『花束みたいな恋をした』を見て

一言でいうと「サブカル女」をめぐるラブストーリーです。
映画版『二重生活』もヒロインはサブカル女で(原作だともうちょいギャルのイメージ。あくまでイメージだが)、俳優は同じく菅田将暉で、同じく絵描きでした。

『二重生活』と他にも似てるところはあるのですがネタバレになるのでやめときます。
リリー・フランキーの代わりに押井守が出てきます。
リリー・フランキーといえば下北沢駅前のオブジェが有名ですが、本作は調布がロケ地です。

調布がサブカル女の聖地だったなんて知らなかったよ。てっきり原宿のイメージでしたが、三軒茶屋でも下北沢でもなく調布。同じく京王線沿線の飛田給駅と明大前駅が出てきます。

恋人同士が片耳ずつのイヤホンで一つの端末を共有するのは音楽に対する冒涜であり、その瞬間そもそも音など聞いてない。欺瞞に過ぎないという衒学的な主張からその映画は始まります。
かたや、実際に二人が付き合い始めると「赤信号は長かった。押しボタン式だった。ナイス信号」などと途端に公共のデバイスを恋路の利器に役立てるという手のひら返し。
あまつさえ、冒頭の片耳イヤホン事件に対する糾弾も単なる受け売りにすぎなかったことが明らかに。サブカルオタクらしさ、大学生らしさがいい感じに表現されています。
また、伊坂幸太郎を思わせる大学生特有のうわべだけ着飾った溌剌さなども描かれていました。いるよねこういう奴、いるいる。そんなシーンがよくあります。
(大学生あるあるとしては前述の『二重生活』においても、「ポスドクおじさん」みたいなのが出てきて最高に面白いので、興味のある方は是非見てください。原作にはない描写です)

途中、焼きおにぎりを作るシーンがあるんですが、なんで下宿してる大学生が焼きおにぎり作れるんだよ村上春樹かよって感じで笑いました。

付き合い始めるとき、「わたし白いデニム履いてる男だけは無理なんでそれだけはNGでお願いします」とか言い出してマジでこだわり強すぎヴィレッジヴァンガードとかにいそうって感じでした。

見るとサブカル女は全員死ぬので気をつけてください。致死性の映画です。
あと、静岡県限定チェーン店「さわやか」や、銀座のナンパスポット「コリドー街」など知る人ぞ知るみたいなスポットも出てきて、くすっときます。

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