麺処「なると」は、かつて存在した日本のラーメン屋

麺処「なると」は、かつて存在した日本のラーメン屋です。
二郎系インスパイア店ですが、二郎よりもややオリジナル色が強めです。

トッピングはニンニク、ヤサイ、アブラ、カラメ、カツオブシ(無料)。
そう、カツオブシがトッピングできるんです。これがぐうの音も出ないほど風味豊かなものなのです。
しかも学生証を出せば麺大盛り無料または半熟卵無料のどちらかが選べます。

スープは二郎よりもあっさりめ。
太麺と細麺が選べます。細麺も何度か試しましたが、私は太麺のほうがおいしいと思います。
いや、おいしかったと思いますと書くべきですね、ここは。悲しいことに。

棚に置いてある当店特製のラーメン専用胡椒というのが、ふりかけみたいでとてもよかったです。
水はほんのりレモン味。レンゲとティッシュ箱が備えつけられています。
お店は夜遅くまで開いていて(確か23時くらい)、カウンターの他にテーブル席も二つありました。大味ですが、安くて量の多いラーメンの食べられるこの店には、夜遅くまで学生たちで賑わっていました。時間帯によっては店外まで何人か並んで待っていることも珍しくありませんでした。店の外には水を張ったペール缶が置いてあったので、私はよくここでラーメンを食べたあと煙草を吸って帰りました。雨の日は軒下で煙草を吸いました。

この店はいわゆる下駄履きマンションの下駄部分で、テナントの半分をこのラーメン屋、もう半分は焼き鳥屋になっていました。入り口は別々なのですが、厨房は確か同じだったと思います。ラーメン屋と焼き鳥屋の部分はパーテーションみたいな壁で仕切られていて、天井付近は向こう側の空間と繋がっていました(昔の銭湯の女湯と男湯を分かつ壁みたいな感じですね)。
なので、夜はラーメンをすすりながら壁の向こうの焼き鳥屋の賑わいが聞こえてくることもありました。

この店は食べログのレビューによると2016年くらいまでは存在していたようです。
昨年、2年ぶりにまた近くまで引っ越してきたので、そういえばと思って立ち寄ってみました。
『NHKにようこそ』の舞台となった、とてもこじんまりとした駅前なのですが、その景色は当時とはだいぶ違っていました。
思えばこうしてこの通りに足を着き、しっかりとその風景を見るのは10年ぶりくらいになるのかもしれません。飲食店の10年後の存続率は10%以下だと、ほっともっとでバイトしていた頃に聞きました。10年という月日は、店一つ消すにはあまりにも十分すぎる時間だったのかもしれません。

あの頃の思い出の味をまた楽しみたいと思っても、蘇ることのないまま、私たちの記憶の底に埋もれ続けるのです。

ちなみにラーメンのトッピングで一番好きなのは海苔です。
逆にチャーシューはあまり好きではないので、私とラーメンを食べるときはチャーシューを海苔と交換してもいいですよ。

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