BOOTHかDLsiteか論争を極めて冷静に考えてみる
はじめに
結論から言えば「好きなサービスを使え」であるが、この一言だけで片付けるにはあまりに乱暴すぎる。
故に、この記事では
- 消費者
- クリエーター
- プラットフォーマー(BOOTH,DLsite)
の観点からデジタルコンテンツ販売サービスとして
BOOTHとDLsiteを見つめ直した後に「好きなサービスを使え」に帰結する。
この記事で扱う情報は2022年2月1日時点のものであることを留意されたい。
また正直な感想としてこの記事はつまらないので、読むのは自己責任でお願いしたい。
販売手数料
Boothは販売手数料として売上の5.6%+22円が手数料としてかかる。
一方のDLsiteは販売価格において手数料が異なるが、1000円以下なら約55%が手数料としてかかる。
価格設定について
【手数料が安い方が嬉しい】
クリエイター
・手数料が安いほうが利益が増えて嬉しい
消費者
・クリエーターに利益が多く還元されるほうが嬉しい
・売値が下がると嬉しい
【手数料が安いと辛い】
プラットフォーマー
・収益率が減る
BOOTHはクリエーターの収益率は高いが、プラットフォーマーの収益率は低くなる。
DLsiteはクリエーターの収益率は低いが、プラットフォーマーの収益率は高くなる。
この関係を覚えていて欲しい。
維持コスト
【消費者視点】
消費者はサービス利用を維持するコストは必要としない。
【クリエーター】
DLsiteはクリエーターが作品を販売するために維持するコストはほぼ必要ない。
BOOTHも総容量10GBまでなら無料だが、10GBを超える場合は月額550円の課金が必要になる。
※BOOTHは月額課金後に解約した場合、ファイルへのアクセスは可能だが10GBを超えていると新規にアップロードすることは出来ない。
【プラットフォーマー】
プラットフォーマーはサービスを維持するために大きなランニングコストを支払う。
サーバ、ストレージ、ネットーワーク回線、人件費、etc...
この他にもシステム改修などのプロジェクトが発足する場合は、開発コスト(人件費含む)が発生する。
勘違いされがちだが、サービス開発はリリースが終わりではなく始まりである。YoutubeやNetflixですら継続的開発を続けているように、一回の開発で理想のサービスを作ることは不可能と言ってもいい。しかもライバルサービスが台頭してくるのだから品質向上をやめることは死に直結すると言っても過言では無いと私は思っている。
プラットフォーマーは、作品が一本も売れなければ収益がほぼゼロなので純粋にランニングコストで赤字になるリスクがある。
そのため、作品が売れるようにプラットフォーマーはプロモーションも力を入れている。
また、プラットフォームの維持費はユーザー数が増えれば増えるほど高くなる傾向にあることも忘れてはいけない(ストレージ、負荷分散等のいわゆるスケールコスト)
補足:ストレージのコストパフォーマンス
DLコンテンツを扱うサービスはストレージコストの肥大から避けられない。
作品が次々に登録されればデータが増え、ユーザが増えればユーザー情報のデータが増えていく。
ストレージコストの厄介なところは持続的に費用が発生することである。
近年のクラウドストレージはデータの転送量にも従量課金が発生するケースが一般的で、消費者が作品を購入したあともデータを読み出したりするたびに費用が発生したりする。
転送量課金が発生しないクラウドサービスも存在はするが、結局のところネットワーク通信にかかるコストがストレージ料金に内包されていたりする。そうでなければクラウドサービス事業者が身銭を切ってネットワーク通信料金を払っているケースしか無い。
無料で利用できているサービスは、概ね誰かが身銭を切っている状態である。
補足:ユーザー体験
質の良いサービスはユーザー体験が良いサービスと言える。
ユーザー体験を向上させるには開発費を安定して確保する必要がある。
近年はスクラム開発のように持続的開発体制を採用して品質マネジメントに力を入れているサービスが増えたが、これは常にシステムに詳しい開発者が存在することが大きなメリットと言える。
例えば、数年に一度の改修プロジェクトを発足して開発するケースではシステムへのナレッジが多少失われているケースがあり、その補填コストとして開発期間が伸びたりする。
スクラム開発のように開発チームを常設しておくと、常に開発チームがシステムに最適化されており短期間で機能追加等の開発がしやすくなる。
常設するため維持コストが高くなるがそれに見合うリターンが得られると判断されて、近年のサービス開発で採用されている。
ユーザー体験の向上には十分な開発費が必要と言える。
十分な開発費なくユーザー体験を向上させるには開発者が身を削るしか無い。
個人的な感想
理想は、
①マーケットに消費者が十分におり消費活動が活発に行われていて、
②クリエーターへの還元率が高く、
③プラットフォーマーもサービス開発費やプロモーションに資金を回して品質を向上し、
④ユーザは質の高いサービスを利用することができ、安く購入することができる
状態である。
個人的な感想だがBOOTHは①②③を揃えているが③が不十分で、
DLsiteは①③④を揃えているが②が不十分だと感じている。
DLsiteやBOOTHがプロモーションで①の消費活動を促してきた実績は評価できるが、
現状がまるで棲み分けているような状態になっているのは消費者とクリエーターにとって健全とは言い難いと感じている。
結局の所、消費者とクリエーターは自分が好きなサービスを使えという結論にるが、
BOOTHとDLsiteはもっとバチバチに競争してより良いサービスに発展してほしいと思う。
いち消費者兼クリエーターとしてできることは、こうしてブログを書いて声にすることくらいなので願わくばBOOTHとDLsiteが不満ではなく好みで語られるサービスに成長してほしいと思う。
以上。