ショットガンの反動で吹っ飛び、腰をいわして死ぬ最高齢虚弱殺人鬼(レビュー:『X』)
**オススメ度:★★★☆☆
1979年、テキサス。女優のマキシーンとそのマネージャーで敏腕プロデューサーのウェイン、ブロンド女優のボビー・リンとベトナム帰還兵で俳優のジャクソン、そして自主映画監督の学生RJと、その彼女で録音担当の学生ロレインの3組のカップルは、映画撮影のために借りた田舎の農場へ向かう。彼らが撮影する映画のタイトルは「農場の娘たち」。この映画でドル箱を狙う--。6人の野心はむきだしだ。そんな彼らを農場で待ち受けたのは、みすぼらしい老人のハワードだった。彼らを宿泊場所として提供した納屋へ案内する。一方、マキシーンは、母屋の窓ガラスからこちらを見つめるハワードの妻である老婆パールと目があってしまう……。そう、3組のカップルが踏み入れたのは、史上最高齢の殺人夫婦が棲む家だった--。**
https://twitter.com/cagamiincage/status/1687983575088635904
本作はかなり奇妙な作品で"オススメしにくい"。まず、このオススメしにくさからして説明が難しいのだが、作品自体は面白いのだ。面白いのだけれど、これを皆さんにオススメするにはどうすれば良いのだろう……という意味で、オススメがしにくい。私は面白かったが、皆さんが面白がってくれるのかどうかも自信がない。何が面白かったのかも言語化しにくい。言語化するとちょっと嫌な感じになるのもある。
本作の特徴をあえて言語化するなら、「既存のホラー映画の文脈やお約束をなぞるように見せかけて、少し脱線する」となるだろうか……。あらすじからは「ちょっと変わった殺人鬼スラッシャー映画」といった印象だが、それもどうも違う。冒頭に宗教右派のテレビ説教(「ふしだらな若者はサタンだ!」)を流していること、主人公たちがポルノ映画の撮影に来たことから、「性的に奔放な若者たちを宗教右派のジジババ殺人鬼が虐殺!」みたいな話かとも思うのだが、それも少し違うのである。
本作はあえて言うなら(あえて、が多いな!)「性的に奔放だが気の優しい若者たちがムラムラした変なジジババに絡まれる」話……となろうか。そして、この作品はかなり社会派のテーマを内在しているようでいて、ホラー映画のパロディでもある。
分かりやすい面白シーンを取り上げてみよう。殺人鬼のジジババが被害者たちの家のベッドで「なかよし」をしている間、襲われている被害者の女の子がベッドの下で息を潜めている……などといったシーンが出てくる。ベッドでなかよくしている若いカップルのベッドの下に殺人鬼が!の逆バージョンであり、これなどは明確にパロディであろう。
で、「性的に奔放な若者たちを宗教右派のジジババ殺人鬼が虐殺!」というメインストーリーも、これにもまたパロディ(?)が含まれている。というのは、
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