新井健史&進行豹 2020/06/08 22:48

第17回:スタジオ収録をしてみよう!!! (進行豹

こんばんわです! 進行豹でございます!!!

新井健史&進行豹のお送りする 新シリーズの第一弾!
『商用フリーの100円ループ環境音 VOL.1 温泉湯船環境音(録音地:福島県飯坂温泉)』
https://www.dlsite.com/home/work/=/product_id/RJ284159.html

をつかって、わたくしシナリオライター進行豹が、
初挑戦となる音声編集を含めてまるっと一本の無償公開バイノーラルボイスコンテンツをつくってみよう! というコーナー!

『バイノーラル音声作品をつくってみよう!』

前回の第16回
https://ci-en.net/creator/4364/article/325191
では、

声優 「水野七海」(@mzn773)さん。
からご依頼いただきました、水野さんのファンサイト向け
https://ci-en.net/creator/3210
の、「シチュエーションバイノーラルボイスドラマ」向けの短い台本『雨色の台本』の

「初稿」
「いただいたチェックバック」
「修正稿」

の全部をまるっと公開させていただきました!


ともないまして、
「両腕骨折温泉」「雨色の台本」ともに、収録台本が整いましたので。

いよいよ次のステップ=『収録』に臨むことになります!!


収録は、主に
『スタジオ収録』『宅録』の2パターンが存在するかと思います。


今回の場合は、
“2本まとめて収録するのであればスタジオの方がよろしかろう”ということで水野さんとご意見一致し、
『みんれっく』
https://minrec.jp/
様のお世話になることとなりました。


スタジオ収録にあたりましては

1:予算をたてる

2:台本を完成させる

3:台本の長さから、収録にかかりそうな時間の予想をたてる(わかんなければ、演者さんに『余裕をみて、何時間くらいスタジオ押さえればよさそうですか?』と聞いてしまうのが一番よいと思います)

4:「その時間」 * 「1時間あたりのスタジオ利用料」が、「立ててある予算」以下になり、かつ演者さんにお運びいただくことが可能なスタジオを探す

5:演者さんに、そのスタジオでOKかということと、OKである場合の収録可能日(できれば複数)とをお伺いし。その日でお借りできるかをスタジオに問い合わせして。もろもろ一致すればスタジオの予約を取る。

6:当日、スタジオに赴いて収録

――という感じの流れになるかと思います。


スタジオ収録にあたっては、演者さんの他に、

「レコーディングエンジニアさん」 (録音機材をあつかって、適正な録音をしてくださる専門家さん)
「スタジオ側のレコーディングディレクターさん」 (当日の台本を読み込んで、お芝居の方向性を明確にして、必要に応じたチェックなどをしてくださる専門家さん)
「メーカー/サークル側のレコーディングディレククターさん」 (上記と同じ役職。同時に、スタジオ側のディレクターさんの方向性が作りたい作品とズレている場合にその確認ができる唯一の役職)
「台本を書いたシナリオライターさん」 (専門用語や造語のイントネーションなどを教えたり、台本のミスをその場で修正したり)

――のメンバーがそろっていれば理想的かと思います。

特に、『収録が初めてで、まったくわかんない』という場合には、「スタジオ側のディレクターさん」がついてくださるスタジオさんにお願いすると、勉強できることめちゃくちゃ多くあるのではないか――と、わたくしは自分の経験から思います。


今回の場合は、エンジニアさんをつとめてくださったみんれっくの太田さんが、スタジオ側ディレクターさんも兼務。
わたくしがサークル側のディレクターとシナリオライターを兼務という形で、『水野さん』『太田さん』『わたくし』での、三密をできるだけ避けての収録ということになりました。


収録自体は

一:テストで台本をある程度読んでいただき、キャラクターを決める (と、同時にエンジニアさんに録音レベルを決めていただく)

二:どういう順番で収録するかを決めて、その順番に収録していく

三:長い台本であれば、例えば1シーンごとなどに収録をとめてチェックして。必要があればリテイクをお願いしたり、その時点で演者さんの喉がお疲れだったりする場合には、休憩をいれたりする

四:その繰り返しを繰り返し、全てのシーンを収録したら、録音データを受け取って、収録完了


――という流れですすむものかと存じます。


『チェック』では、一般的には。
エンジニアさんとディレクターさんとで分業し、それぞれの分野でNGな部分がないかを確認するんじゃないかぁと、わたくしは自分の経験からは、思います。


<<エンジニアさんのチェック事項>>

・ 声に(編集で除去できない)ノイズ等がかぶっていないか。
・ 声がボリュームのピークを越えてしまっていないか。
・ 誤読・滑舌・イントネーション・リップノイズ等


<<ディレクターさんのチェック事項>>
・ (複数キャラクターがいる場合には)つくっていただいたキャラが、他のキャラとかぶらないか
・ 演じているうちにキャラクターがズレてきてしまってないか
・ お芝居がおかしな方向にいっていないか
・ お芝居に別のオプションをご提案できないか
・ 誤読・滑舌・イントネーション・リップノイズ等


……とか、そんな感じになってくるかなぁ、と。


お芝居の方向性というのは、極端な話をすれば

『ドSの女王様』を演じていただきたい

というような「明快なゴール地点」(への道のり)のことです。


この場合は、リスナーさんは、思い切り罵られていじめられて卑下されることを期待してくれていることが明白(とメーカーサイドは思っているので)
その方向に沿ったお芝居を、当然いただきたく思います。


で、あるのにもかかわらず、

【女王】
「この豚っ! 鳴き声まで無様なのっ! せめてブヒブヒ! 豚らしく鳴いてみせなさいっ!!!!」

というセリフを。
おっとりとろとろふわっふわなロリボイスで

【じょおー】
「このぶた~~ なきごえまでなーーーんてぶざまなのぉ? せめてぇ ぶーひぶーひ ぶたらしくぅ ないてみせなしゃーい❤❤❤」

というトーンでいただいたりした場合、

『ちょ、ちょっと待ってください! 確認させてください!』とやるのが、わたくしの認識しているところの「ディレクターさんのお仕事のひとつ」であるかと思います。


もちろん、演者さんもお芝居のプランを立ててくださってます。

ので、例えばこのあと

【女王】
「使えない豚だねぇ――屠殺するしかないか」

みたいなセリフがあったとして。

「“屠殺するしかないか”でガラリとスイッチを切り替えてキレッキレの女王様にしたいんで、そこまではあえて甘ロリでやってみました」

的に、プランのご説明をいただけたりすることがほとんどであるような気がします。

そのようなときに、演者さんご提案のプランを「あり」とするか「なし」とするかの最終判断の責を追うのが、『メーカー側ディレクターのお仕事』かなぁと、わたくしは思っております。



また、上記のようなケースで、例えば

「甘ロリだと、その時点で聞くのやめちゃう人がでてきそうなんで、『凄く不慣れでおどおどしてる新人女王様って感じで、最初のセリフいただけますか?』」

的なご提案を演者さんにディレクターが提案するのも、もちろんありかと存じます。


そのようなやり取りの結果、ときには化学反応が引き起こり。
「最初は誰も予想してなかった方向性の、けれども予想されたどの方向性より素晴らしい仕上がりのお芝居」をいただけたりすることもあるのが、スタジオ収録のすごく楽しいところかと、わたくしは思っております。


というか!!!!!

今回一番重要なのは、この「わたくしは思っております」の多用にあるかという気もしております。


スタジオさんによって。演者さんによって。ディレクターさんによって。エンジニアさんによって。
「理想とする収録の形」はものすごい千差万別であるかと思われますので、「これが正解」というような形は――少なくともわたくしの認識においては、「無い」のではないかと思われるからです。


のでので

■ 収録前に、お世話になるスタジオさんのルールを確認しよう(守ろう)

■ 演者さんがルールを定めてらっしゃる場合には、それもあらかじめ確認しよう(守ろう)

■ わからないことははずかしがらずに都度都度確認したり、しらべたりしよう

――というあたりを守って、あとは場数踏んで慣れていくと、理想通りだったり理想以上だったるの収録をいただける可能性を、少しずつあげていけるようになるんじゃないか……とか、わたくしとしては思います。

その上で、化学反応が起きる可能性をあげたいのであれば

■ 自分の希望と食い違うことがおきても、すぐに否定せず、なぜそうなってるのかを確認しよう

というあたりも、あるいは役にたつ可能性がゼロってことはないこころがけなんじゃないかと、わたくしとしては思います。


ともあれどのような収録であれ、収録は共同作業です。

関わる各々が、自分以外の全員に対し、「それぞれのジャンルの専門家さん」へ向けるべき当然の敬意を示し。
全員が「より良い作品を作りたい」という意思を持ち。
であるのにも出てしまう食い違いやすれ違いを上手に処理していけるのならばきっと、素晴らしい収録が叶うのではないかと存じます。



で!

「両腕骨折温泉」も「雨色の台本」も、水野さんと太田さんのおかげさまを持ちまして!
台本のポテンシャルを高いレベルに引き上げていただく、素晴らしいご収録をいただけたものかと、わたくしとしては認識しております!!!


その「収録された音源」を活かすも殺すも、実はこの先の工程にかかってしまってくるのです。

その工程とは――『編集』

わたくしにとっては初挑戦となる工程です。

ここから先は手探りの試行錯誤であれこれしていくことになりそうな予感がいたしますが――

もしもよろしければ、どうぞ引き続きお付き合いのほどいただけますと幸いです!

それでは!!!

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