第14回:収録の準備をしよう!! (進行豹
こんばんわです! 進行豹でございます!!!
新井健史&進行豹のお送りする 新シリーズの第一弾!
『商用フリーの100円ループ環境音 VOL.1 温泉湯船環境音(録音地:福島県飯坂温泉)』
https://www.dlsite.com/home/work/=/product_id/RJ284159.html
をつかって、わたくしシナリオライター進行豹が、
初挑戦となる音声編集を含めてまるっと一本の無償公開バイノーラルボイスコンテンツをつくってみよう! というコーナー!
『バイノーラル音声作品をつくってみよう!』
前回の第13回
https://ci-en.net/creator/4364/article/314701
では、台本初稿をクライアントさまにご提出→チェックバックをいただいて→ブラッシュアップ
という流れについての実例をご紹介させていただきました!
そちらでブラッシュアップしてご提出した台本は無事にOKをいただけ、ご納品に至りましたので、本日はいよいよ!!
『収録の準備』を開始してまいります!!!
収録にあたっては
『1:スタジオ収録を行う』
『2:演者さんに宅録をお願いする』
の、大きく2つの選択肢があるかと思います。
また、いずれの形での収録であっても
『A: 録音の仕様 (何kHz/何bitで録音して、どの形式で保存するか)』
『B: ディレクションの有無の決定』
『C: 台本プリントアウト等の手配』
が必要になるかなぁと思います。
この辺「どれが正解」というのは無いので、演者さんのご希望や予算感などにあわせてご選択されるのが一番よろしいかと存じます。
その上で、今回わたくしが行いました収録準備についてご説明申し上げます。
■ スタジオ? 宅録? どっちがいい?? ■
→わたくし個人の意見としては、スタジオ録音・ディレクションあり、の方が絶対に作品のクオリティをあげられるものと確信しております。
スタジオ録音ですと、わたくしの知っているスタジオさまの範囲においてはエンジニアさんが音周りを全部見てくださいますので、
ノイズが乗ったとか、滑舌が甘いとこがあったとかそういうところに意識をあまり向けずに、『いただいているお芝居が、そのキャラクターの声に言葉になっているか』のみに集中して聞くことができるからです。
また、何らかの「ん?」となる点が出た場合にも、それへの対応をリアルタイムで、演者さんやエンジニアさんのご意見をお伺いしつつ行うことも可能となってまいりますので。
その前提の上で。
今回に限りましては非常事態宣言うんぬんの絡みもございますし、お願いする演者さんが以前一緒にお仕事をさせていただいたときに素晴らしいお芝居をくださった≒「信頼できる方」感じておりますこともありましたので――
『宅録になったとしても必要十分なクオリティをきっと満たしていただけるだろう』とも考えました。
ので、
「スタジオ収録であればこのスタジオ様を想定しております」
「宅録いただく場合、必要あれば遠隔でのディレクションも可能です」
等々をお伝えし、演者様とのご相談の上で、スタジオ収録をすることとなりました。
■ 録音の仕様はどうすればいいの? ■
今回作るのはバイノーラルボイスコンテンツなので「バイノーラル録音」であることは確定です。
その上で、録音の仕様は 「96kHz/24bit」のハイレゾ録音にしようと考えております。
保存形式は.wav一択ですね。
.wavは無圧縮のデータ。.mp3等は圧縮されたデータです。
.wavを.mp3に変換することはできますが、.mp3から無圧縮データを復元することが「不可能」ですので、よほどの事情がないかぎり、データ保存形式は『.wav』にしておくことをおすすめ申し上げます。
ハイレゾ録音とCD音質(44.1kHz/16bit)との差異がどの程度か――というのは本当に聞く方によって左右される事項かと思いますので、ここでは論評を控えます。
その上で「サンプリング周波数(=kHZ) と量子化ビット数(=bit)は、数字を大きくすればするほど原音からカットされる要素をへらすことができるが、データ容量は跳ね上がっていく」ということだけご説明申し上げたく思います。
「高音質なら高音質の方がいいに決まってる!」と、192khz 32bitで5時間の宅録をお願いして、.wav(無圧縮)でのご納品をお願いすると、データがでかくて受け渡しに苦労する……ということもありえるかとも。
44.1kHz/16bit(CD音源)で、適正な環境とレベルで(ノイズ、音割れ等無く)録音された無圧縮データを『音質悪い!!!』と感じる耳の方はほとんどいらっしゃらないんじゃないかとも思いますので――その辺がいまひとつわからないような場合はエンジニアさんや、宅録の場合は演者さんとご相談されるのがいいと思います。
データ容量をできるだけ抑えてでハイレゾ録音をうたいたいなら、48kHz/24bitから、定義の上では「ハイレゾ」となります。
ので、どうしても決めかねるようなら『よんぱちにーよんでお願いします』といっておくものも一手かもしれません。
■ ディレクションはあったほうがいいの? ■
アクセント辞典を読めたり、アクセント辞典のアプリをいれてたりするだけでも。あるいは、アクセント辞典に乗ってない固有名詞や専門用語が台本中に存在するならそこの確認をとれるだけで、収録にクライアントサイドの人間(ここでは「サークル側ディレクター」と呼称します)が立ち会うことは、有効に作用するかと思います。
サークル側ディレクターが機能し得ることとしては、思いつくまま列記すると――
・誤字脱字の修正
・演者さんがハマってしまった場合の、文言修正
・読み間違いのチェック
・イントネーションのチェック
・その他、台本中にあるありとあらゆるミスや抜けに対する現場対応
・(初回収録であるなら)キャラクターの声と魂とを形作っていただくお手伝い(もう少し高い/低い年齢感でとか、もう少し活発/おとなしく、とかそんな感じの方向性すりあわせ)
・(お芝居の方向性を明確にイメージできているなら)いただいたお芝居がそのキャラクターのセリフとしてはズレてしまっていたりする場合の、方向性修正のお手伝いや、別の選択肢のご提案
――とか、そんな感じかと思います。
演者さんがくださる魂がバーサークしないようにだけ気をつけて。キャラクターおよび台本が壊れない範囲で一番いきいき演じていただく……みたいなところに進むお手伝いができれば、わたくし的にはめちゃくちゃうまくいったディレクション、と感じられそうな気がします。
わかんないけど! 場合によるけど! 演者さんそれぞれですけど!!!!!!
ディレクションは(わたくしもわかってないことできてないこと大量にあろうとは思うのですが、それでも今の時点での理解としては)『経験がものすごく大事』なお仕事かと思います。
ので、経験が浅くよくわかってないうちは、スタジオ様にお願いをしてスタジオ側のディレクターさんつけていただいたり。
経験豊かでそうすることに抵抗がない演者さんであれば、演者さんご自身にセルフディレクションをいただいたり――とかも、めちゃくちゃアリだと思います。
「これは僕の物語なんだから、僕が演じてほしいように演じてください!!!」も、もちろん一つの選択肢です。
のですが、なんらかの化学反応が発生して、『頭の中にある<演じてほしい姿>』より、ずーーーーーーーーっと素敵なお芝居をいただけたりすることもままあるのも、またレコーディングというものであるかとも存じますので……
演者さんと、エンジニアさんとディレクターと、みなが気持ちよく力をあわせて「よりよい作品を」という方向を目指していくのも、またとても素敵な選択肢であるかと思います。
まとめますと
・ディレクションは、きちんと行えば必ず作品のクオリティをあげる
・しかし、きちんと行えないと、作品を壊してしまう危険も普通にある
ものでございます。
なのでどうしても決めかねるようなら、『ディレクションの有無、どちらの方がやりやすいか』ということを演者さんにお伺いするのも一案かとも思います。
ただし、スタジオ様によっては「必ずクライアントサイドのディレクターを立ててください」というところもございますので、こちらについてもあらかじめ確認しておくのがよいかとも存じます。
■ 台本はプリントアウトした方がいいの? ■
ケースバイケースですが、原則的には
「発注者がプリントアウトし、事前に演者様、スタジオ様(エンジニア様)に郵送しておく」のが一番親切かと思います。
ただ、「郵送は個人情報が――」というケースも普通にありましょうので、
そうした場合は、データ送付で先様にプリントアウトいただくとか、プリントアウトを当日現場にもっていくとか、いろいろな形も出てくるかと思います。
ので、これについても、『演者さんとスタジオ様に確認しておく』といいかと思います。
またスタジオ様によってはお水もお菓子もふんだんに用意してあって「いくらでもどうぞ」というところもありますし、そういったものが一切ないところもございます。
演者さんご自身もお喉のケアのための飲み物や、収録が長時間にわたるようなら軽食などもご用意くださるかと思いますが、万が一に備えてそうしたものも多少用意しておくのも役にたつかもしれません。
余ったらおうちで食べればいいだけの話なのですから、決して無駄にはなりません。
――とか、こんな感じでございましょうか?
わたくしの浅い経験と狭い視野とで思いつくまま書いたものでございますので、なにか抜け・漏れ・錯誤等あったらすみません!
まぁ「こういう準備をする人間もいる」という程度に捉えていただけますと幸いです。
&なにかご質問等ございましたら、それがわたくしにわかるものであればお応えしますので、どぞお気軽にです!
と、いうことで本日はここまでで!
次回は「収録完了いたしました!」といければいきたく思います!
ご期待ください!
それでは!!!