秀島キョウ 2024/06/03 18:30

『人に教える!【格闘ゲーム編】〜指針がない方に贈る参考例〜』

【はじめに】

そこそこ人に教える経験を積んできたので、新しく『格闘ゲーム』において師匠・先生・先輩役をやる機会のある人ら向けに大枠の教えることと、なにより大事な心構えを置いておきます。

自分なりにやるしかないんですけど、何か参考にしたい人はご自由にご覧ください。

ただ、鵜呑みにしなくていいです

中身を見て「なるほど」となったら自分なりに採用し、「私ならこうするな」と思ったらここに書いてあることは無視して自分の思った通りにしてください。

大事なのは"教える道筋が自分の中に見えているかどうか"です。

それがあれば他人に伝えることができます。少なくとも貴方が歩んだ道は必ず貴方の中にあるはずですから。


○大前提

教える相手のことを見ましょう。
貴方の前にいるのは「一般的な格ゲー初心者・初中級者」とかそんな概念存在ではなく一人の人間です。何のゲームをやってきたか、運動などの経験はあるか、どういう好みでその格ゲーやキャラを選んだのか。どういう戦い方をしたいか、憧れの動きはあるか。聞き取りをし、コミュニケーションを図りましょう。

聞き取る中でもし自分と共通する体験があれば説明の比喩として使うのをお勧めします。「共通言語」というのは理解度に貢献します。


○教える側が気をつけるべきこと

いっぺんに3つ以上は教えない方が好ましい
→人間、そんなに覚えてられないし意識して何かをするのには限度がある。3つ以上教えてもいいけれど、その日に教える大切なことは3つくらいまでに抑えるの推奨。


忘れるのは当たり前の心構えを持つ
→1度教えただけで完璧にこなせたら天才です。普通は1つのことを習得するのに時間がかかるし忘れもします。それが新しいことを色々教えられていく過程では当然のこと。何回も同じことを教えることになってもそれは「当たり前で構わないこと」と思いましょう。


完璧主義は避け、ある程度できたら次へ
→これができないと先に進まない、では短期間の師弟関係では時間が足りません。まずはできることを増やして戦えるようになりましょう。動けるようになったら優先順位の高いことを伸ばす、長所を伸ばすことをしましょう。


教える内容の前提条件を常に確認する
→なんのためにそれをするのか。伝え損ねている場合、練習する側のモチベーションと目的意識に関わります。また、教える側が無自覚に段階を飛ばして教えることによって難易度が跳ね上がっているorシナジーのない練習をさせている、ということにならないよう教える側が気をつけたいところ。

たとえば。

ex)昇竜警戒や安全飛びを教えてないのに強攻撃始動の高火力コンボを練習させても実戦でそれを決める機会は少なくないですか?

ex)コンボレシピを上から順にやる必要はなく、よく使う始動からのコンボの優先度を高めないと起き攻めに行く機会が得られにくくなりませんか?

ex)起き攻めができることによるリターンの大きさを伝えれば、ダウンを取る意識と意欲が上がりませんか?ダウンを取ってから攻撃を相手の起き上がりに仕掛けると一方的にリスクよりリターンが望める状況になる、という意味が伝わってないのに「コンボ完走させてダウン取って」とだけ言ってませんか?

ex)投げと投げ釣りばかり教えて暴れ潰しを教えてない。「暴れ潰しをするから大人しくなる→だから投げる→それを嫌うから投げ釣りが刺さる→ならさっさと暴れちゃえ→それを暴れ潰しで押さえる」という循環を理解しているか。やれてることとやれてないことを観察しているか。足りてないことに気づいてない、ということはありませんか?

あえて伝えない、という教え方もあります。強い行動だけやらせて、その行動ができるようになってから意味を説明するのも手です。
そうするとしても自分の中で教える内容の意味は常に把握し、状況によって伝える準備はしておきましょう。


できたこと、できてることは褒める(認める)
→日本人の悪いところですが、できていることを心の中で頷くだけで言葉に出さないところがあります。ちゃんと言葉にしましょう。「○○できてるね、いいね!」でいいです。

まだ判断基準の整わないうちは、やっている側は不安になるものです。
「自分がやっていることが変なことではないか?これでいいのか?」
という疑念を払拭してあげましょう。背中を押すとはそういうことです。

「それでOK!」という経験者からの承認の言葉はやってる側の自信に繋がります。自信があれば堂々と図々しく攻められることは格ゲーマーなら分かっているはず。自信を付けさせるのも教える側の大事な役割です。


「どうして?」のような詰問とも聞こえる問いかけは極力行わない
→大抵は問うた側が答えを用意していてその通りに答えられないと問われた側が気まずいだけ。正直教える側の自己満です。でも自覚がないとやってしまいがちです。気をつけましょう。

一方、「君ならどうする?」という問いと、返ってきた答えに添う形で技術や選択肢を教えるのはとても良いです。

言い方としてはほんの少しの差ですが雲泥の差です。


○共通して教えるといい格ゲーの基本

守りより攻め
→勝つためには相手の体力を0にするのが最優先。可能な範囲のコンボ、攻め継続手段、ためらわない飛び道具に前ジャンプ。対応されたらどうするか?それは後の話です。不慣れなうちから対応するのは難しいです。対応させましょう。


入れ込んでいい、という考えをちゃんと伝える
→当たったらコンボ、ガードされても反撃を受けないor受けづらいor受けても安い、みたいな当然のようにやっているボタンやコマンドをある程度連続で押す「入れ込み」。
知らない人は「単発ヒット確認しなきゃいけない」「モーションが終わってから次のボタン押してて繋がってない」というように高レベルなスキルだと思い込んでいる場合があります。コンボが苦手な人にたまにある症状なので確認しましょう。


守り方はシステム防御から
→対戦相手のキャラの技を把握して頑張って投げや下段や中段をさばいて的確にガードして有利フレームになったら反撃する。
基本みたいだけれどガチで難易度高いです。格ゲーやり始めの人で真面目な人はここをしっかりやろうとする傾向があります。楽をさせましょう。

レバーや十字キーを斜め後ろに倒して、相手が近かったら相手を追い返すシステムやバクステといった備え付けの機能を使ってOKだよ、と伝えることをお勧めします。
特に無敵がついてるシステムがあるなら活用しましょう。
困ったら強いボタンを雑に押せると更にGOOD。強いボタン?そのキャラの持つ早くて長いor広い攻撃のことです。


リソースはどんどん使う
→独自システムながら、簡単に使える強いものが揃っている格闘ゲーム。リソースは最初のうちからガンガン吐かせましょう。温存する判断はゲームメイク・ゲージに目を配る余裕・駆け引きができないうちは難易度高いやつです。

自分はリソースを使わないで相手がバンバン使うのならば、ダメージを与える機会もダメージ量も確実に差が出ます。初級者から上級者まで、腕前が互角なら勝率の差はここにあると言ってもいいくらいです。

使ってれば習熟経験値も溜まります。

独自システムは最初はよくわかんないとは思うものの、「使うとお得だよ」とうまく誘導しましょう。尻込みして使わない方は実際多いです。


攻撃の届く範囲と位置取りを意識させる
→攻撃の当たる距離を把握して動き回る相手に攻撃を当てる、というのは当たり前のことながら実際にやるのは難しいです。
特に最初は、コンボで練習したからと小足を当てに行こうとしかしない方もいます。真面目な人ほど。「だって基礎コンボの始動はこれって書いてあったから」。

いけません、楽をさせましょう。

まずは使うキャラの持つ「点ではなく面で当たる攻撃」を「届くところから雑に撃つ」ことを教えましょう。

画面端まで届く飛び道具がある?
画面3分の1から半分まで届く突進技がある?
斜め上から30度〜45度の角度で突っ込める急降下技がある?
冷蔵庫みたいな長方形の攻撃判定が出る技がある?

まずはそっちを使わせましょう。
そこからダメージが稼げるならそれ始動のコンボをやろう、ダウンを取って攻撃を重ねることができるなら重ねの練習をしよう、と次に話を繋げやすくもなります。

そして、その攻撃が当たる位置を意識しているか。それだけでも動きに目的意識が出てきます。
最終的には相手の攻撃範囲にいるかどうか、いるならそこから移動すればリスクが下がる、というような立ち回りの話に繋がっていきます。


○教える相手を見て変えた方がいいこと

「できない」の理由を考える。段階を踏む。
「やってみ?→できません→どうしてできないの?→できなくてすみません(俺はダメだ下手くそだ)→助力にならなくてすまない(俺は無力だ)」

双方不幸になるパターン。なので、観察することとコミュニケーションが必要になる。

「やってみ?→できません→分解して部分練習しよう、入力見てみよう、ここをこうしてみよう、後にしよう(他のことやってると勝手にできるようになることもある)」

どこで躓いてるかが分かれば大丈夫。四則計算で割り算以外ができてても割り算が理解できなかったら計算式は解けない。なら割り算を教えればいい、みたいに。

そこに寄り添ってこその教える役。経験則から導けないならその時は教える側であっても他の人に教わってくるのも手。
自分が全部説明できなくてもいい。頼れる人は頼りましょう。教わる側にしょんぼりさせるより界隈の理解者に教えてくれと聞くくらいなんでもない。自分の成長にも繋がります。


【まとめ】

相手のことを知ろう
いっぺんに詰め込みすぎない
焦らず何度も少しずつ
褒める


これらを意識した上で自分が知っている格闘ゲームタイトルとキャラのこと、実感してきたことを話せば誰であっても経験値を相手に分け与えることができます。

「自分は全一じゃないから師匠役なんておこがましい」

そんな風に思わなくていいです。ある程度まで強くなれた経験者であれば、それだけで誰かに教える資格としては十分です。


最後に。


師弟杯大会などの『期限』がある場合。
その期限は通過点です。お披露目会であり、自分の成長を振り返る休憩ポイントです。そこまでに仕上がらなければダメだ、と無理に教える側の考えを押し付け過ぎてはいけません。それは相手のことを見ないことに繋がります。教わる側が言い出したならいいですけどね。

格闘ゲームの楽しさ、成長する嬉しさ、大会の緊張感、悔しさ。全部醍醐味です。
味わえる仲間が増えることの喜びを得るための時間をどうぞ有意義にお使いください。

これにて今回の話を終わります。
繰り返しになりますが、これは個人的経験から来る一例に過ぎません。
鵜吞みにせず、しかし気になるところがあればご自由にお取り入れ下さい。
もし何かしら参考になったり、「私なんかが教えていいのかな」と思っている方が1歩踏み出す助力にでもなれれば幸いです。

長文ながらここまで読んでくださりありがとうございました。

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