お菓子で小説シリーズ「フロランタン」
こんにちは、皐月うしこです。
久しぶりにお菓子で小説シリーズ
お題「フロランタン」
一瞬で惹かれた綺麗なお菓子。クッキー生地にキャラメルでコーティングしたアーモンドが、店内の照明にあてられ、まるで宝石のようにキラキラと輝いて見えた。
「お客様、お決まりでしょうか?」
店員さんが、少し遠慮気味に声をかけてくる。本当はまだまだ眺めていたかったけれど、待ち合わせ時間も迫っていたので早口で「フロランタン」をお土産用で指名した。
「味見も出来ますので、どうぞ」
お土産にする以上、先に味を知っておくのも悪くない。そう思って差し出された欠片をありがたく口にする。口いっぱいに広がる糖度とその固さに思わず笑みがこぼれた。これなら病室の彼女も満足してくれるに違いない。