ぬるぬるの話(2)
天翔のマーキナリエ英訳版『Soaring Machinariae』
2021年6月11日 Gotcha Gotcha Games様よりSteamにて発売!
オリジナルの日本語も追加決定しました
続・ぬるぬる
前回の続きとなります。
特にキャラぬるぬる動いているように見える第一の理由として、それなりのアニメーションとエフェクト重ねて使う合わせ技があるというお話をしました。
今回はそれにプラスしてさらにスムーズさが出る理由についてです。
2つの移動制御
『天翔のマーキナリエ』ではプレイヤーキャラ(アイリス)の移動の制御に大きく2つの方法を用いています。
- アナログムーブ
- オリジナル慣性移動
アナログムーブ
こちらは多くのツクラーがご存知のSAN_AnalogMoveプラグイン(サンシロ様作)ですね。ツクールデフォルトの1マス単位の移動からドット単位の移動が可能になるよう変更を加えるものです。アドオンでアナログスティック操作にも対応できるまさにうってつけ。
アナログムーブにより細かな位置調整を可能にした上でここでひと手間。方向キーやアナログスティックによる移動に対してわずかに加速度をかけます。
キーを押してから最高速度に達するまでと、キーを離してから完全に停止するまで数フレームの間がかかることになります。あんまり長くするとモッサリしすぎたり滑りすぎたりするのでほんとに気持ち程度です。
また、一定時間歩き続けるとオートで走り出しますがこれも走り出してから徐々にスピードが上がるようになり、停止すると歩行時より若干多く滑ります。
Shiftキーでのショートダッシュも同様で加速度の変化が設定されています。
オリジナル慣性移動
プレイヤーによる能動的な移動をアナログムーブに任せた上で、システムから自動的に与える移動量の制御を独自に加えていて、これがおそらく本作の挙動を特徴づけているものとなります。
使われているのは主に攻撃時の踏み込み&滑りです。
例えばコンボ初撃の斬り攻撃では、方向キーを押していなければその場で剣を振り、歩き中なら少し前進し、ダッシュ中ならぐっと踏み込む。
コンボ2段目の突き攻撃は、敵が離れていたら更に踏み込み、近くにいる場合はほとんど動かない、といったように与える移動量を条件により使い分けることで「だいたいプレイヤーがこうしたいと思っている」という動きにシステムが寄せていく工夫をしています。
そしてもちろんこの動きにも加速度の変化をもたせることで慣性が働いている感覚を与えています。
ちなみに「霊樹の怒り」の超突進もこちらのオリジナル制御で、通常攻撃もそうなんですがツクールデフォルトの移動制御における衝突判定に影響されないため、歩きではぶつかる敵キャラにぶつからずに踏み込んだり貫通することができ、逆に独自の衝突判定があることで歩きでは落ちる落下穴に突進では落ちないといった処理も可能になっています。
といった感じで、前回のアニメーション&エフェクト+上記の移動制御を重ね合わせることにより、見た目だけでなく操作の面でもより快適な動作・モーションを実現しているというわけでございました。
改めてこのGIFを見ていただくと、ひとつひとつの要素が見えてくるかもしれません。
モーションブラーや土煙など端折った部分もありますが
通常攻撃(斬り)は特にゲーム中数千回は繰り返す基本のモーションで、これが気持ちよくないとこのゲームはどうにもならないと思っていたので、本作でもっとも作り込んだ箇所の1つになっています。逆に言えばこの動作を突き詰めれば最後まで間が持つだろうと期待していた部分でもあります。
鋭く、力強く、プレイヤーの意思に忠実なこのモーションに今一度注目していただけたら幸いに思います。
天翔のマーキナリエの英訳版がSteamにて配信決定!
2021年6月11日 Gotcha Gotcha Games様より発売です。