「同人音声の制作に興味がある」という方へ-その2-台本詳細編

台本をどう書けばいいのか

こんにちは。クアトロです。
昨日の記事で「台本は企画とあなた次第...」と書きましたが、具体的にどう書いたらいいのか分からない!という方向けの記事です。
基本的な台本のルールや構成は昨日の記事を読んで頂くとして、今日はお話の進め方や広げ方について考えます。

台本(お話の進め方)

台本は小説などと違い、ト書き以外は基本的に台詞しかありません。
そこで台詞とト書きを交えながら、状況や動作を表現する必要があります。
(ト書きとは台詞以外の演者の動作や効果音などの指示を書き込む事)

ですがここで問題なのは「台詞で説明し過ぎない事」です。
例えば演者が「背後から正面に移動して聴き手に抱き着く」というシーンがあったとしましょう。

<よくない例>

(位置◯に回り込み抱き着く)
(演者が動作する足音)
「じゃあ、後ろから...正面に回って...ほら、正面に来たよ。そしてー、えいっ!抱き着いちゃえ!ぎゅー!」

一見簡潔に見えて、状況も分かるからいいじゃないかと思うかもしれません。
ですが、実際にそんな事を言いながら抱き着くシチュエーションがあるでしょうか?
あまりないと思います。

つまり、より現実に近い書き方でシーンを表現するのが望ましいです。

<よい例>

(位置◯(ここでは正面)に移動しながら)
「じゃあ...。」
(演者が正面へ回り込む足音)
(笑い声の位置で正面に来たという情報を聴き手に与える)
「ふふっ♪」
(演者が更に近付いてくる足音)
(位置◯(ここでは正面のマイク直近)に移動しながら)
「ぎゅー!」

これでどうでしょうか?
台詞数も少なくなり、より簡潔にユーザー様に状況を理解してもらえるようになるのではないでしょうか。


もう1つ問題と言いますか、注意する点があります。

「聴き手の意思をオウム返しし過ぎない事」です。

シチュエーション音声作品は演者しか喋りませんから、聴き手の意思を実際に聴いているユーザー様に伝えるのはそれなりに必要な事です。
ですがここでオウム返しを多用してしまうと、会話が不自然であり、上で書いたように説明し過ぎになりがちなのです。
ただしオウム返しが駄目なのではありません。
ですが長い台詞で聴き手の意思を演者が言ってしまうのは、聞いていて違和感を覚えます。時と場合を考えて上手く使い分けましょう。

例えば「勉強を教えてもらう聴き手」が居たとします。

<よくない例>

「さあ始めるわよ!」
「え?鉛筆を忘れたから始められない?だから貸して欲しい?」
「もー分かったわよ、これ使いなさい。」

これを台詞として聞いたらどうでしょう?
2段目がオウム返しで、しかも長くて会話がダレがちです。


<よい例>

「さあ始めるわよ!」
「え?鉛筆忘れた?」

「もう、何しに来たのよ...」
「あー分かった分かった、貸してあげるからこれ使いなさい。」

鉛筆を忘れた事と、貸して欲しい事を分けて表現しています。
これで会話にリズムが生まれます。

そうです。
台詞は「会話のキャッチボール」と覚えておきましょう。
ポンポンポンっとリズムよく、それでいて状況をしっかり理解しやすく書く事で、上手にキャラや状況を活かす事が出来ます。

上記の2点を意識して書いていけば、自然な台本が出来上がると思います。



お話の広げ方について

これはですね、端的に言うと経験と表現力です。
私自身まだまだな訳ですが、経験は書いて書いて慣れるしかないです...。

あとはキャラ設定がどれだけ詳細に描かれているか、によっても分かれると思います。
このキャラならここを趣味とつなげて...とか、ここはちょっと冷徹に...とか。
なので、台本を書くあるいは依頼された場合は、可能な限りキャラ設定を詳細に聞き出し、深掘りしておきましょう。

上でも記述した通り、台詞は会話のキャッチボールです。
こう投げかけたら聴き手はこういう事を言うだろう、こういう気分になるだろう、だから次の台詞はこう...という風に、上手くキャッチボールが出来ればスラスラと台詞も出てくるはず...です。
これは私だけかもしれませんが、キャラが出来上がっていると勝手に聴き手と会話をしてくれるので、それを文字として打っているだけなんですよね...。

少し話が逸れました。

次に表現力についてですが、これはもうひたすらインプットしていくしか方法はないとさえ思っています。
つまりどういう事かと言うと、他の方が制作した音声作品や小説などから得るしかないと思います。
そのままパクるという意味ではないです。
ご自身の持っている経験と得た表現を組み合わせる事で、初めて幅が広がると言えるでしょう。

ゼロから表現力は生まれないのです。
ですから学べる事は貪欲に吸収し、ご自身のモノにしましょう。



台本を書く上で気を付ける事やコツあれこれ

ザックリ箇条書きしていきます。
※一部はあくまで私の場合なので参考程度に

・キャラの一人称/口調を崩さない
・台詞の語尾は連続して同じ語尾を多用しない
(~でしょ?~でしょ?~でしょ?と三行同じ語尾だと違和感が目立ちます)
・すべて説明せずある程度聴き手に想像させる事もあり
(と言うかこれが出来ないと過度に説明しがちになる)
・可能であれば自身がキャラに成りきる
・聴き手にあまり濃いキャラ付けをしない
(聴き手の癖が強いとユーザーが感情移入しづらい)

等々...
まだ他にもあるかもしれませんが、今思いつくのはこれくらいですね。

と、長々と書きましたがこれらは台本を書く上での基本のキだと思っています。
もし内容が分かりづらいよーという方がいらっしゃいましたら、TwitterのDMにお寄せ下さい。

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