読書(正義論を読もうと思った流れ)

読書は社会人になってから始めた。
子供の頃は人の前で本を読む/何の本を読んでいるのか知られることが嫌だという理由でほぼ読まなかった。大人になってから、漫画ならインプットとしてやりやすいと友達が言ったので、なるほどと思って年500冊くらい読んだりしていた。その最中にラノベやハヤカワのSF、勉強本に手を出した。

勉強本のきっかけは、Quoraに常駐している謎の学者が、ヘロドトスの『歴史』を読めと言っているのを見たことかもしれないし、会社の後輩に『ローマ人の物語』を勧められたことかもしれない。とりあえず何も読むものが浮かばなかったら古典、という感じで読書がうまいこと定着していった。神話や思想、歴史に興味があったのでその辺を主に読んでいた。

『Project Rain』を作ることが浮かんでからはそのために本を選んで読もうという意識が出てきた。軍事だったり、役人系・政治系の本を少し入れたりした。

それはそうとして、特に、漫画やラノベにおける犠牲の文脈というものに関心がでてきた。
この文脈で読んだもので関連がありそうなものを挙げる。多分書ける人なら有名どころを上手にセレクトして「ライトノベルと自己犠牲」みたいな面白い文章が書けるんだろう。いや、話として王道過ぎてそうでもないかもしれないが。少年少女が力を持たされてバトルするなら犠牲の構造が生えてくるし。
引用は書くスピード重視なので適当で。あと、万が一読んでる最中の人がいるとよくないのでネタバレっぽいのは白色で伏せる。
『妖精作戦』:ラノベの古典。超能力者のヒロインがエイリアンと戦う秘密組織のスカウト(拉致)から逃げ回るために高校生達がわちゃわちゃする話だが、ラストの数十ページでヒロイン2人が自己犠牲をキメて終わる。「――あたし、分かったような気がする......」と言って特攻(なのかな？)するのは書かれた年代も相まって、この分野における自己犠牲の始まりという感じがする。
『イリヤの空、UFOの夏』：ラノベの古典。エイリアンと戦う戦闘機のパイロットとして育てられた少女と少年のボーイミーツガールの話。少女は最終的に好きな少年のために戦うと決意して一人で戦いに挑んで犠牲になってしまった。
『終末なにしてますか？ 忙しいですか？ 救ってもらっていいですか？』シリーズ:ラノベ。人類の敵に対する兵器として生まれた妖精族の少女たちと管理官になった元英雄が主人公の話。少女たちは敵と戦って大体15～16才までに自爆死する運命にある。本人たちは境遇を受け入れてはいるが、小説としてはずっと真綿で首を絞めるようなやるせない雰囲気がある。割とどうでも良い部分だが、寡黙な戦士な上官の「望む望まないにかかわらず犠牲にしているものが多いほどお前は戦士だ」という旨のセリフは妙に印象に残っている(割と浮いているので作者突然どうした？という気持ちもあり)。
『スワロウテイル』シリーズ:ハヤカワJAのラノベとSFの中間の小説。主人公が「誰か一人を犠牲にしなければ生き残れない集団なんて、滅んでしまえば良い！」という感じのことを発言。生まれてから数年のアンドロイド(≒子供)の言うこととはいえ１つの答えではある。
* 『結城友奈は勇者である』:アニメ。近未来四国が舞台。外界から来る敵に対して、力に適性のある女子中学生5人が戦う。戦って力を使うと代償として身体機能を失う(目が見えなくなったりする)。指示をする政府組織(のようなもの)は徹底的に説明をしないため、強いストレスと葛藤が生じる。一人は組織に対してキレたし、一人は世界を滅ぼそうとしたが、最終的には主人公が「自分は勇者だから辛くても戦う」と敵を殴って根性で勝った。

少年少女たちが主人公の話ならば、身近な仲間のためとか感情の動きで話が済むのだが、大人視点だとどうだろうか？『Project Rain』はたぶんそういう話であって、似た作品がないとは思わないが多少は考えておこうというお気持ちがある。

この観点での一つの取り組みは正義論だったりするのかなあと。少年少女を戦場に送るにはどういう正義論が必要なのか？そんな感じの事を思ったのでロールズの『正義論』とかノージックのアナ雪(『アナーキー・国家・ユートピア』)を読んでいます。とはいえ『正義論』難しすぎるんだけど......(比較される他の学説を知らなすぎて頻繁に気絶して44%辺りでノックアウト中。アナ雪の方がまだ読める)

※ゲーム作りが読書の動機になっている話だが、別にゲーム作りの方で答えを出そうとか全然思っていないです。何はともあれ淡々と人が苦しんだりそうでもなかったりするシュールな雰囲気が出せたらいいなあと思ってます。問題提起だけして状況が流れるままになるみたいな話も面白いよね。