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シャープペンの記事 (12)

シャープペン10本勝負!コラム スペックシートの読み方

あるといいのに、スペックシート

シャープペン10本勝負!では可能な限り正確な判定を下すため、スペックシートにおいて公平さを追求しています。しかし文房具メーカーはなかなかこういう細かいところまで書いてくれなくて…。確かに細かなスペックシートなんてなくても、いいシャープペンであることには変わりないのかもしれません。しかし、ないものは作りたくなるのが人間ってものでしょ。そしてせっかく作るなら気合い入れないと~。

名前、メーカー

名前は軸に記載されているものを優先して、正式名称もしくは予想される読み方をカタカナで書くようにしています。これは検索に便利という理由もあって、情報をカタカナ表記で検索して見つからなくても、ローマ字表記で検索すると出てくる…なんてことがしばしばあるからです。そう、シャープペンを使うのは日本人だけではありません。

メーカーについては一部のマイナーメーカーを除きカタカナ表記で統一してます。読みの情報は意外と見つからなくてたまに当てずっぽうで書いてしまうこともありますが、それはそれでみなさんからツッコミが来るのでためになるものなのです。

芯径

0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.9mm、1.3mm、1.4mmなど、指定された芯径をそのまま書いてます。一部海外製品には規格の都合上0.35mm(=0.3mm)や1.0mm(=0.9mm)と表記されているものが存在しますが、そこはわかりにくくならない程度にツッコミを入れるくらいですね…。

なお、今回のシャープペン10本勝負に関しては、芯径2.0mm以上のシャープペン(2.0mmシャープペン、芯ホルダーなど)に関しては扱わないことにしてます。そちらは別枠として、また後の機会にでもお話できるといいな。

長さ、太さ、重さ、重心

長さ、太さ、重さに関しては数字で書いてもなかなか実感がわかないところで、どの程度なのかを7段階に分けて書くようにしてます。とは言っても世界規模のシャープペン統計に基づく立派なものではなくて、あくまでいろんなシャープペンを使ってみた自分の経験に基づくざっくりな基準なんですけどね。

値はそれぞれ実測値で、時々文房具メーカーが発表しているものと異なることがあります。改めて実測してみると自分が実測した値とほとんどずれないところもあり、明らかにずれた値を平気で発表するところもありと、考え方が見えてくるところだったりもします。やってみることで想定外のものが見えてくる、楽しいじゃありませんか。

※基準は変更されることがあります。ご了承ください。

長さ

芯の周囲を覆っているパイプを最大まで伸ばし、芯を出さない状態の長さを普通の定規で測定します。軸が大きく伸縮する場合は最長と最短の両方を測定します。太さや重さに比べると書き味に大きく影響しない印象ですが、意外なところでこの長さが効いてるんだな~と思うことがあります。もちろん長すぎると収納に困るし、短すぎると支えにくいというのもあるでしょう。だいたい見たらわかるけどね。

太さ

ミドリの厚みを測れる定規で軸とグリップ部の直径を測定します。ちゃんとしたノギスもありますが、そこまで精度が要求されるものでもないので楽してもいいかなと…。位置によって異なる場合は最大3ヶ所測定します。どこまでが太軸でどこまでが細軸というのは人によっていろいろあると思いますが、今回はあえて自主基準で落としどころを決めてます。本当は形状についてもいくつかパターンを分けられるといいんでしょうけど、なかなかね…。

重さ

手元のキッチン用はかりで芯が1本入った状態の重さを測定します。クリップが容易に着脱可能な場合はクリップを付けた状態と外した状態の両方を測定します。0.1g単位で書くとそれっぽく見えますが、0.1g単位の重さに大きな意味はなく、書いてみると同じ重さでも軽く感じたり重く感じたりします。人間の感覚はあいまいなもので、その日の気分によっても違うのが困ったところです。

重心

ペンを指の上に置き、水平になってバランスが取れる位置が軸の中心からどのくらいずれているかを定規で測定します。いわゆる天秤法とでも言えばいいのでしょうか。本来の重心位置は持ち方によって異なるものです。しかも同じ重心位置でも重量配分の違いによって安定感や動かしやすさが異なるため、書きやすさの明確な基準にはなりません。あくまで傾向の1つというところでしょうか。

文房具メーカーはやたらと低重心という言葉を使いたがりますが、太さや重さと同様に、前重心(低重心)だから書きやすい、後重心(高重心)だから書きにくいという単純なものではないのでご注意ください。後重心な多機能ペン、ゼブラのクリップ-オン マルチをこの上なく好んで使うイラストレーターさんもいるんですよ…。

買える?

記事更新段階で買えるかどうか、どのくらい買いやすいかの目安です。データは時間とともに古くなるものです。更新日をよく見て判断してください。それと、欲しいと思ったシャープペンは店頭から姿を消さないうちに買っておきましょう。店頭から消えてからレアだの高値だの転売だの騒いだところで文房具メーカーにとって何もいいことはないのです。シャープペンは入れ替わりが激しい商品で、欲しい時が買い時です。くれぐれも逃さないように…。

毎回すみっコぐらしのぬいぐるみがあるのはなぜ?

記事一覧のサムネイルが棒1本になってしまい味気ないからです。

すみっコぐらしの開発元、サンエックスは意外なほど長い歴史を持つ文房具メーカーで、文房具好きとしても親近感あります。油断すると増えるそうなので気をつけないと~。

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シャープペン10本勝負!第3回 ロットリング「rapid」

シャープペン10本勝負!第3回はロットリングの変わりものです。ダブルノックに回転繰り出し式消しゴム付き、このギミックに引っ張られるんですよね…。

スペックシート

  • 名前:rapid(ラピッド)
  • メーカー:ロットリング
  • 価格:700円(税抜) ※購入当時は500円(税抜)でした
  • 芯径:0.3mm(0.5mm、0.7mmもあります)
    ※表記は0.35mmですが、0.3mmの替芯が使えます。
  • 長さ:通常時 約15.1cm(やや長い) / 収納時 14.9mm(普通)
  • 太さ:軸 約9.4mm(普通) / グリップ 約10.0mm~10.5mm(普通~やや太い)
  • 重さ:クリップ付き 約12.8g(普通) / クリップなし 約11.1g(やや軽い)
  • 重心:クリップ付き やや前重心 / クリップなし 前重心
  • 買える?:買えますが、売ってるお店は少ないかも(2020/6/20)

ひとめぼれの機能美

あの東急ハンズが札幌にオープンすると聞いて、いてもたってもいられなかったあの頃。当時はまだ高校生で、行きたいと言ってもなかなか行かせてもらえることができず、だからと言って自分のお金と足で行くことはできず、初上陸を果たしたのはオープンから数ヶ月、夏休みになってからの話でした。

すでに行き慣れた石田文具や大丸藤井セントラルとはひと味違った明るく洗練された雰囲気の文房具コーナーで、少ないおこづかいの中で何を買おうかと3時間近く歩き回ってあれでもない、これでもないと選び抜くのはとても楽しかったのを覚えてます。そんな中で一番最初に見つけたのがこのrapid。ダブルノック式、回転繰り出し式消しゴム、それでいてたったの500円(税抜)(※現在は700円(税抜)に値上がりしてます)。そんな機能美にひとめぼれしてしまったのです。思えば初めてのロットリングでした。



好きなのは0.5mmと0.7mmですが、今回は新しい型の現物でロゴがきれいなものが見当たらなかったので0.3mm(=0.35mm)の写真で代用してます。引き出しの奥から出てきたら差し替えるかもしれません。

ペン先、グリップ、書き味

まず最初に衝撃を受けたのはダブルノックの感触でした。強く(深く)ノックして内側の先端部が一気に繰り出され、弱く(浅く)ノックして芯を出す。そんなダブルノック式のシャープペンは初めてではありませんでしたが、ここまでしっかりした機構を味わったことはありませんでした。バネが強いので油断すると先端部収納時にノック部がロケットのように吹っ飛びますが、そこはご愛敬というところ。ダブルノックで繰り出された内側の先端部には約3mmのガイドパイプが付いていて、筆記用シャープペンでありながら製図用シャープペンのような見通しの良さを持っています。

グリップは縦に8本の凸ラインが入ったラバーグリップで、大きくボコッと飛び出したラインにはやや独特の感触があります。形としてはわずかな流線型で、グリップの下部で約10.0mm、中心部で約10.1mm、上部で約10.5mmと、中心部から上にいくとやや太くなっています。グリップ部の長さは約3.8mmと、こちらは普通くらいでしょうか。素材としてはやや硬めのラバーグリップで、大きく飛び出したラインの奥には細かな凹凸が施されていてサラサラとした感触があり、見れば見るほど不思議なグリップです。この感触だけでもこのシャープペンだけの個性的なものと思って差し支えないでしょう。

発売当初のものはラバーグリップにも関わらず革のような上質感がありましたが現在のものはそこまでの好感触はなく、比べてみるとややベタ付きが気になるところ。安定感はあるんですけどね。昔更新してた文房具サイトの掲示板でwabyさん(※)が教えてくれたのがなつかしいなぁ~。

個性的なグリップはやや人を選ぶところがありますが、ダブルノック式でありながら信じられないほどの安定感とやや前寄りの重心で、力まかせにガンガン書き進めるにはもってこいのシャープペンです。書きやすさはもちろんのこと、書き味としても機能としても個性のかたまりみたいなシャープペンで、何より書いてて飽きないのが最大の魅力かなと思ってます。



wabyさんはフルネームで呼ぶとwabysabyさんらしいです。たまにwbayさんになってることもありましたね…。現在は信頼文具舗の和田さんと言った方が通りがいいと思いますが、個人的にはやっぱり和田さんよりもwabyさんなのです。

クリップ、キャップ、消しゴム

クリップは真ん中にスリットが入ったもので、DRAFIXと比べるとだいぶ長めで手に引っかかって邪魔になってしまう人もいるかもしれません。邪魔にはなりますが、簡単に外すことができるのがいいところ。どうしても気になる人は勇気を持ってクリップを回しながらぐいっと外してみましょう。クリップの付け外しで重さや重心が変わるので、自分の好きなスタイルで使っていくのがいいと思います。個人的にはクリップの長さには目をつぶって、クリップを付けたままで使うのが好きです。

キャップは回転繰り出し式消しゴムユニットになっていて、上から見て時計回りに回すと消しゴムが繰り出され、反時計回りに回すと消しゴムが収納されます。細めではありますが、一般的なシャープペンに付いているおまけ程度の消しゴムではなく、十分な実用性を持つ消しゴムで、気兼ねなくガンガン使うことができます。標準の消しゴムは消字力がいまひとつですが、トンボ鉛筆「MONO KNOCK 3.8」用リフィルなど、3.8mm径の消しゴムリフィルを使うとかなり改善されます。純正品よりも安いし消える。文句なしですね。

変わったところではタジマ「すみつけクレヨン」のリフィルが3.8mm径になっていて、マーキングに使うという荒技もあります。ユニットを外してガンガン書き込むことができるのも魅力の1つ。ノック感はDRAFIXと比べてやや重めですが、そこはダブルノック機能に免じて許して…もらえるかな…。

チャック、安定感、そしてかる~く分解

内側の先端部を外すと小さいチャックが見えます。3分割の金属チャックで、この価格帯ではごく一般的なものです。しかしこのシャープペン、分解がなかなか困難でして…。好奇心で分解してしまうと再起不能になってしまう可能性すらあります。芯が詰まってしまった時はとりあえず他のシャープペンの消しゴムに付いてるクリーナーピンを見つけてトントンと突いてやり過ごすのが第一選択でしょう。あくまで分解は最終手段。メンテナンス性としては不安が残ります。

もしどうしてもチャックに詰まった芯を分解してかき出したい場合、ポイントになるのはいかに内側の先端部を分解するかで、うまくやらないと空回りして外すことができません。ダブルノックで強くノックして内側の先端部を繰り出した状態で外側の先端部を外してロックが解除されないように気を配りつつ内側の先端部を分解するか、外側の先端部を外した後でノック部を強く押しながら内側の先端部を分解するかのどちらかで、どちらにしても敷居が高い話です。どちらの場合も中に入ってるスプリングをなくさないようにね…。

分解すると本体、内側の先端部、外側の先端部、大きめのスプリング、クリップ、消しゴム、回転繰り出し式消しゴムユニットと、パーツ数は多いので分解したい人はうっかり落としてなくさないように気をつけましょう。ちゃんと分解すると軸の真ん中からペン先側とクリップ側に分解できたり内側の芯を収納するパイプと回転繰り出し式消しゴムユニットをつなぐパーツが出てきたり赤リングが外せたりするのですが、そこはお察しくださいとでも言っておきますか。分解は上級者向けなので、自信のある人以外は手を出さないのが無難です。700円(税抜)もするシャープペンがただの置物になっても知りませんよ…。

バリエーション

0.3mm(=0.35mm)、0.5mm、0.7mmと芯径違いで3種類のバリエーションが選べるのはありがたいところです。せっかくなら0.9mmも欲しかったけどね。カラーバリエーションは特に用意されてないあたりが無骨なロットリングらしさを感じます。古いものはクリップにrotringの刻印があったり、先端部とグリップの間に溝があったり、ロゴが違ってたりと微妙な違いがいくつかありますが、やはり一番大きいのはグリップの質感の違いでしょう。値上げついでにグリップを昔の質感に戻してくれるとうれしかったんだけどな…。

まとめ

うれしい!

  • このシャープペンにしかない独特な感触と安定感の両立。
  • ダブルノック+回転繰り出し式消しゴムという機能性の高さ。
  • クリップの着脱が容易。

物足りない!

  • ややベタ付きが多いグリップ。独特の形状や感触も好みが分かれる。
  • ひと通り分解は可能だが、慣れてない人には困難。メンテナンス性に課題あり。
  • 油断するとペン先収納時にキャップが吹っ飛ぶぞ!

評価

  • 作りの良さ:★★★★ 20/25
  • 感触の良さ:★★★★ 20/25
  • お買い得感:★★★☆ 17/25
  • 書きやすさ:★★★★☆ 22/25
  • 合計 79点

個性のかたまりのようなシャープペン。こう言うのが一番適切でしょう。クセは強いですが、このシャープペンにしかない持ち味がはまる人にはとことんはまる1本です。ちなみに上位版のrapid PROというのもありますが、持ち味の個性的なグリップもダブルノックも回転繰り出し式消しゴムもなく、手軽さと機能性の両立を求める人にはおすすめできない別物となっています。やっぱり普通のrapidが最高ですよ。

次回予告

叩かれても痛くないくらい軽いんです。

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シャープペン10本勝負!第2回 パイロット「S3」

シャープペン10本勝負!第2回はロングセラーのあのシャープペンです。学校、仕事、趣味といろんなところでお世話になってる人もきっと多いはず…。

スペックシート

  • 名前:S3(エススリー)
  • メーカー:パイロット
  • 価格:300円(税抜)
  • 芯径:0.5mm(0.3mm、0.4mm、0.7mm、0.9mmもあります)
  • 長さ:約14.5cm(普通)
  • 太さ:軸 約8.2mm~10.0mm(普通) / グリップ 約9.3mm~10.0mm(普通)
  • 重さ:クリップ付き 約10.8g(やや軽い) / クリップなし 約9.7g(軽い)
  • 重心:クリップ付き ほぼ中心、クリップなし やや前重心
  • 買える?:買えます!(2020/6/18)

店頭にて、電撃が走る

パイロットS3との出会いは学生の頃でした。いつものように行きつけの書店に行き、思う存分雑誌を立ち読みした後に文房具コーナーでシャープペンを見ていたら、そこにはできたてホヤホヤの新製品として色鮮やかなシャープペンが並んでいたのです。当時はiMacの大ヒットで何でもかんでもクリアカラー、何でもかんでも太軸ラバーグリップの時代。そんな中で濃いめのクリアカラーでラバーグリップですらない細軸のシャープペンですよ。見た目からしてすでにただものではない雰囲気が漂っていたのです。

当時のパイロットの低価格製図用シャープペンというといまいちパッとしない印象があり、買うべきか買わざるべきかを迷うくらいの存在でしたが、このS3は持った瞬間に「あっ…これは…」というインパクトがあり、書いてみてビビッと電撃が走るくらいの完成度。貧乏学生の財布の中には400円しかありませんでしたが、完敗です。もうこれは買うしかありませんでした。迷いに迷ってトウメイレッド、トウメイブルー、トウメイイエロー、トウメイグリーン、トウメイブラックという戦隊感漂うネーミングの5色の中から1本、トウメイブルー(青)の0.7mmをチョイスしたのです。

現在は戦隊感漂うネーミングはやめてしまい普通の名前になってしまいましたが、あくまで自分の愛機がトウメイブルーの0.7mmであることは変わりないのです。いつのまにかカラーラインナップも一気に増え、今回はパイロット伝統のノンカラー(透明)で写真を撮ってみた次第です。いやその、透明なら中身がよりわかりやすいような気がしてね。ノンカラーと言いつつほんの少しだけ紫が入っていてきれいなんですよ、この色。

ペン先、グリップ、書き味

製図用シャープペンということでペン先には円筒状で長さ約3.8mmのガイドパイプが付いていて、手元が見やすくなってます。DRAFIXと比べるとわずかに短めに見えますが、誤差程度と思っていいでしょう。先端部は直線的で、シンプルな製図用シャープペンです。

グリップは樹脂に20本の溝が刻まれていて、先端から上にいくほど溝の間隔が広くなっています。溝が入った部分の長さは約5.1cmと長く、持ち方の自由度が高いです。形としてはわずかな流線型になっていて、グリップの下部で約9.3mm、中心部で約9.6mm、上部で約10.0mmと、先端から上にいくほど少しずつ太くなっていきます。このほんのわずかのチューニングがこの上ない快適さを実現していると言ってもいいでしょう。溝にしても流線型にしても、飾りじゃないんです。長時間使い続けると少しベタ付く感じはありますが、それでもこの指に吸い付くような感触はただものではありません。

製図用シャープペンではありますが、濃さ表示部(インジケーター)は軸にもキャップにも付いてません。物足りない気はしますが、邪魔にならないので書き味に全力投球できるのもいいところではないでしょうか。グリップの上にあるおへそのようなポッチは転がり防止の役割を果たしていて、クリップを外す人にも優しい仕様です。

見通しの良いペン先、吸い付くようなグリップ感、約10.8gの程良い軽快さ。短時間でも長時間でも十分すぎるほどのパフォーマンスを発揮します。書き味については言うことなしで、店頭にこんなに書きやすいシャープペンがあるのに下手なレアものをオークションで買う必要性があるのか?とまで思ってしまうくらいです。

クリップ、キャップ、消しゴム

クリップは見たまんまのシンプルなもので、DRAFIXよりもさらに短めなものとなっています。ほとんど邪魔にならない上に、簡単に外すことができるのもいいところ。クリップの付け外しで軸に傷が付くようなこともほとんどないでしょう。クリップを付けた状態でも外した状態でも楽しめる、まさに一粒で二度おいしいシャープペンというところ。ただでさえおいしいのに~。個人的にはクリップを外した状態で使うのが好きです。

キャップは特に芯径がプリントされているわけではなく、金属キャップに樹脂がかぶさったシンプルなものです。パイロットは金属キャップにかぶせるのが好きな印象があるのですが、どうなのでしょう~。ノック感は重すぎず軽すぎず、いい感触です。繰り出し量としてはDRAFIXよりわずかに短めというところでしょうか。気にするようなものではないと思います。

キャップの中には白い消しゴムが入ってました。十分に消える消しゴムで非常用として使うのがいいでしょう。よく使う人のために別売でも用意されているようです。300円(税抜)にも関わらずクリーナーピン付きなのはお得感高く、素直にうれしいところですね。軸の内側が芯の粉で汚れると掃除するにも掃除できないのが泣きどころだったりしますが、最近は汚れが気になる人のために不透明モデルも発売されています。0.5mmだけとは言わず、全ての芯径で不透明モデルがあるといいんですけどね…。

チャック、安定感、そしてかる~く分解

先端部はくるっと回すと外れるようになってます。新品は少しきつめにはまっていて、外れない場合は輪ゴムを巻き付けてから回すと楽に外すことができると思います。この手のシャープペンでは一般的な3分割の金属チャックですね。例によってごくまれに短い芯がチャックに引っかかってしまい誤作動を起こしますが、どうも少し荒っぽいところがあって、特に0.3mmは誤作動を起こしやすいようです。先端部を外すことができるので比較的修理しやすい部類にはなりますが、分解が苦手な人は0.5mmより太い芯が無難かもしれません。消しゴムにクリーナーピンが付いているのでまず先端部を外す前に突っついてみることもできます。

分解すると本体、先端部、クリップ、消しゴム、キャップと分かれます。チャックや内側の芯が入るパイプ部分をはさむように上下から軸がはめ込まれているというおなじみの構造ですね。本当はもう少し分解できたらなぁと思うのですが、これでもかというくらいバーゲンプライスなシャープペンです。わがままは言わないことにしましょう。

バリエーション

0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.7mm、0.9mmと芯径違いで5種類のバリエーションが充実しているのはありがたいことでしょう。しかし5種類のバリエーションがそろうのは透明ブラックのみで、他の色に関しては0.5mm、0.3mmを中心に一部の芯径しか用意されていないのがやや中途半端なところ。忘れてしまいそうになりますが、ガイドパイプ1.5mmの筆記用タイプが発売されていた時期がありました。ちょっとだけ新感覚な使い心地が好きだったのに、いつのまにかいなくなっちゃいましたね…。

まとめ

うれしい!

  • 見通しの良いペン先、自由度が高く吸い付くようなグリップ感と安定感。
  • クリップの着脱が容易で、クリップを外しても軸が転がりにくい。
  • 先端部が分解できるため比較的修理しやすい。

物足りない!

  • やや荒っぽい構造で、0.3mmに関しては詰まりやすさが気になる。
  • 内側から軸が汚れると掃除が極めて困難。
  • 濃さ表示部(インジケーター)がない。バリエーションが中途半端でわかりにくい。

評価

  • 作りの良さ:★★★★ 20/25
  • 感触の良さ:★★★★★ 25/25
  • お買い得感:★★★★★ 25/25
  • 書きやすさ:★★★★☆ 22/25
  • 合計 92点

太軸ラバーグリップ全盛期から文房具ブームの今までをずっと一線級で戦い続けているロングセラー。これはもう、強いとしか言えないです。300円(税抜)にも関わらず筆記、製図、描画、どんなジャンルでも戦えるオールマイティーな1本。はたして生きてるうちにこのシャープペンを超える完成度のものが出てくるのでしょうか…。

次回予告

次回は飛び道具です。男子はこういうの好きなんだよなぁ~。

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シャープペン10本勝負!第1回 ぺんてる「SHARPLET 500」

シャープペン10本勝負!第1回はレトロな縦縞シャープペンです。

スペックシート

  • 名前:SHARPLET 500(シャープレット500)
  • メーカー:ぺんてる
  • 価格:500円(税抜)
  • 芯径:0.5mm
  • 長さ:約13.9cm(やや短い)
  • 太さ:グリップ 約9.2mm(普通) / 軸 約7.9mm(やや細い)
  • 重さ:約9.6g(軽い)
  • 重心:わずかに後寄り
  • 買える?:すでに製造終了。入手困難です。(2020/6/12)

遠征先のデパートにて

ぺんてるの500円シャープペン、SHARPLET 500です。500なので500円(税抜)。値段がわかりやすいと店員さんとしてもうれしいのでしょう。小学6年生か中学1年生くらいの頃に札幌まで遠征に行く機会があって、試合が終わった後にデパートの文房具売場に行って「おっ、おもしろそうなのあるじゃん!」とおこづかいで買ったシャープペンでした。

しばらく気に入って使っていたのですが、ある日突然姿が見えなくなってしまい、あのシャープペンはどこに行ったんだろうとカバンの中を探したり、家の中を探したり…。半年ほど出てこないまま時が過ぎ、大掃除の時にベッドの下に落っこちていたのを見つけたのです。ベッドの下にえっちな本を入れた覚えはありませんが…。それからはもう、なくさないようにと心に決め、今に至ります。

ペン先、グリップ、書き味

先端部は至ってシンプルな円錐状で、2mmのガイドパイプが付いています。4mmのガイドパイプが付いたDRAFIXと比べると少し手元が見にくい感じはありますが、一般的な筆記用シャープペンと比べると十分な見通しが確保されているため、さほど気になりませんでした。機能的にはシンプルなノック式シャープペンで特にこれと言ったものはありませんが、500円(税抜)としては十分な感触です。

個性的なのはグリップで、固めのラバーグリップに縦には深く、横には細かく溝が入ってます。縦に12本、横に56本。緻密な計算の上でここまで溝を刻んだのかと思うと頭が下がる限りです。DRAFIXよりはややソフトなグリップ感ですがベタ付きは一切なく、力を入れすぎても指が痛くなるようなことはありません。グリップ部がやや短く持つ位置が制限されてしまうのが難点でしょうか。

わずかに後重心ではありますが書き味としては快適そのもので、ちょうどいいグリップ感と10gを切る軽快さが持ち味となってます。0.5mmのシャープペンではBを使うことが多いのですが、このシャープペンはHBで薄く書いていくのが好みだったりします。同価格帯の製図用シャープペンと比べてもひけを取らない安定感はさすがのぺんてるというところ。この時代のぺんてるが作るシャープペンは製図用に限らず、300~500円の筆記用でも油断できない完成度なのです。

クリップ、キャップ、消しゴム

クリップは左から下に向かって伸びていくデザインで、他にはない個性を放っています。今でもほとんど見ない形で、普通のシャープペンのように見せかけて普通では終わらせないぞ!という意欲を感じますね。機能的にも左側が平面になることで転がり防止の役割を果たしていて、見た目と実用性を兼ねた優秀なクリップと言えるのではないでしょうか。少し長めなので指に引っかかるのが気になる人がいるかもしれませんが、一応外すことはできます。しかしクリップを外すと見た目としても機能としても損なわれてしまうのが惜しいところかな…。

キャップは一般的な円筒状のもので、少しきつめな感じはあるもののしっかりしてます。ノック感も重すぎず軽すぎず、一般的なところでしょう。1回のノックで芯が繰り出される量はやや短めかもしれません。軸には黒と銀の縦縞にモダンなロゴがプリントされていてなかなかいい雰囲気が漂ってますが、ここがとても悲しい泣きどころ。使ってるうちにどんどん削れてしまいます。日に日にロゴが削れていく痛々しい姿を見るのが嫌になって、結局ロゴを全部削ってしまいました。当時の技術や500円(税抜)という価格を考えてもひどいもので、せっかくの意欲作なのにもったいない限りです。

消しゴムは昔のシャープペンによくある青緑色のものが入ってます。当時はそこそこ消えていたはずですが、さすがに今ではさっぱりですね…。サイズとしては一般的なものなので、どうしても消しゴムを使いたい人は文房具店に持ち込んで相談してみるとぴったりな消しゴムが見つかることでしょう。

チャック、安定感、そしてかる~く分解

先端部を外すとチャック…と思いきやゴムが出てきました。古いシャープペンでは時々外れてしまうことがあってね。このゴムはノック時にシャープペンの芯が飛び出さないように止めておくためのもので、なくしてしまうと1回のノックで芯がドバーッと出てきてしまいます。ゴムが外れた時の解決方法としては先端部を分解して、シャープペンの芯にゴムをはめた状態でゴムの先端にボンドを付け、芯ごとシューッと通してあげるとそれなりにくっついてくれます。くれぐれもなくさないように、ぴたっと止めておくのがおすすめです。

チャックは一般的な3分割の金属チャックで、ごくまれに短い芯がチャックに引っかかってしまい誤作動を起こすのはDRAFIXとそんなに変わりません。芯が詰まったらまず先端部を外して、芯をかき出すといいでしょう。消しゴムにクリーナーピンが付いてるのでまずはピンで突っついてみるのもいいかもしれません。

分解してみると先端部、ラバーグリップ、クリップ、キャップ、消しゴムとパーツが分かれます。ただ、プリントが簡単に削れてしまうのであまり分解はしたくないかな…。なにせものが古いのでラバーグリップも硬くなってます。外した後につまんでぷにぷに感を…なんてやってるとバリッと割れてしまう可能性があるので気をつけましょう。

バリエーション

軸色は黒と赤があります。おそらく青もあることでしょう。緑があるという話はまだ聞いたことがありませんが、もしかするとどこかにあるのかもしれません。他にはSHARPLET 501という別バージョンも出てきました。プリントが削れにくく改良されたのかどうかはよくわかりませんが、見た目はそっくりで使い心地も変わらずです。型番はSHARPLET 500がQ545、SHARPLET 501がQ555になります。もしSHARPLET 502やSHARPLET 503があったら今頃どうなっていたのか、いろいろ夢見てしまいそうですね。

まとめ

うれしい!

  • 緻密なラバーグリップによる感触と軽快な書き味。
  • 見た目と実用性を兼ね備えたクリップ。
  • 先端部が分解でき、クリーナーピンもあるため比較的修理しやすい。

物足りない!

  • グリップ部分が短く、持つ位置が制限される。
  • 軸やキャップのプリントがとてもはがれやすい。
  • クリップを外すと見栄えが悪くなる。

評価

  • 作りの良さ:★★★ 15/25
  • 感触の良さ:★★★★★ 25/25
  • お買い得感:★★★★ 20/25
  • 書きやすさ:★★★★☆ 22/25
  • 合計 82点

思い入れの割には意外と普通の点数に落ち着いてますね。心の中ではダントツのナンバーワンなんだけどなぁ~。控え選手も確保しているのでなくしても安心です。

次回予告

次回は青いシャープペンです。お寿司が食べたくなってきました。

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シャープペン10本勝負!第0回 ゼブラ「DRAFIX」

いよいよ始まりました。シャープペン10本勝負!今回は初回ということで、まずは基準となるシャープペンから紹介していきたいと思います。

スペックシート

  • 名前:DRAFIX(ドラフィックス)
  • メーカー:ゼブラ
  • 価格:300円(税抜)
  • 芯径:0.5mm(0.3mm、0.7mm、0.9mmもあります)
  • 長さ:約14.3cm(普通)
  • 太さ:約8.9mm(普通
  • 重さ:約8.4g(やや軽い)
  • 重心:ほぼ中心
  • 買える?:買えますが、売ってるお店は少ないかも。(2020/6/10)

初めての製図用シャープペン

実はけっこう古株なシャープペン、ゼブラのDRAFIXです。確か小学4年生か5年生くらいの頃に買ってもらったのが始まりでした。まず文房具らしからぬサイバーなロゴに引っ張られましたね。男の子ですもの。自分だけのかっこいいシャープペンが欲しかったんです。

そしてお値段も300円(税抜)というお買い得価格です。当時はおこづかいが1500円でしたが、それでも消費税分をおまけしてもらうと5本買えてしまうという…。お買い得価格でも中身は立派な製図用シャープペンで、通常の0.3mmに加え、0.5mm、0.7mm、0.9mmも揃っています。これはもう1本!と。そんなおねだりをして1本余計に買ってもらったシャープペンでもあります。

ペン先、グリップ、書き味

製図用シャープペンということでペン先には円筒状で長さ4mmのガイドパイプが付いていて、手元が見やすくなってます。たまに書いてるうちに文字を見失ってしまう微妙なシャープペンに遭遇することがありますが、まずこの見通しの良さがポイントの1つでしょう。いろんな機能を積むのも機能性はありますが、こういうシンプルな機能性も忘れてはいけないところです。

グリップは樹脂に溝が刻まれている…というよりは浮き出ているように見えます。樹脂軸でありながらこの凹凸により適度なグリップ感と風通しの良さを両立していて、使えば使うほど良さを感じる1本です。グッと力を入れすぎてしまうとちょっとだけ指が痛くなるけどね。先端部の奥が丸みを帯びた形になっているのも魅力の1つでしょう。デザインとしても製図用シャープペンらしからぬ柔らかさを表現していて、うまくやってるなと思ってます。

グリップの上にあるのは濃さ表示部(インジケーター)で、回すと濃い順から2B、B、HB、F、H、2H、3H、4Hと8種類の芯の濃さを表示することができます。いろんな濃さの芯を使い分けたい人に…と言いたいところですが、しっかりロックされていないため不意に回ってしまうことが多く、実用性としてはやや微妙な…。子どもの頃はこれを回すと芯の濃さが変わるんだ!と夢を感じたはずです。

書き味は…いいですね。見通しの良いペン先、風通しの良いグリップ感、10gを切る軽快さを武器に、スーッと書き進めていくことができます。安定感としては少し物足りなくなることはありますが、このバランス感がたまらないですね…。

クリップ、キャップ、消しゴム

クリップは見たまんまのシンプルなもので、少し短めなのでそんなに邪魔にはならない印象です。外そうと思うとすっぽり外すことができますが、見た目としても書いた時のバランスとしてもクリップを外さない方が好みです。

キャップには小さく「05」と芯径がプリントされてます。この数字フォントが妙に格好良くてね…。少しゆるめで外れやすいのと、使い込むとプリントがはがれてしまうのが難点かもしれません。ついでに言うと軸のプリントも使い込むうちにはがれてしまいます。プリントがはがれてまっさらになるのもそれはそれでいいのかもしれませんが、サイバー感が好きな人としては悲しい気分になってしまいます。ノック感は重すぎず軽すぎず、カチッとした音が少しうるさいかなとは思いますが、いい感触です。

消しゴムはあくまで非常用でしょう。もともと人並みに消えるくらいの消しゴムが付いていたはずですが、長い年月とともにすっかり消えない消しゴムと化してますね…。

チャック、安定感、そしてかる~く分解

先端部を外すと芯をがっしりつかんでいるチャックが見えると思います。この手のシャープペンでは一般的な3分割の金属チャックです。ごくまれに短い芯がチャックに引っかかってしまい誤作動を起こしますが、先端部を外すことができるので比較的修理しやすい部類になります。消しゴムにクリーナーピンが付いていないのが惜しいところですが、300円(税抜)というお買い得価格なのであまり無理は言わないことにしましょう。

分解とは言っても先端部とキャップが取れるくらいのもので、チャック部分は本体にしっかり固定されています。製図用シャープペンらしいカッチリとした書き味はここから来るのでしょう。がんばるとクリップや濃さ表示部も外すことができますが、初回なので…ここはひとつ許してもらえますか?

バリエーション

0.3mm、0.5mm、0.7mm、0.9mmという芯径バリエーションの他に、海外ではカラフルな軸で販売されているようです。日本でもファンシー文具コーナーで柄が付いたものを見かけることがあるので、気になる人はチェックしてみてもいいかもしれません。

DRAFTINGという角張った先端部になったそっくりさんも存在します。製図セットにちゃっかり入ってることが多いみたいですよ…。

まとめ

うれしい!

  • 安定したグリップ感と堅すぎない見た目。
  • 軽快でいて見通しが良く、価格以上に安定感のある書き味。
  • 先端部が分解できるため比較的修理しやすい。

物足りない!

  • 力を入れて持ってしまうと指が痛くなることがある。
  • 軸やキャップのプリントがはがれやすい。
  • 濃さ表示部(インジケーター)が不意に回ってしまうことがある。

評価

  • 作りの良さ:★★★ 15/25
  • 感触の良さ:★★★ 15/25
  • お買い得感:★★★ 15/25
  • 書きやすさ:★★★ 15/25
  • 合計 60点

これだけ持ち上げておいてこの評価かよ!と言われてしまいそうですが、あくまでこのシャープペンは自分の中での基準なのです。基準があるからこそ公平な勝負ができるってものですよ。さあ、はたしてこの基準を乗り越えるシャープペンは登場するのでしょうか…。

次回予告

奪い取るような勢いで…次回こそ本当の始まりです。

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