せを掴んでほしいなと思い、お話を締めくくりました。



各章のコメントと簡易解説

◆Chapter.1「親友」
「エファ」と「現在」の話です。
舞台が"崩壊"という災害によりほぼ滅んだ世界であること、小さな島でエファたちがどんな生活をしているか、現在に焦点を当てた話になっています。
記憶喪失の主人公は昨今珍しくもないですが、あの世界では"崩壊"の影響(精神的ショック)で記憶を失っている者は多く、エファもその一人に過ぎない、という位置付けです。

ちょっと楽しい感じを出すために(あとティラノスクリプトの機能を使ってみたかったのもあり)探索マップを入れました。特に自宅はこんな感じで生活してるんだろうな~という同居人たちの暮らしに妄想を巡らせながら描けて楽しかったです。


廃小屋のシーンは書きたかった場面のひとつです。むしろこの場面を書くために世界設定を詰めていったまであります……。

なんとなく気付いている方も多いと思いますが、エファ=ドイツ語の「Eva」=イヴ、アダン=フランス語の「Adam」=アダムで超有名なあれになります。結局ふたりはアダムとイヴにはなれませんでしたが……。前作といい創世記ネタ好きですね

ちなみにアリヴィオはその辺りのネタは一切関係ない、ポルトガル語で「安心」を意味する「alivio」が名前の由来です。


◆Chapter.2「楽園の護り手」
「アリヴィオ」と「過去」の話です。
Ch1のアリヴィオ視点にアリヴィオの過去+エファとの出会いなどを絡め、どのようにして現在まで至ったかの話になっています。
冒頭では旅人、中盤の野営地編ではオレガノやへルックなどCh3で重要人物となるキャラも複数登場します。

アリヴィオは口数が少ないものの、内心ではかなり色々と考えているということを彼の視点によって書くことができました。地の文がたくさん書けるノベルゲーム形式なくしてその人物像は描ききれなかったと思います。

アリヴィオが父アダンや兄フラテとの旅をやめると決断したのが15歳、エファがあの野営地で不安定なアダンを身体を張って支えていたのが15歳と、そのあたりの対比も意識しています。
野営地編の最後の独白にあったエファ=「鞘」はダブルミーニングです。(アリヴィオはそういう意図では語っていませんが。)


END2で村人がガラクタの森に"魔獣"がいると語ったのは、かの草原にいた"魔獣"と同じ行為を彼が行なっていたためです。楽園を守るために道を踏み外したのは父親だけではなかったようです。
また作中では明記されていませんが、エファは家とその周囲以外の外出を許されていない軟禁状態にあり、それまでとは異なる「関係」を築いています。


◆Chapter.3「奇跡なき世界にて」& Last Chapter
「エファとアリヴィオ」と「未来」の話です。
"崩壊"の混乱も大半が収束し、再び変化しつつある世界の象徴として、アダンの名を騙る旅人やかつての仲間であるオレガノがある思惑で島へやってきます。
そして騒動のさなか記憶を取り戻したエファと、それを受け入れざるをえないアリヴィオが、過去を清算した上でやっと未来へ歩み始める話です。

島の外からの来訪者によってエファは内側から、アリヴィオは外側から存分に暴力を振るわれます。楽しかったです。
エファはディープ以上のことはされていません。一応!念のため!

オレガノは旅人のせいで正気を失ったとか騙されたとかではなく、アダンたちと旅していた頃から「理解したかった」ため、そういう存在を見つけられたことにむしろ安堵し、全て自分の意志で行動しています。何も変えられなかったかわりに、友人であるエファの考え方に近付きやっと「理解できた」ことが、彼女にとっての心の支えになっています。騒動の後、島を去った彼女たちがどのように旅をしているかは、彼女たちと、手紙を受け取っているマロウしか知りません。
ちなみにオレガノの花飾りは芍薬→馬酔木(あせび)に変わっています。気になる方は花言葉をググってね。


Ch3とLast Chapterはどの場面もテキストを書くのに時間がかかりましたが、ガラクタの森でのエファとアリヴィオの氷解~エピローグは特に大事に仕上げました。書きたいと思ったシーンは全部入れました。お弁当は渾身のいちゃいちゃ(?)シーンです。
エピローグ後のエファとアリヴィオは、世界や周りほど大きな進歩はないけれど、小さな歩みをゆるやかに二人で一緒に進んでいきます。


◆Extra「ある嵐の夜にて」
本編のその後の話です。
Last Chapterが7月頭、エピローグが8月、この話が9月上旬くらいの想定です。

しがらみが無くなったからすぐに全部すっきり解決というわけではなく、その後まだ少し尾を引くものもあるよね、という方針で書いています。

記憶を全て取り戻したことで、しばらくエファは本人の意志に関係なく豆腐メンタル状態が続きます。本人も薄々その自覚はあるものの、作中でマロウに相談するのも迷っていたように、アリヴィオにもなかなか言い出せないままでいます。
アリヴィオはエファをよく見ているので同居人がそんな状態にあることになんとなく気付いていますが、今まで散々エファに干渉したこともあり、求められてもいない行動に出ることを躊躇います。
が、そのままじゃまた繰り返してしまうのはお互い理解しているので、嵐の夜の日、アリヴィオが先に歩み寄ったことを契機に、エファもつらい時はちゃんとつらいと伝えるようになります。


超余談ですが、2019年某日の夜に台風の音がうるさすぎて眠れなかった時に思い浮かび、次の日に一気に書き上げたお話です。田んぼや川の様子を見に行ってはいけない。


◆Extra「ある旅人の手記①②」
あの人の手記です。
旅人の出自、何も特別な力を持たないある一人の人間の吐露、ある研究者の思惑の一部などが綴られています。

旅人もまたアダンという存在にいい感情を抱かなかった人物の一人ですが、若い頃から特別な才能を持たず何をやっても中途半端な自分に強い劣等感を持っていました。教師だったあの人は、彼のような学生を多く見てきたことで何か思うところがあったようです。それもまた「優しさ」のひとつだったのは間違いないのでしょう。


おわりに

長くなってしまいましたが、本作をプレイしてくださった方、本当にありがとうございました!

続編や関連作については現時点では未定ですが、この作品関連でやりたいな~と思っていることがいくつかあるので、のんびりやっていこうと思います。
今後も思い出したころにそっと見守っていただけたら嬉しいです。

茶川あくた

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