映画『海獣の子供』


女子中学生 琉花(ルカ)が、ジュゴンに育てられ人間に保護された少年『海』と『空』の二人と出会うことで始まる、ひと夏の物語。

非常に好き嫌いの別れる賛否両論ある映画で、評価は概ね、0点or100点(もしくはそれ以上)へ極端に別れるかもしれません。
抽象的で詩的であり哲学的かつ、ある意味でぶっ飛んでるような映画が好きな私はもちろん後者で、見終わったあと何分か呆然と、痺れと震えが止まりませんでしたw

見終えた時の感覚は『ツリーオブライフ』『ボヤージュ・オブ・タイム』
(両作 テレンスマリック監督)と似た感じ。
+『海』版『2001年宇宙の旅』といったところでしょうか。

『海』と『空』のことを歌ったのであろう米津玄師の主題歌「海の幽霊」のサビで『大切なことは言葉にならない』という歌詞があるのですが、まさにその様な感じで、音と映像 そして詩と台詞によって相対する非言語化領域をひたすらに刺激され、解釈無数の無意識の海へ、優しく、それでいて激しく流されてゆく感覚に甘く溺れてゆくような感じでした。

特筆すべきものの一つに、まず音(効果音)があります。
自然と耳に意識が向かう、扉を開ける音から車や電車、虫の羽音や鳥の鳴き声、人の足音に呼吸音…
それらの繊細な音の表現が久石譲の音楽と調和しきっていて、まるでそれが曲の一部であるかのよう。

そして徐々に増す水に関する音、泡のポコポコ シャワーや雨 魚が泳ぐ音 凪の静寂や寄せては返す大波小波、波打ち際の砂や岩の当たる音、海の中、クロールでかき分ける感じや息継ぎでの内外の切り替わりなどなど。

この言い方だと陳腐に聞こえるかもしれませんが、『究極のASMR』と言いたくなるような、聞いているだけで心地よくなり映像が喚起されるような、映像以上の情報が伝わってくる音の表現にはただただ脱帽。

以下ネタバレを含みます。

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