地方からゲーセンが消えちまう意外な理由

直せねえんだ、誰も

モニターが壊れる。さて、どうしよう。
関東のゲーセンならどうとでもなるだろう。
しかし、地方のゲーセンだとかなり選択肢は限られる。

かなり強力なツテを持っているか、
自力で直せるスタッフがいるか、だ。

唐突にはじめちまったが、ゲーセンが地方から消えるのは、
プレイヤーがいなくなったとか、スマホがって話だけじゃない。

案外、気づかないのが故障したときに対応できないってのがある。

特にいまのゲーム画面は大抵、液晶だ。
液晶は壊れたら大変なんだな。買い直しになるだろう。

さらに、ブラウン管のゲーム機をスタッフは知らない世代だ。
そういったものを直せるのは昭和生まれの連中だけだ。

オヤカタは昭和生まれだけど、業界未経験だから探り探り直してる。

そのなかにはいつだか書いたけど、ブラウン管の高圧部分の修理もある。

最悪、死んじまうヤツだな。

モニターを直すときには避けては通れない道だ。

これ、バイトにやらせられるか？
もしくは社員でもいいや。
やらせられるだろうか。
ブラウン管の背面に限らず、説明書にも、

「サービスマン以外触んな」

って書いてあるんだ。
繰り返すけど、最悪、死ぬから。
なんかあったら、組織もろともボカンだ。
運営会社や親会社がひっくり返らんとも限らない。

リバースはそんなものないから気楽なんだけどさ、
オヤカタみたいに絶対に、深夜にひとりでやっていい作業じゃない。

あ、当然筐体のサービスマンなんざ、もういないよな。
いても地方だときてくれやしないだろうよ。
きても、とんでもない出張料がかかる。

だから地方のゲーセンは、大体経営者クラスが体張ってるはずなんだ。
自分たちで直せる店だけが、ビデオゲームを置けてるわけ。
当たり前にあるもんじゃないんだよね。
恩着せがましくなっちまうから、あんまりいいたくなかったんだけどね。

ビデオゲームが減る、ビデオゲーセンが減る理由は、
命の危険を晒させたり、業務時間中に
わけわかんねー基板の仕様を勉強させたり、
修理させたり、そこにコストをかけらんないからなんだな。

基板の入れ替えができない店員さんとかいるだろう？
基板を壊すからだよ。
新人ってわけでもないのに、ボタンやレバーの交換ができない店員もいる。
そりゃ仕方がないんだ。その勉強をさせるだけのコストが出せないんだよ。
信じられないようなことだけどさ。

ビデオゲームはそれだけの稼ぎもないから、壊れたらもういいでしょ、
お疲れ様ってはなしになっちまう。
5万円くらいかかるからね。修理代だけで。
当然、直らないってこともあるしね。

経営としては絶対にそちらが正しい。
大資本の大規模店ならビデオゲームを置いていることが狂気に近い。
基板だってそうだ。壊れたらそれまでだ。
買いなおしたり、修理したりってことは基本しない。

いや、正しくは、

「しちゃいけない」

んだよね。壊れたものを直しちゃいけないんだ。
出血が激しくなるから。
お店の寿命が縮まるんだよ……。

お店が生き残るためには、そのまま見送るのが正解という場合がある。
本当に、ある。

サービス業なのに、ゲーセンなのに、客にサービスしないでどうするんだ！
っていいたくなるだろうけどさ、見て見ぬ振りをしないと、店が潰れる。
そうなりゃ元も子もない。

苦しい胸の内と懐事情があるんだろう。
だから、安易に責めたてるわけにもいかねえってはなしなんだ。

リバースをはじめてもうすぐ半年になる。
筐体を集めるところから半年だ。
その間にゲーム機についてどれだけ勉強したろう。
いろんな人に教わって、自分でハンダごてを握ってさ。
これと同じだけの熱意と時間を「雇われているだけの人」に求めるのは、
ハッキリいって酷いし、求めすぎだと思う。

地方からゲーセンが消えていくのは、直せないからだったりするんだ。
直せる人を育成する力もないから、なんだな。

これはますます今後、大きな問題になっていく。
アストロシティもブラストシティもそろそろ限界だ。
30年も戦ったら上等なんだ。

でも、それをあと10年戦わせていく。
かつてのような形では難しいのかもしれない。
リバースも筐体修理部隊は組織できずとも、
修理工場くらいは用意して、そこで不調の筐体を修理、
好調なものもローテーションで整備できたりすればいいんだけどね。

ますます金がかかりやがるぜ……。
修理工場なんて、いまの懐事情じゃ掘っ立て小屋でも建てられねえぜ。

それじゃあいけねえんだろうけどな〜。

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そうすりゃ、地方のゲーセンが少しでもみんなの目に触れるかもしれないからな！