#ネクマプ 2020/12/20 17:10

ネクマプ通信Vol.15【2020年の感想文】

ご無沙汰。元気です。11月をすっ飛ばしてしまった。熱中することがあると、どうしてもこういった事務的な作業に時間が割く余裕がなくなってしまう。甘えか。心が弱い。ぶん殴ってくれる人もいない。てなわけで優碧さまです。崇めよ。

今年が終わってまう

あっという間だった。今年はほとんど作品が出せなかった(出なかったとも言う)。

上半期は、とにかく制作に追われていた。自分の制作もしつつ、ほぼ朝から晩まで缶詰であった。ぶっちゃけ、これといって特別でもないというか、むしろ、例年に比べると数も少なかった分、ラクだった。いや、ラクではないか。
下半期は、とにかく制作に追われていた。自分の制作はやめた。ほぼ朝から晩まで缶詰であった。ぶっちゃけ、これといって特別でもないというか、むしろ、例年に比べると数も少なかった分、ラクだった。いや、ラクではないか。

12月に関してはちと特別で、制作仕事はよっぽどフリーな時間以外、ほぼ入れていない。が、他のことで相当神経を使っている。ある意味、言われたことをこなすだけの仕事なんかよりよっぽどキツい。だけど、心から楽しめている。今年で一番「生きている」という心地がある。金はねえけど。頼むからとっととギャラを振り込んでくれ。


さてと、年末記事ってことで、今年やったことについて振り返ってみるかね。たまにはこういうのも良いでしょ。この時点でネガティブな感情が並ぶことは明白だと思うので、そういうのに興味がないって人間はとっとと消えな。

仕事については、基本的にはどれも過去記事とかツイッターとかで散々書いてきているので、今回は人目に触れる(触れさせてもらえた)規模の活動について。
ボクが手掛けた時系列順。当然、リリース時期は前後する。

仕事

・某テーマソング
曲自体はもちろん気に入っている。責任を持った作曲/編曲/演奏/収録Dに関しては、もちろん自信を持って「良いものだ」と言える。ただ、それ以外の部分、もっと言えば、それ以降の部分に関しては、残念ながら最後まで責任を持つことができなかった。正しくは、持つ気がなくなってしまった。我慢の限界を超えてしまって、放棄してしまった。
曲自体に不満は一切ないけれど、ごく個人的な感想としては、非常にもったいない結果になってしまったと思わざるを得ない。いま振り返ってみれば、この時点で、ある程度は先が見えていた。
ただ、ボクが個人的にどう感じていようが、ユーザーの方には「良い」と言ってもらえているので、結果的にはボクの役目は果たせたってことで良いんじゃないかな。
当時も今も、そして恐らくこの先も、この曲のユーザーの目に、そして、この曲の持ち主たちのファンの目に、ボクの存在は映らない。単なる曲に、影のない、口を持たぬ人間の思いが宿るなんてことは、決してありえない。
でも、願わくば、どうかこの曲の存在のことは忘れないでほしい。誰に向けての言葉とは言わねえけれども。


・狛茉璃奈さん 1st solo CD『追懐ディメンション』
非常に楽しく、また、非常にやりがいのあった制作。
璃奈さんとは、なんやかんやで知り合ってからそこそこ長い。一緒に何かを作りたいと常々思っていた。その願いが叶った。今年一番よかった出来事。
ボクの過去作品を聴いてくれている方だし、作風も理解した上でご依頼いただけているという信用(?)のもと、それに恥じない曲にしてやろうと思った。非常に個性あふれる曲ができたと自負している。これ、璃奈さんだから歌える曲だよ。技術的な信頼があったからこそ、ここまでやれた。
ただ、もちろん璃奈さんは気に入ってくれた(はず)けど、やはりなんというかこう、完全に個人的な反省として、やはり人様に提供する曲に関しては、もっと大衆受けするようにしてもよかったかもしれないなぁなんて思わなくもない。いや、十分キャッチーにしたつもりなんだけど、世の中そう上手くはいかないというか、ユーザーはあくまで璃奈さんの歌を求めているわけで、それ以外の要素、もっと言えば、作家の個性なんてものは求めていないし、邪魔なものでしかないんだ、と。同時収録のその他楽曲がどれもすこぶるキャッチーなだけに、良く言えばコントラスト、悪く言えば浮いてんだよね。人気が取れる曲でない事は最初から分かっていたし、事実その枠を狙って提供したわけなんだけど、今の俺がやるには時期尚早だった。俺が有名になったら、もう一度同じ手法でリベンジしたい。俺個人の名前で人に触れてもらえるようになったら、その時こそは、現時点で持っているだけの実力「のみ」で完膚なきまでに叩きのめしてやる。


・ラグナロクオンラインサマーパッケージ2020
ディレクターの方が非常にしっかりしており、ボク個人とても信頼している音楽家の方だったので、サウンドチームとしては非常にやりやすかった。
ただ、音楽を知らない人間相手の商売だということは決して忘れてはならないと、改めて痛感した仕事だった。技術的に優れているか、音楽的に知的かどうかなんてものは、誰一人として求めていない。
言われたことをしっかりとできるようになろうと思った。というか、言われないようにしようと思った。というか、言わせないようになろうと思った。
他の方の楽曲を聴いて、羨ましいとさえ感じた。心を見習わなければならない。俺は技術に甘えすぎていた。その曲はボツになり世に出ていない。


・Thanatos
ここはBGM。
突然お話をいただいて、打ち合わせをして、楽しい仕事だと直感した。ディレクターの熱い思い、しかと受け止めた。こちらも熱い気持ちでぶつかった。
こちらが何かを言う前に、参考曲をリストアップしてくださった。ご自身では音楽に関しては無知と仰っていたが、そんなことは感じさせない、非常に充実した内容。そもそも知識がどうだとか、そんなことは全く問題ではない。断片を形にするために我々音楽家がいるのだから。事実、その内容は非常に音楽的なものであった。しっかりと『ゲーム』に向き合ってきている方であることが感じられた。予想通り、自分の作品の終着点に対してイメージがハッキリとしているタイプの方であった。面白い。
結果、ボクの手元には、おおよそゲームのBGMとは思えないような曲が並んだ。とはいっても、過去に担当した某作と違い、しっかりと音楽として成立してはいる。無調等の無駄技術も披露していないし、当然、音のバランスや奥行も正常である(なんでわざわざこんなこと言わにゃならんねや)。ただし、純粋な音楽として良い曲かと問われれば、全くもってそんなことはない。これといってすごいこともしていない。なぜならば、これは単なる『素材』に過ぎないから。断片から断片が生まれ、それら断片が他の素材と交わることによって、初めて『作品』として完成するのである。
ディレクターの方にとっては、正直、予想だにもしなかったことであろうと推測される。ボクの音楽で、このテのジャンル?分野?に初めて触れることになったはず。「こんなんゲームの音楽じゃねえ!」と怒られないか、内心ヒヤヒヤだったが 笑、非常に喜んでくれた。これでこそ、仕事をした甲斐があったというものである。ゲーム的な音楽は作っていない。が、これが『ゲームの曲』になるのである。過去の栄光の焼き回しなんかではない。これが『作品作り』というものだ。
……なんやかんやで結構ひよってしまったので、もし次があるのであれば、もっと攻めたものが出せればいいなぁと思っている。俺を信じれば間違いない。

……今年中には発売するらしいよ!笑


・ほか
ゲーム/映像関係複数本で、なんやかんや5月~12月中頃くらいまでは止まらずに制作をしていた。言えないものもある。そんな仕事は二度とやらねえと決めた。言えるものに関しては、延期やらなんやらで、来年かそれ以降のリリースとなるため、やはり今は言えない。カナチイ。

ウタモノ/BGM合わせて、計80曲くらいかな、今年は。相当少ない。つっても、数だけで言えば、フツーに売れている人間とどっこいくらいかね。規模にもよるし、その人の得意分野や適正にもよるけど、個人的には、仮にBGMのみで80曲とすると、ウタモノで言えばだいたい10曲分くらいの労力に値する。ウタモノであれば当然単価も高いし、仮に安かったとしても、嫌でも人目にはつくから、まだ未来がある。BGMなんて、自分が既に有名であるか、そうでないとしたら、よほどの有名作でもない限り、誰にも触れてすらもらえない。制作者サイドにですら、である。詰んでいる。単発のバイトをこなした感覚。割に合わなすぎる。なんせ自分が無名なモンで、まず単価で足元見られまくる。やりたいことなんてできるわけがない。それでも何とかあがく。自分のハードルの最低限を下回らないために。結果、大赤字である。だから、これだけ手がけたところで収入なんて皆無に等しい。俺、よく生活できてんな 笑。

誤解しないでほしいんだけど、上記仕事は、全て俺が直接話をして、納得した上で受けている。それに、俺、劇伴制作の仕事は大好きだよ。来年のいつぞやに出るであろう作品の楽曲制作なんかは、楽しくやれた。ツラかったけど。

最近は契約やら金銭やらどうだこうだ、表面的な部分のみでしか物事の判断ができない、頭の使い方を知らない人間による、批判という名の『お気持ち表明』がやたらと目立つが(SNS時代特有だよな、くだらん)、本当に馬鹿げていると思う。お金だけじゃないやりがいなんてものはいくらでもある。それがわからないようヤツには作品を作る資格なんてないよ。話が逸れた。もちろん生活のための最低限は必要不可欠だけれども、それ以外に大切なのは、そこに情熱が存在しているかどうか、ただそれのみである。まぁ、逆に言えば、作家の情熱や尊厳を否定されるような仕事は、何よりもクソであるし、批判されて当然でもあるが。

繰り返す。劇伴制作は楽しいし、好きだよ。だけど、だけどね。もう何度も言っているんだけどさ、無名のままこれ以上この仕事を続けたところで、もう意味がないってことに気がついてしまったんだよね。俺にだって夢や目標はあるし、それ以前に生活がある。『ボク』が目指した『裏方』としてBGMの仕事を心から楽しむためには、まだまだ先にやらねばならないことがたくさんあると、『俺』は強く実感した。いや、昔から頭では嫌というほど理解していたことだ。それでも、優碧が『ボク』として抗ってきた。だけど、もう無理だ。


ちなみに、演奏仕事も、下半期はけっこうやった。ある種のふっきれでもある(実際、もうやらないつもりだったからね。上手くもないし)。演奏家の心を取り戻せたような気がする。楽器っていいよね。言葉にしなくても自分の感情が表現できるんだもん。でも、言葉にしなければ伝わらないことの方がはるかに多いってことも、演奏以外の活動で嫌というほど学んだ。

オリジナル

・Archaic Doll
https://youtu.be/Spl3tOhUA7U
結局、今年はこの一曲しか世に出すことができなかった。このあと5曲ほど続く予定だったんだけどね。

なんというか、この一件で、俺の同人……というか素人コミュニティに対する熱が完全に冷めてしまった。結局、同じ方向を見て、同じ志を持った人間とでないと作品なんてものは作れないんだなと。某オメ時代に失敗して、反省を踏まえてやり直そうと思ったけど、また同じことを繰り返してしまった。バカは歴史から学ばない。俺の千ある口癖のうちのひとつだけど、所詮俺もバカだったってことだ。

一連の作品に対するテーマというか、それらに対する名称も決まっていた。そのタイトルを曲名にした曲(個人的に、曲名を作品タイトルにするのは非常に珍しいことである。そのくらい俺の中では「特別感」があったし、そこまでしてでも表現したいことがあった)も存在して、レコーディングも8割方済んでいた。そこそこ出てくる英語が全く発音できなくて、そこだけ歯抜けなんだけど。ちなみに、まほろばEng.verがいつまで経っても出せずにいたのも、そういった理由……ってのはまた別のオハナシ。まぁ、そこは俺の中では全く問題ではないのだけれども。

そもそも、有名人でもなんでもない素人の、タイアップですらない曲を、いったい誰が聴きたいと思うんだ、と。自分自身の行動に対して、そういうどうしようもないものに対してのアンチテーゼ的な意味も込めていたんだけれども、まぁ、もう無理だ。最初からわかっていたはずなのに。少し考えればわかることなのに。俺がバカだった。

作風に関して、この曲についてはとくに言うことはない。なぜなら、意図して書いた曲だから。一種のセルアウトってやつ。ただ、現状を打開しよう、前に行きたいという気持ちを持っていたのは確かで、その思いを強く抱きながら書いた曲なので、そういったエネルギーは存分に込められている。そういう意味では、やっぱり気に入っているし、良い曲だと思う。そもそも、俺の曲に悪い曲なんてひとつもねえんだよ。表現するための技術が伴っていないだけで。

俺のファンの数名にだけは届いたとして、それ以外の誰にも聴いてもらえず、それどころか興味関心すら抱いてもらえないってのが、とにかく悲しくてならない。世の中に存在すらしていない状態。この曲を発表した瞬間に、この曲は死んだ。俺がやってきたことって、いったい何だったんだろう。俺って何なんだ?
音楽家なんてものは所詮は目立つ側の人間のオマケでしかないんだと、この状況で感じるなというほうが酷なのではなかろうか。魂込めて作った音楽は見向きもされないのに、同等かそれ以上の値段のチェキはバンバン売れんだよ。なめんのもいい加減にしろよ。

ボクは裏方でいたかった。けれど、それじゃだめだ。良い曲を書けば受け入れてもらえるなんてことはありえない。曲が自発的に口を開くことなどありえない。仕事のほうでも書いたけど、これがボクの限界なんだと思う。この一件で、『ボク』は死んだ。優碧は死んだ。

俺の来年

何を一丁前に偉そうにって感じか。

前々から考えはあった。数年前、一度やろうと思ったこともあったけれど、その時はエナジーが足りなかった。プライドが足りなかった。何よりも覚悟が足りなかった。
でも、もうそんなことはどうでもいい。俺がやるべきことが、ついにハッキリした。

まず、自分の行動の責任は全て自分でとれるようになろうと思った。
そのために、人の力に頼るのをやめようと思った。
最後に、俺の言葉は全て俺の口から出すようにしようと思った。

これらが何を意味するのか、わかる人にはわかるだろうし、わからない人にもいずれわかる時が来る。

俺が優碧さまじゃ。

ごあいさつ

悲しいことに新規のファンなんてモンは長らくついていないので、これをわざわざここまで読んでくれている人ってのは、ようするに昔ながらの人ってこと。

本当に、いままで支えてくれてありがとうございました。支えられた覚えもねえけどな!
いやいや冗談はともかく、感謝の気持ちは本当です。そうでなければ、音楽なんてとうの昔に辞めていたよ。それに、いまこうして変わろうと思うこともなかったはず。
ただね、来年(再来年かも)はもっと古くからのファンが大勢合流する予定なので、そうなったら今ここにいるあんたらは全員新参者だよ。精進しろよ。ただまぁ、新規はそれ以上に増えると思うけどな。仲良くしろよ。

ちなみに。
初見でもここまで読んでしまったバカはもれなく全員俺様のファンだよ。ざまあみろ。


あ、そうだ。一応『ネクマプ』について触れておかないとね。
ネクマプは別に同人サークルってわけではないので、消える事はないし、今後も生き続けます。
なんというか、『next marginalized progress』ってのは、俺にとっては単なる看板というか、俺の思想を文字で表現しただけのものにすぎないので、少なくとも、俺が死ぬまでは存続すると思ってくれていい。
ただ、しばらくは留守にすることになると思う。その思想とやらのために、他にやらなければならないことができたから。


来年、うまくいけば、2枚の作品が出る。うまくいけば。今の世の中難しいからね。遅くとも再来年には出ているはず。それ以外にも何かあるかもしれないけど、仮にあったとしても、それは自分自身の心のゆとりのための、いわばリハビリ的なものであるだろうから、明らかに勝手が異なる。


表面しか求められないというのであれば、表面だけで勝負してやろうじゃねえか。
全員ぶちのめしてやるよ。俺の本当の言葉で。俺の本当の心で。


今に見てろ。

おわり。

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