Huyumi 2021/09/04 13:29

同人エロゲを作って行く

・はじめ

 同人エロゲを作って行く――ために考えてきたこと、今までやってきたことをこの辺りにまとめ。
 別の記事から飛んだ場合、そっちを全部読んでからこっちに移動した方が良いと思います。


・前提

 まずゲーム制作で食っていく、ためにはどのような売り方があるのか。

 一般的にはゲーム制作会社に勤める、というのが普通っぽいですが、まぁわたしはしっかり働けるほど普通じゃないので……。
 シナリオで好き放題やりつつ、ゲーム性にも口を出していくポジションというのは、仮に就職出来ても難しいと思います。
 また心身不安定極まりないので、月給分しっかり働くだとか、継続し安定した活動がそもそも不安です。
 あと人と関わるの疲れちゃうので最低限にしたい。


 次に外注。雇われるケース。
 そもそも声をかけられない……というのは置いておいて、体調の面から納期に追われる生活を考えるとそれだけで眩暈がします。
 ここで気になったのは、誰かに迷惑を掛けるのは苦しくても、誰かに迷惑を掛けられたり、自身がリスクを背負うことにはあまり抵抗が無かったことです。
 わたしはわたし自身をベットして、好き放題に活動しお金を手に入れたいのだなと。


 ということで同人活動。
 自分が会社や社長と考えることをベースにして、現実的に稼げるライン。

・steam
 全世界向けのプラットフォームですね。売れた時には青天井で伸びて行くので夢があると思います。
 けれど最低限英語は対応しないとパフォーマンスが大きく落ちる、そしてテキスト書きたがるわたしは翻訳費用が尋常じゃなくなります。

 好まれるゲームとしても、マルチプレイ、3D、アクションといった、動的なゲームが売れやすい傾向が見え、わたしのようなテキストベースの静的なゲームは余程のことが無い限り伸び悩みます。

 商業と同人作品の垣根が壊れているのも問題です。
 未だに検索ワードで分ける程度しか存在せず、それでいて全世界なので才能も資金も非常に個人差がハッキリ出てます。
 そんな「ルール無用のデスマッチ! 報酬はお前の力量次第!」
 ……に見えて、実際は各国で出来る表現、好まれる表現に差があったり、色々な制約が多く作品を販売する第一歩すら手間取る報告があり、かなり抵抗を覚えました。

 まぁ最悪DLsiteに翻訳してsteamで売るサービスがあるので、コスト回収出来そうならそれ頼ってもいいかなと。
 全世界に羽ばたきたいだとか、一杯お金を稼ぎたいとかそういった野望は別に無いので。


・スマホアプリ
 昨今、PCは持っていなくてもみんなスマホは持っています。
 単純にユーザーの多い媒体で売りに出すというのは理に適っています。
 最大の問題として、わたしはスマホをほとんど触らないんですよね、週一でバッテリー切れてるの見つけるといい方。

 そんなわたしはソシャゲ以外の売り切りスマホアプリをほとんど知りません。
 なのでここからは完全に憶測になるのですが、スマホはソシャゲ以外も基本プレイ無料が主流で、買切る文化は少ない印象を持っています。
 結果、アプリ内に広告を入れる必要があり世界観を壊すか、何かしらの課金要素を入れて利益を出すかのどちらかになると思うのですが、当然どっちもいやです。いやなの。

 一応今後の時代も見据えつつ、ゲームは全てマウス操作を基本に作っていますが、今のところは無理にトレンドのわからないスマホへ挑戦する必要性は薄いのかなと。


・同人エロゲ
 ということで同人エロゲ。
 全年齢じゃダメなの? と思う人にデータを貼りますね。

 DLsiteの売り上げを2021/02/04に手動で調べた物になります。
 年一リリースしたとして、その作品の売り上げ=年収として考えます。



85/1689=0.050325636471284782
全年齢の販売本数が1000以上の割合

 1689作品が全年齢作品として登録されており、内85作品が売り上げ1000を超えているので、約5%が1000売っているという見方を出来ます。
 値段設定にもよりますが、1000円で売りに出すと、確定申告でいい感じに返してもらったとしても600円ぐらいが利益になると見た方が楽です、実際は700近くなると思いますが。

 その六十万の売り上げだと、規模にもよりますが外注費で大体埋まります。これじゃ食っていけませんね。
 大体この設定だと、3000~5000売れないと厳しいと感じます。

 全年齢だと上位0.5%……というか数名だけが、辛うじて食っていけてるのだろうなという数字を出してます。
 さて、これが全年齢の話で、アダルトだと、

3395/19543=0.17371949035460268
R-18の販売本数が1000以上1999以下の割合
 R-18は共に全年齢作品を含む数値。

 こんな感じ。5%→17%です、倍率三倍!
 他1000本ずつ見て行くと、


2945/19543=0.15069334288492042
 販売本数が2000以上の割合 15%

2095/19543=0.10719950877552065
 販売本数が3000以上の割合 10.7%

1443/19543=0.073837179552781046
 販売本数が4000以上の割合 7.3%

1028/19543=0.052601954664074094
 販売本数が5000以上の割合 5.2%

873/19543=0.044670726091183541
 販売本数が6000以上の割合 4.4%

678/19543=0.034692728854321238
 販売本数が7000以上の割合 3.3%

555/19543=0.028398915212608095
 販売本数が8000以上の割合 2.8%

455/19543=0.023281993552678709
 販売本数が9000以上の割合 2.3%

386/19543=0.019751317607327432
 販売本数が10000以上の割合 1.9%


 こんな感じになります。
 またフリゲと同人エロゲでクオリティの差は大きくありません。
 多少丁寧だったり、オリジナルのイラストが使われている分の差はありますが、大体良く出来ているフリゲは同人エロゲでも早々無いクオリティになります。

 さて、わたしの「最果てを目指す」がフリゲでどの辺りに来るのかと言うと、フリーゲーム夢現では諸々のランキングだと上位0.5%辺りに大体位置取っています。
 ふりーむ、アツマールと並んで大手サイトではありますが、ここが界隈の評価にはならずフリゲという括りで見ても、あのDL数は早々無い値なので3%ぐらいには行くのかなと。
 これが売るとなったらもう少し下げて5%と考えても、同人エロゲの分布に当てはめると5000以上の売り上げが期待出来る事になります……あれ、いけそうでは?

 えっちなコンテンツに忌避感はありませんし、エロゲに関しては率先して作ってみたいと昔から思っていたのでメリット。
 実際ユーザーとして入り浸り、この認識に大きな差異は無かった事を確認しつつ、商業エロゲ同様に最悪エロくなくてもゲームとして面白ければ売れる、多少ダメなところあっても、商業と違い好き放題作者の特徴を出した作品が魅力的に感じる、ハードな性的嗜好以外を好むユーザーも居る――などの所感を得て、実際この方向性で動こうと思いました。


・いつから考えてた?

 「最果て」開発開始から大体二年前、なので2017年の四月辺りだった気がします。この記事書いている日から四年半ほど昔の話。



 大体これが希望の星。
 この作品に出会えたからこそ、ゲームで食っていけるのでは? と信じてここまで進んでこれた。


 その日から同人エロゲ界隈が規模が大きくはなりつつも、特に埋もれやすかったり、メインの気質が変わってしまった気配が無いことに安堵しつつ、今まで何して来たかを。


・今までやってきたこと

・マウス操作
 以前別の記事で語ったように、エロゲは片手でプレイ出来る方が好ましい点に、デバイスの主流自体はスマホにあるので、キーボードに頼らない操作がユーザーにとって敷居が低いと感じました。
 あと今後ウディタがスマホにも移植してくれるかも知れないし……。


・ウディタ
 他ツールではなく意図的にウディタを選びました。
 まぁわたしがウディタの仕様をとても気に入っているという点もあるのですが、何より公称でアダルト作品の制作に使っていいと保証が出てるので。
 調べたら昔の事例が出るのですが、ツクールはちょっと怪しいです。公式が返答せざるを得ない状況に持ち込んだからかなり厳しいと思うので、誰もやらないで欲しいなぁと。

 ツクールのメリットとして、プラットフォーム、利用素材、プラグインの三点があります。
 プラットフォームはアツマールという大きな場所……ではなく、同人エロゲだとスマホで動作出来るかが主になります。
 実際スマホで出来るようにしている同人エロゲもちょいちょい見かけるので強みだと思いますが、別にそこまでターゲット層を広くしたいわけでも、ツールのメリットを捨ててまで取るメリットではないのでスルー。

 利用素材に関しては、ツクール独自だったり、それを改良した素材は当然ながらツクール以外では使用できません。
 この辺結構上質な素材が揃っているものの、色々な作品をプレイして行くと見飽きる程度には利用頻度が多くなります。
 また、共通の素材を扱うことで、作品が目立たなくなります。
 そのためある程度下手だろうが、苦手だろうが、どうせマウス操作に必要な素材は自分で作る必要があるので、この辺りには頼らないような下地を作りました。

 プラグインも同様で、ツクールはユーザー層が広いため拡張プラグインも多いです。何かと付け足したい機能は先駆者が居る。
 ウディタだとコモンイベントに値するのですが、このプラグインはツクールよりも数が少ないです。
 ただプラグインの利用は素材の利用同様に普遍化し目立たなくなるデメリットに、マウス操作したいのだから画像もシステムも色々作る必要があるし、戦闘もオリジナルにしたいのなら何でもゼロから作れるスキルを身に付けられるべきだなと思い、ウディタでも配布コモンイベントはほぼ頼っていません。ウディタだと何でも弄ったり作りやすいしね。

 ということでボクはウディタリアン!
 わたしとしてはツクールのメリットは今後の活動に一切影響を受けないと思ったので触れませんでしたが、これら三点のメリットが欲しいと感じるのなら扱う価値が十分あるツールだと思っています。


・女の子の魅力
 前二作、両方とも女の子で満ちてます。
 別に男の子に興味がないわけでは無いんですが、男性向けエロゲ作りたいって言うのなら限られた時間の中で磨くのはここ。
 商業エロゲでもキャラゲーという言葉がありますし、最悪ゲームとして出来が悪くても女の子に魅力があれば最低限評価してもらえるはず……! という卑しい算段から、シナリオを際立たせたり、ゲームとしての完成度を上げるにはキャラの魅力は不可欠だとわたしは信じてるからです。
 思い出して欲しい、あなたが神ゲーだと思う作品を。大体その中に居た誰かが一緒に思い浮かぶはず。

 最果てだと一キャラに専念しつつ、地の文を練習しました。
 ブレハだと複数キャラで練習しつつ、地の文を無くしセリフ回しを練習しました。
 次回は地の文無しでメインキャラ一名になる予定です。

 ……あれ、地味に練習外の挑戦では!?
 言い訳させてください。同人エロゲプレイしてて、えっちだなぁ……と特に感じた作品は没入感が強いゲームが多かったんです。
 主人公 ≒ プレイヤー
 つまり主人公も地の文も邪魔。
 あと複数キャラ居るとキャラクターデザイン費用が嵩む……まぁそれぐらいしか出なくて、総費用あんま変わらないと思うし、諸々の負担考えると複数イラストレーターの方がいいと思うんですが、どうしても世界観統一したかったし、一キャラに集中したい物語を作りたいなって思ったので……。

 ほんとはもう一作品ぐらい練習する予定でしたが、あんまりリアルに余裕がなかったのと、二作品とも十二分に成功したので、まぁ多少無謀だろうが飛び込んでもいいかなって。
 外注費回収出来なかったら次が回せなくなるのでその辺はどうにかなって欲しいのですが、まぁ無理なら無理で借りて来る。今考えることじゃない。


・内部構造
 さて、同人エロゲ作るために今までやってきたことの話題です。
 最果てだと全部作りつつ、最低限ウディタを動かせるようになりました。
 ブレハはもうちょっとシステムを利用しつつ、オリジナルシステムを綺麗に組み、それでいて既存システムを改造しつつ仕組みを理解したり、ノベルゲームに必要なメッセージウィンドウやバックログ機能を作りました……RPG作って行きますよ?


・これからのこと

 さて、今までのことはこれぐらいで、これからのことを。
 どれぐらい売れるのかなぁ……というのは不安っちゃ不安なんですが、これからずっと向き合っていくことなので無視。


 一番の不安は「えっちなテキスト書いたことない」です。
 裏でも無いです。
 この四年間練習した試しもないです。
 ……さて、言い訳させて?
 小説と、ノベルゲームと、他のゲームの文章って全然違うんですよね。
 で、RPGのえっちなテキストを書くには、イラストが必要なんですよ。
 こんな風に動かしたいってイメージがあって、それを絵師に頼んで、納品された物に実際に盛っていく――工程を無料で出来るわけもなく、フリーのエロゲで練習作三つ目作れば良かったじゃん! と思われるかも知れませんが、だったらイラストを経費に出来て、ワンチャン利益も狙える本番環境で多少評価落としても練習した方が効率がいいんですね。

 あと、結構エロゲのえっちシーン飛ばしがちです。
 同人エロゲ作ると決めてから頑張って見る意識は持っているんですが、まぁ何かしらの理由で興味が薄い場合すっとCtrlキーに手が伸びます。
 あれ、わたしの性欲ひくすぎッ!?

 幾つか参考になる構成だったり、えっちに感じるテキストの作品はしっかり手元に集めています。
 これら見ながら必死に勉強して、なんとか許してもらえる品質のテキストを公開していきたいです。
 ……わたしの性欲枯れないといいな。



 さて、ゲーム自体ですが、今までとほぼ変わりのない作風でやって行こうと思います。
 ちょっとフレーバーテキストの方向性調整したり、扱う価値観については十分大人向けだったから今のままでいいやとか、ゲーム性はもっと考えなくてもなんとかなって、考えると楽しいぐらいの実現目指そうってのは、カジュアルなゲーム性が求められるエロゲに限らず、目指していこうと思っていたので。

 まぁ大体前二作にえっちなシーン入れた感じです。
 結果恋愛描写だったり、生々しい描写が入ると思いますが、まぁ基本今まで通り。
 たぶん界隈知らない人にはわからない感覚でしょうが、似たような物だからおいでよと気軽に言える物では無いことも理解しているので、どうアプローチすればいいのか悩ましいところ。
 先駆者に倣ってアダルト描写カットするオプションは入れる予定なので、今後出す体験版を触って見て欲しいなぁ、なんて。

 あと純愛物、男性主体、没入感意識……そんなゲームを作って行くと思います。
 同人エロゲで主流のハードな性的嗜好だったり、セクハラなどの過度に女性が下になるような、女の子が不幸になる物は作っていきません。
 わたしはわたしの好きな物を作っていく。
 まぁそれだと売れ行きが伸び悩むと思うので、その辺どうしたものかなぁという不安も今から抱いていたり。
 普段同人エロゲ触らない人も敷居が低いですし、ハードな物が好みのわたしのファンは他の部分楽しむ予定でいてくれると嬉しいな。




 余談ですが、売り場はDLsite一択になると思います。
 同人エロゲの売り場としてはもう一つFANZAがあるのですが、向こうはリアル系のカテゴリが好まれている、論理的でなく否定的なレビューが目に付きやすいシステム、一部カテゴリが細かに区分されていない、モザイク修正の濃さがしっかりている(DLsiteががばい)、DLsiteはここCi-enなどの各サイトの連携、相互扶助が頼りになる、予告無しで商業同人問わず催○といったワードが入った作品の販売を停止している――など、まぁとにかく買う側としてはともかく、売る側から見た売り場としては信用出来ないので。
 DLsiteで売ってから、落ち着き次第コスト回収ぐらいは出来るだろうと双方で売ってもいいのですが、実際どれぐらい効果があるのかわからないプラットフォームの広め方に、コストもリスクも掛けていられないというの今のところの感情。片方で千、万売れてて、もう片方が三桁というケースを大量に見て来たので、ここに関してはプラットフォームを広げるのはそんなに効果的に見えないんですよね。



・イラスト外注のメリット

 ようやく告知出来たので、取引を始めてから日々感じていたことを叫びたい。
 費用や、コミュニケーションコストから自分で描けるようになることも視野に入れていたのですが、まぁそうしなくて良かったなと。

 推し作家にお金を払える、気持ちいい!
 推しのイラストを納品してもらえ、それでゲームを作れる、すごい!
 推しと定期的に会話出来るぞ!
 推しの解釈やイメージから、世界観を更に掘り下げられる!

「ここどういうシチュエーションですか?」

 と訊かれて、

「はい、これです!(今決めました!)」

 とプロットが固まる。プロデューサーは誰だ……? わたし?




・おわり

 そんな感じで今までどんなことを考え、どのようにしてきたのか。
 これからどのように動くのか、言いたいと思っていたことはたぶん全部吐き切ったと思います。
 さて、この理念が通用するのか見物ではありますが、まぁわたしとしては作りたい物をしっかり完成させることで必死のいつもの戦い。

 良ければわたしの今後を見守って頂けると幸いです。

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