他者変身RPG(小説)その9
エ〇ゲから逃げるな
その8→こちら
その10→未定
「でさあ、これからどーする?」
「初心者ダンジョン」を攻略し、意気揚々とマウン村に帰ってきて数分、
相も変わらずレオの姉、シオンの体に変身したままのフォーゼは
これも相も変わらず、自らの胸を揉みしだきながらレオに言った。
「……俺に聞かないでよ。てか姉ちゃんの体で下品な真似すんな」
こちらも相も変わらず、と言うには微妙に切れ味悪く突っ込むレオを見て、
フォーゼはうひゃひゃと笑った。声が少女のそれである為に
なおいっそう下卑た印象が引き立つ。
「お前も揉んでみろよ、気持ちいいぞ?」
そう言ってフォーゼは自分の胸をまず指さし、その後にレオの胸を指さした。
かあっ、とレオは顔を赤らめる。無論それは姉の体を辱められた怒りも
あったが、それ以上に今の自分の体もまた女性のそれである、という事を
再認識させられたからであった。
先の「初心者ダンジョン」の奥底にて出会った悪魔の少女コアを思い出す。
悪魔の癖に終始人懐っこく、可愛らしいキバを見せてあどけなく笑う彼女。
それが今の自分なのだと思うと体は熱くなるばかりだった。
健康的な太ももをもじもじと動かしながら、頼りなさげに黒いミニスカートを
抑えるその姿態に、フォーゼは満足したように笑ったかと思うと
ふと真顔になり、ぽつりとつぶやく。
「やっぱり旅に出るんなら先立つ物が要ると思うんだよな」
コアの体を見て、用意不足で苦戦を強いられたダンジョンでの出来事を
思い出しでもしたのか、珍しく真っ当な事を言う。
「俺の虎の子を出そう。それで武具を買おうぜ」
おお、とレオは思わず声を上げる。この男に貯金なる概念が存在した事が
まず驚きである。
率先して自らの家に向かうフォーゼに付いていく。思えばその軽快な足取りと
急な話題の変化に違和感を持たなかった辺り、レオもまだまだ幼い。
フォーゼにはメルと言う年の離れた妹がいるが、どうやら今日は
出かけているらしい。尤も兄がこの調子である為、メルは狩人をして
自給自足で生計を立てている。家に居ないのも珍しい事ではない。
「まあまあ、ここで座って待っててくれ」
いつになく優し気な口ぶりに首を傾げつつ、レオは勧められた通り
フォーゼのベッドの上に座る。その粗雑なイメージに違わない
まさかゴミが散乱などと言う事は無いが、何となく整頓され切っていない
部屋をきょろきょろと見渡しているうちに、タンスの中を漁っていた
フォーゼが帰ってきた。
「ほれ、軍資金」
ちゃりん、と薬草も買えないくらいの小銭を手渡され、レオは
溜息をつく。これが25の男のやる茶番かと思うと
情けなくて涙が出てくるというものだ。
「これでどうやって武具を買えってんだよ」
呆れて見上げるとなんとこのアホ男、にたにたとこちらを見つつ
ヨダレまで垂らしている。その視線が自分の下半身、より正確には
股の辺りだと気づき、慌てて股を閉じる。
「こっ、このヘンタイっ!」
「美少女から言われると逆に興奮すんな、もっと言って?」
相手が弟分とはいえ、見た目がスカートを手で押さえつつ、
涙目でこちらを見上げてくる悪魔風の美少女なのである。
この俗物に興奮するなと言う方が酷であろう。
軍資金云々が部屋に連れ込み無防備な姿をみる為の茶番で会った事への
怒りは元より、この体でいつも通り大股で座っていた自分への羞恥で
嫌が応にも顔がかあっと熱くなる。
「このっ、見るなっ、キモ男っ!」
げしげし、と蹴るが一向ににやけ顔が収まらない。
何のスイッチが入ったのか蹴られる事すら悦びを感じているらしい。
「ソックス越しの足……良い臭いだなあ♡」
「キモっ!」
本気でキモい。もうこの際フォーゼの師にして変身能力の開発者
テリオン先生に直談判してこんな能力取り上げてもらおうか、と
睨んでいると、フォーゼは何を思ったか一歩下がる。
「まあまあ、そう怒るなよ。
代わりに俺の……「お姉ちゃん」のパンツ見せてやっから、な?」
ぴらり、とめくられたスカートに目と口を黙らせられてしまっては
もう何を言っても後の祭りと言う物だ。しまったと思う間もなく
フォーゼはゲラゲラと笑う。
「男の子だもんなあ。パンツは好きだよなあ?」
「うるさい」
ぷい、と顔を背けて否定する。一瞬目に入った白色が頭にこびり付いている
この状況で、強く突っ込むのは無理と言う物だろう。
「あれ、兄ちゃん?帰ってるの?」
びくり、とフォーゼは玄関の方を見る。
と言って声の主はみなくても分かる。何せ実の妹である。
さてどうしよう。未だ顔の赤さと涙あとが残る悪魔風美少女は
「変身」の副作用でどうせ見えないから良いとして、年端もいかない少女
――確か16だと言っていたからメルと変わらないのだが――が25年間
女っ気のない兄の部屋から出てきたらさぞ驚くだろう。
ならば変身を解除すれば、とも思うが美少女のパンチラで興奮してしまった
体は男に戻れば良くない箇所に良くない変化をもたらし、それはただでさえ
宜しくない妹との関係と己の世間体にとどめを刺すものとなるだろう。
「こんにちわ」
「はあ、こんにちは」
という訳でそのまま出て普通に挨拶。そもそも考えてみれば
16歳と言えば婚姻も可能な歳である。年の差で言っても9歳差、ならば
兄の常日頃のナンパがついに実を結び、めでたく年下美少女彼女をget、
という筋書きでも何らおかしい事はないのだ。
「え………ええええええええ!?」
おかしくは無いはずなのだが、そう伝えた途端体をのけぞらせ
素っ頓狂な声を上げる。恐らく明日世界が滅ぶと聞かされても
こうは驚くまい。
「か、彼女?うちのアホ、もとい兄と?」
メルは勝気なつり目を見開き、フォーゼの肩に手を置きながら
がくがくと揺らす。
……デカい。狩人の動きやすさを重視した薄い服を盛り上げるこの膨らみは
シオンに勝るとも劣るまい。日頃妹のおっぱいなぞ意識する事は無いが
体を揺らされるたびにおっぱい同士がぷるんとぶつかり合っていては
嫌でも意識せざるを得ない。メルは興奮して気づいていないらしいが
何がこの女をここまで戸惑わせるのだろう。
「何がって姉ちゃんと兄貴が付き合うとか驚いて当たり前だろ」
いつの間にか立ち直り不穏当な事を呟く悪魔風美少女風弟分を
後ろに回した手でスカートをぴらりとめくって黙らせ、こほんと咳払いする。
「なにも驚く事は無いですよ。
フォーゼさんは優しくって、カッコよくってぇ……」
言いながら顔がだんだん赤くなる。基本的に褒める所も無い癖に
自画自賛を出来るタイプのフォーゼだが、流石に妹相手に
女の子の立場から自分を褒めるのはレベルが高かったらしい。
「兄ちゃんが……兄ちゃんが……」
しかしその甲斐あってか、メルはフォーゼの肩から手を放し
ふるふると震え始める。これは感動に打ち震えているに違いない、と
フォーゼが会心の笑みを浮かべた矢先、メルは元々勝気な目を更に吊り上がらせて叫ぶ。
「兄ちゃんが……ついに強○したかっ!」
ぶっ、と吹き出すフォーゼと後ろで笑い出すレオを尻目に
メルは一人憤慨しつつ、ここにはいない――少なくともメルの目線では――
兄に向けて怒りをまき散らす。
「アホでろくでなしだけど大それた事はしようとしても出来ない小心者だと
思っていたのに…これじゃあアホでろくでなしのクズじゃないっ!」
散々である。何が恐ろしいかと言って年端も行かぬ少女に化けてやる事が
妹相手に己の賞賛とくれば、これは間違いなくアホでろくでなしである。
三分の二が当たっていては強くも言い返せない。
「あのすこぶる褒めるところの無い男をここまで過度に持ち上げ…しまいには
「彼女」とまでいうその心は、ひとえに乱行を行った兄を庇おうとする一心」
「一心。じゃねえよ!?まさか俺に好意を寄せる女の子をみて
「ああ、強○された結果だな」ってなるとは!
ここまで信用が無いとは思わなかったよ俺も!」
シオンに化けている事も忘れ、つい素に戻って突っ込んでしまうが
やはりメルは気づかず話続ける。それだけ興奮しているのだろうが
この辺りは過信軽率な兄との血のつながりを感じなくもない。
「兄には私が責任を持って天誅を与えます。貴方のお心は
よーく分かっています。本当に…本当にありがとうございます!」
そしてメルの体から魔力がふわりと舞いフォーゼの手元に集まる。
めでたくメルの「感謝の結晶」を手に入れたのだが、流石に手放しで喜べない。
何とも満足そうににやにやと笑っているレオに必殺のケツパンチラを食らわせつつ
早速弓矢を取り出すメルをさてどういなそうかと考え込むのだった。
今回は割とオリジナルな展開。
前半のレオとのイチャイチャは、せっかく変身対象が二人になったんで
TSっ子二人の疑似レズというTSF小説の王道(?)を書きたくて
やってみました。もし文庫本1巻分をまとめてくれって言われて
分量の都合がつかなかったら真っ先に削られるところです。
後半はメルの結晶。ゲームでは最初からフォーゼが「感謝」を狙って
メルに絡むんですが、こっちでは成り行き上「感謝」される事に。
この辺りは微妙な所で、フォーゼから見たメルはエ〇いんだけど
性の対象じゃない…無くも無いんだけどそれよりは家族、っていう
何ともかんとも。ただ他の子(美少女)に変身できる環境があるんなら
あえて妹相手に「感謝」を狙わないかなって思って今回はこんな展開に。
どーでも良いけどエ〇ゲのシナリオを書かないといけないって
思えば思うほどこっちを書いてしまいます。
もうすぐお盆休みですし、ホントにエ〇ゲの方に本腰を入れないと
いつまでたってもアーリーアクセス版のままになってしまう……