ゲームを引退する理由ってなんだろう?

ゲームは金を払っちゃくれねえ

人間は、無駄だと思ったときに「それ自体」から離れる。

と、オヤカタは思う。


ゲームはコストをかけるだけで、
代償のぶん、なにかが戻ってくることは基本的にない。
ゲームは給料を払ってくれない。


でもね、無駄だと思うのは自分自身だし、
無駄にしちゃうのも自分自身なんだと思う。

現実問題として、無駄にしか思えないような時間を過ごしたから、
オヤカタはリバースをやってるわけでさ。
10年、ゲームから離れるようなことがあってもね。
ゲームをやっていたから、いまがある。


で、みんなの場合はどうだろうか。
ゲームはそれ自体、ハッキリいって無駄だ。
でも、無駄にしてしまうのは自分自身だ。


とりあえず、なにも考えずにやる、ただ勝ちたいからやる、
そうやっていくと、無為無策になる。
はじめのうちは技術が勝手に身に付くから楽しい。
成長している気にもなるだろう。

でも、60点くらいに差し掛かると、なかなか伸びない。
そのあたりで頭打ちになって、差が出なくなってくる。


で、なにかのきっかけで勝てない相手が出てきて、
センスや環境、時間の無駄だと理由をつけて「辞める」んだ。


無駄って言葉は本当にズルい言葉だと思う。
なにもかも都合よく処理できる。
反論の余地も与えない。


でも、無駄にしているのは自分自身だってことは揺るがないんだ。


なにも考えず、気晴らしにやる。
はじめはそれでもいい。
しかし、それがもう「無駄」にしているんだね。
すべてを無駄にするための、壮大な茶番のレールに乗っちまってる。


どこかでレールを切り替えなきゃならない。


どうしてなんだろう、どうすればいいんだろう。
そうやって細かく考えて、積み上げては壊し、ってのを繰り返す。
これこそ無駄な反復作業のように思えるけれど、実は違う。

自分のやってきたことを反省して、自分の人間性すら疑って、
かけてきたコストや、自分の弱さを認めて、
よりよくするために改善を繰り返すことは、
ゲームという単体で見れば無駄であっても、
人間という規模で見れば、無駄にはならない。


理解しようと思って苦しむヤツと、
勝ちたいとだけ思って苦しむヤツは、
似ているようだけど全然違う。


前者の成長は遅いだろうけれど、それはゲーム外の
人間の部分も育てているから時間がかかるってだけだろう。

一方、後者はたとえ成長がはやくて勝ちまくっていたとしても、
早晩どこかで止まる。
ゲームも自分も理解してないからだ。
そういうヤツは、ボタンひとつ押すことを我慢できない。
自分のやりたいようにやる。
それで勝ったとして、じゃあ、なんになる?


ゲームは給料を払っちゃくれないけれど、
真に無駄になるのは後者のほうなんじゃないかと思うね。


マラソンや勉強のような、目に見える努力はないかもしれない
けれど、ゲームだって形は違えど成長のための精神修行にはなる。


精神的に強いほうが、ゲームに強いことよりも
ずっとずっと大切じゃなかろうか。


そして、そういう無駄をしないヤツほど辞めない。
辞めても戻ってくる。


環境や人生、仕事などの理屈じゃない。
そうだったとしても、辞められるわけがない。
自分を育ててくれるのが、ゲームしかないから。
人生に不足を感じたら、精神修養に舞い戻ってくるんだ。
手が空いたら、戻りたくなってしまうもんなんだ。
歳を重ねると特にね。


ゲームでもどの趣味でも、仕事であったとしても、
無駄にしちまうのは自分自身だ。

引退することで、すべてを無駄にしちまうことがないよう、
いまのゲームに真摯に挑めるといいよな。



【コラム】月曜日にスト2を #008 より抜粋

1件のチップが贈られています

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

記事のタグから探す

月別アーカイブ

記事を検索