みみづくえ oBravo「Cupid」
中国語ではイヤホンもヘッドホンも「耳机」になるそうです。
もちろん「みみづくえ」とは発音しませんが、そこは日本人なので~。
黄金の矢か、鉛の矢か
今回の耳机は台湾にあるoBravo(オーブラボー)社の「Cupid」です。オー!ブラボー!思い切り良さそうでいい社名ですよね。金属製で耳に引っかかりやすいような流線型になっているといういわゆるShureがけできるタイプのイヤホンです。耳の後ろからケーブルをぐるっと。よく見る形ではありますが、この「Cupid」はまだ店頭で見たことはありません。箱を見ると吊り下げられるようになっているので、本国では吊り下げて売られているのかなぁ~。
ドライバー構成としては高音域用に8mmプラナ・ーマグネティック(平面振動板)ドライバー、低音域用に6mm・ダイナミックドライバーを積んだハイブリッドな感じになっています。今となってはいろいろなメーカーが発売しているハイブリッド型イヤホンですが、平面振動板のハイブリッドはそう多くはないと思います。
種類としては
- ベーシックモデル(19500円)
本体、一般的な3.5mmプラグが付いたケーブル
(ちゃんとケーブル付いてるよ!) - プレミアムモデル(35000円)
本体、Newton バランスケーブル(2.5mmバランス)、2.5mmバランス→3.5mmアンバランスへの変換アダプター - アルティメイトモデル(39800円)
本体、Newton バランスケーブル(2.5mmバランス)、2.5mmバランス→3.5mmアンバランスへの変換アダプター、2.5mmバランス→4.4mmバランスへの変換アダプター
と3種類。けっこうな価格差があるのでケーブルや手元の環境とご相談というところでしょうか。手元にあるのはベーシックバージョンですが、Newtonとそっくりないいケーブルをイベントでいただきまして、ありがたく楽しませてもらってます。(※)
いいケーブルこと、Newton単品ではプレミアムセットが21800円、アルティメイトセットが26800円になるそうです。ベーシックモデルより高いぞ!なんてことだ!
※
製品版とは微妙に異なる可能性があります。ご了承ください。
独自規格のケーブルは音のために
ケーブルはよくあるMMCXと見せかけて、プラグ側と本体側に切り欠きを入れて凹凸で組み合わせるような形の独自規格(oBravo-MMCX)になっています。不意にケーブルが回転して摩耗しない分だけ接触不良を起こしにくく、故障しにくい構造になっているのがいいところで、oBravoの上位機でも同じ規格が採用されてます。ケーブルがキツキツでなかなかつながってくれなくてどうしようかと面食らいましたが、そこは壊さないよう冷静に。本体を持って差し込もうとするとツルツル滑るので、思い切って本体を机の上に置いてトンと押し込むくらいでもいいと思います。外す場合はFinalのMMCX ASSISTを使うと少しは楽になれる…かな。
一見サードパーティーのケーブルも収まりそうに見えますが、ケーブル側が奥まで入らないようになっていて互換性はありません。独自規格にするなら別にMMCXみたいな耐久性不足の規格に乗らなくてもいいのになと思うのですが、そこは既存の規格を流用した方が安いみたいな予算の問題もあるのかなぁ~。
余談ですが、ベーシックモデルに付属する布巻きケーブルは上位版のeamtシリーズやeribシリーズと同じものになります。そう、何十万円もするアレやお値段3桁万円の上限突破を果たしたアレと同じケーブルですよ。文房具で言うとパーフェクトペンシルの鉛筆みたいな。そう思うとベーシックケーブルにもありがたみが出てくるってものです。
忘れないように音の話 - ベーシックモデル
Lotoo PAW5000 MkIIで再生時の比較です。
付属のイヤーピースは耳が痛かったのでFinal Eタイプを使用しています。
ありがたい!
- 平面駆動型らしいカチッとしていてよく伸びる高音域が特徴的です。
- バランスとしては低音寄りのかまぼこな感じです。
- 平面駆動型ならではの存在感と切れ味がありすぎるくらいの高音域を抑えるように、中~低音域の厚みでバランスを取っているような印象です。例えるなら曇り空の中から突き抜ける一筋の光というところ。自然と中~高音域にフォーカスが当たり聴き疲れしにくいのもいいところでしょう。低めの女性ボーカルものがいい感じです。
(oBravo製のイヤホン共通の傾向ではありますが、Cupidでは中~低音域の厚みがより強めに感じます。高音域のクセがだいぶ抑え込まれているような…。)
もうちょっとどうにか…
- 低音域はややゆるめで、低音域に解像度を求める人は物足りない感じあるかも。
- 音場はそこそこありますが、oBravoらしさとしては微妙なところ。
- 暖色系でややこもる感じがあります。いまどきのイヤホンらしい弱ドンシャリでスパッとした明瞭感は他のイヤホンに譲りましょう。
忘れないように音の話 - Newton バランスケーブル接続後
ありがたい!
- 全般的に音の輪郭が引き締まることで分離が良くなり、音場も少し広がります。
- バランスとしてはベーシックモデルよりも少し低音寄りで、迫力が増します。
- バランス接続にありがちな迫力不足な感じや分離が良すぎてカリカリした感じが出ないように、さらに低音域を底上げすることで上手く仕上げている印象です。解像度が上がって男性ボーカルもいい感じになります。
もうちょっとどうにか…
- バランスでもこもる感じは残ります。むしろそこがいいところですが…。
- 環境によっては低音域が強調されすぎて違和感を感じるかもしれません。全体的なバランスとしてはベーシックモデルの方が好印象です。
- 情報量が多くなった分だけ全体にフォーカスが当たってしまい、聴き疲れしやすい印象があります。市販の高額モデル(おそらくBA型多ドライバー機)を参考にしたチューニングが裏目に出ているところかもしれません。アンバランスに変換すると少し楽になりますが、音場や分離は犠牲になるので好みが分かれるところでしょう。
まとめ
いいケーブルをいただいたものの音的な好みが合わなくて、結局はベーシックモデルの構成で落ち着いてます。厳しいことも書きましたが、2万円台でこの音なら大満足ですよ~。
oBravoで35000円、38000円出すならケーブルが交換できないタイプのエントリーモデル、erib-7aやerib-6aの姿も見えてくることでしょう。Cupidよりも高音域重視の構成になっていて、また違った意味で楽しいイヤホンだったりします。高音域のクセが強めに出てしまう面はありますが、そこも楽しみどころなのです。