「ホログラム」〜5月の短編ファンタジー
1
毎日生きていくなかで、人生が突然変わってしまうことはそうない。
けれどまれに、突然変わってしまう人たちもいる。
中山きづなもそうだった。
31歳、中規模の会社に事務として勤めていた。9時5時で週5日の勤務。残業はたまにあるかないか。
仕事じたいはそうハードではなかったけれど、会社勤めの常で人間関係で嫌な思いもする毎日だった。
東京で一人暮らししていくには十分とは言えない手取りだったが、結婚して子供もいる友人たちに比べると自分に使えるお金はあった。
そのぶん将来への不安もあり、結婚相談所に入ろうかどうかと考え中だった。
31歳にもなると、社内で声をかけられることもなくなっていた。
婚活アプリではまだまだ声をかけられるけれど、イケメンで高学歴、高収入の人たちは人気で手が届かなかった。
何人か会ってみたけれど、ぴんとこなかった。
「あれ、恋ってもっと簡単にできるものじゃなかったっけ?」
とこの3年くらい思っている。
一人は不安だけれど、長年一人暮らししているとこれはこれで楽なのだ。
今さら専業主婦でいられる高収入の人と結婚できる気がしない。
子育てと仕事と家事に追われている友人たちを見ると、「この人となら苦労してもいい」と思える人じゃないと結婚したくないと思ってしまうのは、ぜいたくなんだろうか。
けれどこのままでは不安だった。出産のタイムリミットもある。
新しい人生に踏み出したい。なのに踏み出せない。
「はあ~~。めんどくさい」
うつうつした気分を少しでもはらそうと、ベランダに出た。
見上げると、満月だった。
満月に何かを願うものではない、と誰かがきづなに注意すべきだった。
だが往々にして時遅し。
煌々と怪しげな光を放つ満月に向かって、きづなは言った。
「お月様。私の人生を変えてください」
そして、次の瞬間だった。
人生というより、世界が変わっていた。
「え? え? え?」
世界が、すうっと半透明になった。
しゃぼん玉のように、ところどころ虹色にゆらめいている。
「え~~~!」
みづきの腕も身体も、半透明だった。
月だけが、そのままだった。
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