Huyumi 2020/12/21 19:55

マウス操作にこだわる

はじめ

 前回も次回もマウス操作のゲームを作っているふゆみです。
 今回はマウス操作にこだわる理由、こだわる場合に必要なことなどを語って行きます。

動機

・片手でもプレイできるように
 何かしらの事情で片手が使えない場合、キーボード操作のゲームは敷居が急に上がります。
 それによるターゲット層の減少を避けるため、マウス操作を意識しています。

・表現の幅
 わかりやすい例を挙げるのなら、FPSゲームはキーボードのみで十分な動作を望めません。
 多くのシミュレーションゲームもキーボードやゲームパッドによる操作より、マウスのみの操作のほうが適正があります。

・スマホとの互換
 現代、パソコンを持っている層よりも、スマホを持っている層の方が遥かに多いです。
 そういった層を取り込んだり、パソコンも持っているけどスマホが主流といった方には、タップ入力と同じく直感的であるマウス操作の方が慣れ親しんでいる操作感に近づくはずです。
 純粋にパソコンでもネットブラウジングなどでキーボードよりもマウス操作に慣れている人は多いはず。
 なのでどちらかというとマウス操作のほうがとっつきやすいのではないでしょうか。

・操作コスト
 例えばスキルを開いて、五番目ぐらいにあるスキルを選択する時、キーボード操作だと単純に四回↓を押してから決定ボタンを押します。
 これがマウス操作だとクリックで開く、カーソルを移動、クリックで選択、と三つの動作に圧縮されます。
 何となく操作が楽、あるいは逆に大変そうだと思うかも知れませんが、そのような状況の場合、純粋にキーボード入力よりマウス操作のほうがカーソルの移動は早いです。

 以上からキーボード操作よりもマウス操作のほうが疲れない、楽であるとわたしは考えています。


 上記を踏まえてメリットデメリット――の前に、マウス操作のためにする必要があることをピックアップしたいと思います。
 ツールはウディタ前提で話すので、他のツールだと色々事情が変わったりするかも。

必要なこと

・デフォルトシステムの破棄
 うおおおぉ! 計算式とか残して全部捨てろおおお!
 ……というのは過剰だとしても、大体イメージは合ってます。

 まず選択肢システムが使えません。
 デフォルトでマウス操作に対応しているのですが、対応させても使い物になりません。
 どういうことかと言うと選択肢二つを画面に出した場合、画面の上半分が選択肢Aで画面の下半分が選択肢Bの当たり判定になります。
 んで、選択肢ウィンドウにマウスカーソルを重ねていなくても操作を受け付けます。選択肢が出現した瞬間誤クリックは容易いです。
 改造しようにも選択肢というコモンイベントは存在せず、何箇所かのコモンイベントに散らばって選択肢が機能しています。
 この辺り把握し改造したり、選択肢システムを利用する際に都度思い出したりメモを確認するぐらいなら、三時間ぐらい掛けて好みの選択肢システムを構築しましょう。この方が早いし融通が利きます、わたしはそうしました。

 同様にメニュー画面や戦闘画面のウィンドウ、入力の改造だけ見てもかなりコストが重いです。
 基本的に全部システムを入れ替えるか、多大なコストを欠けてデフォルトシステムを改造して扱う物だと考えた方がいいです。
 マップシステムは基本的に全部投げた方がいいです。
 独自の動作をたまに扱いたくなりますが、コモンイベントで全部管理した方が楽でした。

 他に並列イベントで左クリックや右クリックの操作状態を通常変数の一番上に出力し続けましょう。
 ホイールの状況や、必要ならマウスの座標もここに移動しましょう。後者はシステム変数が存在するのですが、変数の位置がかなり深くて入力が面倒です。

・最低限のデザインを行う
 メニュー画面すら基本的に扱えないので、メニュー画面に必要なUIのデザイン、ウィンドウやアイコンの作成や素材の発見を行いましょう。
 適正無いとかなり苦しいのですが、後述するメリットにも繋がるのでそんなに避ける必要も無いと思います。

メリット

 今までの内容を踏まえて、マウス操作を選んだメリットやデメリットを挙げます。

・異色感
 現在フリーゲームの大半はキーボード操作なので、マウス操作というだけで印象に残ります。
 この印象は良くも悪くもなんですが、画面のデザインを最低限行う以上、ツールのデフォルトのシステムからはプレイ画面が大きく変わると思います。

 まずサムネで目立ちますし、ゲ制を少しでも触ったことがある人なら、

「ここまでコストを掛けてデザインが違う以上、やりたいことがあるんだ」

 と内外から受け取れる情熱に大きく差が生まれ、強く興味を惹かれたり評価点が生まれやすいです。
 あくまで副次的な項目ですがこの点は非常に大きく、多大なコストに対するリターンに一点で十分成り得ると思います。

・カジュアルな操作
 マウス操作とスマホのシナジーについて語りましたが、基本的にとっつきやすく操作が簡単になると考えて問題は無いと思います。
 またながらプレイにも向いており、動画を見ながら軽くプレイ出来るようなゲームもマウス操作なら適正があります。
 クリッカーや反放置系、日常と一体化させて時間経過を求めるシステムを採用する物などは、まずマウス操作が必須だと感じます。

・多くのジャンルでの適正力
 操作の簡易化や、マウス操作でなければ現実的に開発出来ないゲームジャンルも多くあります。
 以下適当に。

・RPG ×
 脳死で採用して良い物では無い。
 操作量が少ないゲームや、Ruinaライクなゲーム、もしくはノンフィールドではマウス操作優勢。
 特にマップ移動はマウスで行う物と考えない方が良い。

・アクション △
 キーボードでなければ開発出来ないジャンルが多い中、マウス操作でなければ、あるいはマウス操作も出来た方が良いゲームジャンルも多々。向いている方で。

・STG ×
 一般的な見下ろしシューティングは完全にキーボード寄り。
 FPS、TPSの類はマウス+キーボード、もしくはゲームパッドが推奨される。

・ノベル 〇
 エンターやスペースで文字送りが出来ることは必須だが、大部分のノベルゲームがマウス主体で開発されている現状先駆者に則ったほうが好都合。

・ADV △
 脱出ゲームを筆頭に、クリックすることでより楽しい体験を出来るジャンルが多い。
 簡単な移動ならマウスで十分行えることを考えつつ、向いている操作方法を選びたい。

・SLG ◎
 ターン制戦略シミュレーション、RTS、シム系など、とにかく広範囲を軽く操作したい状況が多く、マウスが適切。キーボード操作で不便の無いシステムを組むより、マウス操作に対応した方が圧倒的楽。とても適正のあるジャンル。

・パズル ◎
 落ち物系を除いて、大部分がマウス操作のほうが適している。

・エロ 〇
 サブカテゴリなのですが、カジュアルにプレイしたい、片手が空いていると都合が良い等を筆頭に、
「キーボード操作じゃなくてマウス対応頑張ってくれないかな」
 と思うことが多いので言及しておきます。あとキーボードじゃえっちなこと出来ないけど、マウスだと色々出来る。本当に(表現の幅が広がる)


・プラットフォームの拡大
 RPGアツマールがわかりやすと思います。
 アツマールはブラウザでもツクール製ゲームが出来るという特徴なのですが、比率としてはスマホユーザーが非常に多いです。
 ツクール製ゲームならばもちろんタップ入力を意識した作りにした方が都合が良いでしょうし、それ以外のツールでもスマホで動作することを頭に入れておくと今後動きやすいかも知れません。時代に置いていかれるな。


・表現の幅が広がる
 さらに詳しく語ると、キーボード操作とマウス操作では表現の幅が違います。
 キャラクターに触れるシステムもマウス操作だと没入感の程度が変わりますし、Live2D等で視線を動かす、延いてはキャラクターのプレイヤー認知能力の拡大はマウス操作が手っ取り早いです。
 コストは相応に重い物の、作れるジャンル、出来る表現、システムは大きく増えるため、ゲーム製作者には一考して頂ければなと。


デメリット

・コスト
 既に十分伝わっているように開発コストが重いです。
 ただマウス、キーボード問わずゲーム制作自体がとても負担のある行為なので、作りたいゲームが思い浮かんだのであれば、どうせ苦労するのならどういった操作の方がより良い成果物が出来るのか、そう意識した方が効率良く創作活動もできるのではないかとわたしは思います。


・複雑な操作は苦手
 簡単な操作は楽に出来る代わりに、複雑な操作はとことん苦手です。
 どこからが複雑かというと「ホールド」「ドロップ」は既に複雑です(真顔
 ホイールクリックや、マウスオーバーによる情報表示も丁寧に導入しなければプレイヤーはその存在を忘れてしまうでしょう。
 なんなら右クリックも忘れられるので、可能な限り「マウスの移動」と「左クリック」で済むようなゲームデザインを行いましょう……「ダブルクリック」? もちろんダメだよ!!

「キーボード操作より出来ることが一気に減るじゃん!」

 わかります。皆まで言うな。
 マウス操作で十字キーという四項目を一つに圧縮できることは理解できるな?
 そして決定キー(Z)は左クリック。残りの基本的なXやCはどうするんだという話だよな?

 ……XやCキー、本当に要る?

 キャンセルキーは右クリックで対応出来ます……が、デザインに工夫すればそもそも右クリックも要りません。
 例えば操作する必要のあるウィンドウに×ボタンを設置するとかいいと思います。
 ×が右上などで遠く、マウスの移動距離が面倒になるのならウィンドウを小さくしましょう。
 小さくしたらなら気づくはずです。×ボタンなんか設置せずとも、ウィンドウ外をクリックしたらキャンセル扱いにすれば良いのだと。
 画面全体を覆うメニュー画面を非表示にする時にキャンセルキーが欲しくとも、最悪四方のどこかにマウスを持っていくと自然に画面を閉じるシステムにしても良いです。

「ダッシュや歩きを両方扱うシステムで、SHIFTキーが無いのは不便」

 マウス操作はマップ移動などに不向き、と重ねた上で述べますと、マウスカーソルが自キャラクターから距離が離れたらダッシュしたり、恐らく移動は使わないだろう左クリックにダッシュを割り当てる等も良いと思います。
 よくよく思ってみればよく使うキーはよく使われるだけで、常に役割があるわけではないです。キーボード操作で必要キーを圧縮するのも全然アリだと思います。


 まとめとして、理由があれば積極的に選ぶべきですが、マウス操作に拘る必要はありません。
 マウス操作主体だったとしてもキーボードにちょっとした役割を与えた方がプレイ感が心地良いことも多々あります。

 既存の仕様、システム、風習などは一度自分の目、手、頭で疑った方が良いとわたしは考えます。
 その上で既存の物の良さや、新しい物の可能性、価値を確かめて、そこから初めて選ぶことが重要ではないかなと。


 また複雑な戦闘、何ターンも複数キャラを操作して、スキルの中から適切な物を選ぶ――ようなゲームデザインの場合、当然ながらマウス操作やスマホには不向きです。
 なんですが、複雑、あるいは戦略的な戦闘は複雑な操作と=で結ばれるわけではなく、本当に望んでいる完成形にそのシステムやデザインは適切か、といったところから見直すべきかと。
 RPGで稼ぐために通常攻撃連打するのもベストな解答かと問われたら現代では怪しいところではないでしょうか。


・プラットフォーム
 Q.メリットで挙げてなかった?
 A.Yes!

 スマホやブラウザでの稼働を見据える場合、マウス操作は明確なメリットになります。
 が、最近ウディタは家庭用機に対応しました。
 スティックではマウス操作の再現が上出来とは言えず、キーボード操作をベースに動いた方が家庭用機の意識は良いです。

 作品がどこを目指したいか、自分がどこを見ているのか、その意識を忘れないことが常々大切だなと改めて感じました。


おわり

 特に文を纏めようとせず心行くまで適当に書きました。
 書きたいと思っていた物は全て書いたつもりですが何かしら抜けてるかも。まぁいいか。
 それでは今回はこの辺りで。

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