上っていく顔たち〜ちょっと哲学的な短編ファンタジー
1
それが始まったのは、突然のことだった。
蒸し暑くなりだした5月の中旬、夕飯の後、いつものようにパソコンのキーをたたいていた。
私の視界に、それらが容赦なく入ってきた。
あまりにおかしな現象が起こった時、人はあんがい声が出ない。
私はただ固まって、それらをみつめていた。
テーブルの向こうで、たくさんの顔が天井に向かって上っていたのだった。
顔、というか頭部だ。
天井に向かって上っていき、すうっ、すうっと音もなく天井に消えていく。
下を見ると、床からすうっ、すうっと音もなくあらわれていた。
男性、女性、若者、年配者、子ども……、いろいろ混ざっている。
私はわりあいオカルト体質なのか、子どもの頃から不思議な体験をすることが多かった。
けれど、ここまで異様な光景を見たのは初めてのことだった。
不思議と怖い感じはしない。
たぶん死霊ではない。
人びとの意識が、たまたまそこに見えているだけのようだった。
よく見ると、みな陰鬱な顔をしていた。
楽しそうな顔は誰もしていない。
皆、必死そうな顔をしてただ上っていた。
2
気にしないようにしてパソコンのキーをたたき始めたものの、動いているものはどうしても目に入る。
「ああもう、どういうこと?
なによ、これ!」
ついに私は、立ち上がった。
「あなたたち、なんでそんな必死に上ってるわけ?」
すると、返事が返ってきた。
「上らなければ競争に負ける」
「上をめざさないと」
「勝たないと」
「負けたくない」
「負けたっていいじゃないの」
言ってみると、
「とんでもない。
負けたら価値はない」
「勝たないと」
「上らなければ」
そう言って彼らは天井にすうっ、すうっと消えていった。
そうしてまたあらたな顔たちが、床からすうっ、すうっとあらわれては上っていく。
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