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あとがきの記事 (3)

ななづこ/水温25℃ 2024/03/30 19:46

『月明かりと夜風のワルツ』ができるまで

こんにちは、ななづこです!
ティラノゲームフェス2023も終了となりました(フェス振り返りはこちら!)ので、最後に改めて「月明かりと夜風のワルツ」(以下、つきよか)のあとがき兼制作レポートをまとめておこうと思います。


作品ページ:月明かりと夜風のワルツ

※ネタバレを含むので、未プレイの方はご注意ください。

制作期間

つきよかは2022年7月ごろから動き始めていて、同年10月8日に次回作のお知らせ記事で情報初出、そして2023年8月25日に公開となりました。丸1年以上制作していたみたいですね。

上記のお知らせ記事で「エンディングまで書き終わっている」と言っていますが、その後は第8稿まで書き直すことになろうとは……
マルチエンディングの予定が結局一本道になったりと、つきよかの最善の姿を探してずっとうろうろしていましたが、最終的には満足のいく形で完成させることができました。

完成までの間、Ci-enで毎月月末に進捗報告を書いていたので、詳しい進行状況は「つきよか」タグ一覧から見られます。(※つきよかの進捗報告はフォロワーさん限定になってます。無料なのでご興味がありましたらぜひ!)
シナリオで唸っているのがありありと見えてお恥ずかしい限りです。
自分の言う「一旦シナリオ完成」は本当にあてにならないなと実感し、ちょっぴり落ち込んだりしてました。またいい経験ができたね。

制作動機

つきよかは「雇われた者としての自覚が強い忠誠心100%の使用人と、その使用人に片想いしてるお嬢さま」という関係性が浮かんで作り始めた作品でした。珍しく原案の原型がしっかり残ってますね。

それに加えて「そろそろ魔術についてちゃんと書きたいな」という気持ちがあり、「魔術がある国」を舞台にしました。
これは完全に裏設定であり裏テーマなんですが、私の個人作品はすべて同じ世界の話です。(2016年公開の1作目・2作目からはちょこちょこ変わっている部分はあるので、あの辺りは一旦含めずで…なんとかしたいなーとは思ってます)
と言っても、お話が繋がっていたり、他作品のキャラが出ることもなければ、匂わせがある訳でもないので、気にせずお好きな作品だけプレイしていただければなーと思ってます。

そんな訳で、頭の中にあるばかりで表には出ていない国がたくさんあり、魔術の国もその1つでした。やっと形にできて嬉しいです。
他の国もいずれ形にしていきたいですね。

世界観とストーリーについて

ファンタジーのお話が好きな理由のひとつに、「ファンタジーの暮らしを覗き見するのが好き」というのがあります。
魔術がある生活はどんなものか、どんな文化と価値観があって、どんな便利・不便があるのか。どんな芸術が生まれて、どんな犯罪と法律があるのか。
今回のお話で、その辺りは意識して触れるようにしました。元々ぼんやりと頭の中にあったものを、今回いろいろとはっきりさせることになり、考えていてとても楽しかったです。
軽く触れた程度で詳しく書いていない部分も多くありますが、それは今回のお話の役目じゃないなと取捨選択した次第です。
今回触れなかったことはいずれ、別の人たちのお話で書くかもしれないです。今はまだ予定はないですが。

キャラクターについて

魔術は上手だけどその綺麗ではない部分を知るリシュアと、魔術を使うのは苦手だけどその美しさに惹かれるレナート。そんな2人のお話でした。
このお話はリシュアの恋愛物語であり、レナートの成長物語でもあります。なのでどちらも主役だなぁと思ってます。
魔術が得意な人、苦手な人、魔術以外の道を行く人、魔術を妬む人。
この国にはいろんな人が暮らしていて、その一部にスポットを当てたお話でした。

全体で見ると、リシュアの片想いのしっとり具合に加えて、魔力格差など難しいお話もある中で、レナートのおかげでコミカル成分も持たせることができました。ナイス顔芸。

リシュアとレナートの2人がかわいいというご感想に加えて、父がかっこいいというご感想もたくさんいただきました。嬉しい!
トヴァルはお話の中核にいて、この国の多くの人にとっての憧れであり、リシュアにもレナートにも大きく影響する人でした。
その存在感と説得力をちゃんと持たせられていたのかなと、ご感想を見ていて感じます。ありがとうございます!

グラフィックについて

最初期に公開した立ち絵ラフから、結構服装が変わったりしてます。
当初はかっちりした家のイメージだったのですが、だんだんアットホームな感じになっていきました。

そして今回は、背景も5枚ほど自作しました。
今回はすべてイラスト素材で統一しようと思っていたのですが、どうしても見付からない素材があり、一部は写真素材をイラストっぽくしてなんとかしましたが、それでもどうにもならなかった背景たちです。

シナリオへの影響が大きいものばっかりですね。
お借りした素材がどれもクオリティ激高で、そんな中に混じって自作素材が表示されることになるので、差が目立たないようにできるだけ雰囲気を合わせたり描き込んだりしました。
背景はまだまだ練習中なんですが、今回でだいぶスキルアップした気がします。

お借りした素材も、実はそのまま使っているものは少なく、色味などを加工したりしています。(加工OKの素材です)


元素材:みにくる背景CG素材集『お屋敷編』part04

元から素晴らしいクオリティなのですが、自分の立ち絵や作品全体の雰囲気に合わせたり、他の素材と色味を均一にするために調整しました。
ファンタジーっぽさを感じる色合いにできたんじゃないかなーと思います。

システムについて

短編ながらも、これ作ってみたいから入れちゃえ~といろいろ操作まわりのシステムを作ってみました。
よくご感想で褒めていただいたのが、システムボタンのカスタマイズ機能と、バックログで進行度が確認できる機能でした。

システムボタンのカスタマイズは、エロゲの体験版とかでよく見かけたので、便利なもんなのかしらと思って入れてみたものでした。
ご感想を見た感じ、便利という声もありましたが、どちらかというと変えられてビックリという声が多かった気がします。実際にはどれだけカスタムされただろう。
長編だと便利さが実感できそうな気がしますね。

進行度の確認は、私が「あったら便利だろうな!」と思ったので作りました。
私は動画を見る時、本を読む時、あとどれくらいかなーと気になって確認することがあります。ゴールが見えている方が走りやすい感じ。
便利と言っていただく度に、私だけじゃないんだなとにっこりしてました。
今思うと、メニューからチャプターセレクトが表示できる方が、好きなシーンに飛べる機能も持たせられてよかったなと思ってます。次はそうしようかな。

あと、用語説明をポップアップで表示するようにしたのも、個人的に気に入ってます。

今回は読み物としてではなく記録と補足として入れたかったので、説明があるとしても1・2行くらいの文量しかなく、できるだけお話を読む邪魔にならないように入れたいなーと思ってました。
なので動画のテロップみたいに、クリックしなくても勝手にピロッと出てきて、勝手にシュッと消える感じにしてみました。
立ち絵の動きや台詞に合わせてSEをつけてみたのも、ちょっと動画っぽい演出だったかも。

システム周りで新しくやってみたいことも増えたので、次の機会に作ろうと思います。たのしい!

終わりに

そんなわけで、2020年公開の「リベリオン・ヒーローズ」以来の乙女向け恋愛ノベルゲームでした。
色々悩んだり苦しんだ部分も多くありましたが、今回も自分の最新作として満足のいく作品にできました。
プレイしてくださった方、ありがとうございました!

次回作はまだ未定ですが、また好きなものを入れたり、やってみたいことに挑戦したりして、楽しく作っていければと思います。
引き続き頑張ります!

ななづこ/水温25℃ 2021/08/15 11:55

『はこにわのみこ』ができるまで

こんにちは、ななづこです。

先日公開した、新作『はこにわのみこ』の制作振り返り記です!
フルコンプ(バッジ獲得)済みの方向けの内容なので、
プレイ予定の方・プレイ途中の方はご注意ください!
15分くらいで読めるので、よろしければこの機にぜひ~

ゲームプレイはこちらから!(ブラウザ・スマホでも遊べます!)
https://novelgame.jp/games/show/5223

\30秒PVもあるよ/
https://youtu.be/en5T5H_tYmU

もくじ

①制作の動機
②ストーリーについて
③グラフィックについて
④キャラクターについて
⑤隠し要素について
⑥今回やりたかったこと
⑦おわりに

①制作の動機

短い作品を作りたいなーという気持ちがあって、
たまたま短くまとめられそうな案を思い付いたので制作をスタートしました。

前作のリベヒロが制作期間1年強くらいだったので、
長距離を走った後のクールダウンみたいな気持ちもあったり。

昨年の年末~今年の年始あたりで制作を始めたので、
だいたい半年強ほどで完成となりました。
当初の予定では、掌編だし3か月くらいで終わる見込みだったのですが
グラフィックをちまちま用意したり、システムをあれこれ考えたりして、
気が付いたら半年経っておりました…

短いので全てのパーツを自作チャレンジできるのでは!?
と夢見たりしていて、BGMも自作しようとしていたのですが
自分が求めるクオリティには届かず、諦めて素材をお借りすることに…
一応、かろうじて形になったものがあるので、ここに供養しておきます。

日記を書いてる時に流そうとしていた曲。

ピアノで、音数が少なく、三拍子のシンプルな音楽が欲しかったので、
それだけイメージできているのだから頑張れば作れるかもしれないと
頑張ってみたんですが、可もなく不可もない感じに…
もしイメージに合う素材が全く見つからなければ
最悪これを使おうかなと思っていたのですが、
無事に素晴らしい素材に出会えたので、そちらをお借りしました。

②ストーリーについて

いつもはキャラクターの関係性とか
世界観設定から話を決めてゲームにするのですが、
今回は「日記で物語を読む」というアイデアから始まりました。
RPGなどに出てくる空き家に残された日記とか、好きなんですよね。
それとはまた違ったものにはなりましたが、
リアルタイムで日記が書かれる様を見るのも面白いなと思い
あんな感じの見せ方になりました。

一番最初のイメージでは、洋風の館に住むお嬢さまが
ゴミ捨て場で悪魔を拾う…みたいな感じでした。
「あくまをひろいました」みたいなタイトルの。
最初はペット感覚だったんですが、ともだちになりました。
そして色々こねこねしているうちに、村社会と信仰のお話になりました。

魔界のこと、悪魔(魔族)のこと、神力のこと…
ずっと頭の中にあったものなので、今作で触れられて少しすっきりしました。
今作ではそこまでメインで関わって来るものじゃなかったですが、
いずれまたこの辺りを中心に展開するお話も書きたいですね。
と言いつつも、結局いつもみたいに真っ向からは書かないかもですが。

③グラフィックについて

掌編なので見た目もコンパクトにしようと思い、
かわいくちまちました感じにしました。
ただ、あんまり画面が変わらないのも退屈だと思ったので、
ちょこちょこ動かそうとした結果、プレイ時間に対して結構な量の絵を
描くことになってしまいました。

アニーは差分も含めてだいたい65人分描きました。520歳だね。
画像フォルダを開く度に「かわいいなぁ」となります。


ファイル名は気にしないでください。

アニーの部屋は、家具などがすべて子ども用サイズで、
外に繋がる窓とドアだけ大人用サイズというイメージです。

ちなみに、アニメーションはapngを使用しています。
pngだけど動く、というやつ。


Ci-enだと動かないのか…

作り方はGIFアニメと似たようなもので、
pngで静止画のコマを用意して専用のソフトでがっちゃんこする感じです。
詳しくはこちらの記事がわかりやすかったです。
APNG AssemblerでアニメーションするPNG(APNG)を書き出す

最初はぜんぶ目パチさせようとしていたのですが、
コストがかかるわりに効果は少ないと思ったので諦めました。

④キャラクターについて

アニー

「大人しい見た目だけど元気な女の子が好き」といういつものやつです。
好奇心旺盛で、目を離すとすぐにいなくなります。
高いところが好きでどこにでも登るし、
知らない果物でも美味しそうだったら食べてみちゃう。
「御子様」と呼ばれる前はよく怒られていました。

誕生日プレゼントで「帽子」をもらっている辺り、
外に出してあげたいと思っている村人もいたんでしょうね。
アニーが部屋から持ち出したのは、そういう気持ちのあるものだけでした。

クロ

異文化に興味があるマイペースお兄さん。
お兄さんと○女のコンビが書きたくて、お兄さんにしました。
クロはアニーのことを「子ども」として扱っておらず、
言うなれば「小さい人間」として見ています。
困っていてもあんまり手を貸したりはせず、
どうするのかなーと観察していることが多いです。

ちなみに、「(自分たちと比べて)人間は簡単に死ぬ」と思ってます。
毎日遊びに来ていたのは、生きてるか確認する気持ちもあったのかも。
なのですぐ「死んだ…?」と聞いてきます。
(お昼寝してる時とか、転んで頭ぶつけた時とか)

⑤隠し要素について


初公開・メルの立ち絵

メル編(と私は呼んでいる)は、書くべきかしばらく悩んでいて
「説明しすぎなのでは?」「“答え合わせ”は無粋なのでは?」
という内なる心と戦ってました。
バックログでの台詞も同じように迷いました。

でも消化不良になるのも避けたかったので、
今回はできるだけ説明し切る方向にしました。
とはいえ、あくまでも隠し要素・裏道という見せ方にしたくて
あんな感じの見せ方になりました。

当初の予定ではメル編は、メルが窓から出て「おしまい」…
だったのですが、いざ通しでプレイしてみると
あまり希望を感じられる終わりに見えなかったので、
最後にもう1回アニーたちに登場してもらいました。
読了感に結構影響してるんじゃないでしょうか。たぶん。

⑥今回やりたかったこと

readmeをゲームに組み込む

スマホのみのユーザーにもゲームを楽しんでもらいたいので
ブラウザ版のみでも問題なくプレイできるようにしたいのですが、
そう考えるとダウンロード版にしかreadmeがないのはおかしい…
ということで、ゲームそのものにreadmeを入れることにしました。

すると、操作方法や攻略のヒントなども、
ゲームを起動しながら確認できるようになったので
DL版のプレイヤーさんからもご好評でした。やったね。

スタッフロールをいい感じにする

スタッフロールを作る時って、ゲーム制作の最終盤で力尽きかけているので
いつもは文字が流れるだけ…という当たり障りのない形にしがちでした。
なので本作は、掌編なので短い分と隅々までこだわろうと
スタッフロールでその後の姿が見える感じにしました。
流れ終わるまでけっこう時間がかかるので、
ちゃんとスキップボタンもつけました。えらい。

タイトル画面を変える

クリアした時、タイトル画面に戻ると変化してるやつ。
昨年のティラノフェスで、他の方の作品をプレイしていて
一番「いいな」と思ったところだったので、
私も自分の作品にぜひ取り入れたいと思い、やりました。

スタッフロールに入る前、アニーが出て行くカットも描いたのですが
窓が映るのはタイトルに戻ってからの方がいいかなと思い、ボツにしました。

⑦おわりに

いつもとはジャンルも絵柄も違う作風になったので、
どれくらいの人にプレイしていただけるかドキドキしていましたが、
公開直後からたくさんの人にプレイしていただけて安心しました。

掌編として短くまとまって、隠し要素もいい感じに入れられて
個人的にはとても満足のいく作品となりました。
プレイしてくださる方も、楽しんでいただければ幸いです。

昨年リベヒロを公開できて、今年はこみこを公開できたので、
また来年も何かしら公開できればなーと夢見ています。
次はまた、乙女向けのノベルゲームに戻ろうかなと思ってます。
(でも作りたいものができたらそれを作ると思う)

次回作がいつになるかは分かりませんが、
ゆるっと見守っていただけますと幸いです!
それでは、ありがとうございました!

ななづこ/水温25℃ 2020/06/28 11:56

『リベリオン・ヒーローズ』ができるまで

こんにちは、ななづこです!

今回はリベヒロのあとがき(という名の制作振り返り)です。
フルコンプ済みの方向けの内容なので、
未プレイの方・プレイ途中の方はご注意ください!
あと、とても長いです。


ゲーム紹介ページ:リベリオン・ヒーローズ

もくじ

①制作の動機
②シナリオ作業について
③ストーリーについて
④世界観について
⑤登場人物について
⑥エンディングについて
⑦ゲームの雰囲気について
⑧UIについて
⑨過去作の反省・気をつけたこと
⑩どうでもいい小ネタ
⑪終わりに

①制作の動機

別のシナリオを書いている時に頭が疲れて、
「頭を空っぽにして書ける・読める話が書きたい」
という気持ちで適当に書き始めたのが始まりでした。

私の場合、シナリオの作業が一番体力を使うんですよね。
台詞1つにしても、その子の性格と価値観と経験が含まれるので、
この子はどんな言葉選びをするんだろうかと考える度に、
登場人物それぞれの人生を追体験しているような感覚になります。
それが好きでやってるんですが、まあとても疲れます。

手を動かしている時間よりも頭を動かしている時間の方が多くて、
時間が経つと「ああ、こっちの言葉の方がニュアンスが近いな」と
気がついたりして、一進一退しながら書き進めて行きます。

なので途中で挫折することもあって、
そういう時に違う話を書きたくなったりするわけです。
(思えば鏡の国の姫君も同じ動機でした。定期的に頭を空にしたくなる…)

②シナリオ作業について

いつもは詳細なプロットを書いてから肉付けしてシナリオにするんですが、
今回はぶっつけで書きなぐったものを、あとから書き直す形で完成させました。
勢い重視で台詞を書き切って、情景描写は後から考える感じで
全体の流れを作ります。

書いているうちに、書きたいことと、
登場人物の過去と価値観が定まってきたので、
書いたものを見直して言動に違和感がないか確認・調整しました。
あとは、曜日で区切った方が展開しやすいなとか、
ゲームのバランスも考えて組み直します。

結果的に、最初に書いたものとは大分ストーリー展開が変わりましたが…
没になったものが多い代わりに
何も書けないまま立ち止まる時間がほぼなかったので、
ずっと手を動かせていたのが精神衛生上とてもよかったです。
やっぱり「とにかく書く」って大事なんだなぁ。

③ストーリーについて

春の幻影は「自由」について考えながら書きましたが、
今回は「コンプレックス」と「居場所」について考えながら書きました。
(ちなみに鏡の国は「天然」について考えてました。平和だね)

企画段階では、ヒーローごっこは本当に戦隊ものっぽい雰囲気で、
ヒーローネームを名乗ったり変身したり…というのを考えていました。
でもシナリオを考えているうちに、私が書きたいのはそこじゃないなと思い、
ヒーローごっこについてはできるだけ説明が少なく済むようにしました。


(でもヒーローネームはみんな持っています)

私は、悩んでいたり、やりきれない思いを抱えている子が好きで、
そういう子が幸せになるためのストーリーを考えるのが好きなので、
今回も例に漏れずそんな感じの話になりました。

あとは、男女における「なかよし」という間柄が好きで、
小学生みたいに楽しく遊んでいるところが書きたくて書きました。
ほのかとヤマトは、まず友達としてとても気が合う関係です。
友達としても、恋人としても、最高のコンビ。そんな2人のお話でした。

④世界観について

物語の主軸は現代チックですが、過去作と同じ世界の一角にあるので、
要所要所にファンタジーワードがあります。
ただ、ストーリーの大筋に絡んでこない要素は極力説明しないようにしたので、
魔法だのドラゴンだのは存在をほのめかす程度になりました。


(魔法匂わせ)

なので今回の舞台は、魔法を使える人や獣人があまりいない地域の、
科学が発展している国の、片田舎でした。

⑤登場人物について

主人公

元々は元気だったけど、色々あって大人しくなった人。
愛犬のことも空手のことも、どちらも誰が悪い訳でもないことで、
誰に憤りをぶつけることもできず「もういいや」で全てを諦めました。

「楽しいこと」の楽しさを忘れかけ、好きでも嫌いでもない勉強をして
これからも生きて行くんだろうと思っていた頃に、
ヤマトとヒーローごっこに出会いました。

1人の時間に慣れていて、寂しい気持ちも悲しい気持ちを自分で処理できるので、
愛犬のことも空手のことも自分である程度は持ち直しましたが、
現在のように元気に明るくなったのはヤマトのおかげです。

ヤマトのことは、人として、友達として、恋人として、
全ての意味合いで特別であり大好きな存在になりました。
なので付き合ってからは、持っている愛情は余すことなく伝えるし、
多少遠慮することはあっても結局はベタベタに甘えるし甘やかします。

桐生ヤマト

元々は大人しかったけど、色々あって元気になった人。
周囲から犬の姿を可愛がられることは、悪意はないと分かっていても
本人にとっては嫌なことで、受け入れがたいことでした。
ヤマトは真っ向から反発して、立ち向かっています。

誰かに選ばれること(恋人ができること)に憧れがあって、
だけど自分とは無縁だと諦めていた頃、主人公と出会いました。

ヤマトの理想は「柴犬の姿も気にしないよ」と、
自分を人間として見て、柴犬の姿も受け入れてくれる人でしたが、
そういう意味ではほのかは理想の人とは違う存在でした。
(柴犬の姿に大層反応するので)

でも結果的に、柴犬の姿も人間も姿も同等に、
それも多大なラブを向けられるようになるので、
ヤマトにとって最も幸せな形に収まりました。よかったね。

主人公の兄

心配性だけど過干渉ではない兄。
幼い頃から、生まれたばかりのほのかを1人で育てていて、
1人で兄・父・母の三役をこなしているスーパーお兄ちゃん。

ほのかに"普通の家"と同等の生活を送って欲しいと思っていて、
お金のことで心配をかけないように、仕事には特に注力しています。

ただ、その分ほのかを1人にする時間が多くなってしまい、
寂しい思いをさせていることに責任を感じていて、
かと言って仕事を控える訳にも行かず、
「俺だけじゃ幸せにしてやれない」と思っていました。

なので、ほのかがヤマトと出会い、毎日楽しそうに過ごしているのを見て
心の底から安心しているし、心の底からヤマトに感謝しています。
妹のことが大好きで、同じように妹のことが好きなヤマトのことも大好き。
妹を幸せにするものは、何でも大歓迎なお兄ちゃんです。

⑥エンディングについて

マルチエンディングにすることは最初から決めていて、
せっかく半獣なのだから人間エンドと犬エンドにしようと思っていました。

当初は、人間の姿が好き・柴犬の姿が好きという二極で考えていたのですが、
「どっちもあってのヤマトだしなぁ」と段々自分の中で違和感が出てきたので、
結果的に、どちらのルートでもほのかの気持ちは「どっちの姿も好き」になり、
そこに至るまでの展開が違う…という構成になりました。

ED1とED2はゴールは同じですが、ちょっとずつテーマが違います。
だけどどちらにも共通しているのは、ほのかもヤマトも、
お互いに出会ったことで救われたというところです。

ED1:人間エンド

空手を失って楽しいことを失っていたほのかと、
喧嘩に明け暮れてどうしようもない日々を過ごしていたヤマトの話。

ヤマトはヒーローごっこに出会って、
ヤマトの日々は虚しかった喧嘩から楽しいヒーローごっこ変わりました。
ほのかはヤマトに出会って友達ができて、
ヒーローごっこに出会って楽しい気持ちを取り戻しました。

全体を見ると、ほのかの中で人間と柴犬の印象が同等で
どちらの姿もひっくるめて友達として好き…という感じでした。
ED2よりもちょっとだけ恋愛感情が強め。

ED2:犬エンド

愛犬を失った喪失感を誤魔化していたほのかと、
柴犬の姿を受け容れるのに時間がかかっていたヤマトの話。

お互いにある程度現状を受け入れてはいたものの
少し心にわだかまりが残っていて、
それを晴らしてくれたのがお互いの存在でした。

全体を見ると、ほのかの中で少し柴犬の印象が強くて
友達としてヤマトの「犬扱いされたくない」の気持ちは尊重したい一方、
やっぱり柴犬が好きなものは好き…という苦悩あるルートです。
ED1よりもちょっとだけ友達感覚が強め。

ED3:兄エンド

兄と居られる時間が増えてハッピーなほのかと、
妹が楽しそうにしているからハッピーなお兄ちゃん。

春の幻影ではノーマルエンドを作るところをサボってしまったので、
反省してちゃんとノーマルエンドを作ろうと思ったのですが、
なんか兄エンドになっちゃいました。不思議。

でも結局のところ、このエンドを含めて、ぜんぶハッピーエンドです。

⑦ゲームの雰囲気について

過去2作とも、ほのぼのふわふわした感じだったので、
今回はスタイリッシュかっこいい感じにしました。

なので立ち絵もパキッとした感じにしたんですが、
今回のために変えたと言うよりは、
そもそもの今の絵柄が今作のものなんだと思います。
むしろ、『春の幻影』の頃の塗りを今しようと思っても
できないかもしれないですね。4年も前なので…

音楽もデザインの雰囲気に合わせたくて、
タイトル画面はベースの効いたかっこいいサウンドにしようと決めてました。
あのかっこいいベースからの、プロローグのノクターンの切り替わり、
結構気に入ってます。落ち着いて整然としていて、退屈そうな感じ。

音楽と言えば、ヒーローごっこのカットインの時の曲も気に入っています。
ただシーンの都合上、普通にプレイしていると
冒頭数秒ほどしか流れないのが勿体なかったですね。
長めの曲なんですが、最初から最後までいい曲です。
本当はPVを作ることがあれば使おうと思っていたんですが、
今回は結局PVは作りませんでした。(いつか作るかもですが)
下記で公開されているので、ぜひフルで聞いてみてください~

DOVA-SYNDROME「Dream train」試聴ページ

⑧UIについて

今作から本格的にティラノスクリプトを使おうと思っていて、
ブラウザによるスマホでのプレイを前提にUIを設計しました。

昨今、パソコンを持っていない人が多いという話を聞きますし、
今後のことを考えるとスマホでも快適にプレイできる環境は
保って行きたいと思っています。

ただ、プレイ後アンケートなどを見た感じ、
パソコンでプレイされてる方が多い印象ですね。

スマホでプレイする時はボタンが大きめの方が操作しやすいのですが、
パソコンからだとセーブやスキップボタンがメニューに格納されているのは
1クリック分の手間があり、直感的な操作ができず不便かなと思います。

もしパソコンでのプレイが大半なようであれば、
パソコン向けのUI設計にしたいんですが、判断が難しいところ…
今は、スマホでもパソコンでも不便ないようにデザイン検討します。

⑨過去作の反省・気をつけたこと

読みやすい文章にする

春の幻影を久しぶりに見た時、地の文が長くて読み辛いなと思ったので、
今回は読みやすい文章になるように気をつけました。

・1行があまり長くならないようにする
・キリのいい場所で改行させる
・漢数字をあまり使わない(一人→1人など)
・必要に応じて漢字・ひらがな表記を使い分ける
 (「漢字をひらく」というやつです)

今回はスマホでのプレイを意識したので、
ソシャゲに近いテキスト展開にしてみました。
私個人としては、小説級の長い文章も好きですし
ゲームの雰囲気や好みによって変わるところかなと思うので、
状況に合わせて使い分けられればと思っています。

出会いのシーンを書く

春の幻影で「出会いのシーンが見たかった」というご意見があり、
幻影はあれで完結しているので、今作の方で活かさせていただきました。

既に仲が良い状態でストーリーが始まるので、
出会いのシーンがあると感情移入しやすいというか、
2人が仲良くなる過程を補完しやすくなる気がしていい感じですね。

ノーマルエンドを作る

春の幻影では、条件に当てはまらない時にバッドエンドになるんですが、
今回はバッドエンドはなしでエンディングをちゃんと作りました。
(春の幻影の時は、メインのエンディングで力付きてました。反省)

まあ、兄エンドになりましたが。

⑩どうでもいい小ネタ

友達を思い出すところのはるお

はるおの正解パーツが「きりっとした顔」じゃなくて「ぼーっとした顔」なのは、
ほのかにはそう見えているということです。

ED2のヤマトくん、中学生女子に負けている

ヤマトくんは手加減はしない主義ですが、
今回は明らかに初戦だったので、勝ち負けよりも楽しい戦いを優先しました。

⑪終わりに

普段こうしてゲーム制作についてがっつり語ることがあまりないので、
振り返ってみるといろいろ考えて作ってたなーと、新鮮な気持ちになりました。

これまで、ゲームを完成させて公開したあとで
その作品の創作物を作る(物語を書く・漫画を描く・喋らせる)のが苦手で、
一度閉じた本をもう一度開いてらくがきするような感覚だったのですが、
リベヒロに関しては結構、まだまだ書きたい気持ちが強いです。
なので今後も落書きとか漫画とか、ちょいちょい描くかなと思います。

次に作るゲームについては、まだ具体的には決めていないのですが
書きたい話は余るほどあるので、今一番書きたいもので進めたいと思います。

大変長くなってしまいましたが、
ここまでお付き合いいただきありがとうございます。
今後とも、水温25℃をよろしくお願いいたします!

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