AIイラスト新環境
今までブレブレに使っていたキャラ絵が実質使用不能になり、もはやゲーム製作に必要不可欠となったAI生成イラスト!
しかし、進化の早すぎる分野ゆえに最先端を追うのはもうあきらめていて、去年からほとんど環境を変えていなかったのですが、今回ちょっと手を入れてみました!
ま、まあこの辺の話はAIイラスト詳しくない人には何言ってるのかサッパリでしょうし、逆に詳しい人には三周遅れくらいの話になるのですが、一応ゲーム製作にもかかわる部分なので、ほどほどに説明していこうと思います。
さいつよツール「Stability Matrix」
まず何が変わったかというと、「Stability Matrix」というものを導入したことです!
これがめちゃくちゃすごくて、かなり環境が変わりました。
「へぇ、じゃあこの『Stability Matrix』ってもしかして抜群に性能のいい画像生成アプリか何か?」と思うかもしれませんが、違います。
じゃあ何かというと、AIイラストを生み出す生成AIアプリ……を管理するアプリなのです!
ゲーマーにしかピンと来ない例えをすると、MODマネージャーとか、もしくはsteamクライアントみたいなものですね。
Stability Matrixの管理画面 なんと部分的にだが日本語対応もしている
それの何がすごいのか、というのはたぶん実際触ってない人には「???」だと思うんですが、今って画像生成用の環境も多様化が進んできて、「Stable Diffusion WebUI」、「Stable Diffusion WebUI Forge」、「ComfyUI」とかなんか色々種類があるんですよね。
だけど、それを一個一個導入するには色んなプログラムだのを入れたり仮想環境を作ったりとかですごい手間がかかりますし、普通にやると数十~数百ギガバイトくらいの容量を取ったりするんです……。
そこで出てくるのが、この「Stability Matrix」!
新しい画像生成環境をほぼワンタッチで導入出来ますし、簡単操作で一番容量を食う生成用モデル(絵を描くために収集されたデータ集みたいなもの)を共通にすることが出来るので、複数の環境を入れてもストレージ容量をそんなに圧迫しなくなるんです!
もちろんこれは手動で頑張っても同じようにすることは出来るんですが、その手間が劇的に減って分かりやすくなる、ってことですね!
「画像生成環境作りたいけど難しそうだしなぁ……」って思っている人がいたら、「Stability Matrix」導入から入るのはオススメです!
https://github.com/LykosAI/StabilityMatrix
導入はこちらから(まあ手探りでやらずに導入法をググった方がたぶん早いです)
Stable Diffusion WebUI Forgeの力
「Stability Matrix」は便利ですが、もちろんそれが単体で存在しても、それだけで画像生成ぱぅわーは変わりません。
画像生成力は、「Stability Matrixを通じて何を導入するか」で決まる訳ですね。
こちら、今までは「Stable Diffusion WebUI」という一番スタンダードな環境しか構築していなかったのですが、「Stability Matrix」によって色んな環境を気軽に導入出来るようになりました!
そこで初めに入れたのが、「Stable Diffusion WebUI Forge」です!
これは……無理やりゲームで例えると、「Stable Diffusion WebUI」がバニラのゲームだとすると、「Stable Diffusion WebUI Forge」は有志製作の大型MODです!
元のものより性能は高いけれども、安定性は低くてバグが多かったり、バニラに使えるMODの一部が機能しなかったり、とそんな感じですね!
つまり性能はいい代わりにリスクもあるんですが、「Stability Matrix」でちょいちょいと付け外し出来るようになったことで、そのリスクはだいぶ無視出来るようになりました。
で、この「Stable Diffusion WebUI Forge」、何がすごいかと言うと、元の「Stable Diffusion WebUI」にはない機能がデフォルトでついているとか色々あるんですが、やっぱり注目すべきは生成速度!
とにかく早い!
めちゃくちゃ早い!
まあこれは、GPU(グラフィックボード)などの性能が足りていると恩恵は小さくなるらしいのですが、こちらのグラボは4070ti(12GB)で、でっかい生成を回すにはグラボのメモリ容量がちょっと心もとないんですよね!
なので、デフォルトの「Stable Diffusion WebUI」を動かした時と比べて劇的に生成速度が変わりました。
最低でも1.5倍、ものによっては5倍くらいの生成速度になっているかな、という体感です。
Forge自体は半年以上前から出てきていたのですが、これほど変わるんだったらもっと早く環境整えておけばよかったなぁ、と思いました!
SD1.5からSDXL環境へ
さて、Forgeの導入によって生成速度が変わりましたが、それによって変わったものがあります。
そう、今までずっと使っていた「Stable Diffusion1.5」だけでなく、要求性能が高すぎて、今までの環境ではまともに動かせなかった、次世代の「Stable Diffusion XL」を動かせるようになったんです!
これもまあ説明は難しいんですが、今までプレステ3で遊んでいたのをプレステ4に変えたたとか、もしくはガラケーをスマホに変えたみたいなもの(?)ですかね!
……いえ、なんでプレステ4から5じゃなくて、3から4かというと、実はもう、XLよりさらに次世代の「Stable Diffusion 3 Medium」っていうのが今年の6月にすでに出てるらしいんですよね!
まあ色々問題があるらしいのであんまり流行ってないらしいのですが、この記事全部に共通して、それくらい周回遅れの情報ということは認識しておいてください。
界隈の進化が早すぎるッピ!
「Stable Diffusion1.5」(SD1.5)と「Stable Diffusion XL」(SDXL)は何が違うか、というと技術的なことは全く理解出来てないのですが、とりあえずパワーアップしていることは分かります。
SD1.5は512×512の大きさの画像を生成するのが上手かったのですが、SDXLでは1024×1024がメインと、解像度が倍に!
出来上がる画像も今までより精密で、破綻も少なくなった……ようなそうでもないような感じがします!
1girl, masterpieceだけの指示でSDXLで適当に作った画像
解像度がでかいとなんか雰囲気がある気がする?
まあその分、今まで使っていた画像生成のモデルとか指示とか学習データがほとんど使えない(上にForgeで動かさないと時間がかかりすぎてどうしようもない)ので、単純な上位互換とかではないのですが、確かに技術の進歩を感じました!
何より、今の画像生成の最先端はSDXL!
つまり、今人気の生成モデルとかは大体SDXLのものなので、そういう流行についていけるようになるのがいいですね!
そして 7th anime XL A へ
SD1.5だとかSDXLをプレステのようなゲームハードとするなら、生成モデルはゲームソフト!
先の項でも触れましたが、今までプレステ3(SD1.5)しかなかったから遊べなかった話題の新作が、プレステ4(SDXL)を買ったことでついに遊べるようになったんです!
そこで出てくるのがこの記事の最終章、画像生成モデル「7th anime XL A」です!
SDXLの超人気モデル「Animagine XL」をルーツとしたモデルで、今まで散々にお世話になったSD1.5の7th animeシリーズの作者さんの新作だそうです!
まあ論より証拠。
どうにかこうにか色々いじって、ブレブレ用の顔絵っぽいものをSDXL、「7th anime XL A」環境で作ってみました!
それが、これ!
まあ生成画像における比重はモデルとプロンプトが大きいので、SDXLになったから云々、というものでもないのですが、なんとなく時代が進んだ感じがしませんか?
では、「今までと何が違うのか」を検証するため、次はSD1.5で生成した今までの顔絵と比べてみましょう!
これ↑がSD1.5(既存の環境)で作ったもので
これ↑がSDXL(7th Anime XL A)です!
どうでしょうか?
絵柄の違いは生成モデルが違うところが大きいと思いますが、今までの顔絵よりも表情が豊かに、服装のバリエーションも心なしか自然となった気がします!
実際のゲームへの影響
なんとなくすごい進歩をしたような気分になっていますが、これを本当にブレブレで採用するか、というと、実際にはちょっと悩みどころさんなんですよね!
「7th Anime XL」のグラはいいんですが、今までの絵柄に寄せてもちょっと限界はありますし、今までの絵も雰囲気はあるので実に捨てがたい!
基本的に、「今までのSD1.5の顔絵だけで行く」か、「両方を混ぜる」か、「SDXLの顔絵に全て差し替える」か、おそらくこの三択になるのですが、今のところはちょっと混ぜてみて、違和感がなければ併用、どうも馴染めないようなら昔のものだけを使う、というのを考えています!
よく見ると塗りがだいぶ違うが、気にしなければギリギリ違和感はない……か?
「えっ!? もしSD1.5の顔絵をそのまま使い続けるならこれまでの話全部無駄だったんじゃ!?」と気付いてしまった勘のいいガキの皆さんも、そうでない皆さんも、ブレブレの今後を応援してくださると嬉しいです!
それでは!