あのときやまやにいた女

それはある日、私が出先でやまやに入った日のことでした。

不慣れな土地で迷い込み、仕方なくイオンのフードコートに入った私は最初つけ麺を食べようと思っていたのですが、他の人がおいしそうな明太子を盆に載せて歩いているのを見かけ、なんとやまやがあることに気づいたのです。
ランチにつけ麺はリスキーです。汁を襟にこぼしたら、午後からの営業活動に差し支えます。
そう思って私は急遽つけ麺案をボツにして、やまや案を採用することにしたのです。やまやおいしいよやまや。

そのフードコートのやまやは、カウンターで最初にメニューを注文し、ご飯とおかずを順に受け取っていき、最後に箸や調味料を取って会計となるスタイルです。
私の後ろに三十歳くらいの女の人が並んできました。
メニューを注文したあと、二十歳くらいの若いお姉さん店員が応対します。
「ごはんは大盛り(無料)になさいますか?」
わたし「はい」
後ろの女「大盛りより少なめで」
お姉さん「少なめですか?」
後ろの女「大盛りで」
お姉さん「かしこまりました」
後ろの女「待って、ストップ。そのくらいでいい」
わたし(最初から「少し多め」って言えばよかったのでは……)

お姉さん「豚汁にネギは入れますか?」
わたし「はい」
後ろの女「別皿で出してくれる?」
わたし(スープにこだわりのあるラーメン屋かな?)

お姉さん「豚汁お気をつけてお持ちください」
わたし「ありがとう」
後ろの女「なんか前より量減ってない?」
お姉さん「申し訳ありません。価格改定で値下がりしたため前より量が少なくなっています」
後ろの女「あらそうなの。じゃあご飯もそれに合わせて少し減らしてくれる?」
お姉さん「承知いたしました。申し訳ございません」
わたし(わざやざやり直しさせるのかよこえーな。バリバリのキャリアウーマンとして会社でもブイブイいわせてるのかな?)チラッ
わたし(ヒエッ……指輪してる)

後ろの女「あと子供用に取り皿出してくれる?」
お姉さん「かしこまりました」
わたし(しかも子持ち!)

こういう人が購買担当者だったらやりづらいだろうなと思いました。
午後からの訪問先へ行ったらいつもと違う人が一緒に出てきて「実は担当変更になりまして……今度からは彼女が」と言われて「うわー! あのときやまやにいた怖いママさん!!」とならないことを祈ります。

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