理解を増進しようとすると反発が生まれる問題

　たとえば、ある国で、仏教なりキリスト教なりイスラム教が国教化されるとしよう。われわれはそれを見て、「＊＊国はみんな熱心な○○教徒なんだなあ」と感じることだろう。しかし、実際は必ずしもそうではない。そもそも国民全員が熱心にその宗教を信じているなら、わざわざ国教化する必要もないわけで、逆に他の宗教が対抗しているからこそ国家権力による国教化の必要性があったと考えられる。

　さて、国民感情に根ざす何らかの問題に国家権力が介入し、ある種の権威化を行おうとすることで逆に反発が生まれるようなシーンを私も目撃し、これは難しい問題だと感じている。