シャープペン10本勝負!第3回 ロットリング「rapid」
シャープペン10本勝負!第3回はロットリングの変わりものです。ダブルノックに回転繰り出し式消しゴム付き、このギミックに引っ張られるんですよね…。
スペックシート
- 名前:rapid(ラピッド)
- メーカー:ロットリング
- 価格:700円(税抜) ※購入当時は500円(税抜)でした
- 芯径:0.3mm(0.5mm、0.7mmもあります)
※表記は0.35mmですが、0.3mmの替芯が使えます。 - 長さ:通常時 約15.1cm(やや長い) / 収納時 14.9mm(普通)
- 太さ:軸 約9.4mm(普通) / グリップ 約10.0mm~10.5mm(普通~やや太い)
- 重さ:クリップ付き 約12.8g(普通) / クリップなし 約11.1g(やや軽い)
- 重心:クリップ付き やや前重心 / クリップなし 前重心
- 買える?:買えますが、売ってるお店は少ないかも(2020/6/20)
ひとめぼれの機能美
あの東急ハンズが札幌にオープンすると聞いて、いてもたってもいられなかったあの頃。当時はまだ高校生で、行きたいと言ってもなかなか行かせてもらえることができず、だからと言って自分のお金と足で行くことはできず、初上陸を果たしたのはオープンから数ヶ月、夏休みになってからの話でした。
すでに行き慣れた石田文具や大丸藤井セントラルとはひと味違った明るく洗練された雰囲気の文房具コーナーで、少ないおこづかいの中で何を買おうかと3時間近く歩き回ってあれでもない、これでもないと選び抜くのはとても楽しかったのを覚えてます。そんな中で一番最初に見つけたのがこのrapid。ダブルノック式、回転繰り出し式消しゴム、それでいてたったの500円(税抜)(※現在は700円(税抜)に値上がりしてます)。そんな機能美にひとめぼれしてしまったのです。思えば初めてのロットリングでした。
※
好きなのは0.5mmと0.7mmですが、今回は新しい型の現物でロゴがきれいなものが見当たらなかったので0.3mm(=0.35mm)の写真で代用してます。引き出しの奥から出てきたら差し替えるかもしれません。
ペン先、グリップ、書き味
まず最初に衝撃を受けたのはダブルノックの感触でした。強く(深く)ノックして内側の先端部が一気に繰り出され、弱く(浅く)ノックして芯を出す。そんなダブルノック式のシャープペンは初めてではありませんでしたが、ここまでしっかりした機構を味わったことはありませんでした。バネが強いので油断すると先端部収納時にノック部がロケットのように吹っ飛びますが、そこはご愛敬というところ。ダブルノックで繰り出された内側の先端部には約3mmのガイドパイプが付いていて、筆記用シャープペンでありながら製図用シャープペンのような見通しの良さを持っています。
グリップは縦に8本の凸ラインが入ったラバーグリップで、大きくボコッと飛び出したラインにはやや独特の感触があります。形としてはわずかな流線型で、グリップの下部で約10.0mm、中心部で約10.1mm、上部で約10.5mmと、中心部から上にいくとやや太くなっています。グリップ部の長さは約3.8mmと、こちらは普通くらいでしょうか。素材としてはやや硬めのラバーグリップで、大きく飛び出したラインの奥には細かな凹凸が施されていてサラサラとした感触があり、見れば見るほど不思議なグリップです。この感触だけでもこのシャープペンだけの個性的なものと思って差し支えないでしょう。
発売当初のものはラバーグリップにも関わらず革のような上質感がありましたが現在のものはそこまでの好感触はなく、比べてみるとややベタ付きが気になるところ。安定感はあるんですけどね。昔更新してた文房具サイトの掲示板でwabyさん(※)が教えてくれたのがなつかしいなぁ~。
個性的なグリップはやや人を選ぶところがありますが、ダブルノック式でありながら信じられないほどの安定感とやや前寄りの重心で、力まかせにガンガン書き進めるにはもってこいのシャープペンです。書きやすさはもちろんのこと、書き味としても機能としても個性のかたまりみたいなシャープペンで、何より書いてて飽きないのが最大の魅力かなと思ってます。
※
wabyさんはフルネームで呼ぶとwabysabyさんらしいです。たまにwbayさんになってることもありましたね…。現在は信頼文具舗の和田さんと言った方が通りがいいと思いますが、個人的にはやっぱり和田さんよりもwabyさんなのです。
クリップ、キャップ、消しゴム
クリップは真ん中にスリットが入ったもので、DRAFIXと比べるとだいぶ長めで手に引っかかって邪魔になってしまう人もいるかもしれません。邪魔にはなりますが、簡単に外すことができるのがいいところ。どうしても気になる人は勇気を持ってクリップを回しながらぐいっと外してみましょう。クリップの付け外しで重さや重心が変わるので、自分の好きなスタイルで使っていくのがいいと思います。個人的にはクリップの長さには目をつぶって、クリップを付けたままで使うのが好きです。
キャップは回転繰り出し式消しゴムユニットになっていて、上から見て時計回りに回すと消しゴムが繰り出され、反時計回りに回すと消しゴムが収納されます。細めではありますが、一般的なシャープペンに付いているおまけ程度の消しゴムではなく、十分な実用性を持つ消しゴムで、気兼ねなくガンガン使うことができます。標準の消しゴムは消字力がいまひとつですが、トンボ鉛筆「MONO KNOCK 3.8」用リフィルなど、3.8mm径の消しゴムリフィルを使うとかなり改善されます。純正品よりも安いし消える。文句なしですね。
変わったところではタジマ「すみつけクレヨン」のリフィルが3.8mm径になっていて、マーキングに使うという荒技もあります。ユニットを外してガンガン書き込むことができるのも魅力の1つ。ノック感はDRAFIXと比べてやや重めですが、そこはダブルノック機能に免じて許して…もらえるかな…。
チャック、安定感、そしてかる~く分解
内側の先端部を外すと小さいチャックが見えます。3分割の金属チャックで、この価格帯ではごく一般的なものです。しかしこのシャープペン、分解がなかなか困難でして…。好奇心で分解してしまうと再起不能になってしまう可能性すらあります。芯が詰まってしまった時はとりあえず他のシャープペンの消しゴムに付いてるクリーナーピンを見つけてトントンと突いてやり過ごすのが第一選択でしょう。あくまで分解は最終手段。メンテナンス性としては不安が残ります。
もしどうしてもチャックに詰まった芯を分解してかき出したい場合、ポイントになるのはいかに内側の先端部を分解するかで、うまくやらないと空回りして外すことができません。ダブルノックで強くノックして内側の先端部を繰り出した状態で外側の先端部を外してロックが解除されないように気を配りつつ内側の先端部を分解するか、外側の先端部を外した後でノック部を強く押しながら内側の先端部を分解するかのどちらかで、どちらにしても敷居が高い話です。どちらの場合も中に入ってるスプリングをなくさないようにね…。
分解すると本体、内側の先端部、外側の先端部、大きめのスプリング、クリップ、消しゴム、回転繰り出し式消しゴムユニットと、パーツ数は多いので分解したい人はうっかり落としてなくさないように気をつけましょう。ちゃんと分解すると軸の真ん中からペン先側とクリップ側に分解できたり内側の芯を収納するパイプと回転繰り出し式消しゴムユニットをつなぐパーツが出てきたり赤リングが外せたりするのですが、そこはお察しくださいとでも言っておきますか。分解は上級者向けなので、自信のある人以外は手を出さないのが無難です。700円(税抜)もするシャープペンがただの置物になっても知りませんよ…。
バリエーション
0.3mm(=0.35mm)、0.5mm、0.7mmと芯径違いで3種類のバリエーションが選べるのはありがたいところです。せっかくなら0.9mmも欲しかったけどね。カラーバリエーションは特に用意されてないあたりが無骨なロットリングらしさを感じます。古いものはクリップにrotringの刻印があったり、先端部とグリップの間に溝があったり、ロゴが違ってたりと微妙な違いがいくつかありますが、やはり一番大きいのはグリップの質感の違いでしょう。値上げついでにグリップを昔の質感に戻してくれるとうれしかったんだけどな…。
まとめ
うれしい!
- このシャープペンにしかない独特な感触と安定感の両立。
- ダブルノック+回転繰り出し式消しゴムという機能性の高さ。
- クリップの着脱が容易。
物足りない!
- ややベタ付きが多いグリップ。独特の形状や感触も好みが分かれる。
- ひと通り分解は可能だが、慣れてない人には困難。メンテナンス性に課題あり。
- 油断するとペン先収納時にキャップが吹っ飛ぶぞ!
評価
- 作りの良さ:★★★★ 20/25
- 感触の良さ:★★★★ 20/25
- お買い得感:★★★☆ 17/25
- 書きやすさ:★★★★☆ 22/25
- 合計 79点
個性のかたまりのようなシャープペン。こう言うのが一番適切でしょう。クセは強いですが、このシャープペンにしかない持ち味がはまる人にはとことんはまる1本です。ちなみに上位版のrapid PROというのもありますが、持ち味の個性的なグリップもダブルノックも回転繰り出し式消しゴムもなく、手軽さと機能性の両立を求める人にはおすすめできない別物となっています。やっぱり普通のrapidが最高ですよ。
次回予告
叩かれても痛くないくらい軽いんです。