「聖霊の実」〜10月の短編ファンタジー
1
人は、誰かと一体になりたいと心の底で願っている。
それは、幼い子どもの頃、母と分離できていなかった頃に戻りたいのかもしれない。
あるいは、神と一体だった魂の記憶からなのかもしれない。
そして私たちは、映画やドラマなどを見ていつしか夢を抱いてしまう。
一体になれる異性に出会えば、この世の苦しみから解放され幸せになれるだろうと。
それはもっと巧妙で、幼い頃に見たシンデレラの絵本で刷り込みはすでに始まっていたのかもしれない。
それらの刷り込みで人は恋愛に期待し、期待するぶん落胆も大きくなる。振り回されてしまう人も多い。
立木美優、29歳もその一人だった。
※
美優は、自宅マンションで一人ラインを見ながらイライラが止まらなかった。
どうして? どういうことなの?
心臓がばくばくする。
翔は私のツインソウルなのに、なぜもっと私を強く求めないの?
ツインソウルとは、もともと一つの魂だったものが分かれた魂だ。だから求め合う力も強い。そしてだからこそ、とまどって逃げてしまう男性も多いという。
「彼女とは5年つきあってきたから、すぐに結論を出せない」
翔はラインでそう送ってきた。
これは、逃げではないのだろうか。
翔が恋人のいる女性とはこれ以上関われないと言うから、私は2年つきあってきた彼と別れたのに。
つきあってきた彼がだんだん、私にぞんざいな態度をとるようになってきたからでもあるのだけれど。翔に比べて見劣りした、というのもあるのだけれど。
確かに、私が彼と別れたら翔も彼女と別れるとはっきり言ったわけではなかった。
けれどこれまで、さんざんにおわせてきたではないか。
四度、五度とデートを重ね、私が翔に夢中になればなるほど翔は冷めていくようだった。
「魂の片われみたいだね」
そう言ったのは、翔だったのに。
私の気持ちを、全部わかってくれたのに。なんでも私の味方をしてくれたのに。
地震があると、すぐラインを送ってくれて心配してくれた。2年つきあった彼は、そんなことはもうしてくれなくなっていた。
魂の片われだと翔が言うから、翔こそツインソウルなのだと確信したのに。
ツインソウルに出会えるなんて、なんて幸運なのだろうと思った。もう何も心配はいらないのだと思えた。
だから、2年つきあってきた彼に別れを言い出すことができた。
それなのにいざ別れて翔に連絡した結果が、このラインだった。
「彼女とは5年つきあってきたから、すぐに結論を出せない」
どういうこと? いったいどういうこと?
問いただしても、返事は返ってこない。
美優はラインを見つめて、ただイライラするばかりだった。
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