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2022年 12月の記事 (1)

シトラス 2022/12/17 12:15

ツクールフォーラムアドベントカレンダー 2022 AIによるMZキャラの小説

1:はじめに
今年、novelAIやStable Diffsionnなどの画像生成AIが世間を騒がせた。
個人ゲーム制作者の間でもAIを使った素材が使われ始めているようだ。
そこで今回は、文章生成AIであるAIのべりすとを使い、ツクールMZに登場する
デフォルトキャラの小説を書いてみることにした。

2:AIのべりすとについて
AIのべりすととは、Staという人物が自作ゲームのキャラクターと会話する
Botを作るところから開発された小説生成AIである。

画像生成AIのイメージから、設定を行えばワンタッチですべての文章を
書いてくれそうにも思えるが、実際には数行しか出力されず
入力者の脳内は読み取れないので「ハリーポッターみたいな魔法学校ストーリーが
欲しい」と思っても、ツイステッドワンダーランドに近しきお話が生成される
可能性があります。

つまりいわゆる無限の猿定理で言うところの「猿が1タップでハムレットを出力する」
わけではありません。
さらにストーリーを終わらせるという概念もないようで、タップし続けると
延々ストーリーを生成する反面
突然ネット小説における「くぅ疲あとがき」を生成するケースがあるので
ある程度展開を決めておいたほうがいいです。

また自分が使った感触ではありますが「困ったときはAIに任せればいいや」
「AIが出力する展開が気に入らない」
などと思って執筆すると結果的に筆が進んでいくケースがあるので
小説を書きたい人は補助輪として利用するのがいいかもしれません。

3:設定
ツクールに付随している素材のキャラには本来設定は存在しません。
なので、ここに入力されているのは作者のオリジナル設定です
また、あらかじめ話の展開を決めておけば円滑に終わらせられるので
このような設定にしました。

メモリ:
[ノベルイン:古代遺跡。果てしなく広い。冒険者の間で有名。最奥には伝説の武具・巨万の富・失われた知識・禁忌の秘密があるらしい。奥に行くほど危険なモンスターがいる。街を建築整備する魔動機械が無秩序に動くので毎回地形が変わる]

書き出し:
ここはノベルイン。冒険者の間では有名な古代遺跡だ。
奥へ行くほど危険なモンスターが跋扈しているが、そこには伝説の武具、巨万の富
失われた知識、世界の禁忌が眠ると言われている。

今日も遺跡に挑む冒険者たちが、酒場で自己紹介をしている。一期一会の
関係とはいえ命を預け合うので重要な行為なのだ。

「私は〇〇です〜

* 〜の部分以降をAIで生成。ただし設定が矛盾する場合、書き換える。

基本展開:
自己紹介などの準備パート
ダンジョンに突入
道中で戦闘
ダンジョンを進む
ボスキャラ出現
お宝を入手
探索終了のエピローグ

ただし、展開によってはボス級の敵がいきなり出現するケースがあったり
自己紹介を延々繰り返したりします。
特に後者であれば、追記・修正を行って遺跡に突入させます。

キャラクターブック:
AIのべりすとでは「キャラクターブック」という機能があり、これを使うことにより
キャラの設定における矛盾を少なくすることができます。
例えば、黒髪の女性キャラがいたとしても何も設定していなければこのキャラを
「金髪のマッチョ男性」として出力する可能性があるのでそれを和らげるため
ここに設定を入力します。

また、キャラクターだけでなく世界観における用語の設定を書くこともできます。
例えば獣人のキャラクターが複数いる場合、執筆する世界において獣人が
どういう存在なのかここに書いておけば矛盾を減らすことができ
書き方はこのようになります。

タグ:
本文中にこの言葉が出現したとき、下の説明を情報として渡すことができる。

説明:
タグがどういうものか説明する。ブラケットとも呼ばれる [] 型の括弧で囲んで
[タグ名:要素1。要素2。要素3] という風に書き込むことが推奨されている。

ツクールMZキャラに関するキャラクターブックの記述:

プリシア
[プリシア:女性。魔法剣士。魔法が得意。慎重派。茶髪。使用武器は魔剣]

ミリアム
[ミリアム:女性。盗技士。辛いものが好き。赤髪。使用武器はナイフ]

ケイシー
[ケイシー:女性。魔術士。お金に厳しい。金髪。使用武器は杖]

ローザ
[ローザ:女性。神官。大食い。緑髪。使用武器はメイス]

4:小説本編
さて、いよいよ小説本編をAIに書かせてみましょう。基本的にはAIが出力するままに
任せ致命的な矛盾が出たときに限って修正を行います。


ここはノベルイン。冒険者の間では有名な古代遺跡だ。
奥へ行くほど危険なモンスターが跋扈しているが、そこには伝説の武具、巨万の富
失われた知識、世界の禁忌が眠ると言われている。
今日も遺跡に挑む冒険者たちが、酒場で自己紹介をしている。一期一会の関係とはいえ
命を預け合うので、重要な行為なのだ。

「私はプリシアです。前衛と後衛どちらもできます」
「アタシはミリアムよ。盗賊だから敵を見つけ次第攻撃できるわ」
「ボクはケイシーだよ! 魔術士だから後方からの支援ができるんだ!」
「ワタクシはローザなのー。神官なので回復も支援もできるのー」

自己紹介を終えた4人は早速ダンジョンへ入っていく。
薄暗い通路を抜けて、広い部屋に出ると巨大なゴーレムがいた。

「あれは……ギガントゴーレム!?」
「ちょっ! あんなデカいの倒せるわけないじゃない!!」
「うわあああ!! 逃げよう!!!」
「あらー? これはピンチなのかしら?」

ギガントゴーレムは強靭な肉体を持つ巨大ゴーレムである。
その体は岩のように硬く、並大抵の攻撃では傷をつけることすらできない。
しかし、このパーティは今まで数々の死線を潜り抜けてきた猛者である。
今更恐れる必要などなかった。

「じゃあ行くぜ、瞬駆刃!」
ミリアムは素早い動きで、ゴーレムに刃を突き立てる。
しかし、頑丈な装甲相手にはびくともしなかった。

「物理攻撃が効かないんだったら、魔法で行きましょう! みんな!」
プリシアの言葉と共に、魔法を使えないミリアム以外が詠唱を始める。
「火炎魔法(ブリュレイ)!!」
「風刃魔法(ラファリィ)!!」
「雷撃魔法(トゥネイル)なのー」

3つの魔法がギガントゴーレムに命中した。だが、あまり効いている様子はない。
「そんな……嘘でしょう?」
「こんなに硬いなんて聞いてないぞ!」
「もうダメなのー」

絶望する3人に向かってギガントゴーレムは拳を振り下ろす。
その衝撃が、遺跡の床を揺るがした。

「きゃあっ!」
「くそっ!」
「うぅ……」
「あらら??」

吹き飛ばされた4人の体が壁に打ち付けられる。幸いにも全員
一命をとりとめることができた。
しかし、倒れたまま起き上がることができない。

「まずいわね……。このままだと全滅してしまうわ」
「どうすればいいんだよぉ?」

ケイシーは、部屋の片隅に転がる別のゴーレムを見つけ、思い出した。
「そういえば、あのゴーレムって起動者が操れる古代兵器だって聞いたことがあるの」
「えぇっ!? なら、起動させれば勝てるんじゃ……」
「でも起動方法がわからないのー」

4人が話している間にも、ギガントゴーレムは再び動き出す。
「こうなったらやるしかないわ! 私が囮になるから
その間に起動してちょうだい!」

「おい待てよプリシア!!」
「それしか方法がないのー」
「わかった……やってやろうじゃないの!」
「ありがとうございます」

プリシアは1人で走り出し、ギガントゴーレムを挑発する。
「こっちよ! 来なさい!!」

ゴオオオォッ!!!

「くっ……速い!!」
ギガントゴーレムの攻撃をギリギリで避ける。
反撃をする余裕もなく、ただ逃げることだけに集中する。

「早く来て……みんな!!」
必死に逃げ回るプリシアの前に、ついにギガントゴーレムが
立ちはだかり腕が振り下ろされる。

「やった!! 起動できたよ!」
そのとき、より巨大なゴーレムが現れてギガントゴーレムを殴り飛ばした。
ミリアム、ケイシー、ローザがウルトラゴーレムを起動し、制御下に置いたのだ。

「これで終わりよ!! 食らいなさい!!」
ケイシーたちが操作するウルトラゴーレムが渾身の一撃を放ち
ギガントゴーレムを粉々にした。
「ふぅ……なんとか勝ったわね」
「助かった。ありがとう」

「いやぁ、危なかったよ」
「死ぬかと思ったのー」
こうしてパーティは危機を乗り越えた。
しかし、先程の戦いで心身ともに消耗したので
いったん帰ることにした。
もちろん、粉砕されたゴーレムのパーツをしっかりいただいている。
それを冒険者ギルドに納品し、幾ばくの報酬をもらい
装備の新調としばしの宴を楽しんだ。


5:おわりに
これで、AIを使った小説を書くことができた。
初版ではミリアムが活躍していなかったので追記したものの
なかなか迫力のあるお話になったと思っています。

AIと創作に関しては、未だに賛否両論ありますが
何でも第一線で活躍している人ほど、新しいものに対しての
嗅覚が強い傾向は感じられるので、毛嫌いするのではなく
平等に受け入れるかを決められるのが大事だと考えています。

それではこれで、記事を終わらせます。
ありがとうございました。

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