脚本『願いの果実』第2章「ハニートラップ!?」その1
脚本『願いの果実』第2章「ハニートラップ!?」その1
邦洋(くにひろ 20男):演出・衣装 【配役】長者・若者
良平(りょうへい 20男):大道具・舞台監督【配役】願いの木・老いた牛・赤ん坊
浩太(こうた 20男):脚本・演出助手 【配役】従者・村人B
香南(かな 19女):小道具・情報宣伝【配役】村人A
照明がつく。
邦洋「集中、用意!(手をたたく)」
香南「(村人A)あんたー。いよいよ、あたいらの番ね♪」
良平「(村人B)んだ。ここまで必死で耐えて耐えて、ようやく辿り着いたべ」」
香南「(村人A)長かったべ♪虫の湧く夏も、すさまじい吹雪の冬も、あんたと二人、乗り越えてきたー♪」
邦洋「ストップ!カナ、そのキラキラオーラは、何とかならないかな。」
香南「え、何か問題ありますか」
良平「ありよりの、あり。まず舞台を飛び跳ねすぎ」
香南「だめですか、ちょっとステップ踏んだぐらいなのに」
良平「アイドルじゃないんだからさ」
香南「舞台女優ってアイドルじゃないんですか?」
良平「認識のずれが天下一品だわ」
香南「分かりました。ステップ踏まなければいいんでしょ」
邦洋「あと、明後日の方角へのカメラ目線もやめよう。ウインクしてたときもあったよね」
香南「はい!長かったべ(^_-)-☆」
邦洋「村人Aの感情、分かってる?」
香南「はい。やっと順番回ってきて嬉しい!って感じですよね」
良平「商店街の抽選会場かよ」
香南「あんまり変わらなくないですか」
邦洋「感情が浅いんだ。子どもを授かりたい一心で、暑さ寒さを耐え忍んできた感がほしい」
香南「分かりますよ。わたしだって友達と遊びに行くの我慢して、試験勉強を耐え忍んできましたから。あっそうだ!試験が終わったときの解放感を乗せてみたらいいですか?」
良平「いいはずない」
邦洋「ここは、貧乏な夫婦の願いがようやく叶おうとする場面なんだよ。時代劇とかでさ、夫婦の愛情でしんみりする場面あるだろ」
香南「なんか古臭いですね」
良平「昔話だから」
邦洋「さあ、もう一回、初めから行くよ。集中……」
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