わたわた 2020/09/11 06:50

脚本『願いの果実』第2章「ハニートラップ!?」その2

脚本『願いの果実』第2章「ハニートラップ!?」その2

邦洋(20♂):演出・衣装   【配役】長者・若者
良平(20♂):小道具・舞台監督【配役】願いの木・老いた牛・赤ん坊
浩太(20♂):脚本・演出助手 【配役】従者・村人B
香南(19♀):小道具・情報宣伝【配役】村人A


 照明がつく。

 誰もいない部室。ドアが開き、リュックを背負い、左頬に大きな絆創膏をした邦洋が入ってくる。リュックを置いて脚本を取り出し、独り練習を始める。

 やがて、右腕をギブス固定した浩太が入ってくる。バッグを置き、邦洋を見るが、邦洋が集中しているので仕方なく脚本を出して独り練習を始める。

 さらに、頭に包帯を巻いた良平が松葉杖で入ってくる。鞄と松葉杖を置いて、椅子に座る。邦洋と浩太は無視して練習に勤しむ。仕方なく大道具の製作に取りかかる良平。

 そこに、香南が入ってくる。

香南「お疲れ~」

良平「お嬢、お疲れさまです」

邦洋「お疲れ……さまです」

浩太「お疲れさまです」

香南「あ、浩太」

浩太「はい」

香南「レモンスカッシュ、あと購買でミルクチョコ買ってきて」

浩太「うぃっす」

 浩太、財布を持って出ていく。

香南「そうそう、台詞を変更したいんだけど、いい?」

邦洋「え、また・・・」

良平「いい、いい、全然いいんですよ。お嬢が言いやすい方が。脚本なんて、料理されてなんぼですから」

香南「やっぱり?私もそう思ってた。そもそも演劇なんて堅っ苦しいじゃん。文化祭ってお祭りよ?桃太郎やるならさ、普通の筋でパロディやった方がもっとウケると思うの。お客さん、ドッカンドッカンさせたいでしょ」

良平「はい、ドッカンドッカンさせたいです」

香南「それと、方言使えば昔の人間、みたいな安直な思考も却下」

良平「却下、ですよね、はい」

香南「却下といえばさぁ、長者っていうのをやめて町人に変えるべし」

邦洋「いや、それは……」

良平「いいんじゃないですか、町人で。ね。ただ、お嬢が長者にしたくない理由だけお聞かせいただければ、これ幸いというものなんですが……」

香南「長者と名乗れるのは、イケメン限定」

邦洋「誰の基準で……」

香南「イケメン限定!」

邦洋「……はい」

香南「よって、私が脚本、書いてきた」

邦洋「……はい?」

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