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2022年 12月の記事 (3)

七画 形 2022/12/09 20:07

神様ノ季節開発忘備録③「戦闘システム面」

フリーゲーム「神様ノ季節」について


「 ー 白く染められた地を彷徨い、滅びゆく世界に抗え ー 」
どこまでも白い世界を彷徨う3Dマップ探索RPGです。

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フリーゲーム夢現

この開発忘備録記事では
①世界観表現及びアート面
②探索・イベント面
③戦闘システム面

の3回に分けて記事を書いていこうと思います。
今回の記事では③の「戦闘システム面」について軽くここでまとめておきます。

戦闘についての課題

毎度ゲーム作品において、戦闘システムの工夫はかなり力を入れている部分であり、
今作は雑魚敵との戦闘を如何に楽しく遊びやすくするかが課題でした。

きっかけとしては自分の過去作品がとある配信者によって実況された際、雑魚戦のあまりのテンポの悪さに機嫌を損ねてしまい、かなり酷い暴言を吐かれたことでした。
人を楽しませたくてゲーム作品を公開したのに、結果として人を不快な思いにさせてしまったことがずっと自分の中で引っかかっていました。

改善策を考える為に主にRPG系で実況された動画などを見たり、RPG系フリゲをいくつか触れた中で挙げることができた問題点としては大きく3つありました。

①、戦闘システムがシンプルであり、新鮮味もなく地味なものであったこと。
②、戦況が変化しづらく、誰が遊んでも使うコマンドが一定になりがちであった。
②、敵の報酬バランスが悪く、倒した喜びより時間を消費した徒労感が勝っていた。

「先制スキル」の狙い

まず思いついた問題改善策として実装したのが「先制スキル」システムでした。

「先制スキル」システムは、キャラクターの装備品に応じたスキルが戦闘開始時に自動発生するシステムであり、主人公の先制スキルは必ず発動し、連戦勝利中であれば更に仲間のうちひとりの先制スキルが発動するシステムです。逃走や敗北で連戦勝利状態が解除されると仲間の先制スキルは発動しなくなります。

「先制スキル」のコンセプトとしては

・戦況をある程度自分で決めることができるカスタマイズ性。
・戦況が毎回変化するランダム性。
・勝利メリットと逃走デメリットによりプレイヤーの選択肢から「逃走」を減らす。
・レベル差があれば先制スキルによる殲滅による実質戦闘スキップができる。

です。

これはかなり狙い通りにいったようで観測できる範囲ではプレイヤーは皆好戦的で遭遇した敵を残さず倒していました。最初から敵が弱っている&デバフ状態になるのもプレイヤーとしては「せっかく倒せそうだから倒す」といった判断となり、結果としていつも避けられがちな雑魚戦に参加させる要因になったと思います。
しかし、あまりにも好戦的に敵を倒すのが想定外であり、クリア想定レベルの1.5倍くらいのレベルでクリアするプレイヤーが多かったです。


「先制スキル」初手一度のみだがかなり強力。

「スキルデッキ」の狙い

「スキルデッキ」システムは装備品において発動する「先制スキル」やスキル技が変更される要素です。攻撃特化、回復特化、デバフ特化など全12種類があり、「善」と「悪」それぞれ対応する属性が付随します。
近いものとしてはよくある職業システムに近いです。

「スキルデッキ」システムのコンセプトとしては

・プレイヤーの好きなプレイスタイルで遊べる楽しみを与える。
・様々な編成による戦闘の新鮮さを維持させる。
・状況に応じて編成と役割分担を考える試行錯誤と考える楽しみを与える。

です。

ゲーム内では明言していませんが、実を言うとスキルデッキには「強いスキルデッキ」とそうでないスキルデッキがあり、僅かに差をつけて強めのスキルデッキの入手難易度を高めにしているので、道中必ず一回はスキルデッキ変更させ編成について一度プレイヤー自身で考え直させ中盤のマンネリ化を防ぐ設計にしています。
また、主人公はゲーム開始時の質問で初期装備が変化するので、序盤はプレイヤーごとに強敵の攻略方法を変えざるをえない仕組みになっています。その為、ゲーム実況を見てしまった方でも実況で見た世界線とは異なるような新鮮さを楽しめるシステムになっています。


紫色のカードが「善」であり、緑色のカードが「悪」。「手札」という名称は人生の選択における手段という意味で採用した。

戦況の変化と駆け引きの意識。

今作における……といいますか、やはりゲーム全てに共通する敵は「マンネリ化して飽きること」です。
何も考えることなく作業的になってしまうことを一番恐れていました。
故に、自分は今作において、主に3つの駆け引き要素を仕込みました。

Ⅰ、体力のダメージと回復の駆け引き。
Ⅱ、色素(MP概念)の駆け引き。
Ⅲ、ソウル(必殺技ゲージ)を貯めておくかの駆け引き。

当作をプレイした人からすればわかるかもしれませんが、主人公やキャラクターのレベルが上がっても最大体力値及び最大色素値は変化しません。(※装備品での底上げは可能)
なので、限られた体力と色素を如何に温存しながら戦うかが戦闘の基礎になります。

また、ダメージ計算式においては一部防御無視のダメージ値が入っているので、レベルを上げて防御を上げたとしてもある程度のダメージは確定で入る仕様になっています。
特に強敵との戦闘ではクリア想定レベルを超えている場合でも体力の4割ほどのダメージを受ける仕様であり、常に回復の備えを考えなければならない仕様です。

しかし、回復をするのにも長期戦になると全体的に仲間の色素が枯渇していき、
一度色素を補充するスキルを打たなければいけなくなります。
故に戦闘においては「攻撃・回復・補充」の役割をある程度ローテーションをしないと戦線維持ができない仕様になっています。このローテーションによって戦況の変化を演出し、ワンパターン戦法にならないように調整しています。

ソウルの蓄積で使える【奥義】はいわゆるゲームチェンジャー的な要素であり、膠着した戦況の打開やピンチ時の逆転を狙ったスキルです。
戦闘が終了してもソウルの蓄積は維持できるので戦闘が苦手なプレイヤーは「ソウルを満タンにしてから強敵に挑む」といった安定志向プレイもすることができます。


みんな大好きカットイン演出

戦闘とは何か?

ゲームにおける戦闘とは「駆け引き」であり、「苦痛と報酬」です。
その2点こそが戦闘をゲームたらしめているのだと感じます。

何の手段を選び何を捨てるか、何を賭けて何を得るのか。それが大きい程ゲームは苦痛が大きいものになり、そして喜びも大きくなります。

当作においては「雑魚戦はサクサク、強敵戦は白熱」をコンセプトにしており、雑魚戦は報酬少なめでプチプチを潰す感覚でできるテンポと難易度、強敵戦はかなり骨が折れるよ同時にプレイヤー側のレベルが高くても全滅するリスクがある難易度の代わりにかなり贅沢に報酬が出る使用になっています。

実況プレイにおいても強敵戦で汗を流した後の報酬の美味しさはかなり好評でした。


序盤から遭遇する可能性があるコイツに驚かされたプレイヤーは多いと思う。

要素の分解と再構築

ファミコンゲームのような古いゲームから受け継がれているターン制コマンドバトルやランダムエンカウント、キャラクターの強さのレベル制など、色々な定番システムがあり、定番過ぎてあまり意識しなくなりますが、開発側のコストや技術的な理由や、ゲームを面白くする為の要素としてよく組み合わされて作られています。

例えば、古き良きRPGは「ランダムエンカウント」「キャラクターレベル制」「MPスキル制」が採用されることが多いですが、レトロゲームの名作ドラクエ1やウィザードリィ等をプレイすると、その絶妙なレベル調整でこれはプレイヤーがワールドマップやダンジョンに挑むにおいての「先に進むか一旦街に引き返すか」の駆け引きを考えさせるゲーム性になっていることを実感します。

ランダムといえどエンカウント頻度はある程度一定なので「あとどれくらい進めるのか」といった駆け引きとなり、強力な一撃を繰り出せるMPの残量によって「あと何回戦戦えるのか」といった駆け引きとなり、レベルアップによってプレイヤーが歩み進める歩数が増えていきます。

そして、これらは「ランダムエンカウント」「キャラクターレベル制」「MPスキル制」が揃っているからこそ絶妙に楽しい仕組みになっているのであり、何も考えないままテンプレとして何も考えずに採用すると途端に面白さがなくなったりします。

これからのゲーム制作において気を付けていきたい要点だと思います。

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七画 形 2022/12/04 00:34

神様ノ季節開発忘備録②「探索・イベント面」

フリーゲーム「神様ノ季節」について


「 ー 白く染められた地を彷徨い、滅びゆく世界に抗え ー 」
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この開発忘備録記事では
①世界観表現及びアート面
②探索・イベント面
③戦闘システム面

の3回に分けて記事を書いていこうと思います。
今回の記事では②の「探索・イベント面」について軽くここでまとめておきます。

常に「気になる」を提示し続ける。

実を言うと、自分はゲームを積みがちなタイプです。
今までに多くのゲームに手を出してはみたものの、最後まで完走できたゲームは少ないです。
では、何故に完走できないのでしょうか?自分が思うというか陥りがちな要素としては以下の3つを書き出しました。

Ⅰ、世界観やストーリー、キャラに対する好奇心や興味がなくなってしまう。
Ⅱ、途中でキリが良いところで終えたまま起動しなくなってしまう。
Ⅲ、進む先が分からなくなってしまう。

そして、神様ノ季節の開発においてはこの3点の克服が課題になりました。

「Ⅰ、世界観やストーリー、キャラに対する好奇心や興味がなくなってしまう。」については、「世界観の考察要素やキャラとのイベントを出し惜しむ」形での克服を試みました。
神様ノ季節はクリアしただけでは世界観としては謎については解明されない部分が多く、かなりの寄り道が必要になります。また、仲間として連れているフリージア、アジュガ、ベルゲニアにはついては全てのキャンプ地を回ることでやっと彼らの素性を見ることができます。(会話イベントは完全にデレさせてからが本番です)神様ノ季節においては終盤まで隠されている「未知の探求」が楽しめる作りになっています。

「Ⅱ、途中でキリが良いところで終えたまま起動しなくなってしまう。」
これについては、「消化したくなる要素」を多数用意し、常に複数の軽いタスクを抱えた状態にすることで克服を試みました。「鍵のついた宝箱のピッキング」や「毎回復活する回復アイテム」「特殊な道具あると破壊できる阻害物」「魔物の素材集め」「NPC探し」「Namedエネミー探し」「仲間の好感度イベント」など常にやることが多く、ひとつ挫折しかけたり飽きた時に気分転換でいつでも他のタスクを行えたり、他のタスク途中で偶然発見できたりなどして楽しめる仕様になっています。

「Ⅲ、進む先が分からなくなってしまう。」については、一部NPCのガイドによる提示を除いて克服は諦めました。むしろ、「わからないなりに彷徨っていたら思わぬ発見があった」みたいな楽しみ方になるよう、上記のⅡで語った「消化したくなる要素」やその他乱数要素や隠し要素で進捗や条件などで訪れる度に新たな発見がある作りになっています。
とりあえずわからな過ぎて飽きてきたらゲームファイルに付随している攻略メモ見てください……。

以上三点の工夫で語られる要素で意識しているのは「気になる要素」の配置であり、「そういえばまだあれやってないな」みたいな引っかかりをプレイヤーに提示し続けることに重点を置いています。


最初から倒せなさそうな敵も序盤からいる。「ここまで強くなったまたおいでネ」といったメッセージでもある。

主人公の生き様=プレイヤーの生き方。

神様ノ季節は「自由探索RPG」です。マップの探索やボスエネミー撃破の順序が自由に選べ、辿り着くエンディングも複数あるのでプレイヤーごとに攻略方法が異なる形になり、「そのプレイヤーのみの冒険の記録」になります。人によって異なるルートが歩めるので実況などを観てしまった後の方でも十分楽しむことができます。
また、会話イベントにおいては主人公の選択肢を多めに入れており、少し陽気なキャラやボケ担当キャラ、正統派真面目などプレイヤーによって様々な主人公像のロールプレイを楽しむことができます。
ちなみに、最初の質問で主人公のスキル装備が変わるので最初に何を与えられどういった編成と戦略で戦っていくのかになるので序盤のプレイはプレイヤーごとの個性が光ります。(実況見るの楽しいです)


ちょっと心理テストみたいなのを最初やらされます。何が出たかの結果とか教えてくれると嬉しい。

世界観を強要しない。イベントではなくフレーバーテキスト。

神様ノ季節においては強○イベントは少なめにしてあり、ストーリーイベント上の文字数はかなり少ないです。世界観については最初のほうでも述べたように寄り道による回収が主になります。NPCや仲間との会話イベントだったり、遺された遺構だったり遺物だったりマップ上にある断片から世界観を考察したい人だけが考察できる作りになっていて、バトルで楽しみたい人やサクッとだけ遊んで終わらせたい人に向けてダラダラ専門用語な解説をしてしまうような無駄なストレスを排した作りになっています。


地味に設定が凝ってるアイテムもあります。

マップ構成の工夫

マップの作りは「一本道型」(覇者の道や氷道洞窟など)と「周回型」(果ての氷海や怪物の墓場など)をうまく使い分けています。
「一本道型」は次のエリアに繋がるマップ、「周回型」はマップを一通りぐるっと回って見るとまた入口に戻ってくる作りになっており、「少し戻るの面倒だな……」みたいな点を減らしています。また飛び降りれる段差などのショートカットも多く取り入れています。


「果ての氷海」マップはぐるっと回って戻ってくる仕組み

また、3D表現ならではのマップ表現で、カメラ位置をマップごとに弄っておりマップごとに様々な視点になるようカメラ位置を設定しているので、真っ白な雪ばかりで同じようなマップでも既視感のある景色にならないよう差別化を図っています。


地平線が広がる「孤独な墓標」マップ


高低差と飛び降りあみだくじな「愚者の崖」マップ

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七画 形 2022/12/03 02:23

神様ノ季節開発忘備録①「世界観表現及びアート面」

フリーゲーム「神様ノ季節」について


「 ー 白く染められた地を彷徨い、滅びゆく世界に抗え ー 」
どこまでも白い世界を彷徨う3Dマップ探索RPGです。

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この開発忘備録記事では
①世界観表現及びアート面
②探索・イベント面
③戦闘システム面

の3回に分けて記事を書いていこうと思います。
今回の記事では①の「世界観表現及びアート面」について軽くここでまとめておきます。

地形&気候から「生活」を作る。

今回紹介している「神様ノ季節」をはじめとした「構想コード:D」シリーズにおける世界観は一枚の自分で描いた地図から始まりました。地図には地形や気候の流れを書き、そしてその環境から考えられうる生態系を設定し、そこに人間を放り込んで出来ています。

「神様ノ季節」の主人公達であるヒョウセツの民も地図の設定環境から文化観を詰めています。
ヒョウセツの民は寒い土地に隠れ住む一族です。寒い土地は植物が育ちにくい為、農耕はあまり期待出来ません。なので彼らは狩りをしながら獲物を追い移動する狩猟民族のスタイルになっています。よく移動するので住居はテントがメインとなり、族長である主人公をはじめとした一部のメンバーに強い権限がある社会形式になっています。また、タイトル画面にある文字をカクカク調な廻想体 ネクストユーピー(B)に選んだのは物資が限られた彼らの文字文化が木などに文字を刻んだり掘ったりして表現する「刻み文字」形式であるという設定から来ています。(地味なこだわりです)


コンセプトアートイラスト:カザナ様 
立ち絵イラスト:TANBO様



3D表現は「3レイヤー」で画を作る。

戦闘画面など見せたい部分についてのマップ表現は「3レイヤー」を意識しています。
「前面」「中面」「遠景」にオブジェクト(木や岩などの置物)を置くことで画面を見た時の立体感と臨場感を演出しています。

特に前面については画面を邪魔しない程度の調整が難しいですがあると無いのではかなり変わると思います。


↑戦闘画面は特にこだわってます。前面に花を置くことで臨場感を演出


BGMの重要性。印象は目ではなく耳から。

BGMの選曲にはかなりこだわりました。曲調や音質を合わせる為、極力同じクリエイター様の曲で固めるようにしています。

フィールド用曲はGRIMOIRE NOTES(グリモアノーツ) 様龍的交響曲 様でまとめ、
戦闘曲はM-ART 様不協和世界の音楽博物館 様を中心に使ってます。

また、選曲の際は曲を何度も繰り返し聴き、曲から感じ取った情景と感情をあてはめる形で各シーンに採用しています。また逆に曲から着想を得てシーンや情景作りにつなげることも多いです。

こうしたBGMのこだわりには訳があって、イラストやマップといった視覚的要素は確かに人を惹きつけ楽しませてくれる要素ですが、感性に訴えかけたり印象として人の記憶に残りやすい又は記憶を想起させる時の鍵となるのは視覚的要素というより聴覚要素が強いという持論から来ています。
かつて見た景色を鮮明に思い出すことって意外と難しいのですが、かつて何度か聞いた曲は何となく鼻歌で歌えたりしますよね。

自分としては「面白い」とか「良かった」と感じられる作品のあり方には2種類あり、
「HOTな面白さ」(=ゲームをしている最中の熱中に感じる面白さ)と、
「CHILLな面白さ」(=ゲームが終わった後に思う余韻や思い出した時に思う良い記憶としての面白さ)
が存在すると思っていて、後者である「CHILLな面白さ」も充実させたいという思いからBGMにはかなり注力しています。単に自分もゲームや創作作品を完走し終えて後から余韻に浸る時間が一番好きなのもあるんですけどね。


「質」ではなく「質感」の重視。

自分は作品づくりにおいて「質感」というものを大事にしています。クオリティである「質」も重要ではあるのですが、自分は「質」を落としてでも「質感」にこだわります。

言葉に表すのは難しいのですが、自分にとって「質感」とは「整合性」であり、「感触」であり、「雰囲気」です。
そういう意味ではキャラクターのドット絵表現やマップのローポリ感、イラストレーター様に描いて頂いたキャラクターイラストは自分にとって良い「質感」を演出しています。

正直なところ今の時代はUnityやUE5を使いアセットストアにあるリアルな3Dモデルを使うことで販売されているソフトのような見た目が超美麗なゲームは誰でも作れるとは思います。しかし、質だけを求めれば求めるほど求められるものが増え、粗が目立つようになります。

例えば、NPCキャラがドットの場合は細かい装飾部分や人相などはプレイヤーの想像力で自分好みに補完され没入感が出来ますが、リアル調な3Dモデルだった場合は「少し好みの顔じゃないな」とか「このキャラ当たり判定変だな」とかで気になったりして雑念みたいな感想が大量発生しますし、3Dマップに木や岩ひとつ置いても質が高すぎると「地面と比べて彩度が合ってなくてなんか浮いてるな」みたいに違和感を感じやすくなります。


↑拾えるものや動かせるものなどを強調する為に敢えて浮いてるように見せているものもある

つまりは質を高めると細かい動作や素材の質の僅かな違いなどの「整合性」を合わせるのが非常に難しくなりますし、高い質が自己主張し過ぎてプレイヤーの想像補完の余地を奪い、人が作品に触れた時の「感触」の柔らかさを無くしてしまうのです。そしてそうした粗の塵が積もって「雰囲気」を壊してしまうのです。

メーカーの開発ではそういった膨大な粗や違和感は人数で地道に潰していったりするのですが、個人開発はかなり難しいです。
それに余談ですが、仮にそれがクリアできたとしても、ぱっと見の質が高すぎるとどうしても金も人も多くかけているようなメーカー品と比べられやすくなってしまって見劣りして辛い批評に遭いやすいという地獄をよくアプリストアなどで見る気がする……。


最近話題のイラストAIについても同じで、確かに高い「質」は備えるレベルになってはきたのですが現状の技術だとまだ

「顔は良いけど姿勢が固く見える」だとか
「構図は良いけど目の焦点が合ってない」とか
「デザイン悪くないけど染み出る感情が乏しい」とか、
「すごく動きはあるけど何を考えているのか読めない」とか

そういった整合性がなく粗の多い「違和感」を感じます。そういう意味ではまだ「質感」の獲得には至ってないので自分としては採用しづらいです。

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