土塊 2019/03/12 23:38

たまにはちょっと真面目な話・・・

ども、サークル土塊(つちくれ)のナマグサこと堀井です。
土塊


たまには、作品作りについて、ちょっと真面目に記事を
書いてみたいと思います。
別にやくにたつ、記事ではないかもしれませんが、
1クリエーターの考えとして、読んでいただければと思います。


■■■■■■なぜ、クソと言われるコンテンツが出来るのか?■■■■■■

漫画、アニメ、ゲーム、映画、小説にせよ、世の中には多くの人から
「クソ」とレッテルを貼られる作品は多々あります。

で、自分はゲーム会社に10年以上お世話になっていたのですが
その時に、ゲーム仲間じゃない友人によく言われたのが、


「なんで、糞ゲーって出来るの?
 みんなプロとして作ってるんだから、真面目にやれば
 糞ゲーなんて出来ないよね?」


・・・的な意見です。
まあ、当然そう思いますよね。 自分もゲーム会社に入る前は
多少なりとも同じことを思ってました。
プロと名乗る集団が、雁首そろえて作った作品が、なぜ
ぜんぜん面白くない糞ゲーになるのか?・・・と。


■■■■■■糞ゲーが出来る主な原因■■■■■■

糞ゲーが出来る主な要因はいくつかありますが、分かりやすい原因を
まず羅列すると・・・

 ①プロデューサーや企画者のセンスが古い。
 ②開発予算が、圧倒的に足りない。
 ③開発期間が、圧倒的に足りない。
 ④開発人員が足りない。
 ⑤スキルが足りない。
 ⑥開発途中に仕様が変わりすぎて、最終的なゲームのコントロールが
  誰も出来ていない。
 ⑦開発メンバーが突然消えるw

などなど、主な原因はこんな感じだと思います。


■■■■■■①プロデューサーや企画者のセンスが古い。■■■■■■

昔のゲームはかなり少数で作っていたので、立場の上下関係なく
意見交換が出来ていたので、誰かがこのままだと糞ゲーになるぞ・・・って感じて
意見を出したことが、ゲームの修正点につながる事はままありました。

ですが昨今、ゲーム開発は巨大プロジェクトになり、完全にピラミッド形式で
指示が降りてくるようになり、下っ端の意見がプロデューサーや企画者に
届く事が、ほぼなくなりました。

結果、下のものが、いくら
「これって、正直糞ゲーだよな・・・」
「これ、ゲームセンス古すぎね~?」
って薄々思っていても、それがゲーム修正に結び付かなくなってしまったのです。

だって、考えてもみて下さい。わざわざそんな事を上に伝えた結果、
プロデューサーや企画者に「こいつ、ヤな奴だな・・・」って思われたり、
ゲームを大々的に変更することになり、他の開発メンバーから
「わざわざ余計な事いいやがって、そのせいでみんなの仕事が増えるじゃねーか」
的な事を思われる危険があるので、下の者もよほどの事がない限り
上に意見を言ったりはしないのです。

情けない! と言われるかもしれませんが、クリエイターも一人一人は
ただの弱いサラリーマンなのです^^;


上記のような環境があり、結果、プロデューサーや企画者のセンスが
そのまま、ゲームに反映されてしまい、糞ゲーが生まれる時があるのです。



■■■■■■②開発予算が、圧倒的に足りない。■■■■■■

これは分かりやすいと思いますが、ゲーム会社ってよほどの大企業でない限りは
自転車操業の所が多いんです。
なので、上から来る指示が、
「予算は1億円もないけど、バイオ○ザードに負けないようなアクションゲームを
 作ってね♪」
・・・的なものがきちゃうわけです。

この状況を分かりやすくラーメン屋に例えると
「価格1000円で売れるような新作ラーメンを考えてね。 あ、だけど材料原価は
 100円以内に収めてね♪」
って言われてるようなもので、そもそもどだい、無理な話なのです。

・・・結果、無事、劣化バ○オハザードが完成し、糞ゲー認定を受けるわけですw



■■■■■■③開発期間が、圧倒的に足りない。■■■■■■

ゲーム作りも一大産業になり、ゲーム開発はスタート時から、しっかりと
ゴール(開発終了)が決められて行われるようになりました。
これは、決算の関係、株主への配慮、プロモーション計画などなど、
周りを取り巻く状況がいろいろありますから、そうせざるおえないのは
仕方がないと思いますし、そうあるべきだと思います。

ただ、ここで問題になるのが、ゲームのボリュームと
開発期間がまったく釣り合ってない事があるということです。

これは上記の「開発予算が足りない」と同じで、
本来なら約2年はかかる開発プロジェクトを
「今期の決算に間に合わせたいから、後、半年で完成させてね」
って言われても、それは最初から無理なわけです。


こうして、開発期間の無理な注文も、
糞ゲーを生み出す大きな要因になってしまうのです。



■■■■■■④開発人員が足りない。■■■■■■

これも、開発予算、開発時間が足りないのと、ほぼ同じですね。
本来なら30人規模のグループで作るべき作品を10人弱で作れって
言われても、それは無理なわけで、これも糞ゲーが生まれる大きな要因になります。

ちなみに話はちょっと脱線するかもしれませんが、上記のような事が生まれる
下地として、ゲーム開発者の待遇の変化・・・というものも
見逃せない要因になっていると思います。

長く続く不況の世の中で、雇用形態は、
 ■年俸制
 ■みなし残業性
 ■残業代にあたる賃金は、売れたゲームのインセンティブによって支払う
  (もちろん儲けが出なかった場合は、インセンティブ0円)
 ■サービス残業(完全に違法ですが、珍しくありませんw)
などなど、いろいろな形態に変化しました。

で、この変化って何故生まれたのかっていうと、凄く酷い言い方をしてしまえば
「どれだけ社員をこき使っても、会社が支払うお金は変化しない」
っていう事なんですよね。

こういった下地があるおかげで、「開発予算」「開発期間」「開発人員」が足りない
プロジェクトでも、
「それはお前らが、工夫して、プライベートの時間を使って、何とか完成させろ!」
という暗黙の空気が出来てしまい、糞ゲーができやすい環境が
最初から出来てしまうという感じになっていると思います。



■■■■■■⑤スキルが足りない。■■■■■■

スキルが足りない・・・って一応プロなのにそんな情けない理由があるの?
って思われる方もいるかと思いますが、これは何気に重要で、
これは、プロとひとくくりに言っても、それぞれのクリエイターが得意とする
スキルは結構偏っており、得意ジャンル以外の事は、いきなり素人と
同じレベルになってしまうので、結果、糞ゲーが生まれてしまう事があるのです。

これはお笑い芸人などに例えると分かりやすと思いますが、
お笑い芸人と一言でいっても、それぞれの芸人が得意な事は、結構細分化してると
思うのです。
 「フリートークが面白い芸人」
 「漫才が得意な芸人」
 「リアクションが面白い芸人」
 「ものまねが得意な芸人」
ひとくくりにお笑い芸人と言っても、得意な事は結構違ってますよね。

これと同じく、ゲームクリエイターも得意な事は実はある程度決まっているので、
「シューティングゲームを作るのが得意なチームに、RPGを作らせてみたら、
 糞ゲーが出来た。」
・・・みたな事は普通におこちゃうのです。

まあ、これを「スキルが足りない」と表現すべき事なのかは
議論の余地はあると思いますが、そういった理由でも糞ゲーは生まれてしまいます。



■■■■■■⑥開発途中に仕様が変わりすぎて、
  最終的なゲームのコントロールが誰も出来ていない。■■■■■■

ゲームの開発は、かなり長期間に及ぶことが多いので、その間に
ちょいちょい仕様変更が行われます。
それ自体は、ゲームをよりよくする為に必要な事だと思うのですが
これのコントロールをミスると、誰もゲームの最終クオリティーが
分からない危険な状態になってしまいます。

これは例えるなら、ある目的地に向かって進んでいる状態を
想像してもらえれば分かりやすいと思います。

企画スタート時は、Aという地点をゴールだと思い、皆が作業を開始します。

だけど、途中でこれだとつまらない・・・もっとこうした方が面白くなる・・・
的な事が見えてきて、仕様変更が発生します。それは道を歩く状況に例えると、

「本来ならまっすぐ進む予定だったけど、右に曲がったほうがいいんじゃない?」
「右に曲がってみたけど、それだとこんな不具合が出るから、一度立ち止まって
 進む方向をもう一度考えてみよう」
「大きなバグが出たから、このまま右に進むことは出来ない、左に曲がってみよう。」

的な感じで、つどつど進行方向を変えてるうちに、本来の目的地Aとはかけ離れた
地点にたどり着いてしまっているけど、みんなどの方向に進路を変更したか把握しきれてないから、誰もその事に気が付いてない・・・。

結果、当初の予定とはぜんぜん違う、糞ゲーげ出来上がってしまうけど、
後の祭り・・・。
発売日も迫っているし、もう発売するしかない・・・ってなり、
糞ゲーが世に出てしまう悲劇がおきるのです。



■■■■■■⑦開発メンバーが突然消えるw■■■■■■

えええ、そんな理由で糞ゲーって出来るの?
とびっくりされる方もいるかもしれませんが、これが馬鹿にならない
大きな要因になったりするんですw

分かりやすいのが、エロゲーですね。
例えば、エロゲーを開発していたとします。
作業をしてるクリエイターのうち、プログラマーや、サウンドクリエイターや、スクリプターが突然辞める事になっても、代役を探そうと思えば、探せると思うんです。

だけど、「メインデザイナー」や「メインシナリオライター」がとんずらしちゃったら
さあ大変!!

そこは、そのクリエイターのテイストが、そのままゲームの見た目、面白さに直結してる
部分なので、代役なんて簡単にみつかるわけがありません。
下手をすると、もう8割近くゲームが出来上がっているのに「開発中止」にもなりかねない緊急事態です。

そんな時、残り完成まで2割だから代役を探して、なんとかゲームを完成させて世に出してしまおう・・・ってすると、
ちぐはぐなゲームが出来てしまい、結果、糞ゲーに認定されてしまう。

他の業種とちがい、一人いなくなったから、一人補充すればいいじゃん・・・
的な対応で、フォローしきれない部分が多い特殊なゲームづくりというプロジェクトは
主要メンバーの一人が戦線離脱するだけで、いとも簡単に糞ゲーになってしまう
危険を常にはらんでいたりするのです。






以上、自分がゲーム業界に、そこそこ詳しい人間なので、
なぜ糞ゲーが出来るかの理由をザザッと書いてみました。

で、ここまで読んで下さった方は思ったはずです。
「何を当たり前の事を書いてるんだ。 とりたて目新しい事は書いてないだろ?」
・・・と。


そうなんです。何故プロ集団が集まってゲームを創っているのに
糞ゲーが出来てしまうのかは、
「当たり前の事が起こった結果、当たり前に糞ゲーになる」
という、悲しい事実なのです。

誰も、わざわざ糞ゲーを作ってやろう!なんて心の捻くれたヤツはいません。
だけど、ちょっとした行き違いや、苦しい状況が相まって
簡単に糞と言われるコンテンツは生まれてしまうのです。



業界は違いますが、今、放映されてる「けものフレンズ2」は
もともとの「けものフレンズ」ファンの自分からすると、それはそれは酷い
糞アニメになっており、多くの人が、
「前作よりも予算は増えてるはずなのに、何故、こんな作品になってしまったのか?」
と首をかしげている事でしょう。

中には、けものフレンズ2がここまで酷い作品になってしまった理由を
「たつき監督(けものフレンズを作った監督)への当てつけだ。
 たつき監督の作品を汚したいから、わざわざこんな酷いアニメを作ったんだ。」
って言ってる人もいますが、そんな馬鹿な事はおこるわけないんです。

たった一人の人間の名誉を汚すためだけに、
のべ何百人、何千人のクリエイターを巻き込み、何千万、何億円という
プロジェクト予算をつかってアニメをつくるだなんて、
かかるリスクとリターンが釣り合わないどころの話じゃありません。

大人はそこまで馬鹿じゃありませんし、そもそもそんなプロジェクトに予算を出そうというスポンサーや投資家がいるはずもありません。


なので、きっと「けものフレンズ2」のこの惨状も
糞ゲーが出来てしまう、プロセスと同じく、

「当たり前の事が起こった結果、当たり前に糞アニメになった」

悲劇だと思うのです。





・・・長々と書いてきましたが、結果、何を言いたいかというと、

「誰も、糞な作品を作ろうと思って作ってないんです。
 小さな不幸や、行き違いが生じた結果、いとも簡単に糞コンテンツは
 出来てしまうんです。」

っていう事を、言ってみたかったんです。



まあ、コンテンツを楽しむ側からしたら、
「そんな事、知ったこっちゃねーよ。 糞コンテンツを作る事を
 正当化してんじゃねーーーよ。」
って言うと思いますし、それを言われるとこちらも口をつぐむしかないです。


だけど、やっぱりこれだけは言いたい。





「糞コンテンツを作りたいクリエーターなんて一人もいない。
 みんな、面白いと言われるコンテンツを作りたくて、
 もがいてるんだ!」




って。    

・・・こんな青臭い事を書いた記事って、後日読むと
死ぬほど恥ずかしいいんだろうな~~^^;

下らない長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。


これからも、底辺クリエイターなりに頑張って行きますので、
お付き合いのほど、よろしくお願いいたします。
(こんな記事、需要あるのかなww)

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