2025年正月の近況報告
あけましておめでとうございます
今年も医薬品業界は薬不足を再三言われることになると思います
ですので今年の抱負は
「高度の柔軟性を維持しつつ臨機応変に対応する」
こととなりましょう
消費者の方には今の日本には本当に医療用医薬品が無い状況だということを理解していただきたいです
主な理由は国が薬価を下げ過ぎて&基準を上げ過ぎて製薬企業が利益を出せずに上がった基準に対して設備投資すら出来ない状況である
のが問題です
ただし市販薬なら流通していることが多いので、欲しい薬は市販薬で買ってください(メジコン・ロキソニンなど)
ロキソニンS(市販薬)に関しては採算が合わないので2024年10月に値上げをされましたが、医療用医薬品は2024年6月の薬価改正で全体で0.97%「値下がり」しています
製薬企業としては医療用医薬品を作れば作るほど赤字になって来ているのかも知れません(他にも電気代高騰・人件費高騰・社会保険料増額・損害保険料の高騰など、間接的に経営を圧迫する理由があります)
医療制度そのものは素晴らしいのですが、その制度を維持するためのレールがボロボロです
電車は高級車両なのに、その車両を走るためのレールが錆びていたり、運転手や整備士が居ないのが今の日本の医療制度だと思ってください
ですので、今の医療制度はアテにせず、自分で医薬品を確保する・風邪やインフルエンザなどに感染しないようにするという努力が必要になってきています
今シーズンはインフルエンザが大流行し、伊賀では高校が「学校」閉鎖を起こしました
年末年始の応急当番ではコロナ前の二倍ほどの患者数になり、インフルエンザ薬を十分な数用意していたにも関わらず、卸に発注をして持って来てもらったそうです
この調子で感染拡大していくと、生産量より患者数が多くなり、備蓄していた薬も無くなる可能性が出てきました
日本は医療制度が優秀過ぎて海外では病院に受診しないレベルの軽症患者でも病院に行って、薬をもらってくるのが当たり前になっています
日本の医療リテラシーは東南アジアより低く、国民全体として見てみると医療に関する知識は相当低いと言えます
病気を予防することを放棄して病気になってから病院に駆け込む人が多いです(日本の場合、予防するより治療費の方が安いから)
海外ではありえない話ですね
なお、日本の薬価がどれほど安いのかということを比較してみると、有名な商品で医療用医薬品と同じ成分・同じ含有量の市販薬を見てみた結果
SG顆粒 薬価(一回分) 8.2円/1回
セデス・ハイG 1298円/6回分=216.3円/1回
ムコダイン 500mg 10.1円/1錠(一回)
ムコダイン去痰錠Pro 1430円/10錠=143円/1錠(一回)
ロキソニン 60mg 10.1円/1錠(一回)
ロキソニンS(市販薬) 768円/12錠=64円/1錠
メジコン錠 15mg 5.7円/錠
メジコンせき止め錠Pro 20錠(一回2錠) 1,529円/10回分=153円/一回
・・・シオノギヘルスケア、多いな
薬価は仕入れ値・市販薬は売価とは言え、こんなに値段が違うのであれば、製薬企業が医療用医薬品を作らなくなるのも当然です
(市販薬の場合、半分が仕入れ値としても薬価と全然違うのがお分かりいただけると思います)
製薬企業もある程度利益が出ないと社員を雇えませんし、古くなった工場を修繕することも出来ません
薬価を下げ過ぎた結果、医療用医薬品が不足していると考えてもらえれば幸いです
(GMP違反の基準が厳しすぎるという意見もあります)
予定も書こうと思ったのですが、文章が長くなりすぎたのでこの辺で終わっておきます