Illusion-イルシオン- 2020/07/01 13:56

ハナノウタ

名もない詩謡いの少女がいた。
少年は、すべての人に少女が愛されるようにと、名前を与えた。
名前は少女に意味を与えた。

そして少女は、女になった。

女のウタゴエは黄金色の調べ。
その音色に込められた想いは、数多のヒトの心に寄り添った。
女のウタゴエは慈しみの花。
悲しみも苦しみも抱きしめて慰めてくれるコエ。

そのコエが、そのウタが。
その名の真意を貫いていった。

やがて世界は永遠に眠るであろう。
ゆっくりと、女のウタゴエを、香りを、慈愛を脳裏に焼き付けながら。

その花の詩は、永遠の子守唄。
壊れた母性と偶像的な愛の調べ。
女も気づかぬ忌みを孕んだ名前は

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