梅谷理花 2022/04/19 16:30

魔力過多と道具屋前半のあらすじ

こんにちは。今回の投稿では、2022年2月現在メイン連載長編にしている『魔力過多と道具屋 〜「私、詠唱が使えません!」「こちらの魔術道具がおすすめデス」「二人で儲けをざっくざく!!」〜』(通称魔力過多と道具屋/魔力過多)の前半部分:貯金編(第一章~第四章)のあらすじをご紹介したいと思います。

だいぶ話数が多くなってきましたから、最初から最新話まで追いかけるのが億劫だなって方は参考にしてみてくださいね。

それでは、いきましょう。長いですよ、お覚悟を。


第一章 魔術道具ってなんですか?

1.コンビ結成編(第1~6話)

ある春の夕方、主人公エスターは「魔術道具」を売っている露天商に出会いました。魔法が使えないと思っていたエスターですが、「火打石」という魔術道具で大きな火柱を立たせてしまい、魔力を使い切って気絶してしまいます。
医務室で露天商アレンと会話したエスターは、「自分は詠唱魔法が使えないだけで、魔術道具でなら魔法を使える」ということを知りました。そして、ふたりが起こした大火事事件で、アレンは宿を失い、エスターとアレンは多額の賠償金を支払って貯金がスッカスカになったことも。
エスターの部屋の隅を借りて一晩を過ごしたアレンが作ってくれたのは、「火打石・改」。エスターでも暴走させずに火の玉の魔法が使える魔術道具です。感動したエスターは、もう一晩泊まっていくようにアレンにすすめます。
そして、その夜。エスターは王都の名医に自分の「詠唱魔法が使えない」体質を治療してもらうために貯金をしている話をします。納得したアレンが翌朝提案してきたのは、ふたりでコンビを組むこと! アレンは魔術道具を作りたい。エスターは自分で魔法を使ってお金を稼ぎたい。利害が一致したふたりは、こうしてコンビを組んだのでした。

2.風車編(第7~11話)

アレンがエスターの町、ケミスの町で冒険者登録を完了させて最初に受けた依頼は、「止まっている風車を回してほしい」という依頼でした。
魔術道具製作のために下見に行くと、歯車の要の歯車を腕力と風魔法で同時に回してほしいという状況が明らかになります。
翌日、ふたりは魔術道具のもとを買いに行きます。アレンが買ったのは、耳栓と飾り扇。どんな魔術道具に変身したのかというと、耳栓は音を遠くからでも伝える「遠隔耳栓」。飾り扇はあおぐと強風を起こせる「風扇」。「遠隔耳栓」ではうっかり音量調節を失敗するお茶目シーンもありました。
さて、依頼遂行当日。ってタイミングをあわせ、風車を回そうとしますが、なぜかうまくいきません。
ひょんなことからエスターが「遠隔耳栓」に「音が伝わるタイミングに時差がある」があることに気付き、無事風車を回すことができたのでした。

第二章 渇きの夏

3.夏のはじまり編(第12~15話)

風車編から約一か月後。エスターは掲示板広場で王都の話をしている二人組に出会います。王都から来たという研究者のふたりは、隣町に行くための護衛を探している様子。
報酬は安いですが、王都の話を聞きたいエスターはふたりの護衛依頼を受けることにしました。
研究者たちが持ち帰りたがっている花はすごく繊細で、どうしたものかと困っている様子。そこでアレンが花の鮮度を保つ「鮮度鉢」を提案すると、ふたりは大感謝してそれを受け取りました。
さて、隣町に着いて、エスターたちは王都のお医者さん事情を聞くことになります。紹介料診察費込みで一万ユール、ざっと百万円はかかると言われて驚くエスター。まだまだ貯金が必要です。
宿屋が混んでいて同室になったエスターとアレンがお風呂上りにばったり会って、アレンのもっさりした前髪の奥がイケメンだったことがわかるおいしい展開もあったりします。
さて、向暑の月(6月)26日はアレンの誕生日。お祝い回があります。
エスターが用意した誕生日プレゼントは、自分の家庭菜園で採ったハーブを使ったハーブティー。アレンにその場で飲もうと誘われて、ハーブティーを楽しんだふたりなのでした。

4.マッドワーム編(第16~20話)

夏のはじまり編からやっぱり一か月後くらい。現実の暦と合わせて連載していたのでそんな感じになっています。
エスターは毎月の月末に、町いちばんの薬草商の護衛の魔力供給係をやっています。その日の朝食時、アレンにエスターも戦えるようになったのだから報酬を上げてもらえるように交渉したらどうかと言われます。
いざ交渉してみると、護衛仲間のシェリーという町いちばんの魔法士の少女が怒ってしまいます。「今回、魔物の撃退数が私と同じくらいになれたら認めてあげる」と宣戦布告をされたんだかしたんだか。
そんなわけで、森の中まで撃退数競争をやってみたものの、当然のように劣勢のエスター。この勝負、負けたらどうなるんだろう……と考えていたところで、「魔力探知球」という魔力反応を表示してくれる魔術道具にでかい表示が現れます。
様子を見に行く戦闘員組。魔物で人間の魔力を大きく超えるものはほとんどいないのにも関わらず、魔法士のシェリーの4倍も魔力があるマッドワームが襲ってきます。シェリーが喰われそうになるも、いくら戦っても傷を修復してしまうマッドワーム。
もどかしく見ていたエスターでしたが、足元に落ちている大きめの石に気付いて、今自分が持っている攻撃魔法の魔術道具、「投種器」を思い出します。マッドワームに対して相性的に強い植物魔法を放つ「投種器」は、飛ばすものの大きさで威力が変わる魔術道具。大きな石を思い切って飛ばしてみると、クリティカルヒット!
マッドワームはくわえていたシェリーを落として、戦意も喪失して、しおしおと去っていきました。
そんなこんなで薬草を採って町まで帰ってきたエスターたち。でかい魔法を放ったのに疲れていないエスターを見て、これは必要な人員だと判断され、報酬を交渉通り上げてもらえることになりました。めでたしめでたし。

5.森林火災編(第21話~第24話)

マッドワーム編が終わった週末。祈りの日、礼拝中に大きな雷が落ちて、森が火事になってしまいます。
ギルドの人々は消火活動に回るということで、エスターとアレンも現場に向かいます。延焼を防いだり火の範囲を確かめたり、いろいろしている冒険者たちですが、エスターたちはちょうどいい魔術道具を持っていません。
ポーションが湧く瓶で後方支援をしていたエスターに、人肌の温度を基準にして、それより冷たければ冷たいほど熱を発し、熱ければ熱いほど冷気を発する、そういう布を作るというアレン。なにがあっても、この布を火の上にかぶせてくださいね。
エスターサンはなにがあってもこの布を手に持ってくださいね、魔術道具は作るときにいちばん魔力を使うんですといって気絶するアレン。エスターは戸惑いながら布を手に取って――気絶。
エスターが目を覚ますと、救護テントの中。ポーションをもらってめまいから回復。救護テントから外に出ると、火がほとんど消えかけている!
魔術道具に使用魔力量の制限をあえてかけていなかったためにエスターの魔力を全部もっていった布が、鎮火をうながしていたのでありました。
後日、町長からの謝礼として1500ユールをゲットするふたり。やったね! 大儲けだ!

第三章 採集の秋

6.レイニードラゴン編(第25話~第28話)

森林火災編から約一か月後。ここ最近、町の近くの森でドラゴンが目撃されるようになっています。
エスターたちが森の入り口らへんで木の実を採りたい親子の護衛に来ていると、レイニードラゴンが出現! 木の実にドラゴンが気を取られているすきに逃げることができました。
後日、先月の森林火災の件で、王都から地理院の人がやってきます。魔物を使役する【魔術拘束】という魔法の話をするアレン。そういえばエスターサン、ドラゴンの魔力見えましたァ? 見えました。つまりドラゴンの方がエスターサンより魔力が少ないということですよネェ? おや……?
さらに後日。アレンが作った【魔術拘束】の魔術道具版、「捕獲縄」を持って森に向かうふたり。ドラゴンを捕まえて、人の入るところをうろうろしないように説得しよう!
どうにかこうにかドラゴンを捕獲。人語を解するというドラゴンは直接脳内に語り掛けてきて、モーラと名乗ります。人が入るところを案内してくれたら考えてもいいということで、森の中を案内します。道中の会話で森林火災を起こしたのがモーラだということがわかり、地理院の人に報告しないといけないのでは……? という空気に。
子供の姿に変身して、連れて行くとよい、というモーラ。おっかなびっくり連れて行って、地理院の人に会わせます。ひととおり終わって、【魔術拘束】の効果はとっくに切れていたのに、約束を守っておとなしくついてきてくれていたことが発覚します。いいドラゴンでよかったね。
ドラゴンの脅威を退けた報酬が後日2000ユール振り込まれました。また大儲けだ!

7.マンドラゴラ編(第29話~第32話)

レイニードラゴン編の一か月後。ある日、モーラが町にやってきてエスターたちを待っています。
『森の中によいところをみつけたので、そなたたちに特別に教えてやろうと思ってな』というモーラ。興味をもったふたりは、モーラについていくことにします。
森の奥の方にあったのは、マンドラゴラの花畑でした。なんでも、花の蜜がおいしいとか。
それはドラゴンの味覚では……? とか思いながらおそるおそる舐めてみると、たしかにおいしい。マンドラゴラを気絶させないと蜜が採れないので、電撃を飛ばす魔術道具を用意してまた来ることになります。
2日後。雷を飛ばす魔術道具「飛雷針」を用意してマンドラゴラの花畑に向かいますが、威力が強すぎてマンドラゴラが発火。モーラに怒られてしまいます。
翌日。威力を調節し直した「飛雷針・改」で、無事にマンドラゴラを気絶させることに成功。瓶一本分くらいの蜜が採れました。
薬草商クラウドの店に行って鑑定してもらうと、マンドラゴラの蜜にはいい効能があることが明らかに。買い取ってもらって、お金が入ります。
そして、エスターの貯金が一万ユールを超えたのでした。すごい! めでたい!

8.露店編(第33話~第36話)

マンドラゴラ編の一週間後くらい。エスターの住んでいる地方は豪雪地帯なので、そろそろ冬というこの時期に旅に出るのは得策ではない、という話になります。さらに、一万ユールぴったりだと旅費も足りません。
というわけで冬を越すまで旅に出るのはお預けにすることにします。
アレンがちょうど作り溜めていた魔術道具を露店で売ろうかと思っていますが、アレンの魔力だと実演販売するのに「火打石」くらいしかちょうどいいのがないとのこと。それじゃあ売れませんよ。
エスターサンに協力していただければ百人力ですね? え?
とまあそんなわけで、ふたりで露店をすることに。
いろんな種類の魔術道具が売れていく中、エスターのお気に入りは「標的球」。攻撃魔法を動く的に当てる練習のための魔術道具で、エスターが実演してみせると売れ行きも好調です。
一週間露店をやって、なんと完売! 感慨深そうにするアレン。出会った頃はちっとも売れていなかったのを思い出して、エスターもしみじみします。
最後にアレンが売り上げの一部をエスターに謝礼としてくれて、楽しく実演した上にお金までもらえるなんてお得だな、と思うエスターでありました。

第四章 冬ごもり

9.雪まつり編(第37話~第40話)

露店編の一か月後、一年の最後の日に雪まつりがあり、一週間前くらいからまちがそわそわし始めました。モーラも森いちばんの木が切られて運ばれてきたのを見て、町に顔を出します。一緒に雪まつりを楽しみましょう! とエスターが提案します。
雪まつり当日。午前中は出店と雪像コンテスト、三人で楽しく雪像の飾ってある家の前や出店を回ります。
夕方は雪のステージで出し物。エスターたちも出し物を出します。「映像紙芝居」という、紙芝居に魔力を込めると映像がおおきく浮かび上がる魔術道具で、客席は大盛り上がり。ギルド長から出し物の特別賞として300ユールもらいました。やったね!
夜はみんなでダンス。真ん中に飾ってある木に光の粒の魔法で飾り付けをします。これもアレンがくるくるヒョイでできる魔術道具を用意してくれていました。
男女ペアを組み替えながらダンス。エスターとアレンが組になっているときに曲が終わります。実は雪まつりのダンスには「曲の最後に好きな人と組になっていると両想いになれる」というジンクスがあるのですが、アレンには言わないでおこうと思うエスターなのでした。

10.来訪者編(第41話~第44話)

新年あけて一ヶ月経つか経たないかくらいの頃の、とある夕方。「その染めた髪、やっぱ目立つよなあ、ア・レ・ン!」と突然大きな声で呼び止められます。
アレンの先輩兼親友だと名乗るレイフという人物が登場。ドラゴンを捕まえるとんでもない魔術道具の噂を聞いたから、アレンだと思ってやってきたといいます。
話の流れで酒場に行くことに。アレンのぶんを超強いお酒のロックで頼むレイフ。そしてアレンの昔話をし始めます。アレンは王都の高等学校で一年で二年分の単位をとり、5科目で成績首位を取って、期待の新人が入ってきたと大騒ぎになったとのこと。意外とすごい人だったんですね……と感心するエスター。
しかも、アレンのように自由自在に魔術道具を作れる人は他にいないらしい。えっ!?
そんな話を聞いていたら、恥ずかしいのかお酒をぐいっと飲んだアレンががったーん! とテーブルに突っ伏しました。
潰れる第一段階、いつもの変な口調が外れるアレン。「僕もエスターさんに出会えてよかったぁ」
アレンは高等学校に付属している研究室の教授とそりがあわず、レイフが愚痴を聞いてあげていたらしい。今はエスターちゃんが肯定してくれるからきっとこいつも最高だと思うぜ、とレイフが言います。
アレンさんのプライベートについて、もっとたくさん知りたいな、と思ったエスターでありました。

11.エスター誕生日編(第45話~第48話)

来訪者編から2週間後。最近、アレンの様子がおかしいとエスターは感じています。うわの空だったり、部屋から出てこなかったり。
その日もひとりで依頼を探しに行くと、シェリーから一緒に依頼をしないかと誘われます。アレンに確認を取ると、ひとりで行ってきていいと言われてしまって、さみしいエスター。
護衛のメンバーで依頼をこなして、落ち込んでいるわけを話すと、あと一週間待ってみたら? と言われる。一週間?
そして一週間後の余寒の月(2月)19日。久しぶりに上機嫌のアレンと一緒に朝食に行くと、このあと部屋で待っていてほしいと言われます。そわ……。
部屋を訪ねてきたアレンが差し出したのは、小さな箱。お誕生日おめでとうございます!
入っていたのはエスターの瞳の色に合わせたビーズのブレスレット。これを編んでたから最近忙しかったのか、とエスターは納得します。
でもこれを編むだけで2週間もかかります? 実は魔術道具の回路を描くのに時間がかかりましてェ……。魔術道具なんですかこれ? しかし、どんな魔術道具なのかは教えてくれないアレン。使わないほうがいいくらいのものらしい。気になるエスター。
ところで、コンビを組んでけっこう経ったし、仲良くなったと思うんです。敬語外しませんか? とエスターが言い出します。交渉の結果、エスターはさん呼びのまま敬語を外し、アレンは敬語のままさん付けを外すことに。仲良し!


……以上です。(思った以上に長かった)

いかがだったでしょうか。ざっくりほのぼのな雰囲気が伝わっていれば幸いです。

予定では2022年8月頃完結予定の「魔力過多と道具屋」。いまからでも、間に合いますよ。

それでは、また次回の投稿でお会いしましょう。

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