お題タグ「未来人は騙(かた)る」
こんにちは、皐月うしこです。
即興小説「未来人は騙る」
一年ほど前にツイッターで公開した小説?・・・いや、ただの台詞をこちらで残すの巻。
未来人は騙る
「一度、この目で見てみたかったんだ。ちょうどこの間、おじいちゃんが、遠い遠いボクの先祖が「じゃぱん」という、ああ別名「にほん」だったかな。そこで暮らしていたという話を聞かせてくれてね。
どこの国とも違う、八百万の神々が住まうという土地。
緑豊かな森は肺の奥深くまで濃厚な酸素を送り、鳥のさえずりはのどかで美しく、川のせせらぎは癒しの音を奏でている。時折、虫の鳴く声が聞こえ、夕暮れの影はどこまでも溶けて赤く染まるんだって。
そうそう「しき」っていうのもあるんだよね。
花の匂いが漂う春に、元気な笑い声を響かせる夏、黄金色に輝く秋と、真っ白に染まる冬。半袖と長袖を着たり、着なかったりして、旬の食べ物があるって本当?
そう、ボクはそれを体験してみたくて未来から来たんだよ。
年々上昇した気温のせいで水位は随分とあがっちゃって、今はもう文献の中でしか存在しない、沈んでしまった幻の島にね」