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いらにか 2022/02/02 04:11

BOOTHかDLsiteか論争を極めて冷静に考えてみる

はじめに

結論から言えば「好きなサービスを使え」であるが、この一言だけで片付けるにはあまりに乱暴すぎる。


故に、この記事では

  • 消費者
  • クリエーター
  • プラットフォーマー(BOOTH,DLsite)

の観点からデジタルコンテンツ販売サービスとして
BOOTHとDLsiteを見つめ直した後に「好きなサービスを使え」に帰結する。

この記事で扱う情報は2022年2月1日時点のものであることを留意されたい。

また正直な感想としてこの記事はつまらないので、読むのは自己責任でお願いしたい。

販売手数料

Boothは販売手数料として売上の5.6%+22円が手数料としてかかる。
一方のDLsiteは販売価格において手数料が異なるが、1000円以下なら約55%が手数料としてかかる。
価格設定について

【手数料が安い方が嬉しい】
クリエイター
 ・手数料が安いほうが利益が増えて嬉しい
消費者
 ・クリエーターに利益が多く還元されるほうが嬉しい
 ・売値が下がると嬉しい

【手数料が安いと辛い】
プラットフォーマー
 ・収益率が減る

BOOTHはクリエーターの収益率は高いが、プラットフォーマーの収益率は低くなる
DLsiteはクリエーターの収益率は低いが、プラットフォーマーの収益率は高くなる

この関係を覚えていて欲しい。

維持コスト

【消費者視点】
消費者はサービス利用を維持するコストは必要としない。

【クリエーター】
DLsiteはクリエーターが作品を販売するために維持するコストはほぼ必要ない。
BOOTHも総容量10GBまでなら無料だが、10GBを超える場合は月額550円の課金が必要になる。
※BOOTHは月額課金後に解約した場合、ファイルへのアクセスは可能だが10GBを超えていると新規にアップロードすることは出来ない。

【プラットフォーマー】
プラットフォーマーはサービスを維持するために大きなランニングコストを支払う
サーバ、ストレージ、ネットーワーク回線、人件費、etc...
この他にもシステム改修などのプロジェクトが発足する場合は、開発コスト(人件費含む)が発生する。
勘違いされがちだが、サービス開発はリリースが終わりではなく始まりである。YoutubeやNetflixですら継続的開発を続けているように、一回の開発で理想のサービスを作ることは不可能と言ってもいい。しかもライバルサービスが台頭してくるのだから品質向上をやめることは死に直結すると言っても過言では無いと私は思っている。
プラットフォーマーは、作品が一本も売れなければ収益がほぼゼロなので純粋にランニングコストで赤字になるリスクがある。
そのため、作品が売れるようにプラットフォーマーはプロモーションも力を入れている。
また、プラットフォームの維持費はユーザー数が増えれば増えるほど高くなる傾向にあることも忘れてはいけない(ストレージ、負荷分散等のいわゆるスケールコスト)

補足:ストレージのコストパフォーマンス

DLコンテンツを扱うサービスはストレージコストの肥大から避けられない。
作品が次々に登録されればデータが増え、ユーザが増えればユーザー情報のデータが増えていく。
ストレージコストの厄介なところは持続的に費用が発生することである。
近年のクラウドストレージはデータの転送量にも従量課金が発生するケースが一般的で、消費者が作品を購入したあともデータを読み出したりするたびに費用が発生したりする。
転送量課金が発生しないクラウドサービスも存在はするが、結局のところネットワーク通信にかかるコストがストレージ料金に内包されていたりする。そうでなければクラウドサービス事業者が身銭を切ってネットワーク通信料金を払っているケースしか無い。

無料で利用できているサービスは、概ね誰かが身銭を切っている状態である。


補足:ユーザー体験

質の良いサービスはユーザー体験が良いサービスと言える。
ユーザー体験を向上させるには開発費を安定して確保する必要がある。
近年はスクラム開発のように持続的開発体制を採用して品質マネジメントに力を入れているサービスが増えたが、これは常にシステムに詳しい開発者が存在することが大きなメリットと言える。
例えば、数年に一度の改修プロジェクトを発足して開発するケースではシステムへのナレッジが多少失われているケースがあり、その補填コストとして開発期間が伸びたりする。
スクラム開発のように開発チームを常設しておくと、常に開発チームがシステムに最適化されており短期間で機能追加等の開発がしやすくなる。
常設するため維持コストが高くなるがそれに見合うリターンが得られると判断されて、近年のサービス開発で採用されている。

ユーザー体験の向上には十分な開発費が必要と言える。
十分な開発費なくユーザー体験を向上させるには開発者が身を削るしか無い。

個人的な感想

理想は、
①マーケットに消費者が十分におり消費活動が活発に行われていて、
②クリエーターへの還元率が高く、
③プラットフォーマーもサービス開発費やプロモーションに資金を回して品質を向上し、
④ユーザは質の高いサービスを利用することができ、安く購入することができる
状態である。

個人的な感想だがBOOTHは①②③を揃えているが③が不十分で、
DLsiteは①③④を揃えているが②が不十分だと感じている。

DLsiteやBOOTHがプロモーションで①の消費活動を促してきた実績は評価できるが、
現状がまるで棲み分けているような状態になっているのは消費者とクリエーターにとって健全とは言い難いと感じている。

結局の所、消費者とクリエーターは自分が好きなサービスを使えという結論にるが、
BOOTHとDLsiteはもっとバチバチに競争してより良いサービスに発展してほしいと思う。

いち消費者兼クリエーターとしてできることは、こうしてブログを書いて声にすることくらいなので願わくばBOOTHとDLsiteが不満ではなく好みで語られるサービスに成長してほしいと思う。

以上。

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いらにか 2022/02/01 20:52

【2022年1月】道草恋歌の月例賞発表

ごきげんよう、いらにかです。

道草恋歌

道草屋への思いを短歌・俳句で綴る道草恋歌の月例賞発表です。
選考はいらにかの主観により行われました。

【睦月賞】


雪積もる 空いた冬田に もの思う あちらの実りも 今は休めじ

作者:のりひじき
部門:短歌部門
解説:
冬の何も無い田んぼを見ると稲さん今なら多少暇なのかな、朝早起きしなくてもいいのかな、とか思ってしまいます
思えば旦那さん田んぼが忙しい時にあちらに行ってるんですよね。不思議です


【佳作・入選】


豆球の光の鈍き客室で直視できずにいる薬指

作者:黒縁ナイロールのお客様
部門:短歌部門


秋のあぜ 暮れゆく帰路の 寂しさに
わが衣手は 君を離さん

作者:いらにか
部門:百人一首部門
解説:百人一首部門のルール解説のための実例です。


道草恋歌の歌会始大賞


恋雪の つもる夜ゆえ 指先に 帯びる熱が 冷たく焦がす

作者:あじひらめ
部門:短歌部門




あとがき

1月も良い歌が沢山投稿されて、選定がとても大変でした。
みんなに花丸💮をあげたかったのですが、心を鬼にして優劣をつけながら選定しました。
惜しくも入選できなかった方へ朗報ですが2月の歌会が始まっています。
皆様のご応募をお待ちしております。

https://twitter.com/happy_packet/status/1481779146766557184?s=20&t=ISY9OFvnnqrChjopg8grlQ

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いらにか 2022/01/22 08:42

開発者はコードだけでなく、法や判例も読んでいる話

いらにかです。


今日は知ってもらいたい事があるので、少し真面目な話になります。


2022年1月20日(木)にCoinhive事件の最高裁判決が出ました。無罪です。
以下で判決の全文が読めます。


https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=90869
※余裕があればぜひ一読してほしいです


第一審では無罪、二審の高裁で逆転有罪、そして今回の最高裁の三審では第一審の判決を支持する内容で無罪となりました。
判決の内容次第では、デモに近い意味も込めてみちくさびゅあーを数日閉鎖することも検討していたのでホッとしています。


今回の裁判では「その意図に沿うべき動作をさせず,又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録」という条文の違法性の境界線が司法によってどう判断されるのか注目でした。
最高裁の判決では「反意図性」と「プログラムの不正性」について明快に書かれていて非常にわかり易かったです。


<判決の全文から引用>
すなわち,反意図性は,当該プログラムについて一般の使用者が認識すべき動作と実際の動作が異なる場合に肯定されるものと解するのが相当であり,一般の使用者が認識すべき動作の認定に当たっては,当該プログラムの動作の内容に加え,プログラムに付された名称,動作に関する説明の内容,想定される当該プログラムの利用方法等を考慮する必要がある。
また,不正性は,電子計算機による情報処理に対する社会一般の信頼を保護し,電子計算機の社会的機能を保護するという観点から,社会的に許容し得ないプログラムについて肯定されるものと解するのが相当であり,その判断に当たっては,当該プログラムの動作の内容に加え,その動作が電子計算機の機能や電子計算機による情報処理に与える影響の有無・程度,当該プログラムの利用方法等を考慮する必要がある。
~~~~


今回の判決で仮想通貨のマイニングプログラムが「社会的に許容し得ないプログラムではない」ことに触れられているのもとても良い結果でした。
WEBサイト(サービス)運営の収益は広告系のアフィリエイトに偏っていてコインハイブはそれを打開できる可能性を持ったサービスでした。
コインハイブ自体は既にサービスを終了してしまっていますが、模倣サービスが現れてより利用者と提供者がWin-Winなサイト運営の手段が増えたらと思います。


ちなみに僕の作るアプリは反意図性の部分でグレーゾーンになることが稀にあります。
ただそれはサプライズのように利用者を驚かせる目的で作られるので、事前に許諾を得たりは難しいなと思っています。
不正性についてはほぼ皆無です。
社会的に許容し得ないプログラムの解釈が今後変わらなければ……。
Analytics系のツールが今年は動きがありそうなので、ちゃんと動向を追って安心できるサイト運営を心がけたいと思います。


私の周りの人にCoinhive事件を認知してもらいたくて書きましたが、もし興味があれば「Winny事件」や「岡崎市立中央図書館事件」「Wizard Bible事件」「アラートループ事件」もぜひ調べてみてください。
あと事件ではないですが、キュレーションサイト(直リンク)問題の記事も面白いのでおすすめです。
https://www.derive-ip.com/2018/01/inline-link-and-copyright/


そして、最後になりますが個人開発者は稀に「違法か合法か分からない危険な夜道を歩かされている」ことを理解してほしいです。
臆病な開発者はソースコードだけでなく、法も読んでいるものなのです。

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いらにか 2021/12/29 11:06

技術書「みちくさびゅあーの技術」を発行しました+おまけ話

こんにちは、いらにか(@happy_packet)です。

今年も終わろうかという時期に、滑り込みでなんとか技術書を発行できました。

https://iranika.booth.pm/items/3541508

ようやく2021年の目標のひとつが片付いてホッとしています。

この本の執筆は「1日でみちくさびゅあーを作る体験を提供できるのでは?」という安直な思いから始まりましたが、これからみちくさびゅあーの開発を個人からコミュニティへ移行するための重要なドキュメントになるはず……。

とにかく、この本の執筆を通してみちくさびゅあーの現状に向き合うことができていい経験でした。





そして、2022年。






みちくさびゅあーにとって波乱の年がはじまります。






――みちくさびゅあー三代目の登場によって(倒置法)


開発コード名:三代目
㌁版公開URL:https://momoco.iranika.info/#/




クリスマスイブに酔った勢いで書き始めて、クリスマスが終わる頃には主要機能は実装が終わってました。



僕のクリスマスはこいつの開発で消え去りました。



見た目もほぼ同じなのに、なぜ書き直すのか。何が違うのか。

今回は三代目の開発スタートに至った経緯の雑記を書こうと思います。

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三代目を書くに至った経緯です

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いらにか 2021/11/16 21:00

いま作っているやつの話

ごきげんよう。いらにかです。

前回の更新からだいぶ時間が空いてしまいました。
情報を計画的に発信するのは大変だなと思った今日この頃です。


現状、いくつかの企画と思索がありまして情報収集したり無知を補うべく勉強したりしていました。
それについて報告できる範囲で現状報告しようと思います。

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報告できる進捗の話です

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